エレクトロニクス実装学会誌
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16 巻, 6 号
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巻頭言
特集/実装技術の歴史
平成25年技術賞受賞講演
  • 八甫谷 明彦, 宮脇 学, 道脇 茂, 瀧井 秀吉, 工藤 孝廣, 森 邦夫
    2013 年 16 巻 6 号 p. 450-456
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    一般的にプリント配線板の絶縁材と導体間の密着強度が発現するメカニズムは,銅箔のマット面形状,または樹脂表面の粗化によって形成される凹凸を利用した投錨効果,およびファンデルワース力,水素結合で得ている。しかしながら,凹凸の存在により,高精細パターンの形成を阻害し,表皮効果の影響による高周波の伝送ロスが拡大する弊害も多い。これらの課題を解決する方法として,樹脂と金属間などの異種材料間を化学結合により接合する分子接合技術を,ポリイミドフィルム上への直接メタラズに応用し,高性能,安価でイノベーティブな新規両面FPCを開発,製品化を実現した。新規FPCのピール強度は,初期で15 N/cm,150°C168 h,および260°C5 minの熱負荷後の低下も少なく,製品の使用に十分満足できるレベルである。製品に要求される薄型軽量,柔軟性,屈曲耐性,高密度配線,および高速伝送などの特性を評価した結果,一般両面FPCに比べ優位性があることを確認した。また,環境,およびコストの面でも大きなメリットがある。
  • 保田 雄亮, 床尾 尚也, 井出 英一, 守田 俊章, 小池 義彦
    2013 年 16 巻 6 号 p. 457-462
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    高温環境に対応した実装技術として,酸化銀粒子を用いた接合技術を開発した。有機物を含有した酸化銀粒子は加熱により150°Cで還元され,その際に銀ナノ粒子となるため低温で焼結する。この酸化銀粒子により得られた焼結銀層の信頼性を検証するために,酸化銀粒子接合を用いてパワーモジュールを作製し,パワーサイクル試験を行った。Tjmax = 150°C (ΔTj = 120 K)の条件において,従来鉛はんだの(Pb3.5Sn1.5Ag) 2倍以上となる75,000回以上の信頼性を得た。この結果より,焼結銀の接合層を用いることでパワーサイクル寿命が向上可能であることを明らかにした。
研究論文
  • 旭吉 雅健
    2013 年 16 巻 6 号 p. 463-469
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    電子デバイス接合用はんだのひとつとして,低コスト化を図るために低Agはんだが提案されている。本研究では,低AgはんだのSn-0.7Cu-0.3Agを供試材として,まず機械的性質に及ぼす温度の影響を明らかにするために静引張試験を行った。さらに,電子機器内のはんだ接合部では熱膨張係数の差に起因して熱機械疲労の損傷が生じることから,253 Kから353 Kの温度範囲での熱機械疲労試験および等温低サイクル疲労試験を行い,破損寿命評価について検討した。引張側のひずみエネルギを考慮したパラメーターを用いることによって,Sn-0.7Cu-0.3Agの熱機械疲労および等温低サイクル疲労の破損寿命を良好に評価できる可能性が示唆された。
  • 青木 智美, 片山 順一, 大塚 邦顕, 縄舟 秀美
    2013 年 16 巻 6 号 p. 470-476
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    銀めっき皮膜は可視光の反射性に優れていることから,LED照明用リフレクタとして使用されている。しかし,リフレクタとしての使用における最大の問題は,大気中に含まれるごく微量の硫黄化合物,および銅基板からの銅の拡散に起因する銀表面の変色である。
    本論文では,銅基板上に銅拡散のバリア層としてのパラジウムめっき皮膜とニッケルめっき皮膜,リフレクタとしての光沢銀めっき皮膜,および銀の硫化防止を目的としたZnO電析薄膜からなる新規多層めっきシステムについて検討した。光沢銀めっき皮膜上に緻密なZnO膜(90 nm)を形成することにより,銀めっき皮膜の硫化が抑制された。銀めっき皮膜中への銅の拡散に伴う反射率の低下は,銅基板と銀めっき皮膜の間にパラジウムめっき皮膜(0.1 μm)およびニッケルめっき皮膜(1 μm)を形成することにより抑制された。
  • 山口 拓人, 池田 靖, 秦 昌平, 小田 祐一, 黒木 一真
    2013 年 16 巻 6 号 p. 477-483
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    高温用Pbフリーはんだとして,Zn-Alはんだの酸化軽減,防止による濡れ性向上を狙った,Zn/Al/Znクラッド材およびZn/Al/Cuクラッド材を開発した。本材料はZn,Al,Cu条を用いてクラッド圧延により製造し,共晶融解反応によりはんだとして機能する。Zn/Al/Cuクラッド材は最表面のCu層によりZnおよびAlの酸化が防止され,かつ,下地のAl層がCuの拡散バリア層として働くことで,材料の溶融時までCu被覆が維持された。その結果,100 ppmの高酸素濃度雰囲気での接合を達成した。本材料により作製した継手はPbはんだの継手よりも-55/150°Cでの温度サイクル寿命が長いことを確認した。
  • 土田 徹勇起, 大久保 利一, 狩野 貴宏, 荘司 郁夫
    2013 年 16 巻 6 号 p. 484-491
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/12/03
    ジャーナル フリー
    はんだ実装前の最終表面処理として,基板の電極上には,無電解Ni/Auめっきや無電解Ni/Pd/Auめっきが施される。従来の無電解Niめっき皮膜中には,めっき浴中に含まれる微量添加剤由来の鉛が共析する。しかし,環境規制の強化により,無電解Niめっき皮膜の鉛フリー化が予想される。そこで,本研究では,鉛フリー無電解Niめっき皮膜を下地とした無電解Ni/Au,無電解Ni/Pd/Auめっきのはんだ実装信頼性を調査した。その結果,Niめっき皮膜の腐食,IMC層の性質(厚さ,成分,形状)などの複合因子がはんだ実装信頼性に影響を与えることが明らかになった。また,これらの因子は,鉛フリー無電解Niめっき皮膜中に共析した微量添加剤(ビスマス,硫黄)濃度によって変化することを明らかにした。
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