日本集中治療医学会雑誌
Online ISSN : 1882-966X
Print ISSN : 1340-7988
ISSN-L : 1340-7988
30 巻, 5 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
編集委員会より
原著
  • 寒川 貴文, 三住 拓誉, 則本 和伸, 嶋岡 英輝
    原稿種別: 原著
    2023 年 30 巻 5 号 p. 399-403
    発行日: 2023/09/01
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー

    【目的】 高流量鼻カニューレ酸素療法(high-flow nasal canula oxygen, HFNC)は,周囲に病原微生物の拡散を惹起する可能性がある。模擬装置を使用し,HFNCに伴う飛沫の飛散距離と方向を調査した。【方法】HFNC,人工肺,解剖学的構造を再現した医療用上気道マネキンを用いた実験系を作製した。マネキンの鼻腔および口腔内に人工唾液を噴霧し,人工肺,HFNCの流量やカニューレの装着方向などの条件を変更しながら実験を行った。感水紙を用いて最大飛散距離,飛沫付着面積を計測した。【結果】HFNCの流量が増加するほど飛散距離は大きくなり,最大値は流量60 L/minの時の191 mmであった。飛沫はカニューレ装着側の対側へ多く飛散した。【結論】本実験モデルによるとHFNC実施に伴う飛沫の最大飛散距離は200 mm程度であり,飛沫はカニューレ装着側の対側で多くなる可能性がある。実臨床における飛散距離や方向についてはさらなる検討が必要である。

症例報告
  • 森島 陽, 笹野 信子
    原稿種別: 症例報告
    2023 年 30 巻 5 号 p. 405-409
    発行日: 2023/09/01
    公開日: 2023/09/01
    ジャーナル フリー

    MRI造影剤であるガドリニウムは,ヨード造影剤と比較して重篤な急性副作用が少ないが,ガドリニウム造影剤の一種であるガドブトロールによるアナフィラキシー反応から心肺停止となり,その後急激な線溶亢進型DICを発症した症例を報告する。70歳代の女性に対して,転移性脳腫瘍の精査のため,造影MRI検査を施行した。ガドブトロール投与後5分でショック,投与後10分で心肺停止となり,心肺蘇生法を施行し,その12分後に自己心拍が再開した。その後,ルート刺入部などに著明な血腫を形成し,フィブリノゲン71 mg/dL,FDP 491.4μg/mL,Dダイマー26.2μg/mLと線溶亢進型DICを呈した。出血傾向の悪化はなく,凝固系検査値は自然回復した。ガドリニウム造影剤は,頻度は低いものの重篤なアナフィラキシー反応を引き起こすことがあり,注意が必要である。また,アナフィラキシーは,急速な一過性の線溶亢進型DICを併発する場合がある。

短報
レター
feedback
Top