日本集中治療医学会雑誌
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22 巻 , 2 号
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今号のハイライト
原著
  • 重光 胤明, 澤野 宏隆, 夏川 知輝, 林 靖之, 甲斐 達朗
    2015 年 22 巻 2 号 p. 105-111
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
    【目的】本邦では病院前救急医療としての外科的気道確保に関する知見が少ないため,その詳細を明らかにする。【方法】2006年4月から2011年6月までにドクターカーで現場活動し,外科的気道確保を行った症例を後ろ向きに検討した。【結果】現場活動は6,102例,確実な気道確保を要した症例は1,217例で,そのうち外科的気道確保は8例(0.66%)であった。年齢の中央値は67歳,気道閉塞(7例)が最多の原因であった。気管挿管を試みた回数の中央値は2回であるが,患者接触から外科的気道確保までの時間の中央値は17.5分であり,回数に比して時間を要した。28日後には現着時心肺停止を除く5例中4例が生存した。外科的気道確保に関連する合併症はなかった。【結論】気道閉塞が外科的気道確保の最多の原因であった。生存率は良好だが病院前救急医療では様々な制限により外科的気道確保までに時間を要するため,これを短縮することが課題である。
症例報告
  • 上田 剛士
    2015 年 22 巻 2 号 p. 113-116
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
    41歳女性がパロキセチン5,740 mgを服用後,発熱,散瞳,腱反射亢進,眼球クローヌス,ミオクローヌスを呈しセロトニン症候群と診断した。翌日torsades de pointes(TdP)が出現したが,硫酸マグネシウム投与で消失した。血中KやMg値の補正にもかかわらずQTc時間延長の改善は乏しく,最終服用後7日目に測定したパロキセチン血中濃度は異常高値を示した。ベンゾジアゼピンとシプロヘプタジンによる対症療法でセロトニン症候群は軽快し,またQTc時間は正常化した。本例はパロキセチンの大量服用以外に明らかな誘因なくTdPを来した初めての報告である。パロキセチンはselective serotonin reuptake inhibitor(SSRI)の中でも安全性は高いとされるが,高用量を服用すると代謝酵素CYP2D6の働きを阻害することで血中濃度が非線形的に上昇した結果TdPを起こしたと推測した。
  • 藤塚 健次, 中野 実, 大塚 修, 高橋 栄治, 中村 光伸, 宮崎 大, 小倉 崇以, 原澤 朋史
    2015 年 22 巻 2 号 p. 117-121
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性。2週間前に感冒の診断で近医から抗菌薬を処方され,5日前にも再度抗菌薬を投与された。しかし全身状態不良であり,当院紹介となった。搬送時ショックバイタルであり,early goal-directed therapyを施行,ステロイド投与したが一時心肺停止となった。原因精査にてClostridium difficileトキシン陽性,大腸内視鏡検査で偽膜形成を認めたことから,劇症型偽膜性腸炎,敗血症性ショックと診断した。全身状態から手術療法は困難と判断し,バンコマイシンを投与して保存的に加療した。Polymyxin B immobilized fiber column direct hemoperfusion(PMX-DHP)を開始することで,カテコラミンが減量でき,第3病日には中止となった。その後全身状態は安定し,第16病日にICU退室,第86病日に退院となった。劇症型偽膜性腸炎は,致死率が高く,外科的治療を施行しても救命できない症例が多い。今回我々は,PMX-DHPを併用し循環管理を行うことで,保存的に加療でき,救命することができた。
  • 右山 洋平, 廣佐古 進, 山口 絵美, 田代 貴大, 鷺島 克之, 蒲原 英伸, 興梠 博次, 木下 順弘
    2015 年 22 巻 2 号 p. 122-126
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
    緑膿菌による人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia, VAP)は再発率が高い。VAPを繰り返す難治性の緑膿菌気道感染に対し,トブラマイシンの吸入療法にて改善した症例を経験したので報告する。症例は66歳,男性。作業中に右前腕を受傷し緊急手術を施行された。術後,VAPを発症して呼吸不全の状態が続き,当院集中治療部に転院となった。ICU入室57日目に気管支液から緑膿菌が検出され,以後,緑膿菌による肺炎を繰り返して人工呼吸器からの離脱が困難となった。入室192日目から難治性の慢性緑膿菌気道感染に対する維持療法としてトブラマイシンの吸入療法を開始した。その後,気管支液中の緑膿菌数および気道感染増悪の頻度は減少し,入室260日目に人工呼吸器を離脱できた。トブラマイシン吸入療法は安全性が高く,緑膿菌によるVAP再発の制御に有効である可能性が示唆された。
  • 山本 泰史, 清水 梨江, 岩﨑 光生, 二宮 万理恵, 大川 恵, 西田 朋代, 高田 幸治
    2015 年 22 巻 2 号 p. 127-131
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
    カルバマゼピンが原因と考えられる薬剤性過敏症症候群(drug-induced hypersensitivity syndrome, DIHS)から急性肝不全となった症例を経験した。72歳の女性で,入院6週前に三叉神経痛に対してカルバマゼピンを投与された。入院1週前より皮疹が出現,さらに発熱,肝障害もあり入院前日にカルバマゼピンの投与を中止し,当院紹介受診となった。入院後よりプレドニゾロンで治療するも肝障害が進行し,急性肝不全となりICUに入室した。ICUにてステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1 g/day,3日間)や血漿交換を行うも肝機能の改善はなく,カテーテル関連血流感染症により第31病日に死亡となった。本症例ではヒトヘルペスウイルス6の再活性化を示す免疫グロブリンG抗体価上昇の条件は満たさなかったが,診断基準にある他の主要所見は満たしたことから非典型DIHSと考えられた。DIHSの死因は肝不全が最も多く,肝障害の進行を抑えるため,早期診断と原因薬剤の中止が重要である。
  • 榎本 有希, 六車 崇
    2015 年 22 巻 2 号 p. 132-136
    発行日: 2015/03/01
    公開日: 2015/03/10
    ジャーナル フリー
    デクスメデトミジン(dexmedetomidine, DEX)は離脱徴候を引き起こさないと言われていたが,長期投与例が増加するに伴い,離脱徴候に関する報告が散見されている。しかし,少数例のものにとどまり,その実態は明らかではない。DEXによる離脱徴候が見られた5例について報告する。5症例の月齢の中央値は22(最小4,最大39),DEX投与期間の中央値は61時間(最小54,最大187),最大投与流量の中央値は 0.9μg/kg/hr(最小0.6,最大0.9)だった。DEXを漸減してから中止した症例はいなかった。離脱徴候としては頻脈,頻呼吸,高血圧,発熱,興奮,不機嫌,睡眠障害,振戦,易刺激性などの症状が見られた。DEXを長期間投与した小児では離脱徴候の出現に留意する必要がある。
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