日本集中治療医学会雑誌
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25 巻 , 6 号
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編集委員会より
今号のハイライト
総説
  • 井上 明彦, 一二三 亨, 黒田 泰弘
    2018 年 25 巻 6 号 p. 421-429
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    外傷患者では疼痛管理が必須である。疼痛によって引き起こされるストレス反応は,様々な有害事象と関連し,適切な疼痛管理は短期的にも長期的にも良好なアウトカムに関連する。疼痛に対しては,まずは疼痛スケールにより評価し,系統的に鎮痛を行っていく。複数の鎮痛薬や鎮痛法を組み合わせた鎮痛管理(multimodal analgesia management)は,特にオピオイドの副作用を減少させることができ,有効である。重症外傷患者では,時に蘇生が優先されるため,ICUに入室する際は見逃し損傷に注意が必要である。肋骨骨折は外傷の中でも頻度が高いが,不適切な疼痛管理により肺炎を合併し,時に致死的となる。しかし,有効な鎮痛法に関しては,根拠を示す十分な研究がいまだにないのが現状である。今後のさらなる研究が望まれる。

原著
  • 田村 暢一朗, 岡本 洋史, 中西 美鈴, 加藤 由美
    2018 年 25 巻 6 号 p. 431-436
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究の目的は,外傷後のQOLの経時的変化を調査し,それに影響を与える因子を明らかにすることである。【方法】2013年9月から2015年9月までに当院に入院した外傷患者を対象とし,SF-36スコアの推移を1年間フォローアップした。プライマリアウトカムを退院後1年間のSF-36の身体機能スコアと心の健康スコアとし,それに影響を与える因子をlinear mixed-effects modelを用いて検討した。【結果】対象患者は129人であった。下肢外傷,譫妄,同居家族ありが身体機能スコアを,既婚が心の健康スコアを低下させていた。Injury severity score(ISS),手術の有無は影響を及ぼさなかった。【結論】受傷12ヵ月経過しても健康関連QOLは国民標準値に至らなかった。社会背景や受傷部位が長期的なQOLに強く影響を及ぼしていた。

症例報告
  • 松居 亮平, 前田 洋平, 宋 潤錫, 今神 透, 田中 昭光, 坂本 雅樹, 高山 悟, 可児 久典
    2018 年 25 巻 6 号 p. 437-440
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    症例は59歳,男性。腹痛を主訴に救急搬送され,腹部造影CTで前下膵十二指腸動脈瘤破裂による後腹膜血腫と診断した。動脈瘤の原因として,segmental arterial mediolysisと腹腔動脈起始部狭窄の関与が考えられた。Transcatheter arterial embolizationを行ったが,巨大な後腹膜血腫による腹部コンパートメント症候群を発症した。メッシュによる正中の筋膜牽引とnegative pressure wound therapyを併用したopen abdominal managementを行い,状態が安定したところで後腹膜血腫の除去と筋膜閉鎖による閉腹を行って良好な転帰を得られた。

  • 福政 宏司, 谷 昌憲, 中川 聡
    2018 年 25 巻 6 号 p. 441-446
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    【目的】これまで溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome, HUS)の腎機能予後不良因子などは報告されているが,腎代替療法(renal replacement therapy, RRT)の施行期間に関する因子の検討はされていない。今回我々は長期間RRTを要する症例の特徴について検討した。【方法】2010年1月から2014年12月の間にHUSの診断で当院PICUに入室し,RRTを導入した7例を対象とし,診療録を用いた後方視的観察研究を行った。RRTを1週間未満で離脱した症例を短期群(4例),1週間以上施行した症例を長期群(3例)の2群に分類し,患者背景,検査結果,尿量,水分出納について比較検討した。【結果】長期群はRRT導入後2〜4日目の尿量が有意に少なかった。同期間の%fluid overloadに両群間で統計学的有意差は認められなかった。【結論】RRT導入後,乏尿または無尿が4日間以上持続する場合には長期間のRRTを要する可能性がある。

  • 後藤 保, 谷 昌憲, 澤田 奈実, 手塚 宜行, 宮田 一平, 宮入 烈, 西村 奈穂, 中川 聡
    2018 年 25 巻 6 号 p. 447-452
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    Human parechovirus(HPeV)は,新生児,乳幼児期の感染でより重症化しやすく,様々な臓器障害を引き起こすとされている。今回,2011年1月から2014年9月に当院PICUに入室し,血清ウイルスPCR(polymerase chain reaction)でHPeV陽性となった13例の臨床的特徴と臨床経過についてまとめた。特徴として,男児が多く(11例),全例が3か月未満の乳児であり,初夏から秋にかけて発症していた。血液検査では白血球数低値,CRP陰性であり,血清フェリチン値を測定された5例ではフェリチン値の上昇を認めた。また,ショックを呈した症例が10例と大多数を占め,全例で100 mL/kg以上の輸液負荷が行われていた。HPeVの重症例は敗血症性ショックを呈し,多量の輸液負荷やカテコラミンなどを用いた初期蘇生が行われていたことが明らかとなった。

  • 植村 桜, 佐橋 佳子, 上田 小百合, 石井 真由美, 藤本 千恵子, 嶋岡 英輝
    2018 年 25 巻 6 号 p. 453-456
    発行日: 2018/11/01
    公開日: 2018/11/01
    ジャーナル フリー

    【目的】High care unit(HCU)における退室判断の指標としてnational early warning score(NEWS)の有用性を検証した。【方法】2015年4月〜2016年3月にHCUへ入室した症例を対象に,基本属性,HCU退室時のNEWS,同一入院期間中のICUまたはHCUへの再入室の有無について,診療録を後方視的に調査した。再入室の有無により2群に分類し,検定を行った。【結果】HCU退室患者は775名で,ICUまたはHCUへの再入室は24名(3.1%)であった。再入室群においてNEWSが高く(4点 vs. 2点,P=0.01),high risk群が有意に多かったが(25% vs. 5.6%,OR 4.28,95%CI 1.38〜13.3,P=0.001),再入室予測の診断精度は0.653とやや低かった。【結論】NEWSはHCUの退室判断の指標の一助として有用である。

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