単位面積当りの収容羽数が多く,しかも上下左右に移動可能な段違いフリーケージを開放鶏舎内に設置し,103日齢の単冠白色レグホーン種を収容し,409日間産卵調査を行い,単飼ケージと比較検討した。
1. 段違いフリーケージは,単飼ケージよりも夏に産卵率が低く,冬は高くなったが,全期間の平均では差はみられなかった。卵重は,全期間の平均で段違いフリーケージは約1.4g軽かった。日産卵量は段違いフリーケージで夏に少なく冬に多くなる傾向を示したが,全期間の平均では1g少なくなった。飼料摂取量は段違いフリーケージが全期間の平均で1日1羽当り約8g少なかったため飼料効率では約2.4%改善された。
2. 段違いフリーケージの体重は304日齢で最高値を示したが,その後増体はなく,単飼ケージでは増体が続き試験終了時にはフリーケージよりも400g重くなった。
3. 糞中水分含量は,単飼ケージは段違いフリーケージよりも8月で7.5%, 11月で4%高くなった。
4. 試験終了時の腹腔脂肪と肝臓重量は単飼ケージが大きく,脂肪肝の割合も高くなった。
5. 試験期間中の段別(高さ)温度は,9時では段差は小さいが,12時と18時では大きく,また上段ほど高くなり,7月と8月の中上段は30°Cを越した。
6. 湿度は9時が高く,12時と18時の差は少ないが,2月~6月までは下段が低く,それ以外の時期は上段が低かった。
7. 鶏の分布は全期間を通して昼間は中段に多く,夜間は全ての鶏が最上段に居た。また温度•湿度と鶏の分布の間には相関関係がみられた。
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