動脈瘤破裂によるくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage, SAH)は,脳卒中全体の5%と比較的少ないものの,他の脳卒中と比較して若年でも発症しやすく,死亡率は高い。病態生理の理解が進み,管理方法が向上し,神経学的予後は改善している。脳血管攣縮が遅発性脳虚血(delayed cerebral ischemia, DCI)を引き起こすと考えられてきたが,脳血管攣縮だけではなく様々な要因で起こることがわかってきている。SAH後にDCIを起こし,脳梗塞に至ってしまうと身体機能は低下する可能性が高く,適切な予防や介入が求められる。過去60年以上にわたり脳血管攣縮やDCIに対する予防や治療が検討されてきているが,確立した予防・治療法は少ない。本稿では,DCIの病態生理および,モニタリング方法と予防・治療的介入について解説する。
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