心電図
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22 巻, 4 号
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  • 佐々木 暁彦, 新井 富夫, 茂田 博, 山科 章
    2002 年 22 巻 4 号 p. 211-219
    発行日: 2002/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【目的】標準12誘導心電図 (ECG) を一次微分することにより, 労作性狭心症の安静時診断を試みた, 【方法】対象は安静時心電図が正常な労作性狭心症36例 (AP群) および健常人52例 (N群) .対象全例のECGの各誘導を時定数10msecで一次微分した.絶対値表示したT波の一次微分波形は二峰性であり, 一峰目をT1波, 二峰目をT2波とし, T波の左右対称性の指標値としてT2波高とT1波高の比であるT2/T1比を両群間で比較した.【結果】 (1) T2/T1比はI, V5, V6誘導でAP群はN群に比し有意に低値であった (p<0.0001) , (2) V5におけるT2/T1比<1, 5を労作性狭心症とした場合, 診断率は感度78%, 特異度73%であった, 【総括】T1波高はT波の上行脚, T2波高は下行脚の最大傾斜に相当し, T2/T1比によりT波の左右対称性の定量化が可能である, 安静時心電図上ST-T異常を認めない労作性狭心症においても左側胸部誘導でT波は健常人に比し左右対称化しており, 通常の心電図では判定困難な再分極異常を反映している可能性がある.【結論】ECGにおけるT波の一次微分波形は安静時に心電図異常を認めない労作性狭心症の安静時診断に有用であった.
  • 角川 浩之, 清水 昭彦, 山縣 俊彦, 江里 正弘, 上山 剛, 大村 昌人, 木村 征靖, 吉賀 康裕, 土居 正浩, 亀谷 良介, 金 ...
    2002 年 22 巻 4 号 p. 220-229
    発行日: 2002/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    塩酸ピルジカイニド (PIL) の心房筋の電気生理学的特性への影響を検討した.
    【方法】心臓電気生理学的検査を受けた正常心機能患者16例を対象とし, PIL静注 (1mg/kg) 前後で電気生理学的諸指標, 血圧を測定した, 【結果】PIL静注により, 心房有効不応期は有意に延長したが, 心室有効不応期は有意な変化はしなかった, 心房電位幅および心房内伝導時間, QRS幅はそれぞれ有意に延長した.AH, HV時間は有意に延長し, 右房からの高頻度刺激時の房室伝導能も有意に低下した.断裂性心房電位誘発帯は有意に減少し, 伝導遅延誘発帯, 反復性心房応答誘発帯も減少傾向を示した.心房, 心室閾値, 血圧, 洞結節機能回復時間には有意な変化はみられなかった.【総括】PILは心房有効不応期の延長および伝導抑制作用を示し, 心房受攻性の各指標を改善させた.正常心機能例では, 血圧の低下等の合併症はなく, 安全であるが, QRS幅の延長には注意が必要である.
  • 芦原 貴司, 八尾 武憲, 難波 経豊, 川瀬 綾香, 池田 隆徳, 中沢 一雄, 伊藤 誠
    2002 年 22 巻 4 号 p. 230-241
    発行日: 2002/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【目的】心室細動に対する電気ショツクの強度を上げ過ぎるとelectroporationによる膜電位上昇で異所性興奮が増え, 除細動に失敗しやすくなると考えられてきた.しかし, 実際にはショック強度を上げても除細動成功率が下がることはない, これまでに我々はバイドメインモデルによるコンピュータシミュレーションから, 電気的除細動においてelectroporationが抗不整脈性をもつことを報告した.本研究の目的は, そのelectroporation仮説に基づいて最適ショック波形の理論的根拠を示すことにある, 【方法】2次元仮想心筋で細動を誘発し, さまざまな波形の単相性電気ショックをあたえ, 除細動閾値とelectroporation閾値の関係を調べた.【結果】電気的除細動の成功には, 進行中のspiral waveが停止し, 新たなspiral waveが誘発されないことが必要だが, ショック波形によらずelectroporationは後者で重要な役割を担っていた.また, 除細動閾値とelectroporation閾値は相関していた, 【総括】電気的除細動における最適ショック波形の設定にelectroporation閾値が有用である可能性が示唆された.
  • 中須賀 一太, 岡本 和彦, 久保田 聡子, 有田 武史, 古賀 英幸, 安田 雄一郎, 林田 晃寛, 山形 康洋, 久間 文明, 伊東 裕 ...
    2002 年 22 巻 4 号 p. 242-249
    発行日: 2002/07/25
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    【目的】右室流出路起源の心室性期外収縮 (PVC) は運動誘発性を特徴のひとつとするがその詳細は報告によって若干異なるため, 今回運動負荷試験中のPVCを血漿力テコールアミン濃度および血清K+濃度との関連で検討した, 【方法】体表面心電図波形から右室流出路起源と判断されたPVCを有する3症例に症候限界性の運動負荷試験を施行した.連続心電図記録下のPVCの発生頻度と血漿力テコールアミン濃度と血清K+濃度との関連を検討した.【結果】運動負荷試験の進行につれてPVCは増加傾向を示し, 血漿力テコールアミン濃度と血清K+濃度は直線的に増加した.しかし最大運動強度に近づくにつれてPVCは減少ないし消失し, 血清K+濃度の増加は血漿力テコールアミン濃度のそれに比して鈍化した.運動終了後は血漿力テコールアミン濃度と血清K+濃度は急速に減少したが, 血清K+濃度の低下が顕著であった (postexercise hypokalemia) , 血漿力テコールアミン濃度が運動前値にまで低下せずに低K+血症を示す運動直後の数分間にPVCが頻発した.【結語】右室流出路起源のPVCの運動誘発性を検討する際は, 血漿カテコールアミン濃度のみならず血清K+濃度を考慮する必要性が示唆された.
  • 堤 由美子, 傳 隆泰, 朝倉 利久, 福田 恵津子, 青木 啓一, 小笠原 憲, 渡辺 熈
    2002 年 22 巻 4 号 p. 250-255
    発行日: 2002/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【目的】冠動脈バイパス術 (CABG) 術前のP波加算平均心電図 (PSAE) から術後の心房細動発生の予測が可能であるかを, 術前, 術中のその他の要因とあわせて検討した.【方法】単独CABGを施行した52名を対象とした.PSAEより, filtered P duration (FPD) を求め, これを術後1ヵ月以内のAF発症の有無によりAF群, non AF群として比較した.また, 術前の左室駆出率, 左房径, β遮断剤服用の有無, グラフトの数, 人工心肺作動時間, 右冠動脈狭窄の有無でも両群で比較した.【結果】術後にAFを発症したのは16名 (30.7%) で, AF群ではnon AF群に比し, 年齢が高く, FPDが延長していたが, その他のパラメーターで有意差はみられなかった.また, 多変量解析においても年齢, FPDは独立した予測因子であった.【結語】術前のPSAEは術後のAFを予知する指標として有用であった.また加齢もAF発生の要因であると思われた.
  • 黒田 奈巳, 大西 祥男, 岡嶋 克則, 石田 明彦, 北村 秀綱, 吉田 明弘, 横山 光宏
    2002 年 22 巻 4 号 p. 256-265
    発行日: 2002/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【目的】致死的心室性不整脈例において, T波後半成分とそのばらつきの臨床的意義について検討した.【方法】器質的心疾患例 (OHD) 92例と健常者82例を持続性心室頻拍, 心室細動を有するOHD群 (SVT+) と有さないOHD群 (SVT-) , 健常者群 (N) の3群に分類し, 各々安静時12誘導心電図におけるQ波からT波の終了点 (QT) , Q波からT波の頂点 (QaTp) , T波の頂点からT波の終了点 (TpE) , 各々のdispersion (QTd, QaTpd, TpEd) を求め3群間で比較検討した.【結果】SVT+とsvTとの比較検討では, 特にTpEで大きな有意差をもってSVT+で延長していた.DispersionではQaTpdは有意差はなく, QTd, TpEdがSVT+で有意に大であった.【総括】致死的心室性不整脈を有する器質的心疾患例では, T波後半成分のばらつきが, 致死的心室性不整脈と密接に関係する可能性が示唆された.
  • 笠尾 昌史, 白井 徹郎, 井上 清
    2002 年 22 巻 4 号 p. 266-273
    発行日: 2002/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    臨床例における心房細動後に観察される電気的リモデリングの存在を明らかにするために, 心房期外収縮連結時間 (PAC-Cl) を用い検討した、対象は24時間心電図記録中に5分以上持続する発作性心房細動 (AF1) とAF1停止後1分以上の間隔をあけ1分以上持続する発作性心房細動 (AF2) の再発を認め, さらにAF1, AF2を誘発した心房期外収縮 (PAC1, PAC2) およびAF1停止後5分以内の心房期外収縮 (PAC') が観察された33例である, 33例に対しPAC-Cl, AF1, AF2の持続時間 (D1, D2) , relapsing time (RT) を測定, さらにRTに基づき対象を2群 (60分未満: A群, 60分以上: B群) に分け検討を加えた.PAC'-ClはPAC1-CIおよびPAC2-CIに比し有意に短縮し, PAC2-ClはPAC1-Clに比し有意に短縮していた.RTと△PAC-Cl (PAC2-ClとPAC'-Clの差) の間には有意な正相関を認めた (r=0.723, p<0.0001) .A群ではPAC2-Clの有意な短縮とD2の有意な延長を認めたが, B群ではこれらの所見を認めなかった.心房細動停止後に出現するPAC-Clの一過性の短縮とそれに関連する事象は, 心房細動動物実験でみられる心房不応期の変化態度と類似しており, 臨床例でみられる心房細動後の電気的リモデリングの存在を示唆する所見と考えられた.
  • ―QT variability indexと周波数解析による検討―
    大野 則彦, 斎藤 寛和, 大坂 元久, 新 博次, 高野 照夫
    2002 年 22 巻 4 号 p. 274-284
    発行日: 2002/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    心室性不整脈とQT間隔変動との関連をtime domain analysis (TDA) およびfrequency domain analysis (FDA) により検討した.対象は持続性心室頻拍または心室細動を有する (VT/VF) 患者19例, VT/VFを有しない心疾患 (H) 患者19例, 健常 (N) 者19例で, 臥位で標準12誘導心電図を10分間記録し, 1心拍ごとのRR間隔, QT間隔を自動計測し得られた時系列データよりTDAの指標としてQT variability index (QTVI) を, FDAの指標として低周波数帯域 (LF) , 高周波数帯域 (HF) のパワー値, RR間隔変動とQT間隔変動のcoherenceを求め比較した.QTVIはN群 (-0, 766±0.331) に比しH群 (-0, 119±0.723) , VT/VF群 (-0.117±0.692) で有意に大きかった (p<0.005) .VT/VF群では他の2群に比べQT間隔変動のLFパワー値, HFパワー値は有意に大きく (N群vs H群vs VT/VF群: LF=28±12msec2 vs 42±31msec2 vs 88±92msec2; p<0.005vsN群, p<0.05vs H群; HF: 45±21msec2 vs 67±52msec2 vs 163±176msec2; p<0, 005vs N群, p<0.01 vs H群) , LFのcoherenceは有意に小さかった (N群vs H群 vs VT/VF群: 0.329±0.156vs0, 305±0.186 vs 0.163±0.072; p<0.005vsN群, p<0.01vsH群) .VT/VF群ではQT間隔変動が大きく, 交感神経の影響が示唆された.
  • 古山 正大, 松尾 邦浩, 東條 秀明, 安田 智生, 野口 博生, 案浦 美雪, 山之内 良雄, 熊谷 浩一郎, 朔 啓二郎
    2002 年 22 巻 4 号 p. 285-291
    発行日: 2002/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    症例は生来健康な34歳男性.2001年8月就寝中, 呼吸停止を妻が発見し, 救急隊を要請した.心室細動を確認後, 直流通電で洞調律となり入院した.心電図検査で単発性心室性期外収縮を認めるのみでST上昇やその他に異常なく, 心エコーでも器質的心疾患はな力つた.ピルジカイニド負荷にて心電図上, V1-V2にST上昇を認め, イソプロテレノールで低下した.このことからBrugada症候群と同一の基盤により心室細動を発症したと考えた.電気生理学的検査で, 心室2連刺激で心室細動が誘発され, 突然死からの蘇生例であることから植込み型除細動器を植込み, 退院となった.原因不明の失神があり, 心電図上異常を有さない症例にもBrugada症候群が含まれている可能性もあり, 抗不整脈薬負荷試験と電気生理学的検査ならびに植込み型除細動器の適応を考慮するうえで, 参考となる症例と考えたので報告する.
  • 小坂井 嘉夫
    2002 年 22 巻 4 号 p. 292-294
    発行日: 2002/07/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
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