日本栄養食糧学会の会員を対象に, 固ゆで卵の卵殼のむきやすさ, 卵白と卵黄の風味, および卵黄色についてアンケート調査を行なった。
固ゆで卵は2種類用意した。1つはうみたて卵で, 朝のうち, すなわち17:00~9:00の間に産卵したもので, 他は23°Cで4~5日間貯蔵した卵である。貯蔵卵とうみたて卵の新鮮な卵黄のロッシュ•カラー•ファンによる評点の平均は, それぞれ7.9および9.7であった。貯蔵卵とうみたて卵を生産した鶏に与えた飼料中の総キサントフィル含量は, それぞれ18.0と17.9ppmであった。
58人の解答者のうち, 56人が貯蔵卵の殼はむきやすいと答え, 一方44人がうみたて卵の殼はむきにくいと答えている。
58人中49人は, 固ゆで卵にした場合, 貯蔵卵の卵白が好ましいと答えており, これは主として歯ごたえによるものであった。卵黄の風味については, 貯蔵卵とうみたて卵とで差が認められなかった。
58人中40人が, 貯蔵卵の卵黄の色調を普通もしくはよいと答え, 評点の平均は0.85であった。一方, うみたて卵については50人が, 普通もしくはよいと答え, 評点の平均は1.59であった。また, 58人中30人が, 貯蔵卵の卵黄の色の濃さについて, 普通もしくは濃いと答えており, 評点の平均は0.70であり, 一方, うみたて卵については38人が, 普通もしくは濃いと答え, 評点は1.09であった。
本調査の結果から, 食品や栄養に関心をもつと考えられる日本栄養食糧学会の会員は, ロッシュ•カラー•ファンで約9の評点をもつ供試品の卵黄の色を, ほぼ満足できると考えていたと推定され, また, そのような卵を生産するには, 飼料中の総キサントフィル含量は18ppmでよかろうと推定された。
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