AUDIOLOGY JAPAN
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44 巻, 6 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 大竹 祐輔, 青柳 優, 布施 健生, 阿部 靖弘, 野田 大介
    2001 年 44 巻 6 号 p. 571-577
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    慢性中耳炎症例の聴力と年齢の関係について検討する目的で, 当科及び関連病院にて行われた鼓室形成術症例1,182例を対象に, 術前の聴力検査と年齢を回帰分析し, 正常者の聴力データと比較し検討した。 (1) 鼓室形成術症例全体, (2) 疾患ごと, (3) 術式ごとに聴力検査成績と年齢の間で散布図を描き, 二次多項式による回帰曲線を求め, 正常聴力データの回帰曲線と比較した。 その結果, 罹患期間が長くなるほど低中音域において骨導レベルの悪化を認めた。 高音域では骨導値の低下は若年から認められ, ほぼ加齢とともに平行に推移した。 低中音域の骨導レベルの低下は, 罹患期間が長くなるに従い内耳障害が進むことを示す所見と考えた。 高音域は正常者での加齢変化により骨導レベルが低下し慢性中耳炎症例との差が明確でなくなるためと考えた。 罹患期間の長い高齢者ほど, また病変が内耳に近づくほど骨導レベルが低下する傾向にあり, できるだけ早期に鼓室形成術は施行されるべきと考えた。
  • 植田 広海, 内田 育恵, 朝日 清光
    2001 年 44 巻 6 号 p. 578-583
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    鼓膜正常な伝音難聴耳 (アブミ骨固着耳76耳, 耳小骨離断耳12耳) と正常耳36耳を対象に連続周波数ティンパノメトリを施行し, その有用性を検討した。 スタティック・コンプライアンスを指標にした場合, 正常耳群 (平均0.60±0.22cc) と耳小骨離断耳群 (1.06±0.45cc) 及び耳小骨離断耳群とアブミ骨固着耳群 (0.49±0.44cc) との間に有意差を認めたが, 正常耳群とアブミ骨固着耳群との間には有意差を認めなかった。 一方, 共振周波数を指標にした場合正常耳群 (951.7±194.1Hz), 耳小骨離断耳群 (675.8±132.8Hz), アブミ骨固着耳群 (1274.9±290.0Hz) のすべての群間に有意差を認め共振周波数を指標した方がより有用性が高いと思われた。 しかしながら, 診断に迷う例もあり画像診断を含めた総合的な判断が必要であると思われた。 またアブミ骨固着耳群において共振周波数と術前気骨導差との間に, 2kHz, 4kHzにおいてゆるやかな負の相関を認めた。
  • 仲野 敦子, 仲野 公一, 沼田 勉, 今野 昭義
    2001 年 44 巻 6 号 p. 584-591
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1998年1月から2000年3月までに聴神経腫瘍に対してガンマナイフ治療を施行し, 3ヵ月以上経過観察できた聴神経腫瘍28例を対象として, 治療後の聴力の変化を検討した。 新鮮例13例中4例, 術後例15例中13例が治療前に聾であり, いずれも治療後に聴力の回復は認めなかった。 聴力残存11例のうち, 聴力の改善した例は2例あり, 2例とも6ヵ月までの早期に改善を認めていた。 聴力悪化例は3例あり, 1例は治療6ヵ月後までに急激に聴力が悪化し聾となり, その後改善が認められず聾のままであった。 残り2例は治療後より徐々に悪化していた。 現在まで聾となった症例は1例のみであり, 聴力温存率は90.9%であったが, 治療前にGardner & Robertsonの分類でclass 1または2であった5症例のうち, 治療後もclass 1または2であったものは3症例 (60%) であった。 聴力変化と, 腫瘍体積の変化には一定の傾向は認められなかった。
  • 特に加齢との関係
    立木 孝, 樋口 明文, 一戸 孝七
    2001 年 44 巻 6 号 p. 592-599
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    騒音性職業性難聴の進行状況, 特に年齢との関係について検討した。 1) 某金属鉱山の騒音下作業に従事する727人の聴力を測定し, 勤務年数と年齢との関係について検討した。 2) 耳科臨床において診断された, 既に退職した高齢の人を含む騒音性職業性難聴臨床例208例の聴力を年齢および騒音曝露年数との関係で検討した。 この二つの検討結果から次の結論が得られた。 騒音難聴は離職後もわずかずつ進行するが, その進行は年齢変化よりも小さく, 従ってそれは正常の年齢変化が加算されたものでは無い。
  • 齊藤 優子, 間 三千夫, 硲田 猛真, 池田 浩己, 瀬野 悟史, 藤村 聡, 嶽 良博, 榎本 雅夫
    2001 年 44 巻 6 号 p. 600-603
    発行日: 2001/12/28
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    NICU乳児に対する聴覚機能と言語発達について検討した。 全例に聴性脳幹反応検査を施行し, 幼児聴力検査にて経過観察を行い, 言語発達遅滞を疑う患児には新版K式発達検査を施行した。 高度難聴は0.4%, 軽度・中等度難聴は2.6%, 言語発達遅滞を8.6%に認めた。 ハイリスク児では難聴が高率に出現するといわれ, 難聴による言語や情緒の発達障害を防ぐ目的で聴覚スクリーニング検査を行っているが, 難聴の出現頻度より, 言語障害の出現率が高かった。 ハイリスク児のフォローアップには聴力と精神運動, 言語発達の総合的側面からのアプローチが必要で, リハビリテーション施設, 言語聴覚療法士, 小児精神科との連携が不可欠である。
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