採卵用鶏種について, 飼料を常に自由摂取の状態にしておくよりも, 経済的には少しでも給与量を減らして飼料要求率を改善した方が有利である。そこで, 産卵期間中の制限給飼を実施し, 制限給飼の効果と鶏種による差について検討した。また強制換羽を実施し2年度の産卵成績についても調査した。
実験材料は, 1968年5月14日発生の白色レグホーン種, ロード•アイランド•レッド種雄×白色レグホーン種雌, ロード•アイランド•レッド種の3鶏種4鶏群を使用した。給与方法は, 154日齢まで全群自由摂取とし, 155日齢から対照区と制限区に分けた。実験期間は365日間とした。この期間中は対照区摂取量の90%を制限区に給与することを目標とした。強制換羽は7日間の絶食法によって行った。2年度の産卵期間は562~926日齢の365日間とし, 飼料は全群自由摂取とした。
1. 制限区の飼料給与量は, 対照区を100とした比率で, 86~91%となり, 当初目標とした90%給飼と大体一致した。
2. 初産日齢は, 平均値で制限区が3.7日遅れた。初産卵重は, 初産日齢の遅れた区が大きい傾向を示した。
3. 平均卵重は, 対照区59.0g, 制限区58.6gで, 制限区が0.4g下回ったのみで, 卵重に対する制限給飼の影響は少ないようである。
4. 500日齢体重は, 制限区において対照区の87~91%まで減少した。これは飼料の制限比率である86~91%とよく一致する。
5. ヘンディ産卵率は, 白色レグホーン種で初産の遅れもあって, 対照区の91.5%と低い産卵を示したが, 一代雑種, ロード•アイランド•レッド種については, 96.9~99.9%の比率となった。4鶏群の平均値では, 96.7%となった。
6. 1日1羽当り生産卵重量は, 対照区に対し92.3~100.9%となり, 平均値では96.0%であった。
7. 生存率は, 対照区に対し99.3%の比率となり, 制限給飼による影響は見られなかった。
8. 飼料要求率は, すべての鶏群において対照区より0.18~0.28改善された。平均値で0.24下同った。
9. 制限給飼を鶏種別に検討すると, 白色レグホーン種の場合は, 90%給飼を下回る86.6%給与になったこともあってか, 初産日齢, 産卵率, 生存率の面において制限の影響を受けた。これに対し一代雑種, ロード•アイランド•レッド種は, 制限の影響が少ない傾向を示した。
10. 1羽当りの収益は, すべての鶏群において対照区を上回った。平均値で107.0円の増収となった。
11. 強制換羽後の産卵成績は, 卵重, 産卵数などについて, 1年度に制限給飼した区のほうが, 対照区を上回った。したがって, 制限給飼が2年度の産卵に影響をおよぼすようなことはなかった。
抄録全体を表示