日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
26 巻, 6 号
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  • 小川 宣子, 田名部 尚子
    1989 年 26 巻 6 号 p. 333-339
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    新鮮卵黄蛋白質と貯蔵卵黄蛋白質の熱変性について水平式ポリアクリルアミドグラジェントゲル電気泳動法を用いて調べた。卵黄のみを分取し,28°Cで6週間保存した試料を80°Cで0~20分加熱した。ニワトリ卵黄蛋白質の泳動像は,6つの泳動域に分離された。その泳動域は,(1)1~8のバンドをもつプレアルブミン域(2)9のバンドをもつアルブミン域(3)10,11のバンドをもつポストアルブミン域(4)12,13のバンドをもつプレトランスフェリン域(5)14,15のバンドをもつトランスフェリン域(6)16,17のバンドをもつポストトランスフェリン域であった。20分の加熱まで泳動帯の存在する耐熱性の高い蛋白質は,プレアルブミン域の1,3,6,7のバンドと,ポストアルブミン域の10のバンドであった。5分までの加熱で存在し,20分の加熱で殆どみられないか,なくなる中程度の耐熱性の蛋白質は,プレアルブミン域の2のバンド,ポストアルブミン域の11のバンド,プレトランスフェリン域の13のバンドの泳動帯であった。そして,もっとも熱に敏感な蛋白質は,プレアルブミン域の4のバンドと,アルブミン域の9のバンドと,プレトランスフェリン域の14と15のバンド,ポストトランスフェリン域の16と17のバンドであった。
    貯蔵卵黄の場合は,アルブミン域の9の蛋白質は80°Cで20分加熱してもまだ存在していた。又,トランスフェリンの14の蛋白質は,10秒の加熱で消失した。
  • 平本 恵一, 村松 達夫, 奥村 純市
    1989 年 26 巻 6 号 p. 340-347
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏における体組織の蛋白質合成速度に関しては現在ほとんど知られていない。そこで,産卵鶏の各組織の蛋白質合成を求めるとともに,これらの組織が体全体の蛋白質合成に対する寄与率を調査した。
    市販の産卵鶏用飼料を給与した18ヶ月齢の単冠白色レグホーン種産卵鶏に[15N]メチオニンを連続注入し,6時間後直ちに肝臓,卵管,腸,筋胃および腺胃,大腿筋周辺の皮膚,浅胸筋,大腿二頭筋を摘出して蛋白質合成を測定した。
    肝臓および卵管の蛋白質合成率は調査した組織中では最も高く(それぞれ1日当り93%と84%),これに対して浅胸筋および大腿二頭筋では合成率は最も低かった。他の組織ではこれらの中間の値を示した。このような各組織間の蛋白質合成率の差は主として,RNAの蛋白質に対する相対的な濃度によって説明できるものと考えられた。
    体全体の蛋白質合成量に占める寄与率は肝臓,筋胃+腺胃,腸の消化系器官の合計は約22%,卵管の寄与率は14%であった。これら測定した組織の寄与率の合計は約62%で,残りは未測定の骨格筋による部分およびその他の臓器を合わせた分で説明されるものと考えられた。
  • 小林 茂樹, 佐藤 全功, 伊藤 宏
    1989 年 26 巻 6 号 p. 348-353
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏におけるリジンまたはアルギニン過剰給与時のアルギニンの損失過程を明らかにするため,成鶏を用い,尿素,アルギニン,リジンまたは両アミノ酸の同時注入による腎クリアランス試験を行った。アルギニン,リジンおよび尿素の注入量をそれぞれ75,75および125μmoles/分とし,毎分1.0mlの速度で頸静脈から注入し,50分後から10分間の尿を採取し,腎における尿素およびアルギニンの排泄と再吸収を調べた。
    尿素の注入により尿素の排泄量は著しく増加したが,アルギニンは増加しなかった。アルギニンを注入すると,尿素およびアルギニンの排泄量は食塩水注入時の値のそれぞれ約17および14倍に著しく高まった。リジンの注入により尿素排泄量は対照鶏の値の約1/3にまたアルギニンは約3倍に増減した。アルギニンとリジンを同時に注入するとアルギニンだけの注入時に比べて,尿素排泄量は約1/10に減少しアルギニン排泄量は約2倍に増加したが,尿素およびアルギニンとしての体内からのアルギニンの損失はむしろ低い値であった。これらの成績は従来知られているリジン過剰による腎アルギナーゼ活性値の変化とは異なっており,血中アルギニンおよびリジン濃度がともに高い場合,リジンはアルギナーゼによるアルギニンの分解を高あるより,むしろアルギニンの腎排泄を促進しているものと考えられた。
  • 周 占祥, 一色 泰, 山内 高円, 中廣 義雄
    1989 年 26 巻 6 号 p. 354-361
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    人工肛門を設着した150日齢のアヒルを用い,飼料の形態,給与法と給与量をかえて消化率および糞中消化酵素活性を調査した。実験1は粉餌,練り餌,どぶ餌およびペレットを自由に採取させた。実験2は実験1のペレットを除いた全飼料について強制給餌した。実験3は自由採食時の80%,100%,200%および250%のどぶ餌を強制給餌した。
    飼料の消化率は実験1のペレットでは摂食量が多いにもかかわらず,有機物,粗蛋白質および粗繊維で高く傾向を示した。しかし,他の飼料形態の消化率では実験2も含め粗繊維のみ粉餌の自由採食に対し強制給餌の練り餌とどぶ餌は有意に低下したが,他の成分ではいずれも差はみられなかった。実験3の消化率は自由採食時の80%と100%では差はみられないが,200%は粗脂肪以外の成分で低下の傾向を示し,250%は粗脂肪以外の成分で有意に低下した。糞の単位数当りの酵素活性は,アミラーゼでは飼料給与量による影響はみられないが,プロテアーゼでは給与量の増加に伴って低下の傾向を示した。1日間の総活性量では給与量を2と2.5倍に増加させるとアミラーゼは2.1と2.7倍,プロテアーゼは1.6と1.9倍にそれぞれ増加した。飼料の消化管内通過時間は自由,強制給餌ともに飼料形態による差はほとんどみられないが,給与量が増加すると有意に短縮された。
  • 小林 真, 浜口 博之, 岡本 悟, 松尾 昭雄
    1989 年 26 巻 6 号 p. 362-368
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究は,ウズラの性成熟に及ぼす照度の影響を明らかにする目的で計画された。411羽のウズラの初生雛を3分し,H区(平均照度,1620-1746lux),M区(平均照度,46-83lux)及びL区(平均照度,3.8-4.7lux)に割り当てた。各区とも2,4,6及び8週齢時にそれぞれ12羽ずつ無作為に抽出して体重測定後剖検し,精巣重量と卵巣重量を測定した。また,各区19-36羽について,雄では泡沫液排出開始日齢を,雌では初産日齢と産卵率を調査した。
    2週齢及び8週齢時の生存率にはともに区間に違いが認められなかった。雄の体重には区間に差が認められなかったが,雌では8週齢のL区の体重が有意に小さく(P<0.05),この差は生殖器重量の違いによるものと考えられた。精巣重量の増加はM区が最も早く,ついでH区,L区の順であった。卵巣重量の増加の傾向は精巣の場合とよく一致していた。M区における泡沫液排出個体の増加割合は,3区の中で最も早く,46日齢で全個体が排出していた。しかし,同日齢におけるH区及びL区の排出個体の割合は,それぞれ81%(29羽/36羽)及び5%(1羽/19羽)であった。産卵開始個体の割合はM区が最も早く増加し,53日齢で97%(32羽/33羽)に達したが,H区は71%(16羽/21羽),L区は9%(3羽/35羽)であった。産卵率はM区が最も高く55日齢で90%を越え,H区とL区はそれぞれ67%と14%であった。
    以上の結果から,ウズラの性成熟に対して照度は重要な光条件の一つであると推論された。
  • 杉山 和寿, 蓮池 辰男, 森 誠, 川島 安一
    1989 年 26 巻 6 号 p. 369-376
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリの人為的な性転換の方法を検討するために,発生初期胚への精巣の移植が雌胚の生殖器官に及ぼす影響を調べた。孵卵13日目の白色レグホーン種の雄胚から得た精巣を,孵卵3日目の名古屋種雄と横斑プリマスロック種雌とのF1の受精卵の胚体外体腔に移植した。移植した精巣に対する血管の新生は,移植後2日目に観察した。移植10日目または13日目に胚の生殖器官を観察したところ,血管の新生が認められた雌胚のうち約2/3ではミューラー管が左右ともに消失しており,また左右性腺の萎縮の程度はさまざまであった。強度の萎縮が認められた性腺には精巣様の管状組織が観察された。萎縮した性腺のテストステロンおよびエストラジオール-17β産生能をin vitroで測定した結果,萎縮が軽度の場合は正常な同時期の卵巣と比較して有意な差はなかった。しかし,萎縮が強度の場合には,卵巣の産生量より有意に少なくなっており,同時期の正常な精巣の産生量とほぼ同等であった。
    これらの結果から,13日齢の精巣はミューラー管の萎縮を促す物質を分泌することを示すとともに,未分化の性腺に作用してこれを精巣様に分化させるような物質を分泌することが示唆された。
  • 1989 年 26 巻 6 号 p. 377-394
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 1989 年 26 巻 6 号 p. 398-404
    発行日: 1989/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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