日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
26 巻, 1 号
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  • 秋葉 征夫, 青木 隆英, 豊水 正昭, 堀口 雅昭
    1989 年 26 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1989/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏における脂肪肝発現に対する飼料中蛋白質,炭水化物および脂肪の影響を明らかにするために2同の実験を行った。産卵鶏の脂肪肝の実験モデルとして,約4週齢の白色レグホーン種雄ヒナを用い,2日間の絶食の後に4日間試験飼料を再給餌し,再給餌期間中に3回のエストロジェン注射を行う"絶食-再給餌-エストロジェン注射系"を用いた。この実験系における肝臓脂質蓄積量の反応は,同様の飼料を与えた産卵鶏の肝臓脂質量の変動と一致することが確かめられている。飼料は代謝エネルギー(ME)換算で調製し,飼料中MEに占める蛋白質,炭水化物および脂肪の割合(%)をそれぞれPME,CMEそして,FMEとした。主な蛋白質源として大豆粕+抽出大豆蛋白,炭水化物源としてトウモロコシ+グルコース,脂肪源として大豆油を用い,それぞれの混合割合を変えてPME10-40%, CME40-80%, FME10-40%の範囲で変化する10種の飼料を調製した。肝臓脂質蓄積量は飼料摂取量の多寡による補正を行い,重回帰分析を行ってPME100%, CME100%およびFME100%を頂点とする三角座標上にその等量線を図示した。単位体重当りの肝臓重量はPME15%以上の領域ではPMEの増加に伴って増加し,またFME50%,PME20%領域で最小となった。肝臓脂質蓄積量は低PME,高CMEで最大となり,PME20%以上では,PMEの増加またはCMEの減少に伴って減少し,PME20%以下ではFMEの増加のあるいはCMEの減少に伴って減少する傾向がみられた。また,肝臓脂質蓄積量の等量線は,PMEあるいはFMEに比べてCME含量に平行して変化する傾向にあった。以上のことから,産卵鶏における脂肪肝の特徴である肝臓脂質蓄積は飼料中蛋白質および脂肪含量の増加に伴って減少し,逆に飼料中炭水化物含量の増加に伴って増加することが確かめられた。また,肝臓脂質蓄積量の変動は飼料中蛋白質および脂肪含量の変化に依存するよりも,むしろ炭水化物含量の変化に依存していることが示唆された。
  • 吉村 幸則, 岡本 敏一, 田村 達堂
    1989 年 26 巻 1 号 p. 10-16
    発行日: 1989/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏における白色卵胞の閉鎖機構を検討する目的で,卵胞内の酸性ホスファターゼ,ステロイド-3β-水酸基•脱水素酵素(3β-HSD)およびグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G-6-PD)活性の閉鎖過程における変化を酵素組織学的に調べた。酸性ホスファターゼ活性は,正常卵胞組織内で低かったが,閉鎖に伴う変性組織内で高かった。正常卵胞内の3β-HSDおよびG-6-PDは間質細胞内で高い活性を示した。両酵素の活性は,閉鎖初期卵胞では正常卵胞との差を示さなかったが,組織変性の進行とともに消失した。以上の結果から,卵胞閉鎖過程における組織変性にライソゾーム酵素が関与するものと考えられた。一方,3β-HSDおよびG-6-PD活性から判断する限り,これらの酵素によって産生されるステロイドホルモンの減少と閉鎖開始との関連は不明であった。
  • 佐藤 勝紀, 木尾 幹広, ヘデイアント ヤヌアルソエディ, 多田 幹郎, 蜂谷 欽司, 猪 貴義
    1989 年 26 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1989/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究は,ニホンウズラの近交胚と雑種胚での初期胚の発育と3H-チミジン,3H-ウリジンの取りこみ量との関係について検討した。用いたニホンウズラは2近交系(F=59.4%),これらの近交系間交雑種(以下,交雑種F1とする)および無作為交配群である。近交系はいずれも共通の基礎集団から4世代にわたって全きょうだい交配によって作出した。10μlの3H-チミジンあるいは3H-ウリジン量(最終濃度:50nmol,2μCi)が卵黄中に注入された。孵卵後3日あるいは4日目に,胚へ取りこまれた3H-チミジン,3H-ウリジンの量が測定された。
    まず,胚発育,胚重量について検討した結果,近交系では著しい発育遅延と胚重量の減少がみられた。一方,交雑種F1では胚発育,胚重量の回復がみられた。つぎに,胚あたりの3H-チミジン,3H-ウリジンの取りこみ量について検討した結果,近交系では交雑種F1,無作為交配群に比べて有意に低い値を示した。一方,交雑種での取りこみ量は無作為交配群の値に近似した。胚の発育と3H-チミジン,3H-ウリジンの取りこみ量との関係について検討した結果,いずれの群においても取りこみ量は胚発育との間に関連がみられた。これらの取りこみ量は胚発育が遅れる程減少することが確認された。
    これらの結果から,核酸,タンパク合成能の低下が近交ウズラの胚での発育遅延と関連しているものと考えられた。
  • 梅田 勲, 桜井 進, 中島 芳夫
    1989 年 26 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 1989/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    燻蒸による消毒を目的としたホルムアルデヒドは,ホルマリンと過マンガン酸カリウムを混合して気化させるのが一般的である。気化に使用した過マンガン酸カリウムが環境を汚染する危険があるため,汚染の危険のないガス発生の方法が求められている。そこで,過マンガン酸カリウムに代替される化合物を検索し,ガス発生について検討して次の成績を得た。
    1) 過マンガン酸カリウムの代替として晒粉が利用でき,発生するホルムアルデヒドの濃度も過マンガン酸カリウムを使用した場合と同程度であった。
    2) ガス発生のためのホルマリンと晒粉の混合比(容積重量比,ml:g)は1:1とし,必要に応じてホルマリンに添加する水の量はホルマリンの1/2容とするのが適当であった。
    3) 晒粉を用いても過マンガン酸カリウムの場合と同様に,ホルムアルデヒドの気化量は気温に影響され,気温が高いと気化量も多かった。晒粉から塩素が遊離するが,ホスゲンの発生は検知されなかった。
    4) 晒粉の形状によってホルムアルデヒドの気化量に差があり,直径1-2mmの顆粒状に成形された晒粉は気化量も多く,取り扱いが容易であった。ホルマリンと混合してガス発生に至るまでの時間は過マンガン酸カリウムを用いた場合より短く,混合に使用する容器の容積も大きなものを必要とした。今後,晒粉の形状について検討することでこれらの課題を改善できることが示唆された。
  • 唐澤 豊, 青木 邦之, 平方 明男
    1989 年 26 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1989/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    脚筋(M. gastrocnemius)と胸筋(M. pectoralis profundus)の遊離アミノ酸とプリン化合物の濃度を,ブロイラー,サツマ,サツマF1およびクキンF1の間で比較検討した。
    サツマF1の脚筋のThr, Glu, Ala, Ile, Leu, Tyr, Phe, Arg, Val, MetおよびPro含量はブロイラーより高く,またこのうち8つのアミノ酸含量はクキンF1よりも有意に高かった(P<0.05)。したがってここで測定した脚筋の18種のアミノ酸含量の合計量は,ブロイラーやクキンF1よりサツマF1が有意に高かった(P<0.05)。しかし胸筋については,Cys, Met, Val, HisおよびTrp含量は鶏種間で有意差があったが,脚筋のような傾向は認められなかった。サツマおよびサツマF1の脚筋のThr, Ser, Glu, Gly, Ala, Lys, ArgおよびPro含量は胸筋のそれより有意に高く,そのため総アミノ酸含量は両鶏種で脚筋が有意に高くなった(P<0.05)。
    胸筋の遊離プリン化合物含量の総量は,4鶏種全てで,脚筋のそれより高い傾向があった。これは,ここで測定した全プリン化合物含量の大部分を占めるIMPとイノシン含量が,脚筋より胸筋で多いことによるものであった。ブロイラーとクキンF1の胸筋のイノシンとヒポキサンチン含量の両方ともサツマやサツマF1より有意に高く,胸筋のATP含量はクキンF1が他の3鶏種よりも多かった(P<0.05)。IMP含量は2つの筋肉でサツマ,サツマF1,クキンF1がブロイラーより多い傾向にあった。
    本実験の結果から,鶏種は脚筋のアミノ酸含量と胸筋のプリン化合物含量に影響しうることが明らかになった。
  • 唐澤 豊, 崎山 千陽, 宮野 典夫, 平林 国男, 檀原 宏
    1989 年 26 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 1989/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    雄の成ライチョウに粗繊維含量10%,15%あるいは20%の自家配合飼料(乾物100g当りそれぞれCP: 16.1, 15.2, 14.3gおよびGE: 2058, 2058, 2054kJ)を9日間給与し,飼料成分の利用性とこれに及ぼす繊維含量の影響について調べた。
    1. 体重はどの実験飼料を給与した場合にも変化せず,乾物摂取量は体重kg当り56-58g/日で3飼料区間に有意差は認められなかった。
    2. 乾物消化率は10%,15%および20%粗繊維飼料区でそれぞれ61%, 60%および54%であった。
    3. 10%, 15%および20%粗繊維飼料区で,粗繊維消化率はそれぞれ21%, 25%, 19%と低く,窒素蓄積率もそれぞれ21%, 23%, 14%ときわめて低かった。これらはいずれも飼料区間で有意差が認められなかった。
    4. 一羽当たりのエネルギー摂取量は10%,15%および20%粗繊維飼料区で,それぞれ539kJ, 556kJおよび554kJ/日で,そのうち代謝エネルギーは348kJ, 349kJおよび321kJ/日であった。飼料の代謝エネルギー値は,10%, 15%及び20%粗繊維飼料区でそれぞれ12.33kJ/gDM, 11.96kJ/gDMおよび11.01kJ/gDMであった。
    5. 粗脂肪の利用率は85-87%,可溶無窒素物の利用率は80-82%と高く,これらは何れも飼料中の繊維含量によって有意な影響を受けなかった。
    以上の結果から,ライチョウの維持のための代謝エネルギー必要量は500g体重当り一日に約320kJと考えられ,供試した飼料はライチョウにとって高エネルギーで,高タンパク質であったため粗繊維消化率と粗タンパク質の蓄積率が低かったものと考えられる。
  • 杉本 隆重, 新部 昭夫
    1989 年 26 巻 1 号 p. 43-52
    発行日: 1989/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    大規模な養鶏経営においては,鶏群の更新は単にその一期間が最も高い利益が得られる週齢に行うのではなく,長期に渡り更新が何回も繰返されるなかで,利益が最高になる更新計画を立てることが大切である。
    鶏群の更新に平均利益を最大とする週齢を設定した場合,生産量や卵価あるいは飼料価格の変動が,利益にどのような影響を及ぼすかの検討を行なった。
    週齢による産卵量の累積は3次の回帰式で,給飼量の累積は1次式で十分近似できた。この条件下では平均利益を最大とする週の決定に,飼料費や給飼量は無関係であり,育成•廃鶏費や卵価,産卵量が大きく関与していることが分かった。
    更に,平均利益を最大にする更新期を産卵量,卵価,育成•廃鶏費を変数とした重回帰式で求め,これを利用して,一般農家でも容易に更新期を決定できることを示した。
  • 李 賛東, 中村 孝雄, 田名部 雄一
    1989 年 26 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 1989/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏の卵胞の卵胞膜と顆粒層におけるステロイドホルモンの生成能がどのように違うかを調べるために,14Cで標識したプレグネノロン,プロジェステロン,17αヒドロキシプロジェステロンおよびアンドロステンジオンを基質として添加して,排卵予測時間の6時間前および20分-1時間前の最大および第3卵胞の卵胞膜および穎粒層のホモジネートを1時問培養して,その生産物を薄層クロマトグラフィーにより調べた。
    プレグネノロンを基質とした場合,最大卵胞の穎粒層では多くの基質がプロジェステロンへ転換したのに,第3卵胞のそれではプロジェステロンへの転換量は少なかった。卵胞膜ではプロジェステロンへの転換はある程度起こったが,生成したプロジェステロンは卵胞膜に貯留されずに他のステロイドヘ転換され,プロジェステロンとしての残存量は少なかった。プロジェステロンを基質にした場合,顆粒層では卵胞の順位に関係なく,他のステロイドへの転換は少なかった。これに対して第3卵胞の卵胞膜は最大卵胞に比べてより多くの17αヒドロキシプロジェステロンを生産した。17αヒドロキシプロジェステロンを基質とした場合には,第3卵胞の卵胞膜においてC-19ステロイドへの転換が高かった。アンドロステンジオンを基質とした場合にはどの組織でもテストステロンへの転換が認められたが,第3卵胞の卵胞膜が最も高い転換を示した。
    以上のことからプレグネノロンからプロジェステロンへ転換するΔ5ステロイド3β水酸基•脱水素酵素およびΔ54イソメラーゼ活性は最大卵胞の顆粒層で高いが,卵胞膜での17α水酸化酵素活性が弱いために,最大卵胞においてプロジェステロンが増加する。一方発育中の第3卵胞の卵胞膜は17α水酸化酵素,C17-C20側鎖切断酵素,ステロイド17β水酸基•脱水素酵素の活性が強く,それによってプロジェステロンはテストステロンを経てエストロジェンに代謝されると考えられた。
  • 李 賛東, 中村 孝雄, 田名部 雄一
    1989 年 26 巻 1 号 p. 62-69
    発行日: 1989/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリの排卵周期内の時間および卵胞順位と卵胞膜,顆粒層のステロイドホルモン合成能との関係を明らかにすることを目的として,各卵胞組織の細胞をin vitroで3時間培養し,分泌されたホルモン量をラジオイムノアッセイにより調べた。
    300日齢の白色レグホーン雌鶏から予想排卵12時間および2時間前に最大(F1),第2(F2),第3(F3)および第4-6(F4-6)の各卵胞を取り出し,卵胞膜,顆粒層および分離しないままの卵胞壁の各組織からコラゲナーゼ処理して得られた細胞を,40°Cで3時間培養して,プロジェステロン(P4),テストステロン(T)ならびにエストラジオール(E2)のそれぞれの生産量を調べた。
    P4生産量は排卵12時間前および2時間前のいずれの時期においても卵胞膜よりも顆粒層が高く,特にF1の顆粒層において著しく高く,小卵胞は一般に低い値を示した。卵胞膜および未分離の卵胞壁のP4生産量は共に低い値であった。後者のP4が低い原因は主として他のホルモンへ転換したためと考えられる。
    T生産量は,排卵12時間前でいずれの組織においても低い値を示したが,この中ではF1からF4-6に共通して卵胞膜で高く,顆粒層で低いことが認められた。また排卵2時間前ではF1を除きTの生産量が約1/2に減少したが,排卵12時間前に比較して顆粒層でかなりの生産量が認められるようになった。
    E2生産量は,排卵12時間前でF3-6がF1とF2よりも高く,また卵胞膜においては顆粒層より高い値を示した。そしてこのE2生産量は排卵2時間前には生産量が約1/10に激減した。
    以上のことからニワトリのP4生産は主としてF1顆粒層が行なっており,T生産はF2,F3の卵胞膜が,またE2はF3,F4-6の卵胞膜が行なっていると結論された。
  • 佐藤 勝紀, 福田 弘之, ヘディアント Y.E., 猪 貴義
    1989 年 26 巻 1 号 p. 70-73
    発行日: 1989/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    Heterosis for reproductive traits, such as fertility, hatchability, viability and egg production rate was investigated in the reciprocal crosses between the highly inbred lines (F=0.925) of Japanese quail. High heterosis effect was found for all reproductive traits except fertility. Fertility, hatchability and viability were similar in the reciprocal crosses, however, statistically significant difference was detected in egg production rate.
  • 1989 年 26 巻 1 号 p. 74-79
    発行日: 1989/01/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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