日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
27 巻, 4 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
編集委員会より
今号のハイライト
原著
  • 小野 知恵美, 相川 玄, 櫻本 秀明, 大内 玲, 鳩崎 千絵, 岡本 麻由, 星野 哲也, 井上 貴昭
    2020 年 27 巻 4 号 p. 261-266
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー

    【目的】大学病院一施設のICUにおける有害事象(adverse event, AE)の発生頻度とその実態についての基礎的な調査結果を明らかにすること。【方法】無作為抽出法で88名選択し,Global Trigger Toolを用いて後方視的に診療録を調査した。【結果】調査期間中119件のAEが発生した。57.3%の患者がAEを経験し,発生頻度は300.5件/1,000患者日数,135.2件/100入室患者であった。予防可能なAEは39.2%と判定された。最も発生頻度の高いAEは循環器系であった。最も多いAEの原因は薬剤性であった。影響度分類では3aが63.9%,3bが33.6%,4aが0.0%,4bが0.8%,5が1.7%であった。【結論】ICUにおけるAEの発生率は57.3%であった。発生したAEの約6割は軽度なものであり,予防可能なAEは約4割であった。

  • 熊丸 めぐみ, 下山 伸哉, 岡 徳彦, 宮本 隆司, 小林 富男
    2020 年 27 巻 4 号 p. 267-272
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー

    【目的】小児先天性心疾患手術後患者のICU-acquired weakness(ICU-AW)の発症状況とそのリスク因子を調査すること。【方法】小児先天性心疾患手術後患者255例をICU-AW群と非ICU-AW群に分けて比較検討するとともに,多変量解析にてICU-AWのリスク因子を同定した。【結果】IUC-AWと判定されたのは65例(25.5%)で,多変量解析の結果,筋弛緩薬投与日数(OR:2.358,95%CI:1.693〜3.283,P<0.001),Aristotle basic complexity levels(OR:2.997,95%CI:1.383〜6.495,P=0.005)がリスク因子として同定された。【結論】小児先天性心疾患手術後患者の25.5%にICU-AWを認めた。また,ICU-AWのリスク因子については,背景心疾患や手術後管理が関連していた。

  • 林 文昭, 山岡 正和, 南 絵里子, 山本 祐未, 山下 千明, 中村 仁, 西村 健吾, 倉迫 敏明
    2020 年 27 巻 4 号 p. 273-277
    発行日: 2020/07/01
    公開日: 2020/07/01
    ジャーナル フリー

    【目的】胸腔鏡下食道癌手術前後の血清アルブミン値の変化と関連する周術期因子を明らかにすること。【方法】2013年1月から2019年6月の間に姫路赤十字病院において食道癌に対して胸腔鏡下食道切除術を施行された患者121人を対象とした。術前血清アルブミン値と術翌日朝の血清アルブミン値から血清アルブミン値低下率を計算し,患者背景・周術期因子との関連について検討した。【結果】手術前後での血清アルブミン低下率の中央値は35.1%であった。重回帰分析の結果,手術時間の延長,術中出血量の増加,手術開始から術翌日朝までの総輸液量の増加の3つの因子が血清アルブミン低下率と独立して関連していた。血清アルブミン値低下率と周術期尿量や術後最高CRP値は有意な関連がなかった。【結論】胸腔鏡下食道切除の手術前後で血清アルブミン値は約35%低下し,血清アルブミン値低下率には手術時間と術中出血量と手術開始から術翌日朝までの総輸液量が関連していた。

短報
レター
feedback
Top