化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
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50 巻, 1 号
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編集ノート
反応工学
  • 横山 公一, 佐々木 郷紀, 清澤 正志, 佐藤 一教, 平野 知之, 荻 崇
    原稿種別: 報文
    2024 年 50 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2024/01/20
    公開日: 2024/01/20
    ジャーナル フリー

    本研究では,天然ガスグリッド供給を可能とするCO2メタネーションを目指し,多段の触媒反応器によるCO2メタネーションプロセスの構成と運転条件の検討を行った.一段目反応器出口で生じる水分を除去し,二段目反応器入口のH2/CO2モル比を3.9, 二段目反応器の温度を260から280°Cに設定することで,反応器全体のCO2転換率は98%以上に達した.加えて,副生物であるCOを充分に酸化除去するため,最終段にPROX触媒反応器を設ける想定の実験を行った結果,CH4生成量を維持した状態で,出口ガス組成が天然ガスグリッド供給基準を満たすことを明らかとした.以上,本研究における二段化と最終段ガス精製を組み合わせるシステムを用いることで,実用化する際のCO2メタネーション装置の基本構成を示すことができた.

粉粒体工学
  • 泉 健人, 髙谷 雄太郎, 所 千晴
    原稿種別: 報文
    2024 年 50 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2024/01/20
    公開日: 2024/01/20
    ジャーナル フリー

    本報では,空気分級における比重選別の影響を考慮した分級評価方法の確立を目的とした.多成分系粉砕物の代表として,太陽光パネルセルシート粉砕物微粒群(0.063 mm以下)を試料とした.この試料をエルボージェット分級機で三点分級し,得られた粗粉,中粉,微粉に対して,XRF組成分析,SEM画像分析,粒子径分布測定を行った.この結果,粗粉と中粉において粒子径範囲の一部が逆転する現象が確認された.これは,太陽光パネルセルシート粉砕物が多成分系であるがゆえに成分ごとの比重差の影響を受けるからである.比重が大きい銀粒子は粗粉領域に,比重が小さい樹脂は中粉領域に分配されたことで,銀と錫が選別された.本試料の三点分級の結果を粗粉,細粉の二点分級の結果に修正し,この比重選別の影響を比重選別効率と絶対比重選別効率を用いて定量的に評価した.見かけ比重選別効率は,粗粉と細粉における粒子径範囲の逆転割合を示す値である.また,絶対比重選別効率は,原料粉がもつ比重選別の影響を表す固有の値であり,この値を用いることで分級結果の予測に繋がることを示した.

熱工学
  • 吉鶴 祐耶, 菊池 賢太
    原稿種別: 報文
    2024 年 50 巻 1 号 p. 17-26
    発行日: 2024/01/20
    公開日: 2024/01/20
    ジャーナル フリー

    本研究では,東京ガス株式会社が保有する工業炉燃焼実験データを用いて,メタン/アンモニア混焼の数値解析を実施した.工業炉等の比較的大規模なモデルを解析するために簡略化反応機構を構築し,パラメータ最適化を行った乱流燃焼モデル(EDC)を使用して数値解析を行った.一段燃焼および二段燃焼時において,一次空気と二次空気の比率を変化させた場合およびアンモニア混焼率を変化させた場合,それぞれにおいて炉内NOx濃度を正確に予測した.一方, D2を変化させた場合, D2=11 mmでは実験データと比較してNOx濃度を過大評価する傾向が得られた.いずれの解析条件においても計算時間はデスクトップワークステーションを使用し,おおむね1 d程度であり既存の詳細反応機構を適用した数値解析と比較して大幅に短縮することが可能となった.本研究により,アンモニアの燃焼特性を活かした工業用燃焼バーナ開発の設計指針を極めて短時間で得ることができ,装置設計の効率化が期待できる.常圧近傍でのメタン/アンモニア混焼に特化した簡略化反応機構を構築し,この反応機構を組み込んだ乱流燃焼モデル(EDC)を使用することによって,工業炉のNOx排出特性を高精度に予測することが可能となった.

材料工学,界面現象
  • 松根 英樹, 上野 佑貴, 若松 寿紀, 藤本 優陽, 塩盛 弘一郎, 山本 剛, 岸田 昌浩
    原稿種別: 報文
    2024 年 50 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2024/01/20
    公開日: 2024/01/20
    ジャーナル フリー

    本報では銀ナノワイヤ(AgNW)の新規化学合成法について報告する.銀源に塩化銀(AgCl)および保護剤に N, N-ジメチルドデシルアミン塩酸塩(C12H25NMe2·HCl)を用いて,両者を N, N-ジメチルドデシルアミン中で混合して140°Cで加熱すると,まずC12H25NMe2·HClが融解し,次にこの融解液中でAgClが塩化物錯体AgCl n1– nを形成して均一に溶解した.さらに,この反応混合物に還元剤である N, N-ジベンジルヒドロキシアミンを加えると,反応初期では効率よく多重双晶粒子を生成し,24 h反応後には幅が50–100 nm, 長さが20 µm以上におよぶ高アスペクト比の形状をもつAgNWが生成した.精製後,熱重量測定を行うと残存有機物が少なく,清浄なAgNWであることがわかった.保護剤とAgClの仕込み比および保護剤の分子構造,反応温度などの調製条件が生成物の形状や収率にどのような影響をおよぼすか検証するとともにAgNWが生成する機構について考察した.

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