玉置ら(1979)の開発した白色プリマスロック種のIgG高低選抜系統を用いて,成長に伴うIgG産生及び抗体産生能力の発達に対するファブリシウス嚢の関与について検討した。
ファブリシウス嚢を,胚の時期に化学的(テストステロン処理による)に摘出した。4週齢時と6週齢時に羊赤血球(SRBC)及びブルセラ菌(Ba)をヒナに静脈注射し免疫した。血清IgGは単円免疫拡散法により,抗体力価はマイクロタイターにより測定した。
1.低系統では,成長に伴う血清IgG値の上昇は,ファブリシウス嚢の摘出(BSX)により抑制された。高系統では,BSXの抑制効果は一時的に成長の初期に認められたが,4週齢以降にはみられなかった。
2.抗Ba抗体の産生は,一次免疫では,BSXによりいずれの系統でも抑制された。二次免疫では,IgGクラスの抗体の産生がBSXにより明らかに抑制された。
3.抗SRBC抗体の産生は,一次•二次いずれの反応においても,低系統ではBSXにより抑制された。高系統では,一次反応においてIgGクラスの抗SRBC抗体の産生が抑制されたけれども,二次反応においては抑制されなかった。
4.以上の結果から,IgG産生系についてはファブリシウス嚢に依存して発達する系と依存しない系とが存在すると思われる。低系統では,もっぱら前者の系によりIgGが産生され,高系統では前者のみならず,後者の系によるIgG産生能力も高いと考察した。
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