日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
27 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 鏡味 裕, 富田 武
    1990 年 27 巻 2 号 p. 111-121
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    遺伝的性が雌であることを確認したニワトリにおいて,人為的性転換誘発を試みた。卵巣除去により性転換した鶏は,その二次性微によって高度性転換鶏に2羽,中度性転換鶏に11羽,弱度性転換鶏に14羽がそれぞれ分類された。卵巣除去により代償発育した右側生殖腺の組織学的構造には,ばらつきが認められた。それらは,分化の程度から精巣様生殖腺に2例,精卵巣に13例,卵巣様生殖腺に12例がそれぞれ分類された。性転換した鶏の二次性微,特に冠の雄性化,は右生殖腺の雄性化とほぼ相応した。
  • 大橋 知男, 楠原 征治, 石田 一夫
    1990 年 27 巻 2 号 p. 122-127
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    抗エストロジェン剤であるタモキシフェンを投与した産卵鶏において,卵が卵管の膨大部および卵殻腺部に存在する時期の骨髄骨の骨芽細胞および破骨細胞を電子顕微鏡的に観察した。未処理の産卵鶏において,卵が卵管の膨大部に存在する時期の骨髄骨表面では,粗面小胞体およびゴルジ装置が顕著な細胞質を有する骨芽細胞が多数認められた。骨髄骨表面に極めてまばらに存在する破骨細胞には,ruffled borderは認められなかった。しかしながら,タモキシフェンを投与したものでは,骨芽細胞の細胞小器官の発達は悪く,破骨細胞は骨髄骨表面に接してruffled borderを有していた。一方,卵が卵管の卵殻腺部に存在する時期では,未処理およびタモキシフェン投与いずれの産卵鶏においても,骨芽細胞は細胞質の発達が悪く,破骨細胞にはruffled borderが認められた。
    これらの結果から,卵が卵管の膨大部に存在する時期では,タモキシフェン処理によって骨芽細胞の骨形成が抑制され,破骨細胞の骨吸収が促進されることが示唆された。また,卵が卵殻腺部に存在する時期では,骨芽細胞および破骨細胞においてタモキシフェンの効果は認められなかった。従って,エストロジェンは産卵期において骨芽細胞の骨形成能を刺激すると同時に,破骨細胞の骨吸収能を妨げていることが推察された。
  • 近藤 恭, 河村 孝彦, 奥田 誠彦, 広瀬 一雄
    1990 年 27 巻 2 号 p. 128-135
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    採卵鶏の育成用ケージについて,異なる大きさのケージを用いて検討した。間口を90cm, 67.5cm,45cm,奥行を60cm, 45cm, 30cmとした高さ45cmの9種類のケージを使い,飼育密度を450cm2/羽に一定として,1ケージ当たり3~12羽を収容した。7週齢より19週齢まで育成したが,10週齢からは飼料を自由摂取するものと制限給餌するものに2分した。なお,90cm×60cmのケージに8羽を収容し,従来の飼育密度675cm2/羽として育成した鶏を対照とした。
    その結果,雛の発育はケージの間口よりも奥行によって生じる影響の大きいことが知られた。自由摂取により奥行30cmのケージで育成した鶏の20週齢体重は60cmケージの場合より大きく,制限給餌による育成ではケージ奥行による平均体重の差は認められなかったが,個体差が小さくなり斉一化された。悪癖による被害も奥行30cmのケージにおける発生が少なかった。
    育成した鶏の産卵,卵重,飼料摂取量,飼料要求率,体重及び生存率を60週齢まで調べたが,育成方式による差は認められなかった。
  • とくにIgG高低選抜系統において
    佐藤 孝二, 永井 弘光, 後藤 彰久, 甲斐 藏
    1990 年 27 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    玉置ら(1979)の開発した白色プリマスロック種のIgG高低選抜系統を用いて,成長に伴うIgG産生及び抗体産生能力の発達に対するファブリシウス嚢の関与について検討した。
    ファブリシウス嚢を,胚の時期に化学的(テストステロン処理による)に摘出した。4週齢時と6週齢時に羊赤血球(SRBC)及びブルセラ菌(Ba)をヒナに静脈注射し免疫した。血清IgGは単円免疫拡散法により,抗体力価はマイクロタイターにより測定した。
    1.低系統では,成長に伴う血清IgG値の上昇は,ファブリシウス嚢の摘出(BSX)により抑制された。高系統では,BSXの抑制効果は一時的に成長の初期に認められたが,4週齢以降にはみられなかった。
    2.抗Ba抗体の産生は,一次免疫では,BSXによりいずれの系統でも抑制された。二次免疫では,IgGクラスの抗体の産生がBSXにより明らかに抑制された。
    3.抗SRBC抗体の産生は,一次•二次いずれの反応においても,低系統ではBSXにより抑制された。高系統では,一次反応においてIgGクラスの抗SRBC抗体の産生が抑制されたけれども,二次反応においては抑制されなかった。
    4.以上の結果から,IgG産生系についてはファブリシウス嚢に依存して発達する系と依存しない系とが存在すると思われる。低系統では,もっぱら前者の系によりIgGが産生され,高系統では前者のみならず,後者の系によるIgG産生能力も高いと考察した。
  • III.後肢骨
    鮫島 正道
    1990 年 27 巻 2 号 p. 142-161
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    赤色野鶏および家鶏12品種の後肢骨の計89部位の計測をおこない,主成分分析によって品種間の比較を試み,次の成績をえた。(1)第1主成分(大きさの因子と解釈された)によって小型(赤色野鶏,シブライトバンタム),中小型(ファイオミ,小国,白色レグホーンS系統および褐色レグホーン),中大型(オーストラロープ,白色レグホーンB系統,タイワン地鶏名古屋Y系統,名古屋K系統,トカラ地鶏)そして大型(ロードアイランドレッド)の4群に区分された。(2)第2主成分(形の因子と解釈された)では細型(赤色野鶏),太型(褐色レグホーン,ファイオミおよびロードアイランドレッド),他は中間型に区分された。(3)骨格はいずれの品種においても雄は雌より大きいことが示された。(4)褐色レグホーンとファイオミ,タイワン地鶏とトカラ地鶏は大きさ形も互に最も近似していた。(5)赤色野鶏は,主成分分析図上のうえで,本質的には家鶏群とは離れた位置をしめていた。(6)今回の研究では89部位の中で品種間の形態的差異に大きく寄与したのは大腿骨最大長,大腿骨内側長,脛足根骨最大長,脛足根骨軸長,寛骨最大長,腸骨最大長,脛足根骨近位端斜角幅,足根中足骨最大長,前腸骨翼最小幅,両寛骨臼間幅,対転子間幅であった。
  • 仲田 正
    1990 年 27 巻 2 号 p. 162-163
    発行日: 1990/03/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    Shell glands of the uterus of the hen oviduct secrete fluid which contains a high percentage of calcium1). The secretion rate of the fluid is higher during the time when normally ovulated ovum (ovum)2) or an artificial yolk-containing egg-like mass2) is present in the uterus comparing with other times2). However, whether the higher secretion rate during that time is caused by a certain stimulus associated with the presence of an egg or an egg-like mass has not been completely determined, since there remains a possibility that the higher secretion rate is due to a diurnal rhythm of the secretory activity of the uterus. The present experiments were performed to demonstrate that the presence of the egg in the uterus stimulates the secretion of the shell gland fluid. For this purpose, the volume of the shell gland fluid and its calcium concentration were measured at definite of a day in hens of which ovulated ovum was artificially retained at various regions of the oviduct by a surgical ligation.
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