日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
18 巻, 6 号
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  • 松沢 安夫, 杉村 勝
    1981 年 18 巻 6 号 p. 313-318
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1976年から1978年までの2年間に放飼下のアヒルで11回の就巣例が観察され, そのうち2例は孵化•育雛にまで至った。
    産卵場所は当初は一定していなかったが, しだいに1カ所に限定されていった。造巣行動として羽毛の抜きとり, 巣材投げ (sideways building) が観察された。造巣•抱卵期の雌アヒルの胸部には特有の綿羽 (nestdown) が生え, 雌アヒルはこれを抜きとって, 給与した稲ワラとともに巣材として用いた。巣材運搬行動は本質的に造巣行動そのものである sideways building の変形と考えられる。雄アヒルの造巣行動への関与は認められなかった。
  • 松沢 安夫, 堀越 忠泰
    1981 年 18 巻 6 号 p. 319-327
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリの幼雛における摂食行動の社会的促進の現象を検討するために以下の実験を行なった。
    1週齢の白色レグホーン種の雌ヒナ48羽を1, 2および3羽区に分け, 育雛ケージ内 (1羽当りの広さは各区とも15×25×21cm) で5週齢まで飼育した。飼料は市販の配合飼料を用い, 不断給餌とした。各週齢時における摂食量と体重を測定し, 4~5週齢時には給餌後30分間の摂食量を測定した。また, 8ミリカメラによるコマ落し撮影と肉眼観察により, 摂食行動の同時性および持続時間を調べた。
    摂食量, 増体量は各週齢時とも3羽区>2羽区>1羽区の順となり, 区間の差は有意であった。体重のばらつきは2羽区で小さく, 飼料効率も2羽区がもっとも高い傾向がみられた。
    給餌後30分間における摂食量は各区とも1日の総摂食量の10%前後に達し, 給餌刺激の効果が認められ, また, この摂食量は羽数の増加に伴なって減少した。
    2羽区と3羽区において, 1羽のみが摂食している場合よりも, 複数のヒナが同時に摂食している場合の頻度の方が有意に高く, 摂食行動の同期化が示唆された。また, 3羽区では2羽区に比べて単位時間内の摂食回数がより多い傾向がみられた。
    1回の摂食の持続時間は各区とも10~20秒間の場合が多かったが, 1羽区では他区よりも長くなる傾向が認められた。
    以上のことから, ニワトリの幼雛においては摂食行動は社会的に促進され, 複数個体の摂食が同期化し, 1羽当りの摂食量が多くなることが示唆された。また, 1羽区では社会的促進刺激の欠如の代償として, 給餌刺激に対する閾値が低く, 給餌刺激によって他区に比べてより容易に摂食が促進されうることが推察された。
  • 岡野 香
    1981 年 18 巻 6 号 p. 328-334
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    岐阜地鶏における初生時黄色綿毛•雌黄笹羽装を支配する E-locus の遺伝子を明らかにするため, 岐阜地鶏, 赤笹南京シャモおよび赤笹長尾鶏を用いて交配試験を行なった。
    まず, E-locus がeWhe+である鶏の初生時綿毛および雌羽装を検討するため, E-locus がe+e+である岐阜地鶏雌と初生時綿毛が黄色綿毛であり, E-locus にeWhまたはeyが存在していると思われる赤笹南京シャモ雄とを交配した。その結果, 縦斑綿毛, 中間型綿毛, 黄土色綿毛および黄色綿毛ヒナが得られた。初生時に縦斑綿毛であった雌鶏は赤笹羽装を, 中間型綿毛, 黄土色綿毛および黄色綿毛であった雌鶏は中間型羽装または黄笹羽装を示したので, 縦斑綿毛ヒナの E-locus はe+ey, 中間型綿毛, 黄土色綿毛および黄色綿毛ヒナはeWhe+であると考えられる。
    つぎに, 初生時に黄色綿毛であった岐阜地鶏雄と E-locus がe+e+である岐阜地鶏雌とを交配し, 縦斑綿毛ヒナのみを得た。また同様な雄と E-locus がe+eyである岐阜地鶏雌とを交配した結果, ほぼ同数の縦斑綿毛と黄色綿毛ヒナが得られた。さらに E-locus がe+e+である赤笹長尾鶏雌と初生時に黄色綿毛であった岐阜地鶏雄とを交配した結果, 70羽の縦斑綿毛ヒナと6羽の中間型綿毛ヒナを得た。しかしながら, この交配から得られた中間型綿毛であった雌雄は, 縦斑綿毛であった雌雄と同様赤笹羽装を示したので, 中間型綿毛ヒナの E-locus はe+eyであると考えられる。これらの結果から, 初生時黄色綿毛であった岐阜地鶏雄の E-locus はeyeyであると推察された。
  • 松沢 安夫, 藤田 勝, 杉村 勝
    1981 年 18 巻 6 号 p. 335-341
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ほぼ2年間の観察期間中に11例の抱卵がみられ, そのうち2例が孵化にまで至った。抱卵は5月下旬から9月下旬, とくに7月に多く観察された。
    同一禽舎内において2羽の雌アヒルの抱卵が同期化して生ずる傾向がみられた。抱卵中には転卵や卵の引き寄せが観察され, 離巣時には卵は巣材で隠蔽された。抱卵期間中, 雌アヒルの水浴は減少し, 嘴で胸腹部に水をかける程度であった。また, 地上において水浴動作に似た“擬水浴”動作が観察され, これは水浴の真空行動と考えられる。抱卵期に雌アヒルの声は変化し, とくに抱卵後期には帰巣時に大きな声で頻繁に鳴いた。また雌アヒルの攻撃性の亢進が明らかで, 特徴的な威嚇•攻撃行動が観察された。巣材投げ動作は転位性の威嚇行動と考えられた。雄アヒルは抱卵に直接関与しなかったが, 他の禽舎のアヒルに対する排他性によって間接的に雌アヒルの抱卵を助けているように思われた。
  • コリヤード クリスティノM., 田先 威和夫
    1981 年 18 巻 6 号 p. 342-348
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    6週齢のブロイラー雄ヒナを4日間絶食させ, ついで4日間再給飼した場合と, これにインスリンを1単位/体重100g皮下注射したときの脂肪代謝の様相を比較した。体重は絶食後に比して再給飼すると有意に増加したが, インスリン投与による影響はみられなかった。腹腔脂肪は絶食後には低い傾向を示したが, 個体変異が大きく統計的な有意差は3区間にみられなかった。これに反し肝臓重は, 再給飼によって絶食後の1.5倍に増大し, インスリン投与ではさらに大きく2倍にも達した。これと同様に肝臓トリグリセリドは絶食後に非常な低値を示したが, 再給飼すると17倍に増加し, さらにインスリン投与で29倍にも増加した。血清トリグリセリドも再給飼で約2倍に増加したが, インスリン投与でそれが25%低下した。以上のことは, 再給飼により肝臓で合成されたトリグリセリドが血中へ放出されることをインスリンが抑制することを示唆するものである。
    肝臓コレステロールとリン脂質は, 再給飼あるいはこれにインスリンを投与しても, 絶食後の値と本質的に異ることはなかった。しかし血清コレステロールは, 再給飼により絶食後よりも低下し, インスリン投与でさらに低下がみられたが, 血清リン脂質はコレステロールと全く反対の結果を示した。血清遊離脂肪酸とβ-リポ蛋白は血清トリグリセリドと同様に, 再給飼により増加するが, その程度はインスリン投与により減少した。この両者に対しても, インスリンはトリグリセリドに対すると同様の作用をすることが考えられる。
  • 武政 正明, 土黒 定信
    1981 年 18 巻 6 号 p. 349-355
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    酵母および細菌のペレット結合剤としての効果を明らかにするとともに, ペレットの製造条件がその効果に及ぼす影響について検討した。
    実験1では酵母 (SCP-T) または細菌 (SCP-L, J) を基礎飼料にそれぞれ1, 3, 5および10%添加して無加熱ペレットを製造し, その品質を比較した。その結果, 酵母および細菌を添加すると明らかにペレットの品質が改善された。ベントナイト2.5%あるいはリグニンスルフォン酸2.0%添加と同一の耐久性指数を得るために必要な酵母および細菌の添加水準は, SCP-Tが2.9%, SCP-Lが1.8%, SCP-Jが0.9%であった。
    実験2では酵母 (SCP-K) または細菌 (SCP-L) を基礎飼料にそれぞれ1, 3, 5および10%添加して無加熱ペレットおよび蒸気ペレットを製造し, その品質を比較した。その結果, 酵母および細菌を添加すると蒸気ペレット, 無加熱ペレットいずれの場合もペレットの品質が改善された。その改善割合は蒸気ペレットより無加熱ペレットにおいて大きかった。ベントナイト2.5%あるいはリグニンスルフォン酸2.0%添加と同一の耐久性指数を得るために必要な酵母および細菌の添加水準は, 無加熱ペレットの場合SCP-Kが3.4%, SCP-Lが4.2%, 蒸気ペレットの場合SCP-Kが0.9%, SCP-Lが2.0%であった。
    これらの結果から, 酵母および細菌は無加熱ペレット蒸気ペレットいずれの場合にもベントナイトあるいはリグニンスルフォン酸とほぼ等しいペレット結合剤としての効果があるものと思われた。
  • V. 飼料のリジン含量が産卵初期の成績に及ぼす影響
    山崎 昌良, 安藤 幹男, 窪田 大作
    1981 年 18 巻 6 号 p. 356-359
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏の飼料蛋白質の利用効率改善をはかる目的でcp 14%飼料 (リジン0.61%) に塩酸L-リジンを0.1, 0.2および0.25% (L-リジンとして) 添加し, その産卵成績への影響を検討した。
    その結果, 産卵率. 卵重, 飼料要求率の産卵成績へのリジン添加効果は認められなかったが, 産卵初期の増体量において, リジン添加区は対照区に比べ上回る傾向がみられた。またリジン添加区間には差はみられなかった。
  • 吉田 実
    1981 年 18 巻 6 号 p. 360-365
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    日本栄養食糧学会の会員を対象に, 固ゆで卵の卵殼のむきやすさ, 卵白と卵黄の風味, および卵黄色についてアンケート調査を行なった。
    固ゆで卵は2種類用意した。1つはうみたて卵で, 朝のうち, すなわち17:00~9:00の間に産卵したもので, 他は23°Cで4~5日間貯蔵した卵である。貯蔵卵とうみたて卵の新鮮な卵黄のロッシュ•カラー•ファンによる評点の平均は, それぞれ7.9および9.7であった。貯蔵卵とうみたて卵を生産した鶏に与えた飼料中の総キサントフィル含量は, それぞれ18.0と17.9ppmであった。
    58人の解答者のうち, 56人が貯蔵卵の殼はむきやすいと答え, 一方44人がうみたて卵の殼はむきにくいと答えている。
    58人中49人は, 固ゆで卵にした場合, 貯蔵卵の卵白が好ましいと答えており, これは主として歯ごたえによるものであった。卵黄の風味については, 貯蔵卵とうみたて卵とで差が認められなかった。
    58人中40人が, 貯蔵卵の卵黄の色調を普通もしくはよいと答え, 評点の平均は0.85であった。一方, うみたて卵については50人が, 普通もしくはよいと答え, 評点の平均は1.59であった。また, 58人中30人が, 貯蔵卵の卵黄の色の濃さについて, 普通もしくは濃いと答えており, 評点の平均は0.70であり, 一方, うみたて卵については38人が, 普通もしくは濃いと答え, 評点は1.09であった。
    本調査の結果から, 食品や栄養に関心をもつと考えられる日本栄養食糧学会の会員は, ロッシュ•カラー•ファンで約9の評点をもつ供試品の卵黄の色を, ほぼ満足できると考えていたと推定され, また, そのような卵を生産するには, 飼料中の総キサントフィル含量は18ppmでよかろうと推定された。
  • 1981 年 18 巻 6 号 p. 366-392
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 18 巻 6 号 p. 397-404
    発行日: 1981/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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