日本集中治療医学会雑誌
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24 巻 , 6 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
編集委員会より
総説
  • 板垣 大雅, 西村 匡司
    2017 年 24 巻 6 号 p. 605-612
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    患者-人工呼吸器非同調(以下,非同調)は,人工呼吸中に見られる頻度の高い事象である。人工呼吸器のガス供給パターンと,患者の呼吸パターンにずれがある場合,非同調が生じる。非同調は,ガス交換障害,肺過膨張,呼吸仕事量の増大,人工呼吸期間やICU滞在期間の延長をきたし,患者予後への影響も指摘されているが,その認識は高いとは言えない。非同調は,(1)患者の吸気努力に一致して人工呼吸器の送気が開始しない不適切なトリガー(オートトリガー,ミストリガー,二重トリガー,逆行性トリガー),(2)吸気から呼気へ転じるタイミングのずれ(送気の早期終了,送気の終了遅延),(3)人工呼吸器の送気流量と患者の吸気流量の過不足,の3つに大別される。ベッドサイドの医療者には,これら非同調の原因,グラフィックモニタ波形上の特徴,対処方法について深い理解が求められる。
  • 安村 敏
    2017 年 24 巻 6 号 p. 613-617
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    近年アルブミンとその重症患者に対する投与に関する研究が多く発表され,異なった病態において治療での臨床使用に重要な知見がもたらされた。急性期に血清アルブミンの目標値を2.5~3.0 g/dlに設定してアルブミン投与を行った臨床研究は多いが,アルブミン投与の優位性は示されていない。血管内容量減少および重症敗血症の患者へのアルブミン投与は,晶質液投与と比べた場合,死亡率を改善する効果はない。また,外傷性脳損傷患者での輸液蘇生や急性脳梗塞の初期治療に有効とはいえない。前者では予後の悪化が指摘されている。一方,肝硬変腹水例において高張アルブミン投与は腹水消失率を高めるとともに,腹水再発を抑制し,長期投与で生存率も改善する。また神経疾患に対する治療として,アルブミンを置換液とした治療的血漿交換療法は有効である。アルブミン投与に明確なトリガー値はなく,疾患や患者の状態を勘案して使用を決定する必要がある。
原著
  • 土川 洋平, 小林 聖典, 清水 美帆, 貝沼 関志, 碓氷 章彦
    2017 年 24 巻 6 号 p. 619-624
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    【目的】心臓外科術後にICU-acquired delirium(ICU-AD)を発症した患者の術前身体機能特性を明らかにする。【方法】対象は2013年10月から2014年5月までの間に,当院で待機的に心臓外科手術を受けた患者107名とした。術後ICU-AD発症群16名と非発症群91名の年齢,性別,体重,BMI,既往歴,術前身体機能,精神・認知機能,心臓超音波検査結果,血液生化学検査結果,手術情報,術後ICU情報を比較,検討した。【結果】ICU-AD発症群は非発症群と比較し,術前下肢筋力(0.31±0.11 kgf/kg vs 0.40±0.14 kgf/kg,P<0.05),握力(21.4±10.7 kgf vs 28.2±10.4 kgf,P<0.05)が有意に低く,片脚立位時間(5.3±3.6秒 vs 25.7±22.4秒,P<0.01)が有意に短かった。またロジスティック回帰分析にてICU-AD発症の予測因子は術前片脚立位時間,抑うつ,挿管時間が抽出された。【結語】心臓外科術後にICU-ADを発症した患者は,術前の身体機能が低いことが示唆された。
研究速報
  • 岩井 健一, 讃井 將満, 柴﨑 多恵子, 岩谷 理恵子, 奥田 晃久, 平塚 明倫, 内野 滋彦, 瀧浪 將典
    2017 年 24 巻 6 号 p. 625-627
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    Objectives: The indications for noninvasive positive pressure ventilation (NPPV) have been expanded in recent years, and previously reported predictors of NPPV failure may not be applied for current NPPV patients. In this study, we retrospectively examined clinical data to reevaluate the predictors of NPPV failure. Methods: Patients who were treated with NPPV in our ICU between August 2010 and July 2012 were divided into two groups; success and failure. The success group included patients who were weaned from NPPV, while the failure group included patients who eventually required tracheal intubation. Baseline patient characteristics, results of the first arterial blood gas (ABG) test after the initiation of NPPV, duration of NPPV, length of ICU stay, and ICU mortality were compared between the two groups. Results: The success group included 96 patients and the failure group included 40 patients. The results of the ABG test (pH, PaCO2, P/F ratio) showed no difference between the two groups. Duration of NPPV was similar between the two groups but length of ICU stay was longer (P<0.01) and ICU mortality was higher (P<0.01) in the failure group when compared with the success group. Conclusions: Our results suggest that the results of the first ABG test following NPPV initiation may not be accurate predictors of NPPV failure.
短報
委員会報告
  • 日本集中治療医学会感染管理委員会ワーキンググループ
    2017 年 24 巻 6 号 p. 641-649
    発行日: 2017/11/01
    公開日: 2017/11/01
    ジャーナル フリー
    日本集中治療医学会評議員を対象に,ICUにおける抗菌薬適正使用推進プログラム(antimicrobial stewardship program, ASP)に関するアンケート調査を行い,(1)抗菌薬の選択,(2)pharmacokinetics(PK)/pharmacodynamics(PD)に基づいた用法・用量の最適化,(3)de-escalation,(4)抗菌薬中止の提案,(5)therapeutic drug monitoring(TDM)に基づいた投与量の適正化,の5つを判断する項目とした。500床以上の病院では感染管理チームが(5)TDMに関与する頻度が有意に高く(501床以上 vs 500床以下:OR:2.97,P=0.03),薬剤師が毎日ラウンドするICUでは,(2)PK/PD (配属 vs 週1回以下:OR:8.21,P<0.01)および(5)TDMに関与する頻度が有意に高かった(毎日 vs 週1回以下:OR:4.33,P=0.03)。感染管理チームが毎日ラウンドするICUでは,TDM以外の4項目(1)抗菌薬選択(毎日 vs 週1回:OR:8.05,P<0.001),(2)PK/PD(毎日 vs 週1回:OR:3.13,P=0.04),(3)de-escalation(毎日 vs 週1回:OR:10.0,P<0.001),(4)抗菌薬中止(毎日 vs 週1回:OR:11.5,P<0.001)に関与する頻度が有意に高かった。以上より,ICUにおけるASPに関しては,感染管理チームが毎日ICUにラウンドすることが重要である。
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