飼料中のナトリウム (Na) の過剰水準, および実用飼料へのカリウム (K) の過剰添加が, 鶏の飲水量, 排尿量および糞の水分含量におよぼす影響を究明するために, 約20°Cの調温鶏舎において, 人工肛門鶏を用いて実験を行なった。
実験1においては, 人工肛門をつけた雌大雛を用い, コーンスターチと大豆粕を主体とし, Na水準を塩化ナトリウムにより0.3 (対照), 0.6, 0.9および1.2%に調整した飼料を給与して, 飲水量および排尿量を比較した。
実験2においては, 人工肛門をつけた雄成鶏を用い, トウモロコシと大豆粕を主体とし, Na-K水準をそれぞれ0.25-0.7 (対照), 0.25-2.1, 1.8-0.7, 1.8-2.1および1.0-1.4%に調整したものを給与して, 飲水量, 排尿量のほか糞の水分含量を測定した。なお, K無添加の対照飼料は約0.7%のKが含まれており, K添加飼料には3.2%の硫酸カリウムを添加した。
その結果, 実験1において, 対照飼料にNaを過剰に添加すると, その添加量にほぼ比例して, 飲水量および排尿量が増加した。実験2において, 対照飼料にKを添加するか, またはNaを過剰に添加しても, 飲水量, 排尿量および糞の水分含量が著しく増加した。NaまたはKの過剰の程度 (要求量に対する倍率) が同一の場合, 飲水量および排尿量におよぼす影響はNa過剰がK過剰に比べて大きかったが, 糞の水分含量におよぼす影響は, 両者の間に差異が認められなかった。
Na過剰飼料にさらにKを添加しても, 飲水量および排尿量は減少せず, むしろ増加したが, 糞の水分含量には影響が認められなかった。
いずれの実験においても, 飲水量と排尿量との間には有意の相関が認められ, 排尿量は飲水量の増加に伴って直線的に増加した。しかし糞の水分含量は, 飲水量または排尿量が増加しても, 一定水準 (約80%) 以上には増加しなかった。
抄録全体を表示