塩酸ピルジカイニド (PIL) の心房筋の電気生理学的特性への影響を検討した.
【方法】心臓電気生理学的検査を受けた正常心機能患者16例を対象とし, PIL静注 (1mg/kg) 前後で電気生理学的諸指標, 血圧を測定した, 【結果】PIL静注により, 心房有効不応期は有意に延長したが, 心室有効不応期は有意な変化はしなかった, 心房電位幅および心房内伝導時間, QRS幅はそれぞれ有意に延長した.AH, HV時間は有意に延長し, 右房からの高頻度刺激時の房室伝導能も有意に低下した.断裂性心房電位誘発帯は有意に減少し, 伝導遅延誘発帯, 反復性心房応答誘発帯も減少傾向を示した.心房, 心室閾値, 血圧, 洞結節機能回復時間には有意な変化はみられなかった.【総括】PILは心房有効不応期の延長および伝導抑制作用を示し, 心房受攻性の各指標を改善させた.正常心機能例では, 血圧の低下等の合併症はなく, 安全であるが, QRS幅の延長には注意が必要である.
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