表面科学
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17 巻, 11 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 奥山 雅則
    1996 年 17 巻 11 号 p. 648-653
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    D-Eヒステリシス,大きい誘電率,顕著な圧電効果,焦電効果,電気光学効果を有する強誘電体の薄膜化法を概説するとともに,DRAM,不揮発性メモリ素子,低駆動電圧薄膜EL素子,Siモノリシック超音波センサ,焦電形赤外線FET,赤外線撮像素子,光変調素子,光スウィッチ,光偏向素子,マイクロモータ,光駆動マイクロカンチレバーなどの薄膜を用いた機能性電子デバイスの例について紹介する。
  • 南部 信次
    1996 年 17 巻 11 号 p. 654-659
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    チタン酸バリウムBaTiO3(BT)やチタン酸ジルコン酸鉛Pb(Zr,Ti)O3(PZT)に見られるドメイン構造は古くから観察されてはいるが,いわゆるメゾスコピックなスケールでの秩序構造であり,理論的な理解が困難な対象でもある。この解説では,ペロブスカイト強誘電体のドメイン構造の起源と,その外部電場に対する応答としてのヒステリシスについて,平易な解説を試みる。BTやPZTに見られるドメイン構造は結晶の弾性的性質を強く反映したものであり,この観点から多結晶バルクと多結晶薄膜との誘電特性の相違を議論したい。また2次元正方相モデルに対するシミュレーション結果を紹介し,分極反転を伴うヒステリシスとそれに対応するドメイン構造の時間変化を可視化した結果を示す。
  • 堀川 剛
    1996 年 17 巻 11 号 p. 660-665
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    次世代のDynamic Random Access Memory (DRAM)の誘電体薄膜応用を目的として,(BaxSr1-x)TiO3薄膜の開発を行っている。本解説では,RFスパッタリング法により堆積温度を変えて作製した(BaxSr1-x)TiO3多結晶薄膜(x=0.1-0.75)の誘電特性について述べ,薄膜の誘電特性に及ぼす結晶性の影響をまとめる。(BaxSr1-x)TiO3膜の堆積温度が高くなるとある温度で膜中の結晶粒が塊状から柱状に変化し始め,それ以上の堆積温度では温度の増加と共に顕著に誘電率が増加する傾向が認められる。組成比を変化させた時,堆積温度が低い場合(660℃)には,比較的Srrichな組成(x=0.4)で誘電率の極大が観測されるが,堆積温度が高くなる(750℃)と,Barichな組成(x=0.75)に誘電率の極大が移動し,誘電率の値自体も大きくなる。これらの試料において,X線回折ピークの半値幅より見積ったグレインサイズと誘電率との間に強い正の相関が認められる。薄膜試料の誘電率は最大のものでも700前後とバルク値に比べて小さく,低温相である強誘電相が観測されない等,セラミックスとは著しく異なる特性を示す。この薄膜とバルクの誘電特性の本質的な相違は,材料を構成するグレインサイズの違いに由来すると推察される。
  • 中村 孝
    1996 年 17 巻 11 号 p. 666-670
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
     強誘電体をメモリなどの半導体集積回路に応用する研究が盛んに行われている。それに伴い強誘電体の成膜などのプロセス技術や物性についてもメモリ素子への応用という観点から研究が進み強誘電体メモリの実用化は秒読み段階になってきた。しかし, 高信頼化や高密度化に向けてまだまだ課題が数多く残されている。高信頼化に向けて現在抱えている問題点としては,データ保持特性, 書換え耐性や耐環境性である。これは, 材料や強誘電体の膜質はもちろんのこと, キャパシタ形成後の還元雰囲気やストレスなどによる劣化が問題となっている。高密度化に対しては, 表面モフォロジーの改善, 薄膜化, エッチングプロセスの特性向上などが望まれてくるであろう。このように, 強誘電体のメモリ応用という観点からPZT系強誘電体を中心に, 材料, プロセス, 電気特性について述べていく。
  • 表面弾性波素子への応用
    藤村 紀文, 伊藤 太一郎
    1996 年 17 巻 11 号 p. 671-675
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    LiNbO3(以下LNと称す)結晶は,空間群R3c,三方晶系に属し,イルメナイト型に似たLN型と呼ばれる結晶構造を有している。その空間対称性のために強誘電性,圧電性,焦電性などの特性を有する。近年は,その高い電気光学効果を利用した光導波路素子,二次電気感受率を利用した非線形光学素子,圧電性を利用した表面弾性波素子などへの応用研究が盛んに行われている。これらの非常に優れた特性を薄膜デバイスとして利用するために,1970年代前半に様々な方法で薄膜化が検討され,ヘテロエピタキシャル膜も報告されている。ここ数年,強誘電体メモリーブームも相まって良質のヘテロエピタキシャル膜の報告が相次いでいる。また,凍結した強誘電体といわれているLNが薄膜化することによって室温で分極反転する,アモルファス薄膜がPEヒステリシスを示す等の興味深い現象も見いだされている。本解説では,LN薄膜の様々な応用の中でも特にエピタキシャル膜として重要な表面弾性波応用に的を絞り,そのエピタキシャル方位を制御した結果得られた表面弾性波特性の向上について報告する。また,成長方位制御と面内エピタキシャル方位関係との関係を界面でのクーロンポテンシャル計算を用いて説明する。
  • 梨本 恵一
    1996 年 17 巻 11 号 p. 676-682
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    従来,金属アルコキシドの加水分解反応を利用したゾル・ゲル法は,化学組成の制御,均一性,大面積化,低設備コストなどの面で優れる多結晶薄膜作製プロセスとして用いられてきた。それに対して,金属アルコキシドの加水分解を抑制することにより,格子整合性を有する基板表面での不均質核生成が優先的に起こり,固相エピタキシャル成長が可能となる。本稿ではこの金属アルコキシド溶液を用いた強誘電体薄膜の固相エピタキシャル成長法が新しい光導波路素子作製技術の可能性を有することを示す。固相エピタキシャル成長を行ったSrTiO3基板上のPZT薄膜においては,(001)面によるロッキング・カーブ半値幅が0.08°,rms表面粗さがわずか1.6nm程度のきわめて平滑な表面が得られた。このPZT薄膜における光伝搬損失は633nmにて4.0 dB/cmと,PLZT系薄膜としては最も低い損失が得られた。また,サファイア(00・1)基板上に成長したLiNbO3薄膜においても3 dB/cmが得られることが確認された。このように,金属アルコキシド溶液を用いた固相エピタキシャル成長法は,化学組成制御や均一性などを特に必要とする薄膜光導波路素子の実用化に有力な技術と期待できる。
  • Pd表面上のメタノール,ギ酸の分解・酸化反応およびブタンの部分酸化反応
    渡辺 宏治, 大沼 永, 長尾 和哉, 上塚 洋, 国森 公夫
    1996 年 17 巻 11 号 p. 683-687
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    The infrared chemiluminescence technique was applied to catalytic oxidation of CH3OH, HCOOH and i-C4H10 on a Pd surface, and the reaction dynamics and mechanism were discussed in terms of internal energy states of nascent product CO2 and CO molecules. The vibrational and rotational states of CO2 produced by CH3OH oxidation were quite similar to those of CO2 produced by CO oxidation, indicating that the final step of the CO2 formation in the CH3OH oxidation involved a bimolecular process (i.e., COad+Oad). On the contrary, the intensity of IR emission of CO2 produced by HCOOH oxidation was very weak, suggesting that most of CO2 was not so vibrationally excited and that CO2 was formed via decomposition of HCOOad (unimolecular decomposition of formate). The selective production of CO and H2O was observed by the partial oxidation of i-C4H10 on Pd, and the vibrational state of product CO was very different between the Pd and Pt surfaces. These differences in internal energy states of the CO and CO2 products can provide us with new information on the dynamics and mechanism of catalytic reactions.
  • 垣谷 公徳, 矢城 陽一朗, 吉森 昭夫
    1996 年 17 巻 11 号 p. 688-693
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    固体の表面では表面再構成によりもとの結晶面とは著しく異なる二次元の異方性をもつものが多い。それらの中でも特に大きな異方性をもつ表面として金原子が吸着したシリコン(111)表面の5×2再構成表面系が挙げられる。金原子吸着シリコン(111)5×2再構成表面は,温度と金原子の吸着量のある範囲内で,吸着金原子から成る一次元鎖構造をとることが知られている。この非常に異方的な短距離秩序をもつ表面に対して,二つの異なる一次元模型を組み合わせて適用することによって表面吸着金原子の短距離秩序配列を説明した。まず,一次元鎖方向に関しては,吸着金原子の吸着位置に,あるirregularityを導入した一次元格子ガス模型を設定した。モンテカルロシミュレーションにより,吸着金原子の位置相関関数を計算した結果,STM像から得られた位置相関関数をほぼ完全に再現できた。一次元鎖間方向に関しては,一次元鎖間の位相差を4段階に不連続にした一次元XY模型を設定することで,一次元鎖間の弱い相関を説明できた。
  • 斉藤 光徳
    1996 年 17 巻 11 号 p. 694-697
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    陽極酸化法で製作したアルミナ膜の中には,微小な円柱状の穴が多数立ち並んでおり,その中に金属・樹脂・液晶などを入れることによって様々な光学特性が現れる。また,ガラスパイプの穴は特定の波長の光をよく通す性質をもっており,赤外線レーザの伝送や分光計測に利用できる。
  • 試作と像解釈のノウハウ(3)
    森田 清三, 菅原 康弘, 大田 昌弘
    1996 年 17 巻 11 号 p. 698-700
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
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