採卵鶏の経済寿命延長のための飼養技術を確立するため, 育成期の飼料給与法と成鶏期の産卵制御を組合せた一連の試験を西日本地域関係9場所の共同研究として, 1973年から1978年の5年間に同一設計で2回実施し, 育成期および成鶏期を通じた飼養技術について検討した。
試験は春秋のふ化期について, 育成期の飼料給与法を自由摂取する区と, 給与量を60%に制限する定量給与区の2区とし, これに強制換羽による産卵制御を92週齢, 80週齢に各1回, 68と96週齢, 56と96週齢に各2回行う4区を配置する合計8区で実施した。
1. 育成期における飼料給与法の影響
定量給与区は自由摂取区より初産日齢が遅延し, 初産卵重は増加した。
定量給与区の体重は44週齢においても自由区より小さかった。
育成率は自由摂取区が高く定量給与区が低かった。
2. 成鶏期における育成期飼料給与法および産卵制御法の影響
(1) 生産性
定量給与区は自由摂取区よりも飼料消費量は少なく, 平均卵重は軽かった。
産卵率は定量給与区では各ふ化期とも制御法間の差は認められなかったが, 自由摂取区では56•96週齢制御区が高い産卵率を示した。しかし, 春期ふ化鶏における差は有意とはいえなかった。また, ピーク後の産卵率は定量給与区が自由摂取区よりも高い水準で推移した。
餌つけから通算した全期間の卵1kg当り飼料消費量は自由摂取区では初回制御週齢を早めることにより改善され, 定量給与区では制御週齢との関係は認められなかった。また定量給与区の各産卵制御法が示した成績は自由摂取区で最もよい成績を示した56•96週齢制御区と有意差が認められなかった。
(2) 卵質
1回目制御では卵殼厚, HUに対する育成期飼料給与法の影響は認められなかった。また卵殼厚, HUとも制御後に改善効果が認められた。
2回目制御では卵殼厚には制御後の改善効果が認められたが, HUには制御後の改善効果が認められなかった。
産卵制御後の卵質の経過は, 卵殼厚, HUともふ化期との交互作用が有意となり, 春期ふ化鶏では制御後12週間以後に卵質の低下が認められたが, 秋期ふ化鶏では制御後36週間までの卵質には有意差が認められなかった。
(3) 制御後の休産日数
制御後の休産日数は, 1回目, 2回目とも定量給与区が自由摂取区よりも短かかった。
1回目制御における休産日数には制御季節の影響が認められ, 温暖期では休産日数が短かくなり, 寒冷期では長くなった。
3. 育成期定量給与の効果
(1) 生産性に対する効果
成鶏期における定量給与区の1日1羽当り飼料消費量は自由区よりも少なく, 各制御区とも飼料効率が改善された。
定量給与区の産卵率は各制御区とも産卵ピーク後自由区よりも高い水準で推移した。
(2) 卵質に対する効果
定量給与区のHUは1回目, 2回目制御, 制御後の経過とも制御法にかかわらず自由区よりも高い数値を示した。しかし, 1回目制御における差は有意ではなかった。
(3) 制御後の休産日数に対する効果
定量給与区における制御後の休産日数は1回目, 2回目制御とも自由区より短かかった。
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