日本集中治療医学会雑誌
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7 巻, 4 号
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  • 武田 純三
    2000 年 7 巻 4 号 p. 333-340
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    人工呼吸による肺の圧損傷(barotrauma)は,透過性亢進により肺水腫を起こす肺の伸展に伴う障害として主に動物で研究がなされ,病理学的変化が明らかになってきた。しかし,近年臨床においてもその重要性が認識されるようになり,急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者を対象にした研究が報告され,圧損傷を起こさない換気法に注目が集まっている。肺の圧損傷の発生には,肺胞の過伸展と気道が閉塞と再開通を繰り返すことによるずれ応力,および炎症性反応の関与が明らかになってきた。大きな換気量による過伸展の防止と,末梢気道閉塞を起こさないための呼気終末陽圧(PEEP)の重要性が認識されている。しかし,圧損傷を起こさない換気の条件については,さらなる研究が必要である。
  • 河本 昌志, 前原 康宏, 田中 裕之, 福田 秀樹, 大澤 恭浩, 森脇 克行, 弓削 孟文
    2000 年 7 巻 4 号 p. 341-348
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    医学部学生を対象に蘇生訓練用人形を用いて一次救命処置の能力を検討した。一次救命処置の講習を受けた臨床実習前の5年生と実習後の6年生を対象に,臨床実地試験の課題として,1人で行う一次救命処置を3分間行わせ,蘇生訓練用人形の記録から,処置までの所要時間,胸骨圧迫式心マッサージの所要時間,換気の所要時間およびそれらの良否等の18項目の技能を計測して比較した。その結果,学生の行う一次救命処置は,その実習経験回数が多いほど実施効率は良くなるが,処置の動作については2:15の一次救命処置を4サイクルを行うのに73秒以上を要するなど,経験型にかかわらず緩慢であることが判明した。一次救命処置は動作の移行時間が緩慢になりやすいので,迅速に行うよう指導書にも時間の基準を明瞭に盛り込むべきと考えた。
  • 熊田 恵介, 福田 充宏, 上野 雅巳, 山根 一和, 青木 光広, 小林 良三, 鈴木 幸一郎, 小濱 啓次
    2000 年 7 巻 4 号 p. 349-354
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    脳組織温に関わる因子について検討した。GCS (Glasgow coma scale)8以下の41症例を対象に,脳組織内に脳温,脳圧センサーを留置し,脳組織温,予後,脳灌流圧,局所脳血流量および内頸静脈血酸素飽和度(oxygen saturation of jugular venous blood, SjO2)との関係について検討した。脳組織温が膀胱温より高く経過する症例は全症例生存し,逆のものは死亡した。脳灌流圧が50mmHg以上では脳組織温と膀胱温の相関が高かったが(r2=0.910),それ以下では相関が得られなかった。脳組織温が膀胱温より高いものでは脳血流量が20ml・100g-1・min-1以上に保たれ,SjO2を同時に測定することは,頭蓋内環境を知るのに有用であった。脳組織温の測定は予後の予測に有用で,脳灌流圧,脳血流量に影響されていることが明らかとなった。
  • 木村 政義, 丸川 征四郎
    2000 年 7 巻 4 号 p. 355-359
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    フロートリガ方式の人工呼吸器は,定常流のバイアスフローを流すため酸素使用量が多いと推定できる。そこで各種人工呼吸器について酸素使用量を測定し,人工呼吸器の経済性について検討した。人工呼吸器の酸素使用量は,間欠的強制換気(SIMV)モードでテスト肺を接続し,酸素濃度設定100%,60%,40%,21%について,それぞれ30分間の人工換気で,デジタル積算流量計によって測定した。また,一部の人工呼吸器では酸素ボンベ圧低下を指標とした測定も行った。その結果,酸素使用量はトリガ様式にかかわりなく,少ない群(Servo900C,Evita2,Servo300)と,多い群(Bennett740,T-BirdVSO2,Bird8400STi,CV4000a)に分かれた。酸素濃度100%での酸素使用量はBird 8400STiが最大で,最少のServo900Cの3倍以上であった。酸素使用量はトリガ方式よりも酸素空気ブレンダーや人工呼吸器の構造が原因と考えられた.酸素使用量の多い機種では保険収入を上回り赤字を出すことがわかった。酸素消費量が最も多い機種を100%酸素濃度で連続稼働しても1日当たり約2,600円と赤字は寡少であるが,多数の人工呼吸器を長時間使用する施設では,酸素使用量を抑制する工夫が望まれる。
  • 坪 敏仁, 堺 一郎, 鈴木 朗子, 大川 浩文, 石原 弘規, 松木 明知
    2000 年 7 巻 4 号 p. 361-364
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    右房血栓はまれな疾患ではあるが,肺塞栓症の原因となり,しばしば致命的な結果を及ぼす。近年,心エコーの発達により,右房に存在する血栓の確認が臨床的に可能になった。今回,呼吸不全患者に経食道心エコー検査を施行し,右房血栓による肺塞栓症の診断を下すことができた。第1例は45歳の男性で,呼吸不全の診断で集中治療部へ収容した。経食道心エコー検査を施行し右房に多数の血栓を確認した。経過中血栓は増大傾向を示した。剖検後両肺に多数の肺梗塞部位を認めた。第2例は65歳の男性で,肺塞栓症を疑われ集中治療部へ収容した。経食道心エコー検査で右房に数個の血栓を確認できた。また抗凝固薬投与によって血栓の縮小を確認できた。経食道心エコー検査は,集中治療の場で,右房血栓の診断およびその変化を観察するために有用である。
  • 今中 秀光, 宮野 博史, 公文 啓二, 中谷 武嗣, 北村 惣一郎
    2000 年 7 巻 4 号 p. 365-372
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    心臓移植術後2症例の急性期管理について報告する。
    第1例は43歳男性で,拡張型心筋症(DCM)に対し左心補助人工心臓装着の後,心臓移植術を施行した。第2例は25歳男性で,DCMに対し心臓移植術を施行した。術後クリーンルームに収容し,接触する医療従事者を制限し,気管チューブの早期抜管,ルートの早期抜去,早期離床に心掛けた。心不全予防のため少量のドパミンないしドブタミンを,心拍数維持のためペーシングとともにイソプロテレノールを必要としたが,移植心の機能は良好であった。またヒト心房性ナトリウム利尿ポリペプチドが尿量・腎機能の維持に有用であった。免疫抑制薬は,第1例では軽度腎・肝障害のためステロイド,ムロモナブ-CD3で開始し,腎機能が正常化した後,三者併用療法(シクロスポリン,ミコフェノール酸モフェティル,プレドニゾロン)とした。第2例では最初から三者併用とした。2症例とも経過は良好で術後1週間の心内膜心筋生検で拒絶反応を否定した後ICUを退室した。心臓移植術後急性期管理では,感染予防,ならびに除神経心であることへの配慮に基づいた循環管理が大切である。
  • 河崎 純忠, 鐘野 弘洋, 鈴木 洋人, 田口 昇
    2000 年 7 巻 4 号 p. 373-377
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    人工呼吸中の筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis, ALS)患者の流動食投与中に呼気二酸化炭素分圧(PETCO2)の上昇と循環変動を観察したので,食物摂取の代謝,循環,交感神経系に及ぼす影響を検討した。測定条件を,微温湯を投与し換気量固定,流動食を投与し換気量固定,流動食を投与しPETCO2を前値に維持する換気量調節の3条件とし,VO2,VCO2の測定には間接熱量計を用いた。微温湯では測定項目に変化がなかった。流動食を投与するとVO2,VCO2,心拍数が増加したが,PaCO2および血圧は調節条件では変化がなく,固定条件でともに上昇した。血中のエピネフリンの上昇はみられないが,ノルエピネフリンとドパミンは上昇した。ALS患者はautonomic hyperreflexia状態にあるといわれていることから,固定条件の血圧上昇はPaCO2の上昇に対する交感神経系の過敏反応によるものかもしれない。なお,人工呼吸条件の変更は間接熱量計による測定結果に影響することを考慮しておく必要がある。
  • 中條 浩介, 植木 正明, 浅賀 健彦, 重松 文子, 宮脇 有紀
    2000 年 7 巻 4 号 p. 379-382
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
    近年,医療情報分野では電子カルテシステムが注目されている。今回,患者台帳,検査データベース(検体検査,細菌検査)からなるICUデータベースを作成した。そして,ICUのパソコン(Power Macintosh G3TM 266MHz, Apple社)と病院オーダリングシステム(PCORDER 97TM, NEC社)をネットワーク化し,病院オーダリングシステムから各種患者情報をICUデータベースに利用できる重症患者管理システムを開発した。
    これにより,患者情報のデータベースへの入力作業が簡単かつ正確に行え,また電子化が可能となった。各種患者データはパソコン上で電子化されることで,統計および臨床研究などに利用でき,さらに,栄養管理,代謝計算,重症度評価,各臓器での障害発生の予測などの病態解析や感染症対策にも利用でき,治療に反映させることが可能となった。
  • 高橋 完, 石井 努, 岡本 典幸, 平崎 裕二, 北川 裕利
    2000 年 7 巻 4 号 p. 383-384
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 横隔膜超音波下PSVの有用性について
    水野 樹, 中山 泰典, 土肥 俊之, 時岡 宏明
    2000 年 7 巻 4 号 p. 385-386
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
  • 長谷山 雅美, 川本 まゆ子, 畑山 宣子, 竹内 明子, 長谷山 美紀, 櫻井 繁子
    2000 年 7 巻 4 号 p. 387-388
    発行日: 2000/10/01
    公開日: 2009/03/27
    ジャーナル フリー
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