日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
11 巻, 3 号
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  • 松澤 利明, 北野 訓敏
    1974 年 11 巻 3 号 p. 75-85
    発行日: 1974/05/30
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    Sulfachloropyrazine (SCP) ま家禽用抗コクシジウム剤として1967年に開発され, 数多くの報告はあるが, 日本においてはまだない。サルファ剤の抗コクシジウム作用機作に関する報告もありPABAの拮抗作用によって第2シゾゴニーの時期に有効であるとされている。サルファ剤は葉酸拮抗物質と併用した場合に相乗作用を示すことが知られている。今回のSCP研究はの抗コクシジウム作用機作の究明のために行なった。
    攻撃コクシジウムは E. acervulina およびE. tenellaを用いていずれも胞子形成オーシストを〓のう内に接種し感染させた。鶏は白色レグホン種雄ヒナを用い, すべて14日令で供試した。体重をもとにして区分けした。エサ, 水は自由摂取させた。供試薬は Sulfadimethoxine-Na塩 (SDM). Pyrimethamine (PRM) および Diaveridine (DIA) を対照薬とした。エサは抗コ剤を含まない市販飼料を用いた。抗コクシジウム効果の判定は常法どおり, 腸管病変値, 相対増体率 (無感染区を100%とする), 相対オーシスト増殖率 (感染対照区のOPGを100%とする) および死亡率によって表わした。
    実験は7つに分けて行なった。その結果はつぎのごとくである。
    実験1. Etenella に対するSCP, SDM, DIAおよびPRMの効果: 各抗コ剤の有効濃度はSCP 250~375ppm, SDM 375~500ppm DIA 125~250ppmおよびPRM 80ppmであった。
    実験2. E. acervulina に対するSCP, SDM, DIAおよびPRMの効果: 各抗コ剤の有効濃度はSCP 125ppm, SDM 125~250ppm, DIA 500ppmおよびPRM250~375ppmであった。
    実験3. E. tenella の各発育期に対するSCPの抗コクシジウム効果: SCPの抗コ効果は感染後0~4日またはそれ以上の投薬日数の場合にオーシストの排泄を完全に抑えた。感染後3~5日に投薬した時に最も著効を示した。感染後0~1日の投薬は虫体の発育に影響を与えなかった。
    実験4. E. tenella 感染に対するSCPおよびSDMの治療効果 (Delayed treatment): 投薬濃度は投薬期間と濃度によって1000ppm水準になるようにした。SCPの効果は感染後4日より500ppm 2日間, または1000ppm 1日間投与した場合に良好な成績が得られた。
    実験5. E. tenella 感染鶏に対する投与経路のちがいによるSCPおよびSDMの効果: 感染後2日~5日まで投薬した。経口 (po) および皮下注射 (sc) の二つの経路で三水準の濃度で行なった。SCPの効果はpo, scの経路によって効果に差がなかった。SDMはpoよりscの方がすぐれた。
    実験6. E. tenella 感染におけるSCPの効果に対するPABAおよび葉酸の拮抗作用: 飼料中500ppmのSCPの抗コ活性は50ppm PABAまたは125ppmの葉酸によって拮抗された。葉酸はSCPの効果に拮抗性を示すがPABAより弱かった。50ppm PABAの投薬濃度はSCPの飼料中濃度を650ppmに増加した時に拮抗性は見られなくなった。
    実験7. E. tenella に対するSCPまたはSDMおよび, DIAまたはPRMの相乗作用: PRMとSCPの併用では, PRMはE. tenella に対するSCPの Potentiator としてDIAより活性が高かった。SCP 100とPRM 10ppmの併用またはSDM 100ppmとDIA30ppmの併用効果はE. tenella 感染の予防のためのSCP 300ppmの抗コ効果よりもすぐれた。
    SCPの抗コ効果はSDMよりもすぐれることが明らかとなった。E. acervulina にはサルファ剤がE. tenellaには2,4-diaminopyrimidine 系化合物が有効であることが明らかとなった。SCPはPABAによって抗コ効果が低下した。このPABAの濃度は実用量に比べて極めて高く, SCPの実用上, 一般の飼料中のPABAの量は高くないので問題はないと言えよう。
    SCPと2,4-diaminopyrimidines との併用は相乗作用を示した。SCPは第2シゾゴニーに有効であることが明らかになったがSP. ST. SDD. SDZ. SMなども同様な成績が報告されている。
    SCPの投与経路のちがいによって抗コクシジウム効果に差がないことは興味深い。SCPの盲腸組織への到達経路は今後検討する予定である。
  • 目加田 博行, 海老沢 昭二, 二村 喜久雄
    1974 年 11 巻 3 号 p. 86-91
    発行日: 1974/05/30
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    白色レグホーン種の系統間交雑鶏を用いて, 育成および産卵初期の日周期を20時間に短縮して, その影響を検討した。
    実験1は, 自然の照明時間の区, 自然の照明区と同じ明暗時間の比率で, 日周期を20時間にした区, 16時間照明で8時間暗黒とした24時間日周期区, 16時間照明で4時間暗黒の20時間日周期の4区を設定し, 8週齢から28週齢まで処理を行なった。
    実験2は16時間照明•8時間暗黒と16時間照明•4時間暗黒の2区, 実験3は自然照明区, 16時間照明•8時間暗黒区, 16時間照明•4時間暗黒を2区の計4区を設け, 0~28週齢まで処理を行なった。なお, 実験3の16時間照明, 4時間暗黒区のうち1区は48週齢まで20時間日周期を続けた。いずれの実験も48週齢まで行ない, 次の結果を得た。
    1) 初産日齢は20時間日周期としても早くならなかった。
    2) 初産卵重は, 24時間日周期区の初産日齢が極端に遅れたときを除けば, 20時間日周期区が重くなる結果を示した。
    3) 産卵初期 (20~28週齢) の卵重は, 20時間日周期区が1~3g常に重かった。
    4) 28週齢以降の卵重については, 20時間日周期の影響は少なく, 全期間の卵重では, 20時間日周期区が若干重い傾向であった。
    5) 産卵率, 飼料摂取量, 体重, 生存率などに関しては, 24時間と20時間日周期の間に差はみられなかった。
  • I. 競争効果の分析法
    藤島 通
    1974 年 11 巻 3 号 p. 92-98
    発行日: 1974/05/30
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    単一品種飼育区と異品種混合飼育区での各品種の成績の比較から, 競争効果を検出するための統計的方法が述べられた。最小二乗法を用いて, j番目の品種の競争力(Cbj) は,
    Cbj=(Y...+2aY2j.-2Y2..-aY.j.)/a
    (j=1, 2,…, a)
    から推定され, 通常の2元要因配置法の分散分析における試験区×品種交互作用は, 品種間競争効果を表わすことが示された。また, 品種間×品種内競争交互作用効果および品種内競争効果の検出についても論議された。
    白色レグホーン種, 横斑プリマスロック種およびロードアイランドレツド種の雄を用いて行なった競争試験に適用した結果, 品種間競争力は3品種中, 横斑プリマスロック種が最高, ロードアイランドレッド種が最低であることがわかった。
  • II. 異品種の混合集団における競争
    藤島 通
    1974 年 11 巻 3 号 p. 99-105
    発行日: 1974/05/30
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリの3品種WL, RIR, BPRの雄, 雌各80羽計480羽を用いて, 品種間の競争に関して2回反復して実験した。試験区は雄雌別に, すべて一区30羽よりなり, 単一品種区 (S区) と異品種混合区 (M区) に分けられる。1週齢時に各試験区に配置され, S区は同一品種の30羽, M区は各品種10羽ずつの計30羽で構成されている。飼料は実験開始時より制限給与されたが, 水は自由に飲めるようにした。この状態で, 6週齢まで飼育し, 毎週体重測定して, 同一品種のS区とM区との成績の比較からその品種の競争力を算出した。
    得られた結果は次の通りである。
    1) 競争は常におこっているのではなく, その発現は本実験の条件下では雄4週齢, 雌5週齢からであった。
    2) 競争力の大きさは, 雄, 雌いずれも, BPRが最高で, WL, RIRの順であった。
    3) 品種間競争力と体重との間には特別な関係はなかったが, 品種間競争がおこると同一品種内では体重の大きい個体が競争に有利であった。
    4) 品種間競争力と品種内競争力との間に交互作用が存在し, 体重とこの交互作用との間に正の相関が認められた。
  • 吉田 実, 星井 博, 米沢 昭一, 野川 浩正, 吉村 治郎, 伊藤 修
    1974 年 11 巻 3 号 p. 106-113
    発行日: 1974/05/30
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    合計95羽の肉用種雄ヒナに, ベンジル•ペニシリン•プロカインを1g中2,000もしくは4,000単位含む飼料を6もしくは4週間給与した後, ペニシリンを含まない飼料に切替え, 実験209では, 0, 2, 4, 6, 8および24時間後に, また実験310では, 0, 0.5, 1, 1.5, 2, 3および4時間後に殺した。肝臓, 血液, 胸筋および胆嚢のペニシリン含量を, 微生物定量法により定量した。
    肝臓, 血液および筋肉中の残留ペニシリンの消失パターンは相似であって, つぎの式で示される共通の指数曲線で示すことができる。
    y=A•e-0.5737T
    ただし, Tはペニシリン給与中止後の期間, yはTにおける組織中のペニシリン残留量 (単位/g), Aは, T=0 におけるペニシリン残留量の初期値であって, 種々の条件により変る。
    ペニシリンの生物学的半減期は1.2時間であって, これは, これまで検討した抗生物質の半減期0.6~2.4日に比して著しく短かい。
    成長促進や治療の目的で実用されているペニシリンの用量では, 出荷前に少くとも1日だけペニシリン無添加の飼料を与えるようにすれば, 鶏肉や月肝臓などの可食部にはペニシリンは残留しないものと考えられる。
  • 土黒 定信, 堀口 岩男
    1974 年 11 巻 3 号 p. 114-117
    発行日: 1974/05/30
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    A study was conducted to determine the effect of feeding a low lysine ration for White Leghorn laying pullets on egg production, feed consumption, egg quality and hatchability. The low lysine ration was mainly composed of yellow corn and corn gluten meal. The levels of protein (16%) and energy (total digestible nutrients 66%) were adequate, but lysine level (0.34%) was suboptimum.
    Egg production, feed consumption, egg weight, shell thickness and hatchability was significantly reduced by changing corn-soybean meal control ration to the low lysine ration. It was also shown that many of the chickens fed low lysine molted at two weeks after starting the experiment.
    Egg production, feed efficiency and egg shell thickness of the chickens fed the low lysine ration were partially improved by adding L-lysine-HCl to the ration. It appears that the level or balance of lysine and some other amino acids in the low lysine ration is suboptimum for laying pullets.
  • 恩田 正臣, 森村 隆作, 小松 利雄
    1974 年 11 巻 3 号 p. 118-119
    発行日: 1974/05/30
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    低蛋白質高エネノルギー飼料を給与すると多発するペロシスを防止する目的で, CP10% ME 3.800kcal の対照飼料1kgにコリン2,500mgと, 葉酸40mgを添加して, その効果を調査した。その結果, いずれのビタミンもペロシスの発生を防ぐ効果は認められなかった。したがって, 高エネルギー飼料を給与すると多発するペロシスは, これらのビタミンの不足以外の理由でペロシスになることが確認された。
  • 1974 年 11 巻 3 号 p. 120-122
    発行日: 1974/05/30
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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