この報告は, 農林省旧大宮種畜牧場で生産した白色レグホン (WL-D, WL-Eの2系を含む), 横斑ロック (BPR), ニューハンプシャー (NH) およびロード (RIR) の4鶏種について卵重増大の様相を分析し, 簡易で有効な卵重測定の資料を得るためにとりまとめたものである。供試鶏は3月と4月にふ化したものを選び, 大部分は9月に産卵を開始したものについて分析した。これらのデータは, 産卵および卵重ともに満1ヵ年間連日個体記録をとったものであった。
1. 全鶏種における産卵開始から6ヵ月後までの月別平均卵重の推移は, 両対数グラフを用いると直線となり, 第1図に示したように鶏種ごとの回帰方程式が求められた。月別卵重の増大率は全鶏種とも近似した値を示し, 産卵開始後2ヵ月目において最高 (平均7.6%) であったが以後急に下降する。全鶏種において, 初産後6ヵ月間の卵重増大量は1ヵ月につき平均2.04gであった。
2. 産卵開始の早晩は, 卵重の増大率と密接な関係をもち, 一般に初産の早いものは増大率が高く, また年平均卵重に達するのに長期間を要し, 初産のおそいものはこれに反する。初産の時期を混みにした場合, 月別平均卵重についてみると産卵開始から年平均卵重に達するまでの期間は約5ヵ月である (第2および第3図)。
3. 初産の時期を混みにした場合, 各月の平均卵重とその鶏種の年平均卵重との間の相関関係は初産後4~5ヵ月目に最高数値 (r=0.83~0.99) が認められた (第2表)。
4. 各季節間平均卵重相互の相関関係では, 夏季と春季との間に最高数値 (r=0.77~0.96) が得られ, 夏季と秋季との間には最低数値 (r=0.29~0.84) が求められた。
5. 産卵開始後51~60日および61~70日のそれぞれ10日間の平均卵重と, その個体の年平均卵重との間に0.70以上の高い相関が認められた。
以上の結果にもとづいて, 春ふ化の初年鶏群から種卵をとる場合は, 秋季とくに産卵開始後40日から80日までの間の連続10日間の卵重と, 翌春(3または4月) の1ヵ月間の平均卵重を目安にすることは, 簡易な卵重測定の指標として一つの参考資料になるものと思われる。
なお, 夏季の卵重の低下を防ぐため, 種鶏群の8月または9月頃の卵重を測定して, これをもとにして春にふ化した子孫の中から再度選択するようにすれば一層よい成果が得られるであろう。
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