発育は先天的・後天的諸要因の交絡作用の結果であると考える. 本研究ではこれまでの文献を参考にして可能な限り多数の要因を測定し, これらが発育に関連するすべてであると仮定して, これらのなかからより関連の高い要因を丸い出そうと試みた. そして選択された要因が, 発育に関連する場合の特徴と身体発育全体に共通して関連する要因について若干の知見をえたので報告する. 1) 男児の身体発育全体に対するより関連の高い要因は偏食の程度, 授乳時の栄養, 給食の摂取程度, ミネラル, 蛋白質, 月令, 家庭の経済, 共働きの有無および肉食の程度の9要因, 女児では家庭の経済, 脂質, 運動への志向性, 偏食の程度, 肉食の程度, 在胎期間, 睡眠時間, 父の最終学歴および月令の9要因であった. 2) 男女児の身体発育一般に対するより関連の高い要因は偏食の程度, 家庭の経済, 肉食の程度, 父の最終学歴, 給食の摂取程度, 授乳時の栄養, 月令, 運動への志向性そして家庭の職業の9要因と考察された. 3) 発育に関連する要因は長育・量育・囲育および性に対してそれぞれ異なり特徴が認められた. すなわちある発育に関連する要因のすべてが共通に関連するのではなく, ある特定の要因いくつかが関連して発育に影響すると考えられる. 4) 一方, 発育全体に対して共通に関連する重要な要因も若干認められた. この場合, 共通要因として男女児ともそれぞれ9要因が有意に関連していた.
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