日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
14 巻, 4 号
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  • 宍戸 弘明
    1977 年 14 巻 4 号 p. 153-161
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏のパンティング時の呼吸数およびその平均経過の変化も調べる目的で, 白色レグホーン種産卵鶏23羽 (18ケ月齢, 平均体重1.65kg) を用いて実験を行った。環境調節実験室において, 室温25°C, 相対湿度70%の条件下に無麻酔の鶏を保定し, 体温が安定した後に, 環境条件を38°C-50%まで徐々に, かつ直線的に変化させ(移行時間45分), 引続き60~90分間, この条件下での温熱感作を続けた。総排泄腔内にそう入したバルーンの内圧の変化から呼吸運動を, またサーミスター温度計により総排泄腔温 (体温) をそれぞれ連続的に測定, 記録した。呼吸運動の記録から全試験期間中の20秒間毎の呼吸数を求め, 得られた時系列を呼吸数の原系列とした。さらに, 原系列に7点移動平均を2回繰返して得られた系列を呼吸数の平均経過として, 考察を加えた。なお, 試験期間中の飲水, 採食は行っていない。
    (1) 呼吸数の原系列から, パンティング時の呼吸数の変動は極めて大きいことが分り, ある時点での呼吸数を示すためには, 少なくも1分間以上の測定が必要と考えられる。
    (2) パンティング発生時における呼吸数と体温の変化の時間関係は体温の上昇が呼吸数の増加に先行することが認められた。また, パンティング消失過程においても, 同様の現象が認められた。
    (3) 供試した23羽の鶏のうち, 13羽において, 呼吸数の平均経過は, パンティングが発生し, 最大の呼吸数に達するまでの過程で3~4の階段的な変化を辿って上昇する, すなわち階段的上昇型といえる傾向を示した。多くの例で, 体温の上昇にも同様の傾向が観察され, この場合, 体温は呼吸数の上昇と同時に, あるいはそれに先んじて上昇することが認められた (Fig. 1, 2)。
    3羽については, その呼吸数の平均経過は徐々に上昇する漸増型の傾向を示し (Fig. 3), これに反して, 他の3羽では急速に増加する急増型の傾向がみられた (Fig. 4)。しかし, 2羽についてはその変化は不規則で, 上記の3つのタイプの中に区分けできず, また残りの2羽ではパンティングの発生がみられなかった。
    (4) パンティングの発生時にみられる間けつ的パンティング期の呼吸数は原系列ならびに平均経過のいずれからみても, その増加は比較的小さく, 体温調節の上で果す意義については更に検討が必要であろう。
  • 清水 弘, 八戸 芳夫
    1977 年 14 巻 4 号 p. 162-172
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニューハンプシャー種の鶏群を用いて, 選抜指数についての選抜を5世代行い, 得られた結果を統計遺伝学的に分析した。選抜の目的は9週齢体重を変化させないで初産後60日間の産卵数を増加させることであった。選抜指数は選抜を始める前に, 基礎集団について推定して母数を用いて作成された。選抜によって得られた遺伝的改良量が理論値と良く一致しているかどうか, また, 基礎集団について推定した遺伝率や遺伝相関係数が選抜系統のこれらの母数と差異がないかどうかを比較するために選抜系統の記録を用いて, 子の9週齢体重および産卵数の親の選抜指数に対する回帰係数と各形質の遺伝率や遺伝相関係数等の母数を推定した。
    9週齢体重と産卵数の遺伝率は基礎集団からの推定値と選抜系統の全世代を一括した推定値の間で大きな差異はなかった。しかし, 2つの形質間の遺伝相関係数は, 基礎集団からの推定値が負の値 (-0.280) に対して選抜系統からの推定値は正の値 (0.149) であった。遺伝相関係数の推定値でこのように大きな差があったので, 期待遺伝的改良量を次の3つの方法で予測した。すなわち, 選抜系統から直接計算した子の親の選抜基準に対する回帰係数を用いた予測 (予測I), 基礎集団からの遺伝相関係数推定値を用いた予測 (予測II), 選抜系統からの遺伝相関係数推定値を用いた予測 (予測III)。雄, 雌の9週齢体重の実現遺伝的改良量は予測IIと良く一致していたが予測IIIの期待値よりずつと小さかった。また, 予測Iとは全く逆の傾向を示した。産卵数の実現値は予測I, II, IIIの期待値よりずつと小さく, 産卵数の遺伝率が過大推定されたことを示唆した。産卵数については, 3つの期待値間に大きな差はなかったけれども, 3つの予測のうち予測Iが比較的に実現値に近かった。
  • 2. 血漿アミラーゼおよび血漿トランスフェリンの多型現象
    田名部 雄一, 杉浦 秀次, 藤岡 広郎
    1977 年 14 巻 4 号 p. 173-178
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    日本鶏の起源ならびに品種の成立過程を調べるため, デンプンゲル電気泳動法により血漿アミラーゼおよび血漿トランスフェリンの多型現象を調べ各品種ごとに遺伝子頻度を求めた。
    血漿アミラーゼには従来知られていたA, B, AB型の他易動度の遅いC型およびその組合せであるAC, BC型が見出され, これらの多型は同一座 (Amy-1) 上の3つの互いに共優性複対立遺伝子 (Amy-1A, Amy-1B, Amy-1C) により遺伝すると推定された。日本鶏は一般にAmy-1Aの頻度が高いが, 岐阜地鶏および蜀鶏(唐丸)ではAmy-1Bの頻度が高かった。Amy-1Cは岐阜地鶏, 大シャモ, チャボ, 蓑曳の4品種にのみ見出され, いずれも頻度は低かった。
    血漿トランスフェリンでは, AB, B, BCの3つの多型が見出された。日本鶏には全般にTfBの頻度が高くTfAは認められなかった。TfCの頻度は低かったが, 東天紅, 岐阜地鶏, 小シャモ, チャボ, 声良, 越後南京, 鳥骨鶏の7品種に認められた。
    以上のことから日本に最も古くからいると考えられている土佐地鶏とその子孫であろうと思われる鶉尾, 尾曳には Amy-1C, TfC, が見出されず, また岐阜地鶏は他の地鶏とかなり遺伝子構成が異なっていることがわかった。
  • 清水 弘
    1977 年 14 巻 4 号 p. 179-184
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 若齢体重と増体重に及ぼす父親とふ化との相互作用効果を調べ, この相互作用による遺伝率推定値の偏りを検証することである。
    分析に用いた記録は基礎集団と3つの選抜系統の4世代の281の父家系に属する4,062羽の雌ひなから得られた。対象形質は6週齢体重, 9週齢体重と6週齢から9週齢への増体重の3つである。統計的分析はふ化効果を母数型とし, 父親効果を変量模型とした二元分類混合模型に基づき最少自乗法を用いた。
    6週齢体重, 9週齢体重, 増体重ともに13の鶏群中2つの鶏群で統計学的に有意な相互作用が認められた。13の鶏群の平均で, 相互作用はこれら形質の総変動のそれぞれ4.22, 2.83, 2.66%であった。また父親成分に対してそれぞれ28.55, 23.08, 33.00%であった。このことはふ化内の一元分類に基づいて推定されたこれらの遺伝率推定値が過大に推定されることを示唆している。
  • 星野 貞夫, 和田 健一
    1977 年 14 巻 4 号 p. 185-195
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    白色プリマスロックの正常, 矮性鶏の雌雄について胚15, 18日齢, 孵化後3, 6, 13, 20週齢および成鶏時に屠殺, 下垂体前葉をとり出し, 標識アミノ酸とともにin vitro で培養し, GH, PLなどの合成, 分泌および下垂体中の含量をディスク電気泳動法を用いて測定, 比較した。各ホルモン, タンパクの合成は標識アミノ酸の各タンパクへのくみこみ速度 (DPM/100g体重/2時間), 分泌は新生 (標識) されたタンパクの培養液中への分泌速度 (DPM/100g体重/2時間), 下垂体中の含量はデンシトメトリーによるピーク下の面積 (mm2/100g体重) で表わされた。
    下垂体前葉の電気泳動パターンは正常, 矮性, 雌雄, 年齢の別なく質的に同一のものが得られた。
    GHの合成は正常, 矮性, 雌雄とも加齢とともに低下し, 雌雄とも矮性の方が高い傾向がみられ, 分泌には各鶏間に大きな差はなく, 下垂体中のGH含量は合成にほぼ対応した値を示した。PL合成も加齢による低下傾向を示し, 矮性の方が若干高い傾向を示したが, 雌雄間に差はなく, 分泌にも殆ど差はみられなかった。下垂体中のPL含量は正常, 矮性, 雌雄とも量的に少なく差もみられなかった。後部腺体に局在しディスク電気泳動で分画されるタンパク質のうち最も量の多い未知タンパクSPの合成は孵化後のどの時期にも矮性で高く, 分泌には差がなく, 含量は6週齢まで矮性が少ないが13週齢以降矮性の方が多くなった。
    標識アミノ酸を腹腔へ注射して筋肉, 肝臓, 腎臓へのくみこみを測定した結果では, 各組織のタンパク合成速度 (DPM/100g体重/2時間) は正常, 矮性間に差がみられなかった。この結果およびアミノ酸プールの推定などから上述の下垂体前葉でのタンパク合成の差はこの組織に特異的なもので, タンパク合成速度に比例しているものと推察された。
    以上の結果から矮性の発現機構はGHやPLの合成, 分泌の何らかの損傷ということでは説明できないことを述べた。
  • 上吉 道治, 田中 克英, 坂井田 実
    1977 年 14 巻 4 号 p. 196-198
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    白色レグホーン種の産卵鶏 (21ケ月齢, 体重1.8-2.2kg) に体重1kg当り25μCiの投与量となるようにH332PO4溶液をクラッチ第1卵の排卵時から第2卵排卵時までの期間のいろいろな時間に注射し, 注射2時間後に卵巣中の最大卵胞 (クラッチ第2卵) と大きさが第2番目の卵胞 (クラッチ第3卵) とを採取して, それぞれの卵黄の放射能をガイガーミュラーカウンターで測定した。また同時に浅胸筋組織を採取して放射能を測定し, 卵黄1mg当りの放射能値を浅胸筋1mg当りの放射能値で除し卵黄重量 (mg) 値を乗じて得られた値を卵黄1個当りの放射能値とした。
    最大卵胞 (クラッチ第2卵) の卵黄1個当りの放射能値は排卵予定時刻の14-18時間前にピークを示し, 以後排卵時刻に近づくに従って減少した。クラッチ第3卵の卵黄もこれとほぼ同様な傾向を示した。従って, 排卵周期中においては排卵の約21時間前から約18時間前までの期間に卵黄の32P取込量を増加させるような要因が卵巣に作用するのであろうと推察される。
  • 橋口 峰雄, 上吉 道治, 田中 克英
    1977 年 14 巻 4 号 p. 199-201
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    白色レグホーン種雄鶏を孵化直後から14時間照明(5時~19時) 10時間暗黒の明暗周期下で飼育し, 4週齢時, 5週齢時および7週齢時において1日のうちのいろいろな時刻に殺して下垂体前葉を採取し, その性腺刺激ホルモン力価を雛精巣32P取込法によって測定した。
    4週齢時においては性腺刺激ホルモン力価の日内変動は認められなかったが, 5週齢時においては14時 (照明開始後9時間) に最高値を示す変動が認められ, 7週齢時においては11時 (照明開始後6時間) に最高値を示す変動が認められた。従って白色レグホーン種雄鶏の下垂体前葉の性腺刺激ホルモン力価の日内変動は本実験条件下では約5週齢時から顕著になるものと思われる。
  • 上吉 道治, 橋口 峰雄, 田中 克英
    1977 年 14 巻 4 号 p. 202-204
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    白色レグホーン種の雄鶏 (20ケ月齢) および産卵鶏 (18ケ月齢) を14時間照明 (5時~19時) 10時間の明暗周期下で飼育し, 1日のうちのいろいろな時刻に殺して下垂体前葉を採取してその性腺刺激ホルモン力価を雛精巣32P取込法によって測定した。
    雄鶏においては11時 (照明開始後6時間) に最高値を示す変動が認められ, 産卵鶏においては11時のほか21時にもピークを示す変動が認められた。
  • 上野 満弘, 多田 昌男, 川崎 晃
    1977 年 14 巻 4 号 p. 205-207
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1日の産卵時刻を変更または分散させるため, 点灯時刻が5時であったものを15時に急変した場合と, 点灯時刻を実験室ごとに2時間ずらせた飼養法を行って産卵率及び産卵時刻におよぼす影響を検討した。
    その結果, 点灯時刻の急変は産卵率に悪影響をおよぼさないで, 産卵時刻は早期に照明中の時間帯に移行し, 点灯時刻の急変後6日目からは, 日ごとの産卵のピークは点灯後の2~6時間内となった。
    点灯時刻を2時間ずつ違えた場合は, 区ごとの産卵ピークは点灯後の3~5時間内にあるが, 全体での産卵のピークはなくなり, 2時間ごとの産卵数の割合は8~16時までが16.5~19.7%の範囲であった。また, 点灯時刻の違いは産卵率に差異をきたさなかった。
    以上のことから, 点灯時刻を急変させても産卵率に悪影響はおよぼさず, 点灯時刻を違えることによって産卵時刻を日中の午前と午後に分散させることができるといえる。
  • 森村 隆作, 小松 利雄, 佐藤 尚見
    1977 年 14 巻 4 号 p. 208-211
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ブロイラー農家の実態に即した規模のウインドウレス鶏舎4棟と供試ひな合計90,720羽を用い, 1974年11月から1975年11月の1年間にわたり, ブロイラーのA(雌雄混飼, 3.3m2当り50羽え付け, 70日齢オールアウト), B(雌雄混飼, 3.3m2当り60羽え付け, 70日齢オールアウト), C(雌雄混飼, 3.3m2当り80羽え付け, 52日齢に雌を主体に体重小のものを全体の約半数中抜出荷, 70日齢オールアウト), およびD (雌雄別飼, 3.3m2当り80羽え付け, 52日齢に雌を中抜出荷, 70日齢オールアウト) の4つの生産方式について, 1方式当り4回反復育成による試験を実施し次のような成績が得られた。
    1) 3.3m2当りのと体生産量は, え付け羽数に比例して明らかに増加した。
    2) B方式は, 52日齢以降高密度のため最も不利な環境条件下にあったが, 育成率が特に劣るようなことはなかった。
    3) A, B方式は, 特大と大を主体とした生産方式で, C, D方式は, 特大と中小および中を主体とした生産方式である。
    4) 3.3m2当りの収益性の平均は, C>B>D>Aの順であったが, 各方式とも入すうロットごとの差がきわめて大きかった。
    5) C, D方式の飼料要求率は, A, B方式よりも有意に低くすぐれてた。
    6) 各方式とも出荷が夏に当る春え付けの場合の成績が劣った。
  • 1977 年 14 巻 4 号 p. 212-214
    発行日: 1977/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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