日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
29 巻, 6 号
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  • 内藤 充
    1992 年 29 巻 6 号 p. 335-349
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    鶏の放卵リズムが光周期に同調する性質を利用して,24時間以外の明暗周期いわゆるアヘメラル明暗周期を選抜環境とした選抜実験から,比較的短期間の選抜により鶏の産卵が24時間よりも短い明暗周期に適応できる集団が造成されてきている。23時間明暗周期を選抜環境とした選抜実験から,鶏の産卵の限界は24時間に1個ではなく,23時間に1個の産卵が可能なことが実証された。このことは,鶏の産卵は,環境特に明暗周期を人為的に操作することにより,さらにその能力の発現をのばすことが可能であることを示している。この手法は実際の育種の場で応用することが可能な技術であり,超多産系統の造成のための新しい選抜手法となるものである。この方法によって育種された鶏は,24時間明暗周期下でもその能力を発揮することは可能であるが,将来的には23時間明暗周期下で飼育して,より高い産卵能力を発揮させることも可能となるであろう。鶏の産卵能力の改良は限界に達しているわけではなく,適切な選抜環境の設定によりその遺伝的能力を今後もさらに改良することは十分可能である。
    24時間より短い明暗周期に適応できる個体は現在多344 日本家禽学会誌29巻6号(1992)数作出されているが,このような鶏の体内時計ははたして24時間よりも短くなっているのであろうか。あるいは,単に表面上だけの適応現象なのであろうか。このような生物学的側面については,今後の検討課題である。
  • 高橋 和昭, 本多 啓恵, 秋葉 征夫, 堀口 雅昭
    1992 年 29 巻 6 号 p. 350-360
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    雄ブロイラーの肝臓ミクロームのチトクロームP-450依存性薬物代謝酵素活性と免疫応答に対する飼料中蛋白質とコルチコステロンレベルの影響を検討した。実験1と2では,2レベルの粗蛋白質含量(11.5および23%)と3レベルのコルチコステロン含量(0,5または50ppm)の組合せで6飼料を調製し,14日齢の鶏に14日間給与した。実験3では,3レベルの粗蛋白質含量(10,20,または40%)と2レベルのコルチコステロン含量(0または10ppm)の組合せで6飼料を調製し,20日齢の鶏に12日間給与した。コルチコステロン給与は11.5%蛋白質飼料を給与した鶏のチトクロームP-450含量を増加させたが,23%蛋白質飼料給与では変化が認められなかった。40%蛋白質飼料給与の条件においては,コルチコステロン給与によりチトクロームP-450含量はコルチコステロン無添加飼料に比較して低下した。NADPH-チトクロームc還元酵素活性は,飼料中蛋白質及びコルチコステロン濃度の増加にともない増加した。抗羊赤血球抗体価は40%蛋白質飼料給与により低下したが,飼料中コルチコステロンによる変化は認められなかった。抗ブルセラ•カニス抗体価は飼料中コルチコステロンにより低下したが,飼料中蛋白質含量による変化は認められなかった。以上の結果より,飼料中コルチコステロンは肝臓ミクロソームの薬物代謝酵素系を活性化するが,その程度は飼料中蛋白質含量により異なること,飼料の蛋白質含量の減少とコルチコステロン濃度の増加により免疫担当器官重量は減少するが,抗体産生に対するそれらの作用は,使用する抗原によって異なることが示唆された。
  • 堀河 博, 増村 忠宏, 平野 進, 渡辺 恵美子, 石橋 晃
    1992 年 29 巻 6 号 p. 361-367
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    少量のジゼロシンは,胃酸分泌を促進し,ビタミンD3の存在下において雛の大腿骨中カルシウム量を有意に増加させることが明らかとなった。そこで,試験1では雛の大腿骨中カルシウム量を最大にする飼料中のジゼロシンの至適量について検討した。初生雛にジゼロシンを0,0.5,1,2,4ppm添加した飼料を14日間自由摂取させた。その結果,1ppm添加時に体重を減少させることなく雛の大腿骨中灰分量およびカルシウム量が最大になった。
    ついで,試験2ではジゼロシンの効果が胃酸分泌促進によるpHの低下によってカルシウム量の可溶化が促進されたためであることを確かめるため,ジゼロシン0と1ppmとシメチジン0と150ppmを組み合わせた飼料を初生雛に14日間摂取させた。シメチジンはヒスタミンおよびジゼロシンのH2-受容体の拮抗剤である。シメチジンは,ヒスタミンおよびジゼロシンによる胃酸分泌促進を阻害する。
    ジゼロシンを1ppm添加した飼料に150ppmのシメチジンを添加した場合には雛の大腿骨中灰分量およびカルシウム量は有意に増加しなかった。胃内容物のpHはジゼロシン1ppmの添加で減少する傾向を示したが,シメチジン150ppmの添加では高くなった。
    これらの結果より,ジゼロシンによる骨石灰化の促進効果はシメチジンにより阻害されたことから,胃酸分泌の促進によるものと推測された。食餌ジゼロシンの骨石灰化機構を明らかにするためにも,ジゼロシンの雛における十二指腸中の可容化Ca量に対する影響についてさらに検討が必要であろう。
  • 小出 和之, 渡辺 恵美子, 豊水 正昭, 石橋 晃
    1992 年 29 巻 6 号 p. 368-377
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ブロイラーのアミノ酸要求量を求めるための一連の試験に先立って,蛋白質源の質と量が最大増体量および血漿遊離アミノ酸濃度に及ぼす影響について調べた。
    4日齢のブロイラーヒナに,トウモロコシを主体とし魚粉,大豆粕,全卵蛋白質を等間隔で5段階になるように配合した飼料を自由摂取させた。10日目に体重,飼料摂取量を記録し,血漿中の遊離アミノ酸濃度を測定した。
    最大増体量のためのCP含量は魚粉でCP16.5%,大豆粕で21.9%,全卵蛋白質では14.5%で得られた。飼料要求率は魚粉でCP16.5%,大豆粕で18.8%,全卵蛋白質では15.5%で最小値に達した。蛋白質源により,CPの要求量は同じではなかった。最大増体量,最少飼料要求率が得られたときの飼料中のアミノ酸組成は,どの蛋白源の場合にも,必須アミノ酸のいくつかはNRCの要求量よりも低かった。すなわち,魚粉の場合にはアルギニン,リジン,含硫アミノ酸,トリプトファン,大豆粕の場合には含硫アミノ酸,全卵蛋白質の場合にはアルギニン,リジン,含硫アミノ酸,スレオニン,トリブトファンがNRCの要求量より低かった。飼料CP含量に対する血漿アミノ酸濃度の変化には3つのタイプがみられ,ヒスチジン,フェニルアラニンはCP含量と蛋白質源の種類に影響を受けなかった。その他のアミノ酸は,CPが低い範囲では低く,飼料中のアミノ酸含量の増加に伴って直線的に増加した。そのうちアラニン,アスパラギン酸,グリシン,グリタミン酸等の濃度はある特定の値で平衡となった。その折曲点がアミノ酸の要求量と一致するかどうかは今後の飼養試験で確認したい。
  • 泉 徳和, 島田 清司, 斎藤 昇, 石田 浩幸, 佐藤 孝二, 打出 喜義, 富田 嘉昌, 榊田 星史, 西田 悦郎
    1992 年 29 巻 6 号 p. 378-388
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    成雌ガチョウの年間繁殖周期中における体重,飼料摂取量,産卵性,蓑毛(頚部羽毛)の成長率,血漿中の性ステロイドホルモンならびにプロラクチン濃度の変化を明らかにするために本研究を行った。体重は産卵の開始時期に最大で,産卵期中に漸次減少した。体重と飼料摂取量の間に正の順位相関が得られた(rs=0.81,P<0.01)。血漿中エストラジオール濃度は産卵の開始時期に増加し始め,産卵率の最高値を示す時期に最高値に達した。エストラジオール濃度と産卵個数(一ヵ月当り)の間には正の順位相関が認められた(rs=0.84,P<0.01)。
    血漿中のテストステロン濃度の高値は11月から4月にかけて観察された。血漿中プロジェステロン濃度の高い値を示す時期は産卵期の後半に限られた。血漿中プロラクチン濃度の最高値は9羽中2羽が就巣行動を示した5月,6月に見られ,これらプロラクチン濃度の最高値は1月,9月,10月に観察された値より有意に高い値であった(P<0.01)。蓑毛の成長率と産卵個数(一ヵ月当り)の間には負の順位相関が認められた(rs=-0.92,P<0.01)。蓑毛の成長率が最低値を示す時期は産卵個数の最高値を示す時期と明らかに一致した。
  • 等電点電気泳動法による解析
    佐藤 孝二, 後藤 彰久, 永井 弘光, 甲斐 藏
    1992 年 29 巻 6 号 p. 389-394
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    白色プリマスロック種のIgG高低選抜系統のヒナを無菌飼育し,得られた血清をディスク式の等電点電気泳動法(IEF)により解析した。また,ゲル濾過により血清を3つに分画し,各分画のIEF図における位置を調べた。
    1.両系統とも無菌ヒナでは通常飼育のヒナよりも,IEF図に示される4つの領域の蛋白質濃度が低下した。
    2.IgMが含まれる第I分画(ゲル濾過)は,1つのピークと2つのバンドから成り,量的にはpI4.1~4.6のバンドが最も多かった。IgGの含まれる第II分画は,4つのバンドから成るpI4.6~5.4の領域の蛋白質が量的に最も多く,次にpI5.5~6.0の領域であった。第III分画からは約20のピークやバンドが分離された。
    3.無菌飼育により免疫グロブリン,特にpI4.6~5.4,5.6~6.2,6.3~6.5,6.6~7.8の領域のIgG濃度が著しく減少した。IgMはあまり変動しなかった。
    4.免疫グロブリンを分子量とpI値に基づいて分類し,そのうち,IgG産生に関するファブリシウス嚢の内因的な寄与と腸内細菌叢を含めた外因的な寄与とについて一つの考え方をまとあた。
  • 吉田 晶二, 鈴木 洸史, 西藤 克己
    1992 年 29 巻 6 号 p. 395-401
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    シーブライトバンタムと白色レグホーンの合成系統Q,B2および白レグ2系統について,それらの系統能力および交雑鶏能力を調べた。Qはシーブライトバンタム由来のZ染色体を100%,B2は同じく66.7%を有していた。QとB2の成体重は1.34kgと同じで,卵重も52.7gおよび52.5gと殆んど同じであったが,Qは強健性,初産日齢と産卵性で劣り,ヘンディ産卵率はQの55.6%に対しB2は71.2%であった。
    有意なヘテローシス効果は,育成率,初産日齢,ヘンディ産卵率,ヘンハウズド産卵数,体重および飼料要求率にみられた。
    Qと白レグの交配組合せにおける成体重,卵重,ヘンディ産卵率および飼料要求率は,白レグを父とした場合それぞれ1.74kg, 60.8g, 75.5%および2.38であったのに対し,その逆交配では,それぞれ1.50kg, 54.9g, 76.4%および2.33であり,体重は13.8%,卵重は9.7%減少した。
    B2と白レグの交配組合せにおける成体重,卵重,ヘンディ産卵率および飼料要求率は,白レグを父とした場合,それぞれ1.70kg, 61.2g, 79.0%および2.29,またその逆交配では,それぞれ1.50kg, 56.5g, 76.7%および2.28となり,体重は11.8%,卵重では7.7%減少した。
    合成系統を父にすることによって生ずる体重の減少程度は,シーブライトバンタムに存在する伴性バンタム遺伝子dwBの単独効果の範囲内であったが,卵重の減少は大幅にこの範囲を越えた。
    合成系統と白レグの交雑鶏は8組合せとも対照コマーシャル鶏より初産日齢が早かった。B2と白レグの交雑鶏のヘンディ産卵率,ヘンハウズド産卵数と飼料要求率は対照鶏に匹敵するものであった。
  • リピド部分の化学的性質
    山田 一彦
    1992 年 29 巻 6 号 p. 402-405
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    アーバーエーカー50(AA-50)雄ヒナ•モデルのEDTA血漿からリポ蛋白質(LPs)浮遊試験法によってCHYL, VLDL, LDL2およびHDL2を分取した。そしてこれら4画分において,定法に従って定量した蛋白質(Pr.),総脂質(TL),リン脂質(PL),総コレステロール(T-chol.),遊離コレステロール(FC),コレステロールエステル(CE)およびトリグリセリド(TG)各成分の画分間分布濃度(mg/100ml血漿)から,(1)Pr.:TL(%),(2)T-chol./PL,(3)CE/FCおよび(4)TG/TLの各比とその序列を求めた。
    その結果,「LPs体裁」を持つ全LPs4画分中脂質部分の組成分の種類,数は供試のヒナ全例に共通し,しかも画分中もしくは画分間で明らかとした各成分濃度の相対比,同範囲に顕著な差は認められなかった。また,ヒト血清LPsの「クラス」分類のための指標「比」を上述(1)~(4)値に照合すると,本報告で特定したHDL2およびLDL2の同値は,それぞれ同上α2-LPsおよびSf4-17クラスのLDLグループのそれらに近似した。しかし,同じくCHYL-VLDLの指標「比」は同上β-LPsのそれに近似したが,ヒト血清中の同画分「比」には符合しなかった。
  • 血漿リポ蛋白質のQ-DE
    山田 一彦
    1992 年 29 巻 6 号 p. 406-409
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    Q-DL (Quick-Disc Electrophoresis of Lipoproteins)システムを用いて,アーバーエーカー50(AA-50)雄ヒナ•モデルから採取したエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)処理血漿中のリポ蛋白質(LPs)を分離した。そしてそれらの相対移動度(RM: rate of relative migration)から特定したキロミクロン(CHYL),サブ•キロミクロン(Sub-CHYL),プレ(pre)β-,β-およびα-LPsら5種のLPsクラス成分から成るQ-DE (Quick-Disc Electropherogram)は,フエノタイプIVに一致した。
  • 1992 年 29 巻 6 号 p. 410-426
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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