体位呼吸療法(腹臥位,前傾側臥位)を併用した非侵襲的陽圧呼吸法(NIPPV)を急性呼吸不全症例に適用し,改善した6例(成功群)と,経過中に挿管を要した6例(不成功群)を比較し,本法における予後影響因子を検討した。両群間で治療開始時の重症度スコア,PaO
2/F
IO
2最低値に有意差はなかったが,成功群のほうがより発症後早期であった。不成功群では有意に呼吸回数が多く,PaCO
2が低く(高度過換気),代謝性アシドーシスが強かった。挿管を要した理由は主に呼吸筋疲労,敗血症ショック,咳嗽時のPaO
2低下などであった。本法では呼吸疲労がないこと,意識清明で咳嗽が安全に行えること,下側肺障害があり体位依存性に肺酸素化能が改善することなどが前提であるが,さらに,(1)代謝性アシドーシスが進行性でない,(2)発症後早期(3日以内)で肺障害が極端に高度でない,(3)原病態が制御可能,(4)呼吸数が40min
-1以下で過換気が高度でない(PaCO
2>30mmHg)などの条件が予後の良否を決定する。
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