日本集中治療医学会雑誌
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10 巻, 2 号
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  • 梶谷 文彦
    2003 年 10 巻 2 号 p. 83-90
    発行日: 2003/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    20世紀になって医学・医療は理工学領域で開発された技術を導入し,めざましい発展を遂げた。その嚆矢が,今から約100年前のアイントーフェンによる絃線心電図の開発であり,これはまさに,医用工学の源泉ともいえるものである。日本でも1930年代に,故武見太郎先生(後の日本医師会長)は,理化学研究所の理工学者たちと,高性能の絃線電流型式心電計を開発し,ドイツへ輸出していたという。医用工学が大きく発展したのは20世紀後半であるが,その直接の動機づけは,第二次世界大戦中の電子・通信工学の大きな進歩であった。その技術を医学・医療分野に利用しようという機運が生じ,日本でも医用工学の研究活動が始まった。端的に言うと1940~60年代には人工透析や人工心肺などの治療機器の発展と種々のモニターを含む電子計測機器の発展が特に目につく。1970年代はまさに医用画像の10年である。X線CT,MR-CT,ポジトロンCTいずれもこの間に集中しており,これによって医学の教科書はその内容が一新した。1980年代は,医用工学機器の円熟期であり,今日病院でみられる機器のほとんどは,この時期に完成ないし実用化に向かったといえる。1990年以後においては,分子生物学の進歩が著しく,ゲノムや再生医学などの展開に目を見張るものがある。いまや医学・医療の分野は,周辺科学と近代技術の支援なくしては成立し得ない状況にあり,なかでも分子生物学と医用工学は車の両輪の関係にあるといっても過言ではない時代となっている。
  • 長谷川 直樹
    2003 年 10 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 2003/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    我が国の結核の罹患率を鑑みると,重症の急性呼吸不全にて発症し入院後に原因が結核と判明する例や,結核以外の重症基礎疾患に結核の合併が判明する例が一般病院のICUにて発生する可能性が常にある。特に,喀痰を含む呼吸器系検体より抗酸菌塗抹陽性で発見された場合には,結核予防法に従い保健所への速やかな連絡に加えて,空気感染である結核に対する迅速な対応を要する。抗結核療法の開始,加えてN95微粒子用マスク着用による個人的感染予防,医療従事者や同室者への感染拡大防止のために換気の独立した病室への移動を要する。特に,ICU管理を要するような重症例に対して治療レベルを落とさずに治療を継続するためには,ICUを含む院内に人工呼吸管理が可能な独立陰圧換気可能な病室の整備を進める必要がある。また,病院長直属の院内感染対策委員会を設置し,結核発生時の対応を充実させるとともに医療従事者への教育と啓発,健康管理を怠らないことが必須である。
  • 小児特定集中治療室管理料制定の必要性について
    福光 一夫, 北村 征治, 木内 恵子, 谷口 晃啓, 宮本 善一, 平尾 収
    2003 年 10 巻 2 号 p. 99-103
    発行日: 2003/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    1997年1月1日から1999年12月31日の3年間に当センター小児集中治療室(PICU)に入室した545例の年齢別,疾患別在室日数を調べた。平均年齢は2.3歳,平均PICU在室日数は10.6日であった。年齢別では新生児症例が全体の19.6%を占め,在室延日数の45.1%を占めた。新生児症例のうち27.1%は入院期間内にPICUに再入室していた。疾患別では左心低形成症候群,先天性横隔膜ヘルニァ,臍帯ヘルニアなどの先天性疾患で新生児手術症例のPICU在室期間が長かった。PICUに占める新生児症例の割合は,我が国での周産期医療の進歩とともにさらに増加すると推察された。診療報酬の試算結果では特定集中治療室管理料加算日数を現状の14日から21日に延長し新生児症例については60日にすることで,PICU在室延日数の88%が加算対象となった。PICU不足問題に対して医療経済面からも効果を期待するためには,加算日数を大幅に増やした小児集中治療室算定基準を設ける必要がある。
  • 藤田 喜久, 木村 素子, 横田 喜美夫, 木村 健一, 鳥海 岳, 原田 佳実, 藤井 智子, 左利 厚生
    2003 年 10 巻 2 号 p. 105-109
    発行日: 2003/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    我々は手術後で圧支持換気(PSV)により人工呼吸中の患者(n=7)を対象として,プロポフォール持続注入による鎮静中と持続注入中止後の覚醒状態での一呼吸サイクルごとの呼吸パラメータを解析し,プロポフォールを用いた鎮静の呼吸パターンへの影響を調べた。プロポフォール持続注入中止により患者は20分以内に覚醒し呼吸パターンの変化が確認された。すなわち吸気時間と平均吸気流速は不変であったが,呼気時間の短縮により呼吸数が増加し,分時換気量も増加した。鎮静中にはPSV下で低一回換気量(50ml以下)や過大一回換気量(平均一回換気量の2倍以上)の呼吸サイクルを認めなかったが,覚醒後には過大一回換気量の呼吸サイクルが0.3%の頻度で出現し,一回換気量の分散も大きくなった。以上の結果より,PSVによる人工呼吸患者でのプロポフォールの持続注入による鎮静は,呼吸ドライブには影響しないが,呼気時間を延長させること,患者と人工呼吸器との調和を良好に維持することが明らかになった。
  • 森田 善仁, 讃岐 美智義, 世良 昭彦, 木下 博之
    2003 年 10 巻 2 号 p. 111-116
    発行日: 2003/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    心停止をきたした脚気心症例を経験し,PCPS下に,ビタミンB1を静注し救命しえた。48歳男性。ショック,呼吸困難のため当院に緊急搬送された。来院時,重篤な循環不全と代謝性アシドーシスを認めた。カテコラミンや重炭酸ナトリウム投与,IABPによる循環補助によっても症状の改善を認めず,心臓カテーテル検査中,心停止をきたしたためPCPSを導入した。諸検査後,心筋梗塞,肺梗塞,心タンポナーデを否定し,病歴から脚気心を疑った。ビタミンB1100mgを静注後,2時間でアシドーシスの改善がみられ,6時間で循環動態が安定したためPCPSを離脱した。原因不明のショック,アシドーシスでは,脚気心を疑い,速やかにビタミンB1を投与するべきである。
  • 原 かおる, 山森 祐治, 橋本 圭司, 二階 哲朗, 小笹 浩, 齊藤 洋司
    2003 年 10 巻 2 号 p. 117-120
    発行日: 2003/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    喘息重積発作に対する吸入麻酔薬を用いた人工呼吸療法中に,脳梗塞を併発した症例を経験した。患者は14歳女性,1歳から気管支喘息の既往があった。喘息重積発作にて当院小児科に入院。各種薬物療法により改善がみられないため,第2病日ICUに緊急入室となった。入室後,人工呼吸管理のもとイソフルランの吸入を開始した。徐々に呼吸状態は改善し,吸入開始から68時間後(97 minimum alveolar concentration・hour)に吸入を中止した。中止後,意識が回復せず,第6病日の頭部CTにて両側後頭葉,小脳,中脳から橋にかけての脳梗塞を認めた。脳梗塞,脳浮腫に対する治療を行い意識状態は改善したが,高度の後遺症を残した。本症例の脳梗塞は何らかの原因で生じた血栓が脳底動脈から後大脳動脈に塞栓を引き起こしたものと推測された。原因検索の結果,血管や凝固系の異常,心原性の塞栓については否定的であり,明らかな原因は特定できなかった。吸入麻酔療法中は,意識レベルの確認が困難であることをはじめ,その副作用や潜在的合併症が起こりうる。施行時にはこれらに配慮した注意深い観察が求められる。
  • 寺田 宏達, 松元 茂, 三井 由希子
    2003 年 10 巻 2 号 p. 121-124
    発行日: 2003/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    バソプレシンは心肺蘇生時・敗血症性ショックでの有用性が報告されているが,出血性ショックでの見解は定まっていない。我々は,総腸骨動脈瘤の再破裂により出血性ショックとなった症例にバソプレシン単回静脈内投与を行い循環の安定を得た症例を経験した。症例は60歳,男性。左総腸骨動脈瘤破裂に対する緊急手術の麻酔導入後に再破裂が起こり,急速輸液・輸血,カテコラミン静注,心臓マッサージを行ったが,血圧40mmHg台,心拍数170min-1台が続いたため,バソプレシン20単位を静脈内に単回投与した。収縮期血圧80mmHg台,心拍数140min-1となり心臓マッサージやカテコラミン単回投与が不要となり,尿量も増加した。手術は総腸骨動脈の人工血管置換術が行われ,術後,精神神経障害はなく経過良好であった。出血性ショックにおいても重要臓器の循環維持にバソプレシン投与が有用であることが示唆された。
  • 伊藤 辰哉, 島田 二郎, 美甘 冨美子, 馬屋原 拓, 岡田 剛, 和田 倫子, 松本 幸久, 土井 敏彦
    2003 年 10 巻 2 号 p. 125-126
    発行日: 2003/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 成松 紀子, 田上 正, 高群 博之, 江嶋 正志, 後藤 慶次
    2003 年 10 巻 2 号 p. 127-128
    発行日: 2003/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 早川 峰司, 丸藤 哲, 佐藤 朝之, 久保 公三, 星野 弘勝, 亀上 隆, 森本 裕二, 松原 泉
    2003 年 10 巻 2 号 p. 129-130
    発行日: 2003/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 行岡 秀和, 栗田 聡, 吉田 玄, 加藤 昇
    2003 年 10 巻 2 号 p. 131-134
    発行日: 2003/04/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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