日本集中治療医学会雑誌
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3 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 佐藤 俊, 堀之内 節, 皆瀬 敦, 松川 周, 橋本 保彦, 星 邦彦
    1996 年 3 巻 3 号 p. 203-208
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    強制陽圧換気に吸気終末ポーズ(end inspiratory pause; EIP)を付加した時のNondependent zone (NDZ)とDependent zone (DZ)の肺胞内圧を測定した。雑種成犬8頭に麻酔下で気管内挿管後,右下側臥位でFIO21.0,一回換気量20ml・kg-1,換気回数15min-1,PEEP5cmH2Oの条件下に吸気時間(TI)とEIPの組合せをかえて人工換気を行った。左肺下葉(NDZ)と右肺上葉(DZ)のカプセル内圧を測定した。吸気終末肺胞内圧は,TI0.8秒+EIP0秒に比較し,TI2秒+EIP0秒においてDZで有意に上昇した。TI0.8秒+EIP1.2秒では,NDZで有意に低下,DZで有意に上昇した。この結果,NDZ,DZ間の圧較差が減少した。TI0.8秒+EIP1.2秒で,EIP開始時と終了時を比較すると,肺胞内圧はNDZで有意に低下し,DZで有意に上昇した。EIP中に肺胞内圧がNDZでは有意に減衰,DZでは漸増したことから,吸気初期に高圧であった区域から低圧であった区域に肺胞内圧が再分配され,圧分布がより均一になることが確認された。
  • 泉 玲子, 長岡 千恵己, 小巻 正泰, 水谷 綾子, 島岡 要, 余 明順, 本田 武司, 妙中 信之
    1996 年 3 巻 3 号 p. 209-213
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    流水式洗浄殺菌水製造装置(BK装置)の手洗い効果を,従来の石鹸洗浄・塩化ベンザルコニウムアルコール(ウエルパス(R))併用法さらに流水法とで比較した。またウエルパスは石鹸により,効果が低下することが知られているため,先行する石鹸洗浄時の石鹸量を変え,ウエルパス法を検討した。対象はICU勤務者50名で,方法は,(1)流水式殺菌水製造装置を用いた流水手洗い(BK法),(2)石鹸3mlで石鹸洗浄後のウエルパスを使用した手洗い(ウエルパスA法),(3)手を濡らした後石鹸を2mlとり,後はウエルパスA法に準じた手洗い(ウエルパスB法),(4)流水のみの手洗いである。それぞれ,手洗い前後に寒天培地に手指細菌を採取し,コロニー数を測定,除菌率を求めた。除菌率はBK法93.2±2.0%,ウエルパスA法44.3±14.0%,ウエルパスB法87.2±7.8%,流水法54.8±11.7%であった。BK法は手指残留石鹸の少ないウエルパスB法と同様の効果があり,手指手洗い法として有効である。
  • サーファクタント補充療法が奏効した1例
    西野 徳之, 大西 浩平, 青木 貴徳
    1996 年 3 巻 3 号 p. 215-221
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    吐物誤嚥による成人呼吸窮迫症候群を発症した63歳女性患者に,肺サーファクタント補充療法を行い救命したので報告する。患者は多量の水を摂取後,嘔吐,誤嚥による呼吸窮迫で当院に搬送された。胸部X線写真・コンピュータ断層撮影(computed tomography; CT)所見は広範な両側性びまん性,間質性および肺胞性浸潤を示し,成人呼吸窮迫(障害)症候群(adult respiratory distress syndrome: ARDS)と診断した。人工呼吸管理と高濃度酸素療法にもかかわらず動脈血肺胞酸素分圧比(a/APO2)は0.19と高度の右左短絡を呈し,治療後36時間でも改善がみられないため,人工サーファクタント300mgを気管支鏡下に各区域支に分割注入した。注入後12時間でa/APO2は0.34,18時間で0.60と上昇し,酸素濃度は12時間で54%,18時間で40%,36時間で30%に減少でき,また胸部X線・CT所見も改善した。
  • 石山 忠彦, 奥村 泰久, 早川 篤司, 鈴木 照, 下中 浩之, 土肥 修司
    1996 年 3 巻 3 号 p. 223-227
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    アルコール常飲者の66歳(症例1),53歳(症例2)の男性に起こった著明なショック例を経験した。入院時,四肢の浮腫,代謝性アシドーシス,高心拍出量性ショックが認められた。カテコラミンはショックの治療に有効でなかった。患者は,ビタミンB1の投与を必要とせず,大量の輸液によりショック状態から離脱した。アルコール常飲者に起こった高心拍出量性ショックとしては,脚気が一般的であるが,本症例では否定的であった。末梢血管拡張により高心拍出状態になったと考えられた。末梢血管拡張による相対的脱水が両症例におけるショックの主因と考えられるが,さらに腎不全,代謝障害などの因子も病態を修飾していることが示唆された。
  • 藤田 啓起, 丸川 征四郎, 山内 順子, 尾崎 孝平, 石蔵 礼一
    1996 年 3 巻 3 号 p. 229-234
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    人工妊娠中絶処置中に子宮破裂を来たし,遷延性低血圧と低酸素血症が原因と思われる低酸素性脳症を合併した1例を経験した。ICU収容時には,高度な意識障害,脳波の平低徐波化,頭部コンピューター断層撮影(computed tomography; CT)所見に広範囲な異常所見と,高度な脳浮腫を認め,予後不良と考えられた。しかし,第23病日から意識レベルが改善し始め,第122病日には軽度のパーキンソン様症状を残すものの,介助歩行にて退院できた。本例は,臨床症状が軽快した時点でCT所見と磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging; MRI)-T2強調像に異常所見を認めたものの,MRI-T1強調像には異常所見を認めなかった。この事実は,虚血性脳障害の予後を画像所見から推定する場合,頭部CT所見のみに依存することは危険であり,MRI-T1,2強調像所見が参考になると思われた。
  • 小山 伸一, 行岡 秀和, 森本 修, 新藤 光郎, 西 信一, 前田 均, 藤森 貢, 若杉 長英
    1996 年 3 巻 3 号 p. 235-239
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    自殺目的で燃料用アルコール(メタノール)を服用し,脳死に陥った症例を報告する。患者は42歳の男性で,腹痛と嘔吐で発症し高度代謝性アシドーシスが認められ,昏睡状態に陥ったため気管内挿管後に当院ICUに入室した。入室時,高浸透圧血症と浸透圧ギャップの増加が認められ,頭部コンピューター断層撮影(computed tomography; CT)上両側レンズ核部に低吸収域が認められた。持続血液透析により代謝性アシドーシスの改善が認められたが患者は脳浮腫を生じ,脳死になった。ICU入室7時間後の血中メタノール濃度は173mg・dl-1であった。脳死になった原因として,メタノールおよびその代謝産物の直接作用ならびに脳浮腫による可能性が考えられる。
  • 西山 芳憲, 山縣 俊彦, 中野 健児, 伊藤 雅治
    1996 年 3 巻 3 号 p. 241
    発行日: 1996/07/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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