【目的】大学病院一施設のICUにおける有害事象(adverse event, AE)の発生頻度とその実態についての基礎的な調査結果を明らかにすること。【方法】無作為抽出法で88名選択し,Global Trigger Toolを用いて後方視的に診療録を調査した。【結果】調査期間中119件のAEが発生した。57.3%の患者がAEを経験し,発生頻度は300.5件/1,000患者日数,135.2件/100入室患者であった。予防可能なAEは39.2%と判定された。最も発生頻度の高いAEは循環器系であった。最も多いAEの原因は薬剤性であった。影響度分類では3aが63.9%,3bが33.6%,4aが0.0%,4bが0.8%,5が1.7%であった。【結論】ICUにおけるAEの発生率は57.3%であった。発生したAEの約6割は軽度なものであり,予防可能なAEは約4割であった。
抄録全体を表示