酢酸ビニル合成に用いるアセチレンを, 大型移動層吸着装置で精製した.天然ガスの部分燃焼法で製造された粗アセチレンは, 不純物としてメチルアセチレンのような重アセチレン化合物を1%含有している.これを, 破砕活性炭を用いた移動層吸着装置を通して, 重アセチレン化合物を0.1~0.3%にまで除去精製した.
実験は, 塔径100, 320, 1000mmの三種類の試験装置を用い, 物質移動に関するデータのほか, 装置設計や, 運転上考慮すべきスケールエフェクトを検討し, 最終的に塔径2.2m, 塔高17.5m, 内容積38m
3の工業的装置を建設した.
これらの装置を用いた実験の結果としては, 塔径が増大するにつれて, 活性炭の降下速度に偏りが見られること, HETPが大きくなることが挙げられる.
これらの点を除けば, 工業装置の運転は非常に容易で, 酢酸ビニル合成に対する精製の効果も著しく, 不純物副生率小, 触媒劣化速度の低減という好ましい結果がみられた.
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