鶏卵の品質や鮮度が重要視されるようになり, 需給調整の必要性が認識されるようになったので, 鶏卵の品質保持と長期保存の有効な方法を開発するため, シリコーンオイル (SFA-1) を被膜剤として用い600個の鶏卵を供試して保存環境 (温度, 湿度) が異なるもとにおいて鶏卵品質の低下を防止する効果について試験した。
1. 卵重量の減少
卵重の減少量はSFA-1処理 (シリニーンエアゾールの噴霧) が無処理のものより少なく, SFA-1処理が水分の発散を抑制する効果が認められた。25°C保存では処理, 無処理とも卵重の減少が著るしいが, 保存30日において両区の間に統計的に有意差が認められた。また90日における4°C保存の減少量は処理と無処理との間に有意の差があり, 長期冷蔵保存する場合にも処理の効果が認められた。
2. 卵白の品質
ハウ単位は15°C, 25°C, 4°Cの各保存区において処理区が高い。しかも保存10日にして無処理の方が低下した。
保存30日目における25°C保存区は他の保存温度区にくらべて処理と無処理の差が人きい。また90日間の冷蔵保存でも統計的に有意の差があり, SFA-1処理が卵白の品質低下を防止する効果が認められた。
3. 卵黄の品質
卵黄品質を卵黄係数によってみると, 保存30日において15°C, 25°C, 4°Cの各保存区においてSFA-1処理区の値が大きく, 統計的にも有意差がみとめられ, SFA-1処理が卵黄膜の強度の低下するのを防止し, 卵黄の品質低下を防止する効果が認められた。
4. 卵白のpH
卵の保存中におこる卵内容の化学的変化を知る目的で卵白のpHを測定した。15°Cと25°Cの保存区では保存日数の経過とともにpHは低下する傾向があり, 4°C保存区では高くなる傾向がみられたが, その理由は明らかでない。
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