症例は64歳,女性。2週間前に感冒の診断で近医から抗菌薬を処方され,5日前にも再度抗菌薬を投与された。しかし全身状態不良であり,当院紹介となった。搬送時ショックバイタルであり,early goal-directed therapyを施行,ステロイド投与したが一時心肺停止となった。原因精査にて
Clostridium difficileトキシン陽性,大腸内視鏡検査で偽膜形成を認めたことから,劇症型偽膜性腸炎,敗血症性ショックと診断した。全身状態から手術療法は困難と判断し,バンコマイシンを投与して保存的に加療した。Polymyxin B immobilized fiber column direct hemoperfusion(PMX-DHP)を開始することで,カテコラミンが減量でき,第3病日には中止となった。その後全身状態は安定し,第16病日にICU退室,第86病日に退院となった。劇症型偽膜性腸炎は,致死率が高く,外科的治療を施行しても救命できない症例が多い。今回我々は,PMX-DHPを併用し循環管理を行うことで,保存的に加療でき,救命することができた。
抄録全体を表示