日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
32 巻, 4 号
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  • 山内 高円, 山本 憲, 一色 泰
    1995 年32 巻4 号 p. 241-251
    発行日: 1995/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    腸管各部位の機能的差異を形態学的に立証するために,27日齢(幼雛期)および113日齢(大雛期)の単冠白色レグホン種雄鶏を3日間または7日間絶食させ,各実験期間終了後,十二指腸,空腸および回腸における腸管絨毛の高さと呼吸上皮細胞の微細構造の変化をそれぞれ光学顕微鏡および電子顕微鏡を用いて比較検討した。正常飼育対照鶏における絨毛高の艀化後の発達に関しては,幼雛期では十二指腸が最も発達した高い絨毛を有していた。また,大雛期にかけて空腸が最も顕著な発達率を示したことから,雛の発育初期における顕著な栄養素の呼吸部位は十二指腸であり,発育と共に空腸へも移行するものと思われる。しかしながら,このような高い吸収機能を有する腸管近位部の絨毛高は,絶食処理により急激な減少を呈した。このことから,腸管各部位のうち正常飼育下で腸管の吸収機能が高ければ高い部位ほど,絶食により絨毛高が急激に減少するものと考えられる。吸収上皮細胞における微細構造の変化では,十二指腸の細胞は最初の3日間の絶食により,すでに核上部にライソゾーム由来の巨大空胞を有していた。空腸における最初の3日間の絶食では,空胞の前駆体と思われる層板小体が認められただけであった。しかしながら,次の4日間の絶食により顕著な空胞が出現したことから,吸収上皮細胞のうち正常飼育下で吸収機能が高ければ高い細胞ほど,絶食によりライソゾーム由来の空胞が急速に発達するものと推察される。
    腸管近位部における絨毛高や上皮細胞の微細構造の変化と比較して,回腸では絶食による顕著な絨毛高の変化はなく,また典型的な空胞の代わりに比較的よく発達したゴルジ装置が出現していたことから,回腸は通常の吸収機能には余り関与せず,それ以外にも特殊な機能を有しているのではないかと推察される。
  • 武藤 信一, 小野 珠乙, 松本 岳, 吉田 元一
    1995 年32 巻4 号 p. 252-256
    発行日: 1995/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ウズラ胚の胚盤葉細胞を羽装の異なるウズラ胚に注入しキメラの作出を試みた。使用した系統は野生型羽装(WP),性染色体性劣性アルビノ(AL),および常染色体性不完全優性黒色羽装(D)で次の4種の組み合わせにより細胞注入を行なった:(1) WP AL, (2) WP→D, (3) AL→WP, (4) D→WP。処置したホスト胚はONO et al.(Jpn. Poult. Sci., 31: 119-129, 1994)のin vitro培養法で培養し,孵化させた。WP→AL群においては193の注入胚より50羽のヒナが孵化(孵化率:25.9%)し,その内3羽が羽装キメラであり後期死亡胚においても13が羽装キメラであった(キメラ率:8.3%; 16/193)。しかし他の3群では羽装キメラは発現しなかった(0/191)。 D→WP群においては83の注入胚より27羽のヒナが孵化(孵化率:32.5%)し,性成熟に達した14羽をWPと交配した。それらの内,1羽の雄は117羽の子孫を生産し,その中50羽が[D/d+]ヘテロ型羽装であり,生殖細胞キメラであることが判明した。
  • Gariba DANBARO, 大山 憲二, 向井 文雄, 辻 荘一, 立石 智宣, 前 理雄
    1995 年32 巻4 号 p. 257-266
    発行日: 1995/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    肉用鶏の7週齢および30週齢体重,34週齢卵重および初産日齢の遺伝率および遺伝相関を,Reduced Animal ModelによるDFREML法を用いて推定した。分析モデルの母数効果には,年次,性別および群を考慮し,遺伝相関は2形質の和の分散成分から推定した。分析に用いたデータは,家畜改良センター兵庫牧場で維持されているホワイトプリマスロック5系統およびホワイトコーニッシュ4系統である。
    7週齢および30週齢体重の遺伝率は,0.10から0.34の範囲で推定された。また34週齢卵重の遺伝率は0.46から0.68,初産日齢では0.18から0.63の範囲で推定された。体重の遺伝率はこれまでの報告より低めであり,産卵形質の遺伝率はほぼこれまでの報告と同程度であった。
    7週齢体重との遺伝相関は,30週齢体重では0.21から0.71, 34週齢卵重では-0.10から0.38,初産日齢では-0.15から0.75の範囲で推定された。30週齢体重との遺伝相関では,34週齢卵重で0.14から0.34,初産日齢で-0.19から0.89の範囲であり,34週齢卵重と初産日齢の遺伝相関は-0.21から0.26の範囲であった。増体形質の遺伝率が低あから中位で推定されたことより,今後の肉用鶏の遺伝的改良においては,アニマルモデルBLUP法を用いた予測育種価による選抜が有効であると推察された。
  • 池野 武行, 丹羽 克味
    1995 年32 巻4 号 p. 267-273
    発行日: 1995/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ニワトリの受精卵,卵巣内卵胞,膵臓,血清を材料にしてアミラーゼとそのアイソザイムを観察した。卵巣内卵胞中のアミラーゼ活性は卵胞重量と比例して増加し層状に分布していた。アイソアミラーゼの多型(A, B, AB)は胎仔発生にともなう卵黄ならびに胎仔膵臓の他,ニワトリの卵巣内卵胞,膵臓,血清中のアミラーゼにも認められた。同一個体のそれぞれの臓器のアミラーゼの多型は一致していた。
  • 中嶋 真一, 中川 二郎, 奥村 純市
    1995 年32 巻4 号 p. 274-282
    発行日: 1995/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    産卵鶏用飼料の石灰石粒度の大きさが卵殻質に及ぼす影響を調査するために3実験を実施した。実験1では,0.50, 1.00および1.68mmのふるい目の石灰石をそれぞれ主とする粒度分布に調整した細目,中目および粗目の石灰石と0.50と1.00mmのふるい目が主となる粒度分布の市販石灰石を対照として使用した。供試鶏は350日齢から18週間,ケージで単飼した。卵の比重は,対照区に対して細目区が有意に低く,中目区および粗目区が有意に高くなった(P<0.05)。中目および粗目で得た卵の比重はほぼ等しかったものの,1.072から1.080の比較的低い卵の比重の発生率は粗目区で低かった。実験開始後14週から終了まで,細目区,中目区および粗目区の石灰石を,それぞれ粗目,対照および細目に変更した。石灰石粒度の細化は卵の比重を急激に低下させた。一方,石灰石粒度の粗化は卵の比重を上昇させた。中目から対照への粒度変更によって,卵の比重は対照区とほぼ等しくなった。
    実験2では,実験1と同一の対照,中目および粗目石灰石を使用した。さらに,粗目とほぼ同じ粒度分布の灰白色石灰石,粗目Wも使用した。供試鶏は249日齢から6週間,ケージで群飼した。卵の比重は,実験1と同様に石灰石粒度が粗いほど高くなった。
    実験3では,実験1および2とほぼ同じ対照と粗目の石灰石を使用した。供試鶏は540日齢から26日間,自動機械給餌でケージ群飼した。実験開始後12日目に粗目区は対照区の石灰石に変更した。卵の比重は,粗目区で高く推移し,粒度変更後は低下し,対照区とほぼ同じとなった。
    以上の実験から,日齢飼育条件に関わらず,産卵鶏飼料への粒度の粗い石灰石の使用は,高い値の卵の比重を得るのに効果的であることが示された。
  • 山本 直幸, 大塚 勝正, 木野 勝敏, 山縣 高宏, 富田 武
    1995 年32 巻4 号 p. 283-288
    発行日: 1995/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    ガンマー線照射精子により褐色卵産卵形質を導入した白色レグホーン種の第1世代(WL-γ1)から第5世代(WL-γ5)の卵殻色と第4世代と第5世代の産卵性能他について検討した。卵殻色3成分(l値:明るさ,a値:赤色,b値:黄色)は,世代を経るに従って着色程度が高くなる傾向を示した。WL-γ4ではa値とb値が特に高い値を示した。着色程度の総合評価値をZ値で表すと,各世代とも(WL-G×RIR-Y8)F1すなわちロードホーンの領域に分布する個体が確認され,WL-γ4ではロードホーンの平均値を越える個体も確認された。WL-γ4とWL-γ5の産卵性能を白色レグホーン種と比較すると,体重の増加と産卵率の減少が認あられたが,卵重は同じであった。(WL-γ5×RIR-Y8)F1の卵殻色3成分は,ロードホーンに比べてl値が低く,a値,わ値が高い結果となり,より卵殻への着色程度が高いことが明らかになった。(WL-γ5×RIR-Y8)F1の産卵性能は,ロードホーンと比較しても全く遜色のない成績であった。以上の結果は,WL-γ系が褐色程度の濃い卵を産卵する交配種の作出に有効利用できることを示唆するものである。このことから,WL-γ系は褐色卵多産系としての育種的価値をもつニワトリであると考えられる。
  • 井上 喜正, 周維 統, 山本 禎紀
    1995 年32 巻4 号 p. 289-295
    発行日: 1995/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    1. ブロイラーに対する連日短時間の高温感作による順化過程とその効果について,直腸温,脛部皮膚温,呼吸数,心拍数および熱産生量を生理指標にして検討した。
    2. 環境温度22°で単飼ケージに飼育している約40日齢のブロイラーを用い,38°C3時間の連続7日間の感作を行なった結果,高温順化は呼吸数,直腸温および脛部皮膚温に認められた。呼吸数は2日以降,感作直後からの増加が早まり,直腸温と脛部皮膚温の上昇も早く大きくなった。しかし,感作7日の直腸温と脛部皮膚温の平衡レベルはやや低くなった。熱産生量と心拍数には特徴的な変化は認められなかった。
    3. 高温経験鶏と未経験鶏に,41°C3時間の感作を行なった。その結果,経験鶏の呼吸数は早く増加したが,経験•未経験鶏とも直腸温と脛部皮膚温は同じように上昇し続け,順化効果は認められなかった。直腸温が44°Cを越えた個体の熱産生量は明らかに増加し,同時に増加していた呼吸数の減少と心拍数の増加を伴った。以上の結果から,単飼条件下では,高温経験の有無が熱死に影響する可能性は少ないものと思われた。
  • 一色 泰, 王 秀武, 上曽山 博, 山内 高円
    1995 年32 巻4 号 p. 296-304
    発行日: 1995/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
    単位面積当りの収容羽数が多く,しかも上下左右に移動可能な段違いフリーケージを開放鶏舎内に設置し,103日齢の単冠白色レグホーン種を収容し,409日間産卵調査を行い,単飼ケージと比較検討した。
    1. 段違いフリーケージは,単飼ケージよりも夏に産卵率が低く,冬は高くなったが,全期間の平均では差はみられなかった。卵重は,全期間の平均で段違いフリーケージは約1.4g軽かった。日産卵量は段違いフリーケージで夏に少なく冬に多くなる傾向を示したが,全期間の平均では1g少なくなった。飼料摂取量は段違いフリーケージが全期間の平均で1日1羽当り約8g少なかったため飼料効率では約2.4%改善された。
    2. 段違いフリーケージの体重は304日齢で最高値を示したが,その後増体はなく,単飼ケージでは増体が続き試験終了時にはフリーケージよりも400g重くなった。
    3. 糞中水分含量は,単飼ケージは段違いフリーケージよりも8月で7.5%, 11月で4%高くなった。
    4. 試験終了時の腹腔脂肪と肝臓重量は単飼ケージが大きく,脂肪肝の割合も高くなった。
    5. 試験期間中の段別(高さ)温度は,9時では段差は小さいが,12時と18時では大きく,また上段ほど高くなり,7月と8月の中上段は30°Cを越した。
    6. 湿度は9時が高く,12時と18時の差は少ないが,2月~6月までは下段が低く,それ以外の時期は上段が低かった。
    7. 鶏の分布は全期間を通して昼間は中段に多く,夜間は全ての鶏が最上段に居た。また温度•湿度と鶏の分布の間には相関関係がみられた。
  • 1995 年32 巻4 号 p. 305-309
    発行日: 1995/07/25
    公開日: 2008/11/12
    ジャーナル フリー
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