日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
18 巻, 2 号
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  • 第3報 育成期および成鶏期を通じた飼養技術の検討
    柏木 忍, 白崎 克治, 貝塚 隆義, 中曽 博之, 岩瀬 伸夫, 山尾 春行, 高橋 靖生, 松崎 正治, 池田 公良, 奥山 正高
    1981 年 18 巻 2 号 p. 67-77
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    採卵鶏の経済寿命延長のための飼養技術を確立するため, 育成期の飼料給与法と成鶏期の産卵制御を組合せた一連の試験を西日本地域関係9場所の共同研究として, 1973年から1978年の5年間に同一設計で2回実施し, 育成期および成鶏期を通じた飼養技術について検討した。
    試験は春秋のふ化期について, 育成期の飼料給与法を自由摂取する区と, 給与量を60%に制限する定量給与区の2区とし, これに強制換羽による産卵制御を92週齢, 80週齢に各1回, 68と96週齢, 56と96週齢に各2回行う4区を配置する合計8区で実施した。
    1. 育成期における飼料給与法の影響
    定量給与区は自由摂取区より初産日齢が遅延し, 初産卵重は増加した。
    定量給与区の体重は44週齢においても自由区より小さかった。
    育成率は自由摂取区が高く定量給与区が低かった。
    2. 成鶏期における育成期飼料給与法および産卵制御法の影響
    (1) 生産性
    定量給与区は自由摂取区よりも飼料消費量は少なく, 平均卵重は軽かった。
    産卵率は定量給与区では各ふ化期とも制御法間の差は認められなかったが, 自由摂取区では56•96週齢制御区が高い産卵率を示した。しかし, 春期ふ化鶏における差は有意とはいえなかった。また, ピーク後の産卵率は定量給与区が自由摂取区よりも高い水準で推移した。
    餌つけから通算した全期間の卵1kg当り飼料消費量は自由摂取区では初回制御週齢を早めることにより改善され, 定量給与区では制御週齢との関係は認められなかった。また定量給与区の各産卵制御法が示した成績は自由摂取区で最もよい成績を示した56•96週齢制御区と有意差が認められなかった。
    (2) 卵質
    1回目制御では卵殼厚, HUに対する育成期飼料給与法の影響は認められなかった。また卵殼厚, HUとも制御後に改善効果が認められた。
    2回目制御では卵殼厚には制御後の改善効果が認められたが, HUには制御後の改善効果が認められなかった。
    産卵制御後の卵質の経過は, 卵殼厚, HUともふ化期との交互作用が有意となり, 春期ふ化鶏では制御後12週間以後に卵質の低下が認められたが, 秋期ふ化鶏では制御後36週間までの卵質には有意差が認められなかった。
    (3) 制御後の休産日数
    制御後の休産日数は, 1回目, 2回目とも定量給与区が自由摂取区よりも短かかった。
    1回目制御における休産日数には制御季節の影響が認められ, 温暖期では休産日数が短かくなり, 寒冷期では長くなった。
    3. 育成期定量給与の効果
    (1) 生産性に対する効果
    成鶏期における定量給与区の1日1羽当り飼料消費量は自由区よりも少なく, 各制御区とも飼料効率が改善された。
    定量給与区の産卵率は各制御区とも産卵ピーク後自由区よりも高い水準で推移した。
    (2) 卵質に対する効果
    定量給与区のHUは1回目, 2回目制御, 制御後の経過とも制御法にかかわらず自由区よりも高い数値を示した。しかし, 1回目制御における差は有意ではなかった。
    (3) 制御後の休産日数に対する効果
    定量給与区における制御後の休産日数は1回目, 2回目制御とも自由区より短かかった。
  • 小林 茂樹, 小池 博実, 伊藤 宏
    1981 年 18 巻 2 号 p. 78-85
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏に対する尿素の給与がN出納および尿中N化合物の排泄におよぼす影響を明らかにするため, 人工肛門鶏による実験を行った。実験1は, カゼイン飼料に尿素を0, 0.5, 1.0および2.0%添加した。実験2および3は, トウモロコシ•大豆粕飼料で, 実験2は大豆粕6%の飼料に尿素を0, 0.44, 0.88および1.76%加え, 尿素摂取量を実験1と同量になるようにし, 実験3は大豆粕18%飼料に尿素を0.44および0.88%加え, N摂取量が基礎飼料と等量になるように飼料給与量を制限した。
    実験1における糞N量はいずれもN摂取量の約10%で, 尿素の吸収は著しく高いことが示された。尿N量は尿素摂取量の増加に伴って増加し, N蓄積率は減少した。尿中N成分の内, 尿酸は尿素添加によって高まるが, 添加量を高めてもさらに増加することはなかった。このことは腸内微生物の尿素分解能は全般に低く, 尿酸生成のためのアンモニア量が増加しないことによるものと考えられた。尿中尿素量は尿素摂取量の増加に伴って高まった。過剰の尿素は分解されないで腸管から吸収され, その内の相当量がそのまま腎を通過して排泄されることを示した。大豆粕6%飼料では, 糞N量はN摂取量の10~12%であり, 尿素給与により若干増加した。尿N量は尿素添加により増加し, その増加量は尿素態N摂取量にほぼ等しかった。N蓄積量はいずれも基礎飼料での値とほぼ同じであった。N摂取量を等しくした大豆粕18%飼料の場合, 糞N量は尿素添加により低下した。尿N量は基礎飼料からのN供給量の制限にもかかわらず尿素添加により著しく増加した。尿中の尿素および尿酸量は大豆粕含量にかかわりなく尿素摂取量の増加に伴って高まり, 尿酸の増加は大豆粕6%飼料よりも18%飼料において著しかった。以上の結果から, カゼインまたはトウモロコシ•大豆粕飼料に加えた尿素はそれ自体鶏によって十分利用されないだけでなく, 他のN化合物, とくに尿酸の排泄をも促進させ, 飼料蛋白質の生物価を低下させる要因になるものと推察された。
  • 前田 芳実, 伊集院 正敏, 橋口 勉, 武富 萬治郎
    1981 年 18 巻 2 号 p. 86-97
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ウズラの近交系を作出する目的で, 2回の試験 (Exp. IとExp. II) を試み, 合せて, 近交系作出過程での諸形質の変化ならびにウズラ集団の遺伝的荷重の推定を行なった。
    1. Exp. Iでは当初6家系を設定したが, 世代とともに家系数が減少し, Full-sib 7世代までしか世代を更新することができなかった。一方, ヘモグロビン型のヘテロ同志の Full-sib 交配で世代の更新を行なったExp.IIでは Full-sib 12世代まで世代を更新できた。
    2. 近交係数の増加に伴って, 受精率, 孵化率, 生存率, 産卵率, 適応度指数および体重の各形質の能力が低下した。中でも受精率, 孵化率, 生存率および適応度指数は産卵形質および体重に比べて近交退化が大きい傾向が見られた。
    3. 初産日齢および産卵数は近交係数の増加に伴って, 変動係数が大きくなる傾向があり, これらの形質の buffering property が低下することが示唆された。
    4. 受精率, 孵化率および生存率の3形質の成績に基いて計算された1接合体当りの致死相当量の下限と上限は4.1834~6.0758 (Exp. I) および4.4036~4.5580 (Exp. II) であった。
    5. Exp. Iにおける荷重比 (B/A=2.2106) は小さく, Exp. Iの遺伝的荷重は分離による荷重と推定された。また, Exp. IIについて, 荷重比 (B/A=28.5207) と実際の fitness の推移から判断すると, Exp. IIではExp. Iにくらべて, 比較的多くの劣性有害遺伝子が保有されていたことが推測され, 劣性有害遺伝子が除去されたあとも引続きその他の遺伝子群のヘテロ性の低下により近交退化が起ることが示唆された。
  • 3. 魚粉中の毒性成分の検索
    増村 忠宏, 洞口 博司, 堀河 博, 菅原 道熙
    1981 年 18 巻 2 号 p. 98-104
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ブロイラーの筋胃びらんおよび潰瘍 (GE) が, ある種の魚粉を飼料に配合して, 給与することによって, おこるため, この魚粉中のGE原因成分を検索する目的で一連の実験を行った。
    1) 供試魚粉の水抽出物を, カゼイン, または, 卵アルブミンに添加後, 加熱処理 (130°C•5時間) したものを, 飼料に30%配合して, ブロイラーヒナに給与したところ, GEの発生が認められた。
    2) 水抽出物中に含まれる, 遊離アミノ酸の組成に合わせて調整したアミノ酸混合物を, カゼイン, または, 北洋ミールに添加後, 加熱処理したものを, 飼料に15%配合して, ブロイラーヒナに給与したところ, GEの発生が認められた。アミノ酸混合物, および, カゼインを, 各々, 単独に加熱処理した場合は, GEは発生しなかった。
    3) ヒスチジン塩酸塩を, カゼイン, または, 北洋ミールに添加後, 加熱処理したもので, GEの発生が認められた。しかし, 加熱処理しないと, GEは発生しなかった。加熱処理前のpH条件を, 5.5, 6.5, 7.5の3段階に調整して処理した場合, pHの低い方が, GEの発生が強かった。
    4) ヒスタミン塩酸塩を, カゼイン, または, 北洋ミールに添加後, 加熱処理した場合も, GEの発生が認められた。加熱処理のない場合もGEが認められたが, 加熱処理したものにくらべて軽症であった。
    以上のような実験結果から, ブロイラーのGEを発生させる, 魚粉中の原因成分は, 赤身の魚に特徴的に多く含まれている, 遊離のヒスチジンおよび, その代謝物のヒスタミンであると考えられる。これらの成分が, 加熱処理によって魚粉中の蛋白質と反応して, 何らかの原因物質を作り出すものと推察される。
  • 第4報 一連の飼養技術における経済性と経済的飼育期間の検討
    柏木 忍, 白崎 克治, 相良 博信, 貝塚 隆義, 中曽 博之, 岩瀬 伸夫, 山尾 春行, 高橋 靖生, 松崎 正治, 池田 公良, 奥 ...
    1981 年 18 巻 2 号 p. 105-119
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    育成期飼料の自由摂取法と, 制限給与法の2水準に, 産卵制御法4水準を組合せた合計8区で行われた飼養試験結果1)から, 飼育方法のモデルとして, 14種類の飼育タイプを導きだし, それぞれの飼育タイプについて収益性と最適飼育期間について検討を加え, 一連の技術体系について考察を行った。
    収益性と最適飼育期間は, コンピューターを用い, オペレーションズ•リサーチの手法で解析して評価した。
    1. 飼育タイプ
    平均価格の場合, 最適飼育タイプは育成期飼料自由摂取の場合は56週齢の産卵制御法, 制限給与の場合は一部を除いて80週齢の産卵制御法に集約された。
    2. アウト週齢と収益に対する育成期飼料制限給与, 産卵制御の効果
    育成期飼料の制限給与は, アウト週齢を若干延長させ, 更に収益が人きく増加した。
    産卵制御のみを行った場合は, アウト週齢の延長と収益の増加が認められたが, 収益に対する効果は育成期飼料制限給与よりも小さかった。
    育成期飼料の制限給与を行い, 更に, 産卵制御を行った場合は大幅にアウト週齢が延長され, 収益は加算的に増加した。
    3. 育成期および成鶏期を通じた飼養技術
    以上のことから, 推奨できる一連の飼養技術は, 育成期飼料の制限給与につづいて成鶏期における80週齢前後の産卵制御であることが考察される。
  • 田中 桂一, 赤崎 直秀, コリアード クリスチノM., 大谷 滋, 重野 嘉吉
    1981 年 18 巻 2 号 p. 120-125
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    成長中の肉用種ヒナに必須脂肪酸欠乏飼料を給与した際, 肝臓における脂質合成能および脂肪酸合成に必要な補助因子であるNADPHを生産している反応を触媒するいくつかの酵素活性を検討した。
    肝臓中の triglyceride 含量は, tripalmitin 添加飼料あるいは無脂肪飼料を給与すると, 統計的に有意な増加を, 一方肝臓中の phospholipid 含量は, 必須脂肪酸欠乏飼料を給与したすべてのヒナにおいて, 統計的に有意な低下を示した。血清中の triglyceride および phospholipid 濃度は, 無脂肪飼料給与によって, 統計的に有意な増加を示した。tripalmitim 添加飼料あるいは無脂肪飼料によって, 血清中の total cholesterol 濃度は統計的に有意な増加を示したが, 血清中の non-esterified fatty acids 濃度は低下した。
    肝臓切片における脂質合成能は, tripalmitin 添加飼料あるいは無脂肪飼料給与によって統計的に有意な増加を示した。tripalmitin 添加飼料あるいは無脂肪飼料により, 肝臓中のNADP-isocitrate dehydrogenase 活性は統計的に有意な低下を示したが, glucose-6-phosphate dehydrogenase 活性は有意に高い値を示した。無脂肪飼料を給与することによって, NADP-malic dehydrogenase 活性は統計的に有意に高い値を示した。
  • 8. ウズラ (Coturnix coturnix japonica) 卵黄タンパク質の個体変異
    田名部 尚子, 小川 宣子, 河原 孝忠
    1981 年 18 巻 2 号 p. 126-132
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    岐阜大学農学部家禽畜産学科飼育の家禽系統ウズラ群と, 国立遺伝学研究所飼育の野生系統ウズラ群より卵黄と卵白を採取し, そのタンパク質のポリアクリルアミドグラジエントゲル電気泳動像を調べた。両群の卵黄タンパク質はNo. 1~No. 15の泳動域に分離され, プレアルブミン-3 (Pa-3), プレアルブミン-4 (Pa-4), ポストアルブミン-1 (Poa-1), プレトランスフェリン (Ptf) およびトランスフェリン (Tf) に個体変異が見出された。
    プレアルブミン-3に7つの個体変異があり, これらはPa-3座上の共優性遺伝子Pa-3A, Pa-3B, Pa-3CおよびPa-3Dで支配されていると推定された。これらの遺伝子頻度は, 家禽系統ウズラ群でそれぞれ0.283, 0.554, 0.158および0.004であり, 野生系統ウズラ群でそれぞれ0.315, 0.559, 0.125および0.000であった。プレアルブミン-4には, 3つの個体変異があり, これらはPa-4座上の共優性遺伝子Pa-4APa-4Bで支配されていると推定された。これらの遺伝子頻度は家禽系統ウズラ群では, それぞれ0.469と0.531であり, 野生系統ウズラ群では, それぞれ0.441と0.559であった。ポストアルブミン-1 (Poa-1) にはつ3の個体変異があった。プレトランスフェリンには3つの個体変異があり, これらはPtf座上の共優性遺伝子PtfAPtfBで支配されていると推定された。これらの遺伝子頻度は, 家禽系統ウズラ群でそれぞれ0.664と0.336, 野生系統ウズラ群でそれぞれ0.493と0.507であった。
    卵黄のトランスフェリンには3つの個体変異があり, それぞれ卵白のトランスフェリン (オボトランスフェリン) の表型と一致した。これらのトランスフェリンの表型はTf座上の共優性遺伝子TfBTfCによって支配されており7,8), これらの遺伝子頻度は, 家禽系統ウズラ群でそれぞれ0.669と0.331, 野生系統ウズラ群でそれぞれ1.000と0.000であった。
  • 園田 立信
    1981 年 18 巻 2 号 p. 133-136
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 18 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 1981/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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