合鴨水稲作における家鴨類の適性品種を選定するため,マガモおよびチェリバレーの2品種とそれらの交雑種(F
1)の繁殖能力について検討した。試験区を3つの区(マガモ,チェリバレーおよびF
1)に分け,マガモ16羽(_??_13:_??_3),チェリバレー15羽(_??_12:_??_3)およびF
120羽(_??_16:_??_4)を供試して,1区当たり約30m
2の運動場に放し飼いした。試験期間は1994年6月16日(0日齢)から1995年8月1日(411日齢)までの約14ヵ月であった。試験開始時から終了時まで2品種および交雑種とも同様に,成鶏用配合飼料を不断給与し,産卵開始時から試験終了時まで週1回飼料摂食量を計った。結果を要約すると以下のとおりである。
1. 171~410日齢までの平均産卵率については,チェリバレーとF
1に比べてマガモの産卵率が明らかに低いことが認あられ,卵重はチェリバレー,F
1,マガモの順に大きいことが認められた。
2. 171~410日齢までの1日1羽当たり飼料消費量は,チェリバレー,F
1,マガモの順に多いことが認められた。飼料要求率については,チェリバレーとマガモおよびF
1とマガモの間に有意差はなかったが,チェリバレーとF
1の間に有意差が認められた。
3. ハウユニットについては,2品種および交雑種の間には有意差が認められなかった。卵形係数卵黄係数および卵殻の厚さでは,チェリバレーはF
1とマガモに比べて優れており,卵白pHについては,チェリバレーとF
1は同程度であったが,マガモは有意に高い値を示した。
4. チェリバレーとF
1に比べてマガモの受精率はかなり低いことが認められた。孵化率については,チェリバレーとF
1との間に有意差が認あられなかったが,これらに比べてマガモがかなり低いことが認められた。
5. 以上の結果から,2品種間および交雑種ではチェリバレーが家鴨類の繁殖能力から見た適性品種であることが示唆された。
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