本研究では,エリプソメーターと真空チャンバーを組み合わせた実験装置を構築し,ギ酸による銅酸化膜の還元過程のリアルタイム測定を行った。銅の自然酸化膜および熱酸化膜の両方について調べ,還元速度の温度依存から活性化エネルギを求めた結果,自然酸化膜では 61.9 kJ/mol,熱酸化膜では 100.6 kJ/molであった。一方,酸化膜断面の分析から,自然酸化膜と熱酸化膜ではいずれもCu
2Oが形成されているものの,皮膜の深さ方向でCu
2Oの分布が異なることを確認した。このことから両酸化膜のギ酸還元時の活性化エネルギの違いは,酸化皮膜の内部から皮膜表面への酸素の拡散エネルギが関係していることを考察した。
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