化学工学論文集
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22 巻, 6 号
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  • 花熊 克友
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1263-1272
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本論文では, 著者らが実用化を進めてきたプロセス制御開発の現状を述べ, プロセス制御系設計のためのモデリング技術 (遺伝子アルゴリズムによるモデリング, ニューラルネットワークによるモデリング, 物理モデリング, 時系列モデリング) と制御技術 (物理モデルを用いたフィードフォワード制御, モデル予測制御, 繰り返し学習制御, 自己調整付ファジィ制御, 単純適応制御) の実施例を紹介した.さらに, 実用化に当たっての課題を述べた.
  • 佐治 明, 野田 英智, 谷井 忠明, 川田 裕, 高田 智成, 庄司 景子, 北村 光, 鎌田 敏弘
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1273-1280
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    火力発電所等から回収した大量のCO2を海洋に貯留するシステムの可能性を検討するため, 液体CO2およびCO2クラスレートの形態でCO2を深海中に投入した場合について溶解を考慮したシミュレ-ションを行い, 以下の知見を得た.液体CO2を投入する場合は短時間で海水に溶解・拡散し, 投入深度付近の海水性状に大きな影響を及ぼすため, 深海底近傍に投入し貯留する必要がある.CO2クラスレートを投入する場合;投入深度と目標貯留深度との差が小さい場合は, その一部が海底に貯留され, その後の溶解で海底近傍の海水性状に影響を及ぼす.一方, 差が大きい場合は, 目標海底に到達するまでに, 総て溶解するが, 各深度において潮流に十分に希釈されるため, 環境への影響は小さい.CO2を海底に貯留する場合, 潮流に基ずく拡散でCO2が溶出し, 深海底近傍のpHが部分的に高くなり, 環境への影響が懸念されるため, 潮流の影響がほとんどない窪地を選定する必要がある.
  • 深山 浩, 加治 均, 廣瀬 靖夫, 新井 紀男
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1281-1288
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    燃焼用空気と高温燃焼排ガスとの熱交換により, 空気予熱温度を高め燃料消費量の節減を目指す, 蓄熱バーナーが注目され普及されつつある.バーナーと回転再生式熱交換器を一体化させることにより, 燃料消費量の節減に加え低公害と小型化を図る第2世代型の蓄熱バーナーを開発した.本論文では, このバーナーの伝熱特性について回転再生式熱交換器の伝熱理論を基に理論解析を行うとともに, 蓄熱体での伝熱量を実験結果と比較検討した.さらに, 商業運転中の管式加熱炉を1994年の夏に改造し, このバーナーを3台取り付け1年間の実証運転を実施した.その結果, 総括熱伝達係数として対流伝熱に加え輻射伝熱を考慮することにより±10%の精度で伝熱量を予測できることを確認した.また, 実証装置で燃料効率が90%以上と極めて高い効率を安定して示すことが実験・理論の両面から明らかになるとともに, 予熱空気温度が930K前後と高温となるにも拘わらず60ppm (O26%換算値) 前後の窒素酸化物排出値が得られた.
  • 花熊 克友, 中矢 一豊, 竹内 健史, 佐々木 隆志, 中西 英二
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1289-1293
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    逐次最尤推定法による自己回帰モデルの推定残差列統計量解析を用いたプロセス異常信号の検出法を開発した.本手法は, 逐次最尤推定法によりプロセス信号を自己回帰モデルに近似し, モデルの推定残差列から対数尤度関数と自己相関関数の二乗和を用いて白色性の検定を行い, 異常信号を検出する.
    本手法の有効性を確認するため, 直鎖状低密度ポリエチレン製造装置触媒供給系での触媒流量異常信号の検出に適用した.その結果, 本手法は異常信号の検出に有効であることがわかった.
  • 鶴見 和則, 井上 勝利
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1294-1297
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    テトラアンミン白金 (II) ジクロライドと, ヒドロキソペンタアンミン白金 (IV) トリクロライド (以降, Pt (II) アンミン及びPt (IV) アンミンと称する) によるシリカゲルへの白金のイオン交換担持を行い, 吸着挙動とPt比表面積の比較をした.シリカゲルへのイオン交換吸着は, アンモニアでpHを変化させて行った.Pt (II) アンミンの吸着量は, pHの上昇に伴い増加したが, Pt (IV) アンミンでは, pHに対して極大値を持つ吸着量の依存性を示した.担持Ptイオンの金属化処理において, 直接水素還元で得られるPt比表面積は, 両錯体ともに大気焼成前処理を施すよりも大きい値を示した.Pt (II) アンミンにより調製した触媒のPt比表面積は, 担持pHに影響されず一定の大きさであったが, Pt (IV) アンミンによるそれは, pH>7.2でpHの上昇に伴い低下した.Pt (IV) アンミンによるpH<7.2における担持では, Pt (II) アンミンよりも高比表面積の白金が得られることが判った.
  • 谷村 裕次, 明畠 高司, 庵崎 雅章, 折笠 実
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1298-1306
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    鉄一ニッケル合金よりなる, シャドーマスクとリードフレーム用のエッチャントである塩化鉄 (III) の電解再生について研究した.全鉄分, Fe2+及びNi2+が濃縮したエッチャントを連続的に電解槽に送入し, カソードにFeとNiを析出させ, エッチャントの一部を吸収塔へと導き, そこでアノードで発生した塩素によってエッチャント中のFe2+をFe3+に酸化させた.
    マスバランス式によって決定した速度で, エッチャントを送入すれば定常状態が保たれることが知られた.低濃度電解液では, 析出物中のニッケル含量は低い (11%) が, 電流効率 (90%) は高かった.一方高濃度液では, 析出物中のニッケル含量は高い (33%) が, 電流効率 (40%) は低かった.塩素はFe2+をFe3+に酸化するのに完全に消費された.
    以上の結果より, クローズドシステムによる簡易な連続電解でエッチャントの再生と貴重なニッケルの回収を実現できることが示された.
  • 内藤 剛行, 飯島 千景, 伊藤 博康, 宮原 敏郎
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1307-1312
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    都市ごみ流動層炉の特性を生かし, 廃熱ボイラの熱効率向上のために実炉を用いて実験した.その結果, 必要以上の蒸気を発生させないために, 流動状態を瞬時に停止する制御法が有効であることが確認された.
    また, 夜間はごみの焼却を停止して砂の保有熱で蒸気圧力を保持し, 日中は最大能力で燃焼する流動層炉の毎日の間欠運転が余剰電力を生み出すのに有効であることがわかった.
  • 森 重之, 長田 純夫, 迫口 明浩, 上岡 龍一
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1313-1317
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    べつ甲細工は日本の伝統工芸のひとつであり, べっ甲の原料はタイマイである.しかし, タイマイの輸入禁止により, べっ甲業界は存亡の危機にたたされている.そこで, 従来のペっ甲細工技術を活かせるべっ甲の代替材料として牛角に着目し, 牛角を利用した新材料の開発を検討した.本研究で得られた顕著な成果は次のとおりである.a) 牛角を過酸化水素 (H2O2) で化学的に処理し, べっ甲と同様なあめ色に改質する技術を確立した.さらに, b) 牛角粉末とべっ甲粉末を適切な割合で混合し, 110-120℃の温度範囲で成形することによって, べっ甲に類似した新材料を開発した.
  • エタノール水溶液系における微量香味成分の蒸留挙動
    安藤 浩毅, 濱崎 幸男, 谷口 潔, 桑木野 博信, 中野 健治, 上村 芳三, 幡手 泰雄
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1318-1325
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    9.8wt%のエタノール水溶液100kgにn-プロパノール, β-フェネチルアルコール, 及びカプリル酸エチルをそれぞれ0.01~0.001 wt%の濃度で加えた調整液を用いて, 蒸気吹き込み流量1,830mol/h, 精留棚段数10段, 全還流定常状態における塔内蒸気速度9. 57mol/m2・s, 還流比3の条件で回分蒸留実験を行い, 回分精留モデルを用いて装置の性能及び蒸留挙動, 特に微量香味成分の蒸留挙動について検討した.その結果, 全還流定常状態におけるマーフリー気相段効率は, それぞれエタノールが0.5, n-プロパノールが0.6, β-フェネチルアルコールが0.4, カプリル酸エチルが0.5であった.また, 各成分の蒸留曲線は, 回分精留モデルを用いることによって, その留出挙動を説明することができた.
  • 城石 昭弘, 村岡 俊和, 吉田 正道, 宮下 尚
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1326-1333
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    MSMPR (Mixed Suspension Mixed Product Removal) 型晶析器を用いた連続多段晶析プロセスを対象に, 各段の結晶滞留時間および滞留量が異なり, 前段で生成した結晶スラリーがそのまま次段に供給されるという実際的な場合について各段の結晶成長速度と核化速度を算出する方法を提案した.
    本法では先ず各段におけるポピュレーションバランス式を誘導しその解析解を求めた後, 各段の結晶重量, 滞留時間, 粒度分布のデータのみから, パーソナルコンピューターを用いて1段目から順に各段の結晶成長速度と核化速度を区別して同時に求めるものである.
    本法を日産式メラミン製造プロセスにおける連続三段晶析工程に適用したところ, 満足すべき操業解析結果を得た.本解析結果と基礎実験で別途測定したメラミンの過溶解度および結晶線成長速度係数のデータを用いて各晶析器の操作過飽和度や相対操作過飽和度を算出し, 操業状況を検証した.
  • 前田 俊之, 馬淵 昭弘, 斎藤 道雄, 平田 雄志
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1334-1339
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    フッ化ピッチはピッチをフッ素ガスで直接フッ素化して得られ, 水に対する接触角 145度以上という優れた撥水性をもつ新規のフッ素化カーボン材である.その工業化の検討のため, 高軟化点ピッチを原料として過激なフッ素化反応に耐えられるよう設計製作した耐フッ素熱天秤を用いて, 一定ガス分圧下で固体状フッ化ピッチの合成実験を行い, 反応速度解析ならびに生成物の19F-NMR, IR, 元素分析等を行なった, その結果フッ素分圧に影響無く反応温度が等しければ同等の物性のフッ化ピッチが得られること, また反応温度が363K以上に上昇すればカーボンの六員環の開環反応が開始することがわかった.フッ素化反応速度はフッ素ガスの濃度及び反応活性なカーボン分率のそれぞれ約0.5乗に比例し, またアウレニウスプロットより求めた見かけの活性化エネルギーは非常に小さい値であることが判明した.
  • 花熊 克友, 中矢 一豊, 竹内 健史, 佐々木 隆志, 中西 英二
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1340-1344
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    離散ラゲールフィルタを用いた拡張ウィナー級数モデルによる非線形プロセスのモデリング法を開発した.本手法は, 拡張ウィナー級数モデルの入力フィルタに複数の1次離散ラゲールフィルタの線形結合を用いて, 適応ディジタルフィルタにてプロセスの動特性を近似する.これにより, 離散化ボルテラ級数モデルに比べ少ないモデル次数で動特性が近似できる.
    本法の有効性を検証するため, エチレン装置脱メタン塔の塔底温度制御系に適用した.その結果, 本法は有効であることがわかった.
  • 高松 武一郎, 中岩 勝, 中西 俊成, 阿曽 一正
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1345-1350
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    先の報告では, 理想的内部熱交換型蒸留塔 (HIDiC) の概念とその可能性が1理論段当たりの伝熱量一定との仮定での段数計算によって示されてきた.しかしながら実際には, 1理論段当たりの伝熱量は濃縮部と回収部との対応する段間の温度差に依存する.本報告では, 理想的HIDiCの両部間の温度差を考慮した簡易逐次段計算法を提案した.ここでは回収部頂部の蒸気組成は濃縮部と回収部との操作線の交点の状態に等しいとの近似を用いている.
  • 長谷部 伸治, 黒岡 武俊, 東前 圭, 橋本 伊織
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1351-1358
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    様々な構造のバッチ蒸留塔を対象に, 分離に必要なエネルギー消費量の最小化という観点から, 最適な構造について検討した.回収部型のバッチ蒸留塔では, 通常の濃縮部型バッチ蒸留塔と逆に, 還流槽に原料を仕込み, 高沸製晶から順に塔底から抜き出す.また, 全還流型バッチ蒸留塔では, リボイラーと還流槽に原料を仕込み, 全還流運転で低沸, 高沸製品の濃縮を行う。本研究では, これらの構造に加え, 塔の途中段にタンクを設置し, 多成分の分離を同時に行う, 様々な構造の複合型バッチ蒸留塔を検討対象とした.
    多成分を同時に分離する複合型バッチ蒸留塔は, 2成分を分離するバッチ蒸留塔が組み合わされた構造とみなすことができる.そこで, まず2成分を分離する濃縮部型, 回収部型, 全還流型の3つの構造のバッチ蒸留塔の分離特性を, 種々の条件に対して検討した.その結果を用いることにより, 分離に必要なエネルギー消費量の最少化という観点からみた場合, 効率の良い構造は少数に限定できることを明らかにした.そして, 得られた結果の妥当性を, 4成分を分離する問題を例に検証した.
  • 新津 隆士, 山上 伸一, 井上 博愛
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1359-1365
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    流通系撹拌槽によるホルムアルデヒドからの糖の直接合成反応 (ホルモース反応) の速度論的研究を行い, その非定常反応の解析を行った.ホルムアルデヒド, 蟻酸カルシウム溶液と水酸化ナトリウム溶液とを混合させる方法により均一系で反応を行った.実験結果により, この反応は開始反応を含む系と主反応系からなることが示された.この主反応系は, 単一の自己触媒反応速度式ではその挙動を表すことが出来ず, 2つの型の自己触媒反応により成り立っていることが明らかとなった.触媒特性の解析により, 開始反応の速度定数はCa (OH) +イオンの凝集体濃度に関係し, また2つの自己触媒反応のうち一方の自己触媒反応の速度定数は, Ca (OH) +イオン濃度に比例関係を持ち, もう一方は, 水酸イオン濃度に依存することが明らかとなった.その反応過程について論じた.
  • 木俣 光正, 小泉 満宏, 長谷川 政裕
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1366-1372
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    テトラエトキシシラン (TEOS) の半回分操作による加水分解および重縮合反応を行い, ミクロンオーダーの単分散シリカ微粒子を効率よく得るためのシード粒子成長法を検討した.その結果, TEOSの添加により反応を開始させた場合は, 添加速度によらずいずれの場合も新たな微小粒子が発生し, 単分散性は損なわれてしまうことがわかった。しかし, 単分散性を維持する回分操作の条件により, 反応を開始させた後に, TEOSおよび水をさらに連続添加することでミクロンオーダーの単分散微粒子が効率よく得られることも判明した.また, この半回分操作のシード粒子成長法における粒子径が精度よく推算可能であることを示した.
  • 長谷川 孝博, 白石 文秀
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1373-1378
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    直交選点法における選点定数を効率よく計算するための方法について検討した.任意の階の選点定数を同一のサブルーチンで計算できるようにするため, それらの再帰性を利用した計算アルゴリズムを提出した.これにより得られた1階, 2階の選点定数の計算値は, 前報の方法による値と同様に高精度を持つことを確認した.また, 三角関数の微分値に対する近似の精度についての検討結果より, 本アルゴリズムが高階の選点定数の計算においてもうまく動作することを確認した.1組の選点定数を計算するのに必要な時間は従来法の時間とほぼ同じであった.
  • 堤 敦司, 中田 光敏, 峯尾 知子, 吉田 邦夫
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1379-1383
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    平均粒径56μmのMS触媒粒子を, 内径50mmの内部ノズル付き循環流動層で空気で循環流動させた中に, 超臨界二酸化炭素中に溶解させたパラフィンをノズルから噴出させ, 微粒子コーティングを行った.コーティング量およびコーティング速度はサンプリング法によって測定した.コーティング速度は時間によらずほぼ一定で, 粒子は凝集することなく安定なコーティングが可能であった. SEM観察より, 核粒子表面はパラフィンの微粒子および膜で均一に被覆されていることが確認された.コーティング速度およびコーティング効率は, パラフィン濃度の増加とともに, またガス空塔速度の低下とともに増大したが, パラフィン濃度が大きな領域ではコーティング効率は頭打ちの傾向があることを見いだした.
  • 田中 真人, 飯田 真次, 斎藤 夏風
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1384-1390
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    スチレンの懸濁重合系にマグネタイト粉末を添加することによりポリマーとマグネタイトとの複合体粒子の調製を試みた.マグネタイトの一部はシランカップリング剤であらかじめ表面処理し, 液液系に対する親和性の度合いを種々変化させた.
    実験では, 表面処理したマグネタイトを懸濁重合開始前に添加して初期滴径を調整してから重合を開始した.
    その後, 未処理のマグネタイトを添加する時間を段階的に変えた。
    親油性の強いマグネタイトを添加し, かつ, 未処理のマグネタイトの添加が遅い場合には, ポリマ-滴間の合-が活発に起こり, 結果として内部分散型複合体粒子が生成された.一方, 懸濁重合開始前に添加するマグネタイトの親油性の度合いによらず, 未処理のマグネタイトを重合初期領域に添加すると合一が抑制され, 結果として被覆型複合体粒子が生成された.
  • 五十嵐 久人, 中川 秀人, 清水 和幸
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1391-1399
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    遺伝子組換え大腸菌を用いて, 体積1.4dm3規模のファーメンタ培養実験を行った.用いた組換え菌は, λファージ由来のPRプロモータ, およびその下流にlac Z構造遺伝子を組込んだプラスミドpRZを, 温度感受性リプレッサーcI 857を有する大腸菌N4830-1に組込んである.
    二段階培養を行い, 培養開始後8時間まではpH7.0, 温度30℃として菌体増殖を促進させた。その後温度を37~42℃の範囲に上昇させて, 遺伝子発現の誘導を行わせると同時に, 誘導後のpHを変化させて, 遺伝子産物 (β-galactosidase) 生成への影響を検討した.その結果, 培養温度が高ければ発現効率が高いかわりに菌体の比死滅速度も高くなり, また逆に培養温度が低ければそれとは逆のことがおこることがわかった.また以上の実験データを用いて, プラスミド保持生菌濃度および遺伝子産物活性を状態変数とする数式によるモデル化を行った.
    このモデルに遺伝的アルゴリズムを適用し, 最適温度, pH変化パターンを導出した.導出した変化パターンで実験を行った結果, 今までに行った実験の中で最高の遺伝子産物の生産性が得られた.
  • 郭 啓民, 岩田 憲明, 加藤 邦夫
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1400-1407
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    現在, 湿式の排煙脱硫法が広く採用されているが, 低廉, 高効率でしかも排水のない脱硫法が望まれている.本研究では半乾式の新しいタイプ脱硫装置の開発を目的として, 噴流型粉粒流動層を用いて低温脱硫実験を行った.
    500~1500ppmのSO2を含む空気で, 媒体粒子を激しく流動化させているところに, 消石灰あるいは他のアルカリ性微粒子のスラリーを連続供給し, 一定の温度条件下で乾燥しながら, 脱硫を行った.反応後の乾いた微粒子は流動層より飛び出し, 集塵器内に捕集される.
    本研究では主に脱硫剤に消石灰のスラリーを用い, 脱硫率に及ぼす諸因子の影響を調べた.実験結果によると, 脱硫率は消石灰と供給SO2との化学量論比Ca/S, 層内温度及び湿度などの諸因子によって影響を受けた.脱硫温度が 330~340Kにおいては, Ca/Sが1.0で脱硫率が90%以上となることが分かった.
    従って, 本研究で開発した装置は水処理が要らず, 脱硫率を90%以上とすることができるので, 新しいタイプの排煙脱硫プロセスとして開発される可能性があると思われる.
  • 成川 公史, 陳 勇, 山崎 量平, 森 滋勝, 平間 利昌, 細田 英雄, 藤間 幸久
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1408-1414
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    循環流動層燃焼場でのごみ固形化燃料 (RDF) の燃焼特性を把握するため, 内径0.108m, 高さ6mの燃焼部 (ライザー) を有する循環流動層燃焼試験装置を用いて, 操作条件を変化させたときのRDFの燃焼性, NOx排出特性および脱塩化水素特性等について検討した.RDF燃焼時に排出される塩化水素ガス濃度は, RDF中に添加されたカルシウム分による脱塩化水素反応によって, どの操作条件下においてもきわめて低い値であることがわかった.また, 灰中の未燃炭素分も低いレベルであり, RDFの燃焼性が良好であることがわかった.NOおよびN2Oに関しては, 排ガス中N2O濃度はどの条件下においてもかなり低い値であるものの, NO濃度が単段燃焼時において比較的高くなっており, 50%の二次空気比率において減少することがわかった.なお, 排ガス中SO2に関しては, 燃料中S分が低く, また添加カルシウム分が高いため, 検出されなかった.
  • 渡辺 隆行, 秋山 直也, 神沢 淳
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1415-1422
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    アセタール加水分解反応系ケミカルヒートポンプは, その反応熱を利用して10℃程度の冷熱を発生する熱駆動型ヒートポンプである.アセタール加水分解反応は4つの素反応過程に分けられ, 中間生成物質であるヘミアセタールの生成過程が律速段階である.本研究では, その反応機構に基づいた反応速度式を求め, 冷熱発生速度を推算した.この冷熱発生速度はヒートポンプとして実用的な値であることがわかった.しかし本ヒ-トポンプの実用化に向けて, 分離技術の開発が今後の課題となる.また本反応系は熱輸送としても利用可能である.
  • 佐俣 満夫, 金岡 千嘉男
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1423-1428
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    気流中の粒子濃度を測定する場合, 気流の速度と異なる速度で吸引すると得られた粒子濃度に誤差が生じ, これは非等速吸引誤差と呼ばれている.そこで, 物質収支式を基に非等速吸引に影響する無次元数による次元解析の手法を用いて, 多量の実験データと供に解析することにより非等速吸引誤差の評価を試みた.この評価では慣性に関わる因子の解析が重要な意味をもち, この因子の解析に当り主流速, 吸引流速及び粒径が0または∞になる場合を仮定することにより, 慣性パラメータやレイノルズ数等の無次元数をもちいて慣性パラメータが0.01~30の広い範囲でしかも相対誤差5%以内で適用できる評価式を導いた.
  • 劉 憶軍, 大沢 利男, 江頭 靖幸, 小宮 山宏, 金 煕濬
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1429-1434
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    複合系CVDプロセス成膜メカニズムの解析は, プロセスの実用化に際する反応器設計に基本的指針を与え, 特に, 複合セラミックス材料の膜厚と組成を均一に制御するには重要な役割を有する.本論文において, AlCl3/TiCl4/NH3を原料として, AINとTiNの複合ナノ構造セラミックスの合成を行い, その成膜機構を検討した.AlCl3とNH3, TiCl4 とNH3それぞれの気相反応で成膜種が生成し, それぞれの成膜種の独立な拡散律速で AINとTiN混晶の成膜が進行するというメカニズムが示唆された.また, 本実験において, 1) TiNの成膜種の生成が早いために均一温度領域より上流部分で成膜が生じること, 2) TiN成膜種の拡散係数がAIN成膜種の拡散係数より大きいことを考慮すると, 大面積に均一な膜厚と膜組成で成膜を行うためには, 回転円板型反応器のような型式が適していることと考えられる.
  • 佐藤 宗武, 岩崎 智宏, 宮南 啓
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1435-1441
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    粉体層の摩擦特性を評価するために新しい手法を提案した.円錐形ローターが粉体層に貫入する形式の回転型レオメータを用いて粉体層の勢断トルクを測定し, 粉体層への貫入距離との関係としてトルク変動曲線を得た.粘度計校正用標準液を用いてレオメータを評価し, 粉体層中の任意の深さにおける勢断トルク値から見かけの粘性係数ηaを算出した.ηaと粉体層の空隙率との関係はAndradeの式と同様に表されることを明らかにし, 本報で示した摩擦特性の計測システムおよび評価法は混合粉体の表面状態のわずかな変化も鋭敏に検出できることから本装置の有効性を示した.
  • 小林 信介, 山崎 量平, 森 滋勝
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1442-1449
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    気泡と粒子相間の相互作用を考慮する新しい気泡分布モデルを提出し, 気泡の分布状態および粒子相の層内循環流の推定を行った。気泡相については, 前報の結果を用い, 粒子相側に二流体モデルにおける粒子側連続の式, 運動方程式を若干修正した式を用いた.本モデルを用いて円筒型の流動層における気泡の塔半径方向分布と層内粒子循環速度分布の計算を行い, 既往の実測値との比較検討を行なった.その結果, 粒子循環パターンの計算結果は, 実測パターンと良将に一致した.
  • 大佐々 邦久, 川浪 秀明, 柄本 英一, 酒井 和広
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1450-1456
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    アルミニウム (Al) ペレットを陽極犠牲電極とする浮上槽を用い, O/Wエマルションの連続電解分離性能について調べた.その結果, 浮上過程を一次速度式で, また槽内の混合状態を二槽モデルで近似することにより, 油分除去率は速度定数および槽内平均滞留時間の関数で表せ, 実験データをよく相関できた.速度定数はペレット種類および操作条件によらず単位時間当たりのAl溶出速度に比例した.ペレットの単位表面積, 単位時間当たりのAl溶出速度と電流密度との間には直線関係が成立した.電流密度は電流方向に垂直な充愼層断面積基準で表した.本法は種々のイオン性の界面活性剤が混入したエマルションの分離に対しても有効であった.
  • 山田 幾穂, 森 秀樹, 小田 昭昌, 加藤 勝寛
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1457-1460
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    A numerical method is proposed for solving an isothermal equimolar vapor phase parallel reaction problem in a tubular reactor with one dimensional eddy diffusion under the boundary conditions given by Danckwerts.
    This problem is described by simultaneous second order ordinary differential equations, and is transformed to a set of nonlinear simultaneous algebraic equations by expansion using the central finite difference operator. The Newton-Raphson method has been frequently used to solve these equations in spite of the difficulties of complicated derivation of Jacobian matrix and selecting adequate initial values.
    The proposed method is based on the relaxation method and consists of two calculation loops i) to correct the compositions of segmentation points of a reactor using a θ method with component material balances and ii) to repeat the point-by-point calculation in the sequence shown by Mori et al. in the solution of multistage, multi-component distillation problems. The method provides stable solution with a brief algorithm regardless of the number and rate equation of reactions, and is less sensitive in selecting initial values. The usefulness of the method is demonstrated by some numerical examples.
  • 高松 武一郎, 中岩 勝
    1996 年 22 巻 6 号 p. 1461-1464
    発行日: 1996/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    It is shown that the conditions of the minimum amount of heat transfer and total reflux in the ideal heat integrated distillation column (HIDiC) exist corresponding to a conventional column. The importance of temperature distribution through the column is also indicated and its calculation method are shown.
  • 1996 年 22 巻 6 号 p. e1
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
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