気泡塔型光化学反応器の光吸収速度を推定する一方法として, 次のような確率モデルに基づく方法を提案した.すなわち, 気泡によって散乱される光の挙動をモンテカルロ法にて模擬し, 反応相内の光路長を求め, その分布を基に光吸収速度を算出する方法である.
そして, トリオギザレート鉄カリウムの光還元反応を, 窒素ガスを通気しながら行い, その反応速度から光吸収速度を求めて, 計算値と比較した.その結果, 両者は比較的よく一致し, 先に述べた解析方法の有効性が確かめられた.
次に, この光吸収速度を簡便に求める方法として, 以下に示すような修正減衰係数μ
*を用いて均相系での光吸収速度を求め, これを不均一系での光吸収速度とみなす近似法を考えた.
μ
*=μ (1+
hψ),
h= (3.6/
db)
0.66ここに, μは液相の減衰係数 [cm
-1],
dbは気泡径 [cm], ψはガスホールドアップである.その結果, μ<0.4cm-1では, 上記の近似法は有効であり, また0.4cm
-1<μでは, 気泡による光の散乱の影響は無視できることがわかった.
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