本研究は,ウズラの性成熟に及ぼす照度の影響を明らかにする目的で計画された。411羽のウズラの初生雛を3分し,H区(平均照度,1620-1746lux),M区(平均照度,46-83lux)及びL区(平均照度,3.8-4.7lux)に割り当てた。各区とも2,4,6及び8週齢時にそれぞれ12羽ずつ無作為に抽出して体重測定後剖検し,精巣重量と卵巣重量を測定した。また,各区19-36羽について,雄では泡沫液排出開始日齢を,雌では初産日齢と産卵率を調査した。
2週齢及び8週齢時の生存率にはともに区間に違いが認められなかった。雄の体重には区間に差が認められなかったが,雌では8週齢のL区の体重が有意に小さく(P<0.05),この差は生殖器重量の違いによるものと考えられた。精巣重量の増加はM区が最も早く,ついでH区,L区の順であった。卵巣重量の増加の傾向は精巣の場合とよく一致していた。M区における泡沫液排出個体の増加割合は,3区の中で最も早く,46日齢で全個体が排出していた。しかし,同日齢におけるH区及びL区の排出個体の割合は,それぞれ81%(29羽/36羽)及び5%(1羽/19羽)であった。産卵開始個体の割合はM区が最も早く増加し,53日齢で97%(32羽/33羽)に達したが,H区は71%(16羽/21羽),L区は9%(3羽/35羽)であった。産卵率はM区が最も高く55日齢で90%を越え,H区とL区はそれぞれ67%と14%であった。
以上の結果から,ウズラの性成熟に対して照度は重要な光条件の一つであると推論された。
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