脚筋(
M. gastrocnemius)と胸筋(
M. pectoralis profundus)の遊離アミノ酸とプリン化合物の濃度を,ブロイラー,サツマ,サツマF
1およびクキンF
1の間で比較検討した。
サツマF1の脚筋のThr, Glu, Ala, Ile, Leu, Tyr, Phe, Arg, Val, MetおよびPro含量はブロイラーより高く,またこのうち8つのアミノ酸含量はクキンF
1よりも有意に高かった(P<0.05)。したがってここで測定した脚筋の18種のアミノ酸含量の合計量は,ブロイラーやクキンF
1よりサツマF
1が有意に高かった(P<0.05)。しかし胸筋については,Cys, Met, Val, HisおよびTrp含量は鶏種間で有意差があったが,脚筋のような傾向は認められなかった。サツマおよびサツマF1の脚筋のThr, Ser, Glu, Gly, Ala, Lys, ArgおよびPro含量は胸筋のそれより有意に高く,そのため総アミノ酸含量は両鶏種で脚筋が有意に高くなった(P<0.05)。
胸筋の遊離プリン化合物含量の総量は,4鶏種全てで,脚筋のそれより高い傾向があった。これは,ここで測定した全プリン化合物含量の大部分を占めるIMPとイノシン含量が,脚筋より胸筋で多いことによるものであった。ブロイラーとクキンF1の胸筋のイノシンとヒポキサンチン含量の両方ともサツマやサツマF
1より有意に高く,胸筋のATP含量はクキンF
1が他の3鶏種よりも多かった(P<0.05)。IMP含量は2つの筋肉でサツマ,サツマF
1,クキンF1がブロイラーより多い傾向にあった。
本実験の結果から,鶏種は脚筋のアミノ酸含量と胸筋のプリン化合物含量に影響しうることが明らかになった。
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