トレッドミル (TM) テストと冠動脈造影を施行した93例を対象に, ST, R波, Q波の運動負荷試験の判定基準としての有用性およびQ波と心室中隔の灌流障害との関係を検討した。ST (V
5) はsensitivity75%, specificity76%と良好だったが, R波, Q波の判定基準は問題があった。しかしSTの基準をもとにR波, Q波の基準を加えると, 補足的に発見率を高めることができた。TMによるQ波 (V
5) の変動を調べたところ, 冠動脈狭窄群 (VD≧70%) にQ波の変動の少い例が多かった。左前下行枝と右冠動脈にGensini scoreを用いて冠動脈狭窄の程度をみると, Q波による陽性群の方が高値を示した (陽性群: 11.65±2.36, 陰性群: 5.80±1.72, ns) 。以上運動負荷試験の判定基準としてSTは良好だが, R波, Q波の単独使用は問題があった。しかし3者の組合わせ方により発見率を高めることができた。TMによるQ波 (V
5) の変動の少い群に, 心室中隔の灌流障害が強い傾向がみられた。
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