心電図
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26 巻, 1 号
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  • 倉智 嘉久, 相澤 義房
    2006 年 26 巻 1 号 p. 3
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
  • 山田 充彦
    2006 年 26 巻 1 号 p. 4-10
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ATP感受性K+ (KATP) チャネルは, 細胞内ATPで抑制され細胞内ADPで活性化される内向き整流性K+チャネルで, 心筋や血管平滑筋の虚血に対する反応に関与している.K+チャネル開口薬 (KCO) は, KATPチャネルを活性化して血管を弛緩させるので冠拡張薬として用いられている.心筋のKATPチャネルは, スルフオニルウレア受容体 (SUR) 2AとK+チャネルサブユニットKir6.2から, 血管平滑筋のKATPチャネルは, SUR2BとK+チャネルサブユニットKir6.1から構成される.SUR2AやSUR2Bは, 細胞内ATPやADPと結合する2つのヌクレオチド結合ドメイン (NBD) と, 1つのKCO受容体を有する.2つのNBDがダイマー化するとKATPチヤネルが開口する, KCOはNBDがダイマー化したSUR2AやSUR2Bに好んで結合し, この状態を安定化してチャネルの活性を高める.
  • 今泉 祐治, 村木 克彦
    2006 年 26 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    冠血管拡張薬として広く用いられているニコランジルは, 一酸化窒素 (NO) ドナーとしての作用に加えてK+コンダクタンス増加を介した作用により, ハイブリツド型作用を示すことは1980年代前半から明らかにされてきた、ニコランジルで活性化される血管平滑筋のATP依存性K+ (KATP) チャネルの電気生理学的・薬理学的特徴は, 動脈・静脈また臓器によってかなり異なり複雑である, 動脈平滑筋KATPチャネルは, グリベンクラミドが効きにくくpinacidilやdiazoxideに対する感受性は高いこと, 分子構成としてはSUR2BとKir6.1の組み合わせが主であること, チヤネル活性が細胞内ATPで制御される性質に加えてヌクレオチド2リン酸 (NDP) で活性化されることなどの特徴を有する.SUR2BとKir6.1の組み合わせは, 抵抗動脈平滑筋での高発現が示唆されている.さらに一般に弾性血管よりも抵抗血管側の動脈平滑筋において電位依存性Ca2+チャネルの機能発現が高く, 張力の膜電位依存性が強いため, 細動脈においてKATPチャネル開口薬の弛緩作用がより強く, スルー現象の原因と考えられる, ニコランジルの冠動脈平滑筋弛緩作用にはKATPチャネル開口作用よりもNOドナー作用の寄与が大きいとされている.NOによる過分極の一部は, KATPチャネルとは別の大コンダクタンスCa2+依存性K+チャネル (BKチャネル) がcGMP依存性プロテインキナーゼによるリン酸化により開口確率が増大する機序も介している, つまり, ニコランジルによる冠動脈平滑筋の弛緩はKATPおよびBKチヤネルの開口作用によるものと考えられる.
  • 清水 渉, 相庭 武司, 野田 崇, 里見 和浩, 須山 和弘, 栗田 隆志, 相原 直彦, 鎌倉 史郎
    2006 年 26 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    分子遺伝学的研究の進歩により, 一部の致死性不整脈疾患は心筋イオンチャネル機能に関係する遺伝子の変異によって発症することが判明し, 「イオンチャネル病」という概念が生まれた, これには先天性または後天性QT延長症候群 (LQTS) , Brugada症候群などが含まれる.先天性LQTSでは現在までに8つの遺伝子型が同定されているが, 動脈灌流左室心筋切片を用いたLQTSモデルや単相性活動電位記録を用いた臨床研究により, K+電流 (IKs, IKr) の機能低下によるLQT1とLQT2では, ATP感受性K+ (KATP) チャネル開口薬のニコランジルの有効性が主に静注薬で示唆されている.一方, Brugada症候群ではNa+チャネル遺伝子のSCN5Aの異常が報告されているが, その病態には一過性外向き電流 (Ito) に関係する右室心外膜細胞活動電位の第1相notchが関与する.このため, K+チャネル開口薬の使用や虚血時のATP感受性K+電流 (IK, ATP) 増強は, 表現型 (ST上昇や心室細動) を増悪させたり, これを顕性化させる可能性がある (後天性Brugada症候群) .
  • 林 行雄
    2006 年 26 巻 1 号 p. 28-31
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    ハロセン麻酔下のエピネフリン誘発性不整脈は麻酔薬誘発性不整脈モデルと考えられているが, 今回ラツトのこの不整脈モデルを用いてATP感受性K+チャネル開口薬のニコランジルの作用を検討した.ニコランジルは用量依存性にエピネフリン誘発性不整脈を抑制し, この作用はミトコンドリアATP感受性K+チャネル阻害剤の5-hydroxydecanoateさらにはL-NAMEの存在下では失われた.このニコランジルの抗不整脈作用機序としてミトコンドリアATP感受性K+チャネルを介し, かつ内因性NOが必要であることが推察される.
  • 三浦 哲嗣, 大堀 克彦
    2006 年 26 巻 1 号 p. 32-39
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    K+チャネル開口薬は虚血前あるいは虚血早期の投与により心筋梗塞を顕著に抑制する.K+チャネル開口薬の心筋梗塞抑制効果は, 細胞膜KATP (sarcKATP) チャネルの特異的阻害剤HMR1098により部分的に, またミトコンドリアKATP (mitoKATP) チャネルの阻害剤である5-hydroxydecanoateにより完全に阻害されることから, mitoKATPチャネルの活性化が心筋保護には重要と考えられるが, sarcKATPチャネルとmitoKATPチャネルの関与との関連についてはいまだ不明である, MitoKATPチャネル開口が虚血再灌流による心筋細胞壊死を抑制する機序として, ミトコンドリアCa2+過負荷の軽減とともにpermeability transition poreの開口閾値を上昇させることの重要性を支持する成績が多い.さらに, mitoKATPチャネル開口がERK1/2活性化を介して虚血心筋におけるギヤップ結合透過性を低下させ, 虚血再灌流領域における心筋細胞障害の伝播を抑制することもK+チャネル開口薬の心筋梗塞抑制効果に寄与していると考えられる.
  • 是恒 之宏, 水野 裕八, 佐藤 洋, 堀 正二
    2006 年 26 巻 1 号 p. 40-46
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    lONA試験では, ハイリスク安定狭心症患者においてニコランジルが冠動脈性心疾患死, 非致死性心筋梗塞, 胸痛による予定外入院の一次評価項目を有意に減少させることが報告された, この効果は硝酸薬の有無にかかわらず認められることから, K+チャネル開口作用を介した心筋保護効果であると考えられている.一方, サブ解析では, 糖尿病の有無はこの結果に影響しないが, 併用薬有無別の解析では経口糖尿病薬であるSU剤が対象薬とはなっておらず, その影響については明らかではない, グリベンクラミドはニコランジルとは逆にK+チャネル遮断作用があるため, 虚血心に悪影響を及ぼす可能性が示唆されている.実験的には, ヒト心筋細胞を用いた検討で虚血によるプレコンディショニング (PC) や薬理学的PCの作用を減弱させること, 臨床的にもPTCA時バルーンを用いた短時間虚血後PC効果がグリベンクラミド服用により消失することが報告されている.我々は大阪急性冠症候群研究 (OACIS) において, 心筋梗塞急性期経皮的冠動脈インターベンション (PCI) 後の経過に経口SU剤服用が影響を及ぼすか否力'を検討した.対象は糖尿病合併患者でSU剤服用群150例, インスリンコントロール群45例である.PCI成功率はSU剤群で85%, インスリン群で88%とほぼ同等であった.梗塞後30日予後 (3.3%vs6.8%) , VT/VF発生率 (10.9%vs9.5%) には両群間で有意差を認めなかったが, SU剤群ではpeak CPK値が有意に高値 (2, 926 lU/dL vs 2, 102 lU/dL, p<0, 022) であり, 好ましくない影響を与えている可能性が示唆された.
  • 加藤 徹, 野出 孝一
    2006 年 26 巻 1 号 p. 47-55
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    梗塞前狭心症は, 臨床の現場における心筋虚血プレコンディショニングの一つである, 心筋梗塞発症前24時間以内であれば, 院外不整脈発生頻度を減少させ, 責任冠動脈の再疎通に成功した時の梗塞サイズを縮小し, さらには院内死亡率を50%減少させ5年生存率を改善する.とはいうものの, 患者自らが心筋梗塞発症前24時間以内に梗塞前狭心症を得ることは選択できない.そこでこれに代わるものとして, 今回我々はKATPチャネル開口薬の薬剤プレコンディショニング効果について検討した.狭心症と診断された時点でKATPチャネル開口薬の内服を開始しておくことによって, 心筋梗塞を発症した際の致死的不整脈を減少させ, 心機能改善や死亡率を低下させられる, つまり薬剤プレコンディショニング効果を期待できるという仮説を立て, プレコンディショニングのモデルとして待機的PTCAを用いた研究を行った.これにより, KATPチャネル開口薬のニコランジルに薬剤プレコンディショニング効果が期待できるという結果が得られた.本研究より得られた結果は, IONAスタディの結果を裏づけるものの一つと考えられる.
  • 安達 太郎, 菊嶋 修示, 宇野 正人, 齋木 裕香, 野溝 明彦, 山中 郁男, 田口 進, 三好 史人, 渡辺 則和, 河村 光晴, 劉 ...
    2006 年 26 巻 1 号 p. 56-64
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    【症例】62歳男性.【主訴】睡眠時無呼吸.【現病歴】非酸素吸入通常呼吸下 (以下, room air) と経鼻的酸素吸入下 (夜間のみ1, 3, 5L/分) に, 簡易型無呼吸検査と長時間心電図検査を同時に施行した, 酸素吸入の流: 量の増加に従いapnea hypopnea indexは48 (room air) , 9 (1L/分) , 6.4 (3L/分) , 6.1 (5L/分) と軽快, Room air時には発作性心房細動がみられたが酸素吸入にて消失し, 心房性期外収縮も減少した, 心房細動発症直前の周波数解析の結果, high frequency (HF) の急激な上昇から下降, それに重なるようなlow frequency/high frequency (LF/HF) の上昇がみられたが, 酸素吸入時にはこのような現象はみられなかった.したがって心房細動が抑制された機序には, HFの急激な変動の減少が関与していると考えられた, 【総括】夜間発症型の発作性心房細動には中枢型睡眠時無呼吸症候群を合併する症例があり, 酸素吸入が有効であった.
  • 中野 恵美, 原田 智雄, 中沢 潔, 脇本 博文, 佐々木 俊雄, 米山 喜平, 田中 修, 水野 幸一, 東 伸行, 長田 圭三, 高木 ...
    2006 年 26 巻 1 号 p. 65-73
    発行日: 2006/01/25
    公開日: 2010/09/09
    ジャーナル フリー
    肺動脈弁上起源特発性心室頻拍 (VT) 症例にカテーテルアブレーション (CA) を施行.CA前後のアブレーション成功部位における局所電位波形および閾値について検討し, 興味ある知見を得たので報告する.症例: 31歳女性.早朝睡眠時に20分以上持続する心拍数208/分のVTがみられたため入院.心臓電気生理検査 (EPS) 1回目: 数発の心室期外収縮 (PVC) を認めたのみでVT誘発不能.PVCを指標に肺動脈弁上後壁中隔にほぼ完全なペースマッピング (PM) を得た.CA前後で閾値は4Vと不変, 洞調律時の電位波高もほぼ不変で (0.77→0.81mV) PVCは二段脈として持続.EPS2回目: 1回目と同様のPVCは数発のみを認め, 前回アブレーション部位にてPMが得られ通電.閾値は3Vから9.9V以上に変化, 洞調律時の電位波高は著明に減高 (0.74→0.28mV) した.以後VTおよびPVCは消失.肺動脈内CA部位の電位波高の変化に関して検討を行い, 若干の知見を得たので報告する.
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