人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
20 巻, 3 号
選択された号の論文の132件中51~100を表示しています
  • 真弓 久則, 松崎 浩史, 川内 義人, 木下 和彦, 富永 隆治, 徳永 皓一
    1991 年 20 巻 3 号 p. 932-934
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は人工弁置換術において、患者側弁輪にかけられたマットレス縫合の糸の数に応じて人工弁縫着輪を分度できる分度リングを発案し、これを臨床応用した。ドーナツ状の分度リングはステンレス製で内径35mmであり、あらかじめ10-20等分した11個を用意した。弁輪部にマットレス縫合の糸をかけ終った時点で糸の数に相当する分度リングを選び、人工弁をその中心部に入れた後、組織ペンにて縫着輪に分度線を写しとった。次に、ホルダーに留めておいたマットレス縫合の糸を片端から順に人工弁縫着輪に縫着した。現在までに25例, 31個の弁置換術に使用し、良好の結果を得た。
  • 山田 真, 森保 幸治, 田中 弘之, 斎田 清彦, 横川 秀男, 舟波 誠, 山本 登, 高場 利博
    1991 年 20 巻 3 号 p. 935-939
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    教室におけるSt. Jude Medical弁(以下、SJM弁)の遠隔成績を検討した。1980年1月より1990年4月までの期間のSJM弁による弁置換術122例を対象とした。大動脈弁置換術(AVR郡)26例、僧帽弁置換術(MVR)郡)75例、大動脈弁僧帽弁両弁置換術(DVR郡)21例であり、早期死亡はAVR郡、MVR郡、DVR郡でそれぞれ23.1%、8.0%、4.8%、であった。早期死亡を除く遠隔期追跡率は99.2%、追跡期間は425患者・年であり、遠隔期生存率は術後8年で各郡それぞれ81±13%、93±3%、63±26%であった。遠隔期合併症は血栓塞栓症2例の他、血栓弁、脳出血、paravalvular leakがそれぞれ1例ずつであり、術後10年における合併症非発生率は89±7%であった。以上より、教室におけるSJM弁置換術の遠隔成績は優秀であった。
  • 佐戸川 弘之, 岩谷 文夫, 猪狩 次雄, 阿部 俊文, 萩原 賢一, 丹治 雅博, 渡辺 正明, 緑川 博文, 佐藤 洋一, 高瀬 信弥, ...
    1991 年 20 巻 3 号 p. 940-944
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    再弁置換術では凝固系の変動も大きいと考えられるため、1985年4月より再弁置換術を施行した20例(Redo群)と、初回弁置換を施行した連合弁膜症例(対照群)とについて術後早期の凝固系の変動を検討した。Redo群は対照群に比し体外循環時間に差はみられなかったが、手術時間は有意に長く(p<0.05)、出血量は軽度多い傾向を示した。Redo群では対象群に比較して、術後第1病日には血小板数、fibrinogen、antithrombinIIIは有意に低値を示し(p<0.05)、術前の抗凝血薬療法の影響でAPTT, PTの延長、TTの低下を認めたが(p<0.01)、第3病日以降は両群間に差は認められなかった。DIC score、DIC症例数にも両群間には差はみられなかった。再弁置換例における術前の抗凝血薬療法の影響と出血傾向は、術後早期に認められるのみであり、再弁置換例でも血栓塞栓症予防のため、術後可及的早期に抗凝血薬療法を施行すべきと考えられた。
  • ―第一報―
    西田 博, Rk GROOTERS, 廣田 潤, 遠藤 真弘, 橋本 明政, 小柳 仁
    1991 年 20 巻 3 号 p. 945-947
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    房室弁置換において弁輪-乳頭筋の連続性温存による良好な術後心機能保持を主目的とし, 主に腱索部の乳頭筋, 左室への固定法に焦点を診いて新しい概念にもとづく生体弁を考案試作した。グルタールアルデヒド処理の牛心膜を用い, 弁輪部はflexibleなdacron製のsewing ringにて弁葉をはさみこむかたちで形成されている。2葉弁の各弁尖はdacron製の人工腱索に固定されておリステントは存在しない。この腱索を左室腔よりSeldinger法の要領で心外に引き出し,sewing ringを弁輪部に縫着後, 水試験下などで腱索の長さを決定しプレジェット付の3-0 Prolene糸にて心室外で固定する。羊を用いたprelim inareyな動物実験において腱索固定法, 弁の心機能特性に関しては満足し得る結果が得られたが, 弁葉部分のたるみなどを改善するため3次元的立場に立脚したデザインの改良が今後の課題と思われた。
  • 下野 高嗣, 佐藤 友昭, 高尾 仁二, 片山 芳彦, 矢田 公, 草川 實
    1991 年 20 巻 3 号 p. 948-951
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    昭和60年2月より平成2年6月までの5年間にMonostrut BjÖrk-Shiley弁を用い76例に78回の僧帽弁置換術を施行した。早期死亡は3例(3.8%)に認め, 遠隔期死亡は4例に認めた。Actuarial survival rateは術後3年で91.4±3.4%, 5年で89.1±4.0%であった。合併症は血栓塞栓を2例に, 血栓弁を1例に, 非感染性人工弁周囲逆流を2例に認め, event free rateは5年で94.1±2.8%, うち3例に再弁置換術を施行した。サイズ29mmにて置換した5例にRVペーシング負荷を行い頻脈応答性を検討したところpacing rate120/分で心拍出量の低下傾向, 肺動脈楔入圧の上昇傾向を認め, 頻脈応答性はRV pacingにおいて120/分が限界と考えられた。術後1ケ月目にCWドップラー心エコー法にてもとめた有効弁口面積, 最大弁圧較差はそれぞれサイズ27mmで2.9±0.8cm2, 9.3±3.3mmHg, サイズ29mmで3.3±0.6cm2, 7.4±3.4mmHgであった。術後のLDH値はやや高値をとるものの臨床上問題となる溶血は認めなかった。
  • 印南 隆一, 長岡 秀郎, 佐藤 眞明
    1991 年 20 巻 3 号 p. 952-954
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Omnicarbonによる大動脈弁置換術(21mm弁6例, 23mm弁9例)に対し, 遠隔期に心臓カテーテル検査を施行し, 開放角低下の要因を血行動態の面から検討した。圧較差は21mm弁平均25mmHg, 23mm弁平均14mmHg, 血流量は21mm弁平均225ml/sec, 23mm弁平均214ml/sec, 弁口面積は21mm弁平均1.04cm2, 23mm弁平均1.36cm2であった。平均開放角(MOA)は21mm弁平均64度, 23mm弁平均64度であった。
    血流量と平均開放角の間に明かな正の相関が認められ, 血流量の減少に伴い平均開放角の低下が認められた。しかし圧較差は平均開放角の低下に伴いむしろ減少を示し, 弁口面積の低下は極めて軽度にとどまった。以上の結果から平均開放角50度以上においては, 開放角の低下は血流量の減少に伴う可逆的な現象であり, 弁口面積の低下が臨床上問題になる可能性は少ないと考えられた。
  • 宮沢 総介, 松井 道彦, 鈴木 和彦, 小柳 勝司, 坂本 吉正, 矢田 雄滋, 芝田 貴裕, 新井 達太
    1991 年 20 巻 3 号 p. 955-958
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Duromedics弁の弁葉早期閉鎖運動について26例を対象に, 心エコー図法を用いて観察し, 特にValveorientationとの関係について検討した。本来の方向に固定したものをA群, 交連に直交する方向で固定したものをB群とした。その結果, 1)SR, Paeingの例では, あきらかな早期閉鎖はなく, Af例のA群で100%B群で70%において認められた。2)早期閉鎖する弁葉はA群ではすべて後方, B群ではいずれの弁葉にも認められた。3)早期閉鎖に要する最短のR-R間隔はA群: 1046±166msec, B群: 1193±204msec, で差はなかった。開放時から早期閉鎖までの時間をR-R間隔で除した値はA群: 0.29±0.06, B群: 0.41±0.10でB群で有意に大であった。
    早期閉鎖運動は弁の固定方向と密接な関係を有し, 交連に直交して固定すると早期閉鎖は生じにくく, 生じても遅い時相にみられ, 弁葉の位置も一定ではなかった。
  • 矢尾 善英, 長田 一仁, 藤川 正, 平山 哲三, 山口 寛, 石川 幹夫, 北村 昌之, 石丸 新, 古川 欽一
    1991 年 20 巻 3 号 p. 959-962
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    BjBjörk Shilly monostrut弁をもちいた僧帽弁置換術患者30例にたいしてX線シネ撮影を用いた生体内における弁機能の観察を行った。弁葉の最大解放角度、解放時間、閉鎖時間および弁座動揺角度には経時的変動は少なく良好な結果を示した。弁葉の回転は遠隔期には減少し、弁の部分的な摩耗の危険性があり、厳重な観察が必要であると思われる。
  • 太田 裕治, 堀内 孝, 土肥 健純, 松本 博志, 井手 博文, 田中 良昭
    1991 年 20 巻 3 号 p. 963-967
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    X線シネフィルムをもとに、置換術後の2葉弁の定量的運動解析を行った。特に2葉の弁が非同期的運動を行うものに関して解析を行った。解析に用いたシネフィルムはSJM弁6例であり、僧帽弁位5例、大動脈弁位1例であった。解析方法及び解析装置は既に我々が開発を行ってきたシネフィルム画像処理装置を使用した。解析を行った結果、SJM弁における2枚の弁は対称的運動を行っておらず、最大で11.3度の角度差を計測した。また、非対称運動形式も一定ではなく患者によって種々であった。両弁が非対称的運動をする原因としては、弁装着方向、心房細動、血栓等が考えられ、今後更に詳細な検討が必要である。本システムとX線シネフィルムを組み合わせることにより得られる、置換術後の人工弁の運動情報は、生理学的にも臨床的にも非常に重要であると考えられる。
  • 高山 鉄郎, 須磨 久善, 寺田 康, 福田 幸人, 田村 進
    1991 年 20 巻 3 号 p. 968-971
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1989年以降の生体弁機能不全による再弁置換28症例について生体弁PTFの形式と再弁置換に至る臨床経過を比較検討した。手術時に摘出された生体弁のPTFを交連部で2弁尖が一塊となりstrutより剥離脱落した例A群(11例), 弁尖自体の石灰化や亀裂による例B群(17例)とに大別できた。A群では初回手術後PTFの症状発現までが約6年余, 症状発現後再弁置換までが平均1ケ月, 即日の緊急手術が27%とB群の各々7.5年, 8ケ月以上と比べその進行が著しく速いことが示された。A群は全例CE弁であり, HX弁には交連部の剥離は全く認めなかった。CE弁model 6625では術後比較的早期に交連部で2弁尖がstrutより外れ, 急速に人工弁機能不全に陥ることがあり, より綿密な人工弁機能の経過観察と迅速な再手術への対応が肝要と考えられた。
  • 川内 義人, 松崎 浩史, 麻生 俊英, 真弓 久則, 木下 和彦, 富永 隆治, 安井 久喬, 徳永 皓一
    1991 年 20 巻 3 号 p. 972-976
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1985年2月から1989年12月までに施行したCEP弁置換129例の手術及び遠隔成績を検討した。年齢は平均55.5歳(12-74歳)、男性75例・女性54例であった。術式は、AVR47例・MVR59例・多弁置換(CVR)17例・右心系弁置換(T/PVR)6例であり、使用人工弁はA位61個・M位75個・T位7個・P位3個であった。追跡期間は平均3.3年、累積366患者・年であった。病院死は10例(7.8%)、遠隔死は8例(2.2%/P-Y)であり、病院死を含む5年生存率はAVR84±6%、MVR88±4%、Cm75±11%、T/PVR100%であった。血栓塞栓症はAVRとMVRの各々1例に、また、抗凝血薬療法による出血性合併症がMVRの1例に発生した。再手術は5例(1.4%/P-Y)に行われた。PTFの発生は未だ経験していないが、弁逆流所見を示す3症例を経過観察している。PVEは4例(1.0%/P-Y)に発生した。人工弁に関係した全eventsは8例(2.2±0.8%/P-Y)に発生した。5年目でのevents非発生率はAVR93±5%、MVR89±5%、CVR100%、T/PVR100%であった。
  • 合田 俊宏, 村上 達哉, 奥出 潤, 郷 一知, 松居 喜郎, 酒井 圭輔, 安田 慶秀, 田邊 達三
    1991 年 20 巻 3 号 p. 977-980
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    肺動脈収縮期圧が60mmHg以上の高度PH症例がMVR後にどのような血行動態と弁機能を示すかをSJM群19例とOmniscience群7例とに分けて検討した。手術死亡はSJM群の2例(10.5%)に認めた。耐術例中SJM群16例とOS群全例で心カテーテルを施行し検討対象とした。術前のsPAP,mPAP, PVRIはSJM群:75.9±14.6, 49.6±6.6mmHg, 929±224dynes・sec。cm-5・m2に対してOS群:71.4±10.9, 45.4±3.9, 715±180であった。これらは心カテーテル時にはSJM群では各々42.7±9.1, 29.6±6.8, 418±134と改善していた(P<0.01)。OS群でも49.4±6.1, 31.4±3.7, 400±138と改善していた(P<0.01)。術直後にはSJM群の5例とOS群の1例でsPAPが50以下とならずPAWP, LAPも高値を保ったがNTGの投与によりPAWPLAP較差は有意に低下し,僧帽弁疾患のPHには肺静脈収縮も関与しているものと思われた。連続波ドップラー検査ではPHT, PV, PGはいずれもSJM群で良好な傾向があったが有意差はなかった。
  • 田中 稔, 堀田 壽郎, 柵木 隆志, 竹内 栄二, 阿部 稔雄
    1991 年 20 巻 3 号 p. 981-985
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    人工弁置換術後に人工弁不全が発生した場合, 患者救命には適切に再手術を行うことが大切である。当教室ではBjörk-Shiley(B-S)弁を第一選択の人工弁としてきたが, ここではB-S弁を用いて僧帽弁置換術(MVR)を行った症例を対象として, 僧房弁位B-S弁機能不全に対し再手術を必要とした症例について報告する。対象: 1980年10月以降B-S600convex-concavedisc(60CC)弁あるいはMonostrut(MS)弁を用いてMVRを行った147例を対象とした。結果: 60CC弁症例は43例(44回)で入院死亡4例(9.1%), 遠隔死亡6例(2.6%/患者・年), 再手術3例(1.3%/患者・年)。再手術の原因は血栓弁(術後8年に再手術), 弁周囲逆流(1年), outlet strut fracture(7年)。MS弁は106例(106回)で入院死亡2例(1.8%), 遠隔死亡4例(1.5%/患者・年), 再手術3例(1.1%/患者・年)。再手術の原因はdiscの可動性障害2例(術直後), 感染1例(1年)。再手術の結果は弁周囲逆流の1例を除き全例救命した。
  • 菊田 幸明, 勇田 敏夫, 下岡 聡行, 三田村 好矩
    1991 年 20 巻 3 号 p. 986-989
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工弁の耐久性評価は、人工弁開発において最も重要な評価の一つである。従来、弁耐久性評価は弁開閉回数に依存した加速耐久試験法が用いられているが、水撃現象による急激な圧力上昇が発生する装置内では必ずしも耐久性に関する正確な情報は得られない。そこで、我々は数種の加速耐久試験装置について検討し、新たに心臓代用弁の耐久性評価を目的とした加速耐久試験装置を考案・試作し、弁開閉回数と流入流量を変化させ、弁に作用する水撃圧および弁開閉状態について評価した。結果より、水撃発生時の圧力差(WH差圧)はポンプからの流入流量に対して、2次曲線的な増加傾向があることが示され、ダクト回転数に対しては指数関数的な減少傾向があることが示された。また、弁開閉は流入流量の増加によって向上し、流入流量22.7l/min以上、ダクト回転1000rpmで100%の開閉が確認された。
  • ―一葉弁および二葉弁の比較検討―
    国吉 幸男, 古謝 景春, 伊波 潔, 赤崎 満, 久貝 忠男, 島袋 正勝, 山内 米邦, 草場 昭
    1991 年 20 巻 3 号 p. 990-993
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/12/02
    ジャーナル フリー
    人工弁の良否が比較的顕著に現れる、AVR+MVRの二弁置換手術症例について、一葉弁(Björk-Shiley弁)および二葉弁(SJM弁、Durornedics弁)の比較検討を行った。本年8月までの過去13.6年間に行った、弁置換手術症例は406例であり、内一葉弁による二弁置換手術症例(以下、1群)は13例、二葉弁による二弁置換手術症例(以下、II群)は59例であった。両群について、心臓カテーテル検査成績に基ずく心機能、およびLDH値、網状赤血球値を指標とした溶血について比較検討をおこなった。心機能改善は両群とも良好で、一葉弁群でも術後、肺動脈喫入圧(以下、PAWP)、肺動脈圧(以下、PAP)の低下は二葉弁群同様良好であった。一方、溶血の比較検討ではLDH値(IU/L)、網状赤血球値(‰)では1群が764±73、18.3±3.5に対しII群では1030±409、22.2±11.9と有意に高値を示した。以上より、一葉弁群でも二葉弁群同様術後の血行動態の改善は良好であり、我々は現時点では特に多弁置換手術症例については一葉弁を第一選択としている。
  • 鬼塚 敏男, 中村 都英, 古賀 保範
    1991 年 20 巻 3 号 p. 994-999
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    St. Jude Medical(SJM)弁による僧帽弁置換術(MVR)90例、大動脈弁置換術(AVR)27例、MVR+AVR(DVR)25例の合計142例にSJM弁167個(僧帽弁位115個、大動脈弁位52個)を置換し、術後溶血に関する検討を行った。DVR群ではMVR群およびAVR群と比較し、LDH値は術後1ヵ月と3ヵ月で、網状赤血球数は術後3ヵ月で有意に高値を示した。SJM弁に起因する臨床的に問題となるような重症な溶血性貧血はみられず、人工弁のサイズの違いによる溶血の程度に差はなかった。DVR症例ではMVRでandanatomical法、AVRで心室中隔にSJMの支軸が直角になるようなperPendicular法の組合せが溶血が少なく、後尖、弁下組織を温存する方法はとくに溶血に問題はなかった。重症な溶血は3例(2.1%)にみられ、いずれもparavalvular leakageに起因していた。
  • 工藤 龍彦, 内野 敬, 長田 鉄也, 橋本 雅史, 小長井 直樹, 古川 欽一
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1000-1003
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    St.Jude Medical弁(SJM弁)によるMVR後にperivalvular leakageのたあにSellers分類II度以下のMRが残存した6例について, 術後の溶血とその推移について検討した。6例中4例は術後早期に軽度の溶血性貧血を認めた。しかし, 退院時まで続いた貧血傾向と, LDH値の上昇などの異常所見はその後進行せず, 術後62.2ヶ月を経過した遠隔期ではむしろ改善される傾向にあった。
    一方, 遠隔期における非MR例12例との比較においては, 血清Hpと動的赤血球膜物性検査では両者間に差がなかったが, 血清FHbでは残存MR例の方が若干増加していた。
    したがって, MVR後にMRが残存しても, 溶血が進行性でなく, またMRによる心機能の低下が問題とならなければ対症療法にて長期間観察することも可能であり, 溶血も徐々に改善されるものと思われた。
  • ―非観血的血圧モニタリングによる観察―
    山本 豊
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1004-1008
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    非観血的連続自動血圧計フィナプレスを用い、房室ブロックに対する心臓ペーシング例36例を対象に一拍毎の血圧を連続的に測定した。DDDペーシングで血圧変動はごく軽度であったのに対し、VVIペーシングでは、P波とQRSの時間的関係により血圧は周期的な変動を示し、その変動幅はレート70PPmにおいて、収縮期圧30.3±13.8mmHg(15~65mmHg)、拡張期圧10.2±5.9mmHg(5~25mmHg)、脈圧21.0±9.3mmHg(10~45mmHg)であった。レート100ppmでは70ppmの場合とほぼ同程度の血圧変動を示したが・レート50ppmでは変動幅は減少する傾向を示した。座位での血圧変動幅は仰臥位に比し、70ppmでは増大、減少、不変とまちまちであったが、50ppmでは減少する傾向を、100ppmでは増大する傾向を示した。このように、VVIペーシングでは血圧変動が予想以上に大きく、ペースメーカー症候群の予防と良好な心機能維持のためにはDDDペーシングが選択されるべきであると結論された。
  • 高木 靖, 宮田 義弥, 石原 智嘉
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1009-1012
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    心室ペーシングによる左室機能の低下についてはよく知られているが, その際の左室局所収縮についての報告は少ない。今回我々は冠状動脈に有意狭窄のないペースメーカー植え込み患者14例について, 正常伝導時と右室心尖部ペーシング時の左室造影を行ない, RAO30゜の造影像よりcenterline methodを用いて左室局所収縮をしらべた。このさい左室壁を5つの領域にわけ, それぞれについて正常伝導時と心室ペーシング時について比較検討した。心室ペーシソグ時の左室収縮は心尖部中隔領域に始まり心基部に伝わるが, 心基部が収縮する頃心尖部領域が膨隆する, いわゆる奇異性運動を呈した。centerhne methodによって解析した左室局所収縮も, 収縮期末期の心尖部の収縮は正常伝導時と比較し有意に低下していることがわかった。この奇異性運動が, ペーシソグ時の左室機能低下を引き起こしている可能性があり, 心筋虚血や心室性不整脈との関連性も示唆される。
  • 白川 尚哉, 清水 健, 笹木 秀幹, 坂本 滋, 金戸 善之, 豊田 恒良
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1013-1017
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ペースメーカー植え込み手術症例439例について、術後経過観察を行い感染症発生について検討した。経過観察期間は平均44年、1949患者・年であった。感染は11症例(25%)に発生し、13回の感染症を呈し、177患者・年に1例の発生であった。11例中9例(81.2%)の発生が1981年までに認められ、これらは全て大型の旧ジェネレーターが使用され、全例において皮膚壊死を認めた。近年、ジェネレーターの小型化に伴い感染は減少し、1982年以後の発生は2例のみで感染頻度は低下していた。また電極抜去困難例における心内遺残電極感染例では、体外循環使用を含む開心術が必要であるが、敗血症進展例2例について、1例は体外循環下に、1例は体外循環を使用せず、遺残電極を抜去し良好な結果を得た。今後、術中無菌操作を一層厳重に行うが、電極抜去困難例でやむなく全身感染に進展した場合、体外循環下に積極的治療を推進していく考えである。
  • 水沼 裕光, 池田 晃治, 水野 明, 須藤 憲一, 小石沢 正, 森田 裕, 柳沢 肇, 海野 透理, 林 信成, 田所 雅克, 野口 顕 ...
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1018-1022
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ペースメーカー(PM)植込み症例に電気メスを使用する場合を想定し、実験を試み、興味ある結果を得たので報告する。hardware base PM37台、software base PM13台の計50台(VVI37台、VVIR3台、DDD10台)を対象とした。電気メスはNeoMed社(USA)の3000aを使用した。PMが対極板と電気メス先端部の間に位置しなかった場合は、電気メスによる直接的な影響は観察されなかった。しかし、PMが対極板と電気メス先端部との間に位置する場合は、back-up modeへの移行などが観察された。とくに、最近市販されたPMに電気メスが直接触れた場合は、PMに組み込まれたsoftwareの破壊に至る装置も一部観察された。以上より、(1)電極を含めたPMが対極板と電気メス先端に入らぬ.よう留意する。(2)電気メスは決してPMに直接触れてはならない。(3)電気メス使用中は必ずモニターを完全にする。(4)術後はPMパラメーターの正常動作を必ず再確認する必要がある。
  • 椎川 彰, 小柳 仁, 遠藤 真弘, 林 和秀, 山崎 健二
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1023-1027
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    致死性頻脈性心室性不整脈を呈する症例に対しAICD(植え込み型除細動器)による治療経験を得たので報告する。本器(Ventak P)はrate sensing, morphology sensingの2つの独立したchannelにより不整脈を検出し放電を行う。適応とした不整脈はVF3例, VT/VF1例, VT1例の計5例で4例に心蘇生の既往, 2例に高度心機能低下を認めた。感知電極は心筋電極, 除細動電極はパッチ電極を選択し, 除細動域値測定のため1~6回の細動誘発を行った。術後のAICD作動状況は2例は自然VT/VF発作に, 3例は誘発されたVFに対し有効に作動することを確認した。合併症として低心機能例に除細動域値測定直後にVTVFの重積を認め補助循環を要し, 2例に術後VT重積, 2例に誤放電, 2例に心膜炎, 2例に放電時不快感を認めた。
    AICDによる致死性不整脈治療は十分期待できると考えられたが, 手術侵襲, 誤放電, 放電時不快感など問題点も残されており慎重な適応の判断と経過観察を要すると考えられた。
  • 戸川 慎一, 水品 静夫, 杉浦 敏文, 福井 美仁, 木村 元彦, 石神 直之, 原田 幸雄
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1028-1031
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    レート応答型心房心室順次ペーシングにおけるレートの決定法及びそのときのAV intervalの最適値に関して実験的に研究するためのシステムを開発し、至適AV intervalに関する以下の実験を雑種成犬(4頭)を用いて行なった。1)システムを固定レートのDual chamber pacemakerとして動作させてAV intervalを変化させ、そのときの心拍出量、右心房圧等を測定した。2)システムを右心房血液温を指標とするRate responsive pacemakerとして動作させ、2, 4-Dinitorophenolを投与して発熱させた状態でAV intervalを変化させて同様の測定を行なった。その結果、安静時でも、体温が上昇してレートが高くなった状態でもAV intervalがほぼ100ms~125msのときに心拍出量が最大、右心房圧が最小になった。この結果から安静時でもレートが増加した状態でもAV intervalの最適値に大きな変化は無いように考えられた。
  • 杉浦 敏文, 戸川 慎一, 水品 静夫, 福井 美仁, 木村 元彦, 石神 直之, 木村 泰三, 原田 幸雄
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1032-1036
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    複数の指標を持つレート応答型心臓ペースメーカーにおけるレート設定にファジィ制御法の考え方を応用し, そのレート制御の可能性に就いて検討した. 麻酔下の雑種成犬(5頭)に発熱物質を投与して発熱させ, その間の体温, 呼吸数, 心拍数などを測定し, このデータを基にして各パラメータのメンバーシップ関数, 制御規則を作成した. 麻酔を施した他の雑種成犬を同様に発熱させ, その体温, 呼吸数のデータを使用して心拍数のファジイ推論を行い, 自発心拍数との比較を行った. その結果, ファジイレートと自発心拍数とは広い温度範囲にわたって良好な一致を示した. 本方法は, 医師がその経験と患者のデータに基づいて患者毎のレート制御プログラムを容易に作成できる可能性も有しており, マルチセンサータイプのペースメーカーのレート設定法として有望と考えられる.
  • 勝本 慶一郎, 新堀 立
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1037-1043
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    電流密度が集束する様に加工されたガラス状カーボン電極(Osypka社DS58V)を1986年12月より臨床に用いて、電極性能を検討した。洞機能不全患者並びに完全房室ブロック患者58人を対象とし、DS58V電極を心房刺激用27本、心室刺激用31本用い刺激閾値、心内ポテンシャル、分極電圧などを測定した。この電極にインターメディックス社製Nova II型またはCosmos型ペースメーカーを接続した28例は、外来フォローアップにて、リードインピーダンス、設定エネルギーなどをテレメトリー法で測定した。DS58V電極と同じ材質(ガラス状カーボン)しかも同じ電極表面積(10mm2)をもつSiemens社製412S型電極43本の植え込み症例と比較してみると、心室電極ではDS58V電極の方が植え込み7日目の閾値も低く、殆どの症例が慢性期のエネルギー設定を2.7V、パルス巾を0.18-0.3msにしてエネルギーを減少させることができた。
  • ―生理的ペーシングの効果―
    西本 泰久, 小玉 敏宏, 大関 道麿, 佐々木 進次郎, 武内 敦郎
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1044-1047
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1966年から1989年末までに, 483例のpacemaker植え込み手術を行った。年齢は1才から91才(平均60.6才), 植え込みの適応は房室ブロック(AVB)244例, 洞機能不全症候群(SSS)179例, 徐脈性心房細動(Af)48例, AVBとSSSの合併10例, などであり, pacing modeは心室単独のnonphysiological pacing(NP)282例で, 心房心室の同期性を保った狭義のphysiological pacing(PP)201例であった。平均6つ年の追跡を行い, 死亡は133例で, 死亡原因は心臓死が35例, 血栓塞栓症死亡24例などであった。また, 血栓塞栓症発症は44例に認めた。生存率では適応による差異はなかったが, PP群はNP群に比し有意に高かった。心臓死回避率はPP群, NP群間に有意差はなかったが, 血栓塞栓症の回避率でPP群はNP群と比較して有意に高く, とくにSSS症例のNP群に血栓塞栓症の発症の回避率が著明に低かった。PPの応用が, 血栓塞栓症の回避, ひいては生存率の向上に有益と思われる。
  • 内藤 稔, 妹尾 雅明, 土肥 俊之
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1048-1052
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    DDDペースメーカー(生理的ペースメーカ;以下DDD-PMと略す)が, VVIペースメーカー(以下VVI-PMと略す)より優れているのは明かなので, 我々は積極的にDDD-PMを用いてきたが, VVI-PMでも十分な症例も散見する。そこで我々は, DDD-PMを用いた50例に対し, そのペーシングモードをDDDからVVIへ変更し, DDD-PMの適応因子について検討した。VVIモードへ変更し症状を認めた群:一群と, 症状を認めなかった群:二群を比較した。一群では, 二群に比し高齢者が多い事(平均66.9才と63.1才), 心機能(EF・%FS・mVcf)・循環調節作用が低下している事が特徴的であった。この結果, 1)高齢, 2)低心機能, 3)循環調節機能不全が, DDD-PMの適応を決める上で重要な因子であると考えられた。
  • 平中 俊行, 野村 文一, 西岡 武彦
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1053-1055
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    洞不全症候群(SSS)に対しDDDペースメーカー(DDDPM)植込みを行った19例とAAIPM植込みを行った11例との遠隔成績を比較検討した。遠隔死はDDD症例2例, AAI症例1例にみられ, DDD症例の1例は突然死であった。PM合併症による再手術はDDD症例5例, AAI症例6例に施行した。ペーシングモード変更は, DDD症例3例, AAI症例1例に行った。変更理由はDDD症例では心房細動2例, 心房ペーシング不全1例であり, AAI症例では房室ブロックであった。電池消耗による交換はDDD症例3例に施行し, 平均耐用月数は46カ月であった。SSSに対するDDDペーシングにおいては, 電池寿命が短い, sizeが大きい, followが繁雑であることが問題であったが, 最近のDDDPMでは電池寿命の延長や小型化がなされており, DDDPMは房室ブロックをきたす率が高い老年者SSSに有用であると考えられた。
  • 村上 龍司, 進藤 剛毅, 樋口 和彦, 古瀬 彰
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1056-1059
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体動型心拍応答機能を備えたDDDR pacemakerを対象とし, これを植え込んだ患者5名(SSS4名, CAVB1名)に対し, Treadmillによる運動負荷テストを施行してpacemaker機能を評価した. DDDR modeは,DDD modeと比較して, 運動負荷開始時の心拍数の立ち上がりが良好で, 負荷中の心拍数変化が緩やかであり, また回復過程では緩やかな心拍数の回復が得られた. 又運動持続時間の延長という形で, 運動能力の向上が示された. 以上の結果は, とくにSSS症例に著明に認められた. これらのことから, DDDR mode pacemakerはDDD modeより生理的でよりすぐれたmodeであることが判明した。又, その適応としてはSSSまたはSSS+AVブロックがふさわしいものであると考えられた. 又Pacemaker機能の評価としてTreadmill testが有用であることがわかった.
  • 福井 美仁, 木村 元彦, 杉浦 敏文, 木村 泰三, 原田 幸雄
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1060-1065
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    呼気終末CO2分圧(PETCO2)のフィードバック制御機構を有する横隔膜筋内刺激装置を開発した。ペーシングレートは、PETCO2が目標値となるように操作される。PETCO2の目標値からの制御偏差とペーシングレートの増減量は、傾き一定の直線関係とした。筋内電極を埋め込んだ麻酔下の二頭の雑種成犬に対し、PETCO2のフィードバック制御を試みた。動物の代謝を亢進させるために発熱物質を投与した。PETCO2は、気管内挿管したカニューレに装着したCO2モニタのセンサによって検出した。ペーシングレートは、代謝の亢進に際してPETCO2を目標値に保ちながら増加した。PaCO2は、代謝の亢進に際してもほぼ正常値に一定に保つことができ、有効な換気制御を行うことができた。
  • 辻 隆之, 谷下 一夫, 高橋 誠, 戸川 達男
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1066-1070
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    エチレンビニールアルコール(EVA)ホローファイバ人工肺(0.8m2)のファイバ内(内径200ミクロン)に血液を流し, ファイバ外に高圧酸素(~3絶対気圧)で酸素化したガスキャリア液(透析液)を循環させた. 両者間でガス移動を行う本EVA人工肺はガスキャリア液のみ, 高圧酸素ガスとガスキャリア液混合状態, 高圧気体のみの3状態で駆動できる気液両相型人工肺として運用できることを明かにし, 本人工肺がガス交換と同時に体液量管理と血液透析が行える多機能型人工肺であることを示した.
  • 谷下 一夫, 辻 隆之, 関戸 章, 戸川 達男
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1071-1076
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ポリウレタン超薄膜を多孔質ポリエチレン膜でサンドイッチ状にした複合膜(MHF)ホローファイバ人工肺と, ほぼ同様の構造と膜面積(0.3m2)を有するシリコーン均質膜(SHF)ホローファイバ人工肺とを, 水および牛血を用いてin vitro実験を行って, 酸素輸送抵抗(RO2)と炭酸ガス輸送抵抗(RCO2)などを解析した. その結果, MHFはSHFに比べ, RO2はほぼ変わらないが, RCO2はやや優れていた. ポリウレタン膜を介するポリエチレン膜孔の位置が一致すれば, 性能は向上すると考えられた.
  • ―静脈リバーザーの違いによる気泡捕捉能について―
    佐藤 景二, 後藤 彰, 安野 誠, 山崎 文郎, 島本 光臣
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1077-1080
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    当施設で成人開心術症例に使用している膜型肺のうち、吸引貯血槽一体型静脈リザーバーシステムのエクセランα, VPCMLとクローズド静脈リザーバーシステムのエクセラン, キャピオックス11の4種類について、超音波マイクロバブルディテクターを用い、静脈リザーバー血液出口側と人工肺血液出口側でマイクロバブル検出を行い、各々のマイクロバブル捕捉能を比較検討した。
    各人工肺のマイクロバブル捕捉能は、静脈リザーバーシステムの違いによって捕捉効果に差を生じた。オープン静脈リザーバーシステムのエクセランα, VPCMLがクローズド静脈リザーバーシステムのエクセラン, キャピオックス1に比較して優れていた。
    また人工肺部分の捕捉効果については、各膜型肺とも41~100μmのマイクロバブル捕捉能で良好な結果を示した。
  • 兼安 秀人, 日野 恒和, 村杉 雅秀, 曽根 康之, 小野 完二, 石倉 俊栄, 揚 孟峰, 福田 博子, 毛井 純一, 板岡 俊成, 大 ...
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1081-1086
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在, 心臓手術の補助手段として日常臨床に用いられている人工心肺装置や, 循環呼吸補助を目的とする比較的長期にわたる体外循環の制御は, そのほとんどが手動で行なわれている。我々は, 生体側パラメーターを制御する体外循環自動制御の手がかりの一つとしてファジィエキスパートシステムに注目し, 今回これを応用して先ず膜型人工肺送血側酸素分圧(PaO2)の制御を試みた。
    血液ガスセンサーからの情報をフィードバックして, 膜型人工肺送気ガスの酸素濃度によりPaO2を制御する制御規則を構築し, 雑種成犬に適用したV-A bypass下に制御を行なった。その結果, 主たる外乱である, 人工肺通過血流量や温度変化に対しても良好な制御が得られた。
    本システムは体外循環を, より生理的に行なう上で必要と考えられる自動制御を実現する一つの糸口になると思われた。
  • 瀬戸島 謙三, 山下 正康, 諌本 義雄, 大野 兼市, 原 洋, 青柳 成明, 小須賀 健一, 大石 喜六
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1087-1090
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Bard社製外部灌流式ホローファイバー膜型肺HF-5000(以下H群)を臨床使用し、同じ外部灌流式膜型肺Sarns 16310(以下S群)と比較検討した。
    1. H群はS群に比較し、初期充填量が200ml多かった。2. H群はS群に比較し、酸素化能が高くガス交換操作の幅が大きいと思われた。3. H群のポリウレタン製熱交換器の熱交換能は面積を増加することによりS群と同等の熱交換率を得ていると考えられた。4. 人工肺前後の圧較差ではR群はS群に比べ低かった。溶血の一つの指標であるFree-Hbは、H群、S群共に低値を示し血液成分への影響も少ないと考えられた。6. 補本の活性化により産生されるanaphylatoxin C3a C4aの体外循環前後での変化は、両群とも体外循環後に高値を示したが、両群間に統計学的有意差はなかった。
    以上の事よりHF-5000膜型肺は、臨床応用において十分な有用性があると思われた。
  • 中山 正吾, 伴 敏彦, 岡本 好史, 野本 慎一, 岡林 均, 平田 和男, 武内 俊史, 織田 禎二
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1091-1094
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    外部灌流式ホロファイバー人工肺(D703 COMPACTFLO;C群7例)の操作性、酸素加能、血液成分への影響、圧力損失を従来使用していた人工肺(Sarns 16310;S群7例)との比較をまじえ検討した。C群において全体外循環期間中血中酸素濃度は安定しており、CO2濃度は生理的範囲に保たれS群と差はなかった。血小板指数は大きな変化を示さず、血清遊離ヘモグロビンの体外循環時間あたりの増加率は0.39±0.19mg/dl/minと低く血液成分に与える影響は軽微であると思われた。D 703 COMPACTFLOは低充填量でありながら肺内圧力損失は小さく、送血量も7.5l/minまで可能で特に無輸血体外循環において有利であった。またコンパクトな設計で除泡も容易で、長時間の使用にてもガス交換能は安定しており臨床応用に充分耐えうる人工肺であると思われた。
  • ―MAXIMAとの臨床比較検討―
    重光 修, 葉玉 哲生, 川脇 雄次, 高崎 英己, 森 義顕, 岡 敬二, 内田 雄三, 調 亟治
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1095-1099
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    2種の外部灌流方式hollow fiber膜型人工肺HF-5000(H肺)およびMAXIMA(M肺)を臨床応用し比較検討を行った。H肺は熱交換器にポリウレタンを使用し, M肺はアルミニウムパイプを用いている。対象は成人開心術症例計36例で, H肺は17例(H群)に用い, 弁置換術5例, CABG9例, 先天性心疾患3例であり, M肺は19例(M群)に用い, 弁置換術6例, CABG12例, 先天性1例であった。両群間には体重, 体表面積, 年齢等に有意差はなかった。体外循環はともに1-pump, 1-hard reservoir, 落差脱血方式定常流で行った。ガス交換能は両肺とも良好で, 操作性も優れていた。体外循環開始後60分の血小板保存率はH群69.9±23.4%で, M群62.3±17.4%であり, H群でやや高値であった。単位時間あたりの血漿遊離Hb増加量は, H群0.47±0.33mg/dl/min, M群0.60±0.54mg/dl/minであり, 有意差はないもののH群でやや低値であった。
  • ―メラエクセランα, HF-5400およびマキシマの比較検討―
    木村 希望, 佐藤 浩樹, 数井 暉久, 安倍 十三夫, 小松 作蔵
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1100-1104
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    成人開心術症例において、外部灌流式ホローファイバー型人工肺(メラエクセランα使用群15例、HF-540b使用群11例、マキシマ使用群13例)について操作性、ガス交換能、溶血および血小板への影響を比較検討した。回路を含めた充 量は、メラエクセランαで有意に少なく、回路の簡素化、組立ておよび充 操作も簡単で、気泡型肺に匹敵する操作性、簡便性を有していた。酸素加能は、HF-5400およびマキシマが優れ、炭酸ガス排出能は三者間で有意差を認めなかった。血球成分に対する影響は、溶血、血小板保存の両面で、三者間に有意差を認めず満足すべき結果を得た。
    メラエクセランαは、膜型肺の持つ少ない血液損傷の利点に、回路の簡素化や操作性の面で気泡型肺に匹敵する簡便性を有し、HF-5400は、膜面積およびファイバー数を増加させることで膜型肺本来の優れたガス交換能をさらに向上させた人工肺であると特徴付けられる。
  • ―膜型人工肺MeraExcelungとの比較―
    樋上 哲哉, 小川 恭一, 麻田 達郎, 向原 伸彦, 西脇 正美, 河村 剛史
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1105-1109
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    気泡型人工肺Bentley-10 plusを開心術例10例(B群)に用い、そのガス交換能と血液損傷につき、外部灌流型膜型人工肺Mera Excelungを用いた10例(E群)と比較検討した。中等度低体温法を併用した無血充填希釈体外循環とし、ガス分析は連続的にalpha-stat法によって測定した。充填量はB群が有意な低値を示した。両群とも体外循環中の全時相において、PaO2とPaCO2とを独立してほぼ目標値の範囲内に良好に制御することが可能であった。血小板保存率と血漿遊離ヘモグロビン増加率においては、両群間に差を認めなかった。以上よりBentley-10 plusは、易操作性、低充填量という従来の気泡型肺の利点に加え、血液への影響を低減し、PaO2とPaCO2との独立した制御を可能にした新しいタイプの気泡型人工肺と考えられた。
  • 佐藤 浩樹, 小松 幹志, 杉本 智, 木村 希望, 数井 暉久, 安倍 十三夫, 小松 作蔵
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1110-1113
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ベントレー社にて、新しく開発された気泡型人工肺BEN-10PLUSを成人開心術16例に臨床応用した。本肺は、本体の頂上に設置されたPO2コントロール・バルブを調節することによって、人工肺に流入する酸素ガスを、気泡混和部分と熱交換器上のフィルム型部分の2経路に分配することができる。これらの比率を変化させ、適切なPCO2を保ちながら、気泡化を必要最小限に抑え、PO2の適正な調節と溶血の抑制が可能である。また、従来の気泡型肺に比べ、充 量も少なくなっている。体外循環中の血液ガス分析では、良好な酸素加が得られ、とくに、再加温時にもPO2コントロール・バルブを調節することによって、CO2の過剰排出なしに十分な酸素加が可能であった。血液成分に対する影響では、血小板指数は有意な減少を示さなかった。単位時間あたりの、血漿遊離ヘモグロビン上昇率は、0.41±0.24mg/dl/minであった。操作性も良好で、本肺は十分臨床使用に耐えうる人工肺と思われる。
  • 道井 洋吏, 笹子 佳門, 巽 英介, 公文 啓二, 西垣 恭一, 山本 文雄, 岸本 英文, 高野 久輝, 藤田 毅
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1114-1117
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生後11ケ月、体重6300gの女児で、Jatene手術後の肺炎に起因する重篤な呼吸障害に対し、ECMOを施行した。用いた人工肺は、血液接触面に薄い均質層を有する特殊微小孔膜を使用した、クラレ社製小型膜型人工肺“KMO”で, Biopumpを組み合わせた閉鎖回路にて行った。連続使用7日目の測定で、FiO2=1.0でV/Q=10のとき、酸素透過量(VO2)は血流量400ml/minで64ml/min, 850ml/minで95ml/minと増加した。炭酸ガス透過量(VCO2)は、400mL/minから850ml/minの間で平均39mL/minと変化しなかった。膜の特性により、酸素透過量に比し低値であったが、呼吸補助として用いる範囲の流量では、十分な機能を示した。また、圧損は血流量850ml/minで11mmHg、400ml/minで5mmHgであり、極めて少なかった。人工肺の充填量は45ml, システム全体で170mlと極めてcompactにすることができた。以上よりKMO膜型肺はECMOに適する人工肺と考えられ、長期使用の可能性も示唆された。
  • 長屋 昌宏, 津田 峰行
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1118-1123
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生後1週間以内の新生児の呼吸循環不全に対するECMOの効果を検討したので報告した。ECMOの方法は頸動静脈を用いた静脈-動脈方式である。人工肺は国産のメラシロックスSを用いた。ECMO中はACTが200-250秒になるようにヘパリンを投与し, 血小板は10×104/mm3を下回らないように補充した。また, volume overloadになった例では静脈路にバイパス回路を設置し, hemofilterを介して除水させた。
    結果:1990年1月迄に19例に利用した。疾患の内訳は横隔膜ヘルニアが10例と多く, 他に胃破裂の2例, 胎便吸引症候群と敗血症の各2例などがあった。生下時体重は平均3.01kgであり, ECMOの開始時期は平均生後82.7時間であった。ECMO時間は平均96.1時間であった。除水は5例で行われた。その結果, 19例中13例を救命できた。これらの例が既存の方法では救命が困難と思われた症例ばかりであったことを考慮したとき, その威力を実感できた。
  • 大津 哲郎, 寺崎 秀則, 森岡 亨
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1124-1128
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    麻疹肺炎により重症呼吸不全と意識障害を呈した1才の幼児に38日間の長期の体外式肺補助(Extracorporeal Lung Assist, ECLA)を行った。ECLAの間に長期体外循環管理、患者呼吸管理、及び治療上の多くの問題を経験した。VVからVA方式にバイパス方式を変更した。出血の増大にはヘパリンをnafamost at mesilate(FUT)にかえ血液凝固時間を短縮した。ECLA回路の閉塞による溶血はハプトグロビンにより治療した。人工肺や回路内の血栓形成、回路チューブの亀裂などのためそのつど回路を交換し、合計6基の人工肺を使用した。一方肺炎に対し、数々の内科的療法や理学療法を試みた。右胸腔内にできた血塊のため脱血不良でECLAによるガス交換補助ができなくなり患者の意識が低下し、すべての治療も無効と判断されたので39日目にECLAを中止した。本症例は救命にいたらなかったが、生命維持法としてのECLAの有効性を示すものである。
  • ―to and fro systemの検討―
    舟久保 昭夫, 佐久 間一郎, 福井 康裕, 河村 剛史
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1129-1133
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    乳児の呼吸不全患者を対象としたECMO(Extra Corporeal Membrane Oxygenation)は、その救命率も高く注目されている。我々は、小型で血液充填容量も少なく低侵襲で安全かつ簡便にECMOが行えるtoand fro方式のシステムの開発を行った。システムは、マイクロコンピュータにて送脱血量及び速度が設定されるため脱血時の陰圧も少なく、溶血は6時間で4mg/dlと軽微であった。動物実験では、ECMO、ECCO2R(Extra Corporeal CO2Removal)に試用し25~30ml/min/kgの血流量にてECMOでは全例15分にて正常値となり、ECCO2Rでは40.4±8.6ml/minのCO2移動量にて良好な呼吸補助が可能であった。また、血液抗凝固剤にはフサンRを用い血液回路内では160~180secのACT(Activated Coagulation Time)値を保つ一方、体内では120~130secを維持し出血を抑えることが可能であった。システムは、過度の陰圧にて停止・再始動をする安全機能も備え、安全な呼吸補助を行うことが可能であった。
  • 奥山 宏臣, 鎌田 振吉, 長谷川 利路, 石川 士郎, 臼井 規朗, 岡田 正
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1134-1137
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    新生児を対象とした拍動流ECMO装置を試作し, その有用性について検討した。本装置は, 従来の定常流V-AバイパスECMO回路の動脈側に, 空気駆動バルーンを挿入したもので, 拡張期カウンターパルセイシヨンによる心後負荷の軽減, 末梢循環の改善を目的としたものである。対象は体重2.0-4.9kg(平均3.1kg)の子犬8頭で1-2時間の定常流ECMOを行った後, さらに拍動流ECMOを1-2時間行い, それぞれのモードでの最高血圧, 脈圧, Tension Time Index(TTI), Endocardial Viability Ratio(EVR), 尿量, 腎血流量を比較検討した。なおECMOはいずれもV-Aバイパスで行い, 流量は50-100ml/kg/min(平均87ml/kg/min)であった。最高血圧, 脈圧は拍動流で有意に高かった。TTIは有意の差はなく, EVRは拍動流で有意に高値であった。平均尿量, 腎血流量は拍動流で有意に高値を呈した。以上より拍動流ECMOは定常流ECMOに比べ, 心筋の酸素代謝の改善および腎機能の維持に有用と考えられた。
  • ―メラエクセランα及びキャピオックスEとの比較検討―
    森義 雄, 村川 真司, 佐々木 裕茂, 山田 拓, 酒井 聡, 東 健一郎, 小久保 光治, 梅田 正五, 広瀬 一
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1138-1143
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環時間が100分以上の冠動脈血行再建術(CABG)症例において, 外部灌流型膜型人工肺William Hervey HF-5000使用群(12例), メラエクセランα使用群(12例), キャピオックスE使用群(15例)との比較をするため, ガス交換能, 溶血, 血小板, 凝固線溶系への影響について臨床的検討を加えた。初期充填量では, キャピオックスE使用群で多かった。ガス交換能は,各人工肺とも良好であった。酸素添加能ではHF-5000が最も良好であった。溶血に関しては,キャピオックスE使用群で最も多く, HF-5000使用群, メラエクセランα使用群の順であった。血小板保存率では, HF-5000使用群で良好な傾向があり, 術後の血小板数が他の2人工肺に比べ高かった。凝固線溶系においては, 3人工肺間に有意差を認めなかった。
  • ―MAXIMA, Sarns 16310, メラエクセランαの比較検討―
    服部 良信, 杉村 修一郎, 小澤 勝男, 入山 正, 松田 昌浩, 平野 美紀, 松山 孝昭, 武田 功
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1144-1147
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    平成1年1月から平成2年6月に当科で開心術を施行した, MAXIMA(M)29例, Sarns 16310(S)36例, メラエクセランα(E)16例の臨床的検討を行った。年齢, 体重, 総充填液量, 希釈率, 体外循環時間は, M群54歳, 55kg, 2030ml, 20%, 168分, S群24歳, 30kg, 1487ml, 23%, 137分, E群44歳, 55kg, 1911ml, 21%, 153分で, 年齢, 体重, 総充填液量はS群が小さかったが, 他は差はなかった。体外循環開始時酸素濃度を70%にし, 随時調節をした。3群とも酸素加能は良好であったが, S群とE群の2.4%にPaO2が200mmHg以下になり, M群に比しやや劣っていた。吹送ガス流量(V)と送血流量(Q)の比は, M群0.19, S群0.37, E群0.32で, PaCO2は, M群31mmHg, S群32mmHg, E群28mmHgで, CO2の排出能はM群がS群より優れ, S群はE群より劣っていた。3群とも加温時にはV/Qを冷却時の約2倍が必要であったが, それでもなおPaCO2は冷却時より高かった。
  • 雨宮 彰, 金香 充範, 門場 啓司, 宮本 裕治, 松若 良介, 阪越 信雄, 西村 元延, 倉谷 徹, 中埜 粛, 松田 暉, 川島 康 ...
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1148-1151
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    新しい外部灌流型膜型人工肺(Dideco社製D703Compactflo)を教室の人工肺検定法にて検討した。酸素添加能及び炭酸ガス排出能は良好で, かつその適正膜指数は0.5-2L/min/m2, 人工肺制御指数はQ=0.5L/min/m2時0.70~0.85, Q=1.0L/min/m2時0.80~0.95, Q=1.5L/min/m2時0.90~1.1, Q=2.0L/min/m2時1.35~1.61であった。また, 成人臨床例13例においてこれを用い, ガス交換能は良好で, かつ輸血節減に有用であった。
  • 中原 秀樹, 山田 崇之, 大島 永久, 田辺 貞雄, 横山 基幹, 入江 嘉仁, 向山 美果也
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1152-1156
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    HF-5400使用群9例(M群), H-1700使用群6例(B群)について比較検討した. 1)PaO2, SaO2は復温中を含めた全経過を通じて347mmHg, 99.4%以上を保っており両群ともに充分な酸素化能を示した. PaCO2はM群がコントロール容易であった. 2)平均動脈圧は両群には差はなかった. 3)体外循環中の血清遊離ヘモグロビン増加率はM群がB群に比し少なかった. 4)体外循環前後で両群ともにC3, C4の減少は軽度であった. C3a, C4aは体外循環中に著明に増加した. C3aはM群(P<0.05), C4aはB群での増加が多かったが, その原因はM群ではblood-material interfaceによるalternative pathwayによる活性化が強く, B群ではalternative pathwayに加えclassical pathwayよる活性化が関与しているものと思われた. 人工心肺中のanaphylatoxinの産生は著しいが、 いまだ機序の不明の部分も多い. その機序を解明し補体活性化を抑制することがより生理的な体外循環を実現するために重要と思われた.
  • 仲田 勲生, 高原 善治, 村山 博和, 須藤 義夫, 中村 常太郎, 永野 敏昭
    1991 年 20 巻 3 号 p. 1157-1160
    発行日: 1991/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    小児用の膜型肺の内, 積層型肺VPCML(V)と外部灌流型フォローファイバー型肺MASTERFLO(M)とを使用し, 臨床的に差が認められるか検討した。対象はV使用6例とM使用7例, 年令は10カ月から9才であった。ガス交換能に問題はなかった。体外循環(CPB)中の遊離ヘモグロビンの増加量はV群が0.052±0.047mg/dl/min, M群が0.076±0.069mg/dl//minで有意差はなかった。血小板数はCPB開始5分でV群60±19%, M群73±16%に減少し, V群がM群よりも低値を示し, CPB60分ではV群53±14%, M群73±10%と有意差を認めたが(P<0.05), その後は大きな変動はみられず, 有意差も認められなかった。白血球数, GOT, GPT, LDH, CPK, 総ビリルビン値, BUN, クレアチニン値についても検討したが, いずれも両群間に有意差は認められなかった。V及びM間に臨床使用上明らかな差は認められなかった。
feedback
Top