化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
15 巻, 1 号
選択された号の論文の32件中1~32を表示しています
  • 瀬間 徹, 佐藤 幹夫
    1989 年 15 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    エネルギーの有効利用をはかるため, 超高温ガスタービンやMHD発電など新しい技術の開発が行われている.このような超高温燃焼器から排出される排ガス中には, 数千ppmのNOxが含まれると予想される.
    本報告は, このような高濃度なNOxを含む排ガスに無触媒脱硝法を適用した場合の問題点を検討するため, 試験炉において実験したものである.その結果, 3,000ppmのNOx濃度もNH3の注入モル比や注入温度域を適切に選定すれば, NH3の残存なしに低減が可能であることが明らかとなった.また, 高濃度のNOxを200ppm以下に低減する方法としては, NH3ガスを多段階で注入する方法がNH3ガス注入量の節減と残存NH3ガスの低減に好ましいことを提案した.
  • 中村 泰久, 鈴木 英夫, 梅田 良人, 新井 紀男, 架谷 昌信
    1989 年 15 巻 1 号 p. 8-15
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    工業炉の精密な伝熱設計手法の確立を目的とし, 実規模大の間接加熱型の熱処理炉において中空鉄製の被加熱物をモデルとした加熱昇温試験を行うとともに輻射・対流・伝導の複合伝熱問題として三次元非定常での理論解析もあわせて行った.また工業炉の炉体の伝熱設計上重要な因子である被加熱物の射出率および炉体に取付けたヒータインプットをそれぞれ変えた時の昇温特性の違いを明らかにする実験も同時に行った.
    この結果, 理論解析と加熱昇温試験の結果は良く一致し, 今回の理論解析手法が実規模大の炉の炉内伝熱を十分シミュレートでき, 基本的な伝熱設計手法となり得ることを確認した.また被加熱物の射出率については, 小さい方が輻射伝熱量が少ないため被加熱物の昇温は遅く, 逆に炉内壁の昇温は速くなる.またインプットについては, 小さい方が被加熱物の昇温は遅くなり, 均熱化が進むことが明らかになった.
  • 安達 太起夫, 浅野 博志, 若松 成男, 平林 輝彦, 飯田 泰滋, 今給黎 義之, 原 行明
    1989 年 15 巻 1 号 p. 16-23
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    活性炭による溶剤回収において, ケトン系溶剤特にシクロヘキサノンなどを含む場合, しばしば活性炭の著しい吸着能劣化を起すことがある.これは活性炭に吸着された溶剤の変質反応すなわち酸化, 分解, 重合等によるものである.
    通常の溶剤回収プロセスでは, 常温吸着, 100℃水蒸気脱着が採用されている.著者らは基礎実験から, 脱着温度を下げること, 例えば80℃にすることが活性炭の劣化防止に極めて効果的であることを見出し, 溶剤回収の改良法を開発した.すなわち, 脱着工程を低温 (約80℃) 減圧 (約47kPa) の水蒸気で行うもので, 「低温脱着溶剤回収法」と名付けた.
    本法に基づいたパイロット装置により, 既存溶剤回収設備のある現場での実ガスを使った142日に亘る長期実験から, 活性炭寿命が非常に長くなり, 従来法の3~5倍に延長し得る可能性のあることを確認した.現在, 本法による実用プラントも1988年2月より稼動している.
  • 小橋 利行, 高橋 照男, 北村 吉朗
    1989 年 15 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    反応槽中の広範囲な粘度変化に適応できる撹拌翼として多孔螺旋翼撹拌機を試作し, アクリロニトリルの連続水系沈澱重合反応に適用した.その結果, 櫂型翼に比べて反応液の粘度が低下し, 操作可能な反応条件範囲が拡大した.特にモノマー濃度が高い場合も操作可能となった.
    生成したポリマーの凝集体粒子の沈降速度, 沈降容積および粒子の沈降層を通過する水の濾過速度を測定して粒子の空隙率を算出した結果, 本撹拌翼を用いた場合は, 櫂型翼を用いた場合に比べより緻密なポリマー粒子が形成されることがわかった.また, この粒子の緻密化により反応液の粘度が低下したことが明らかとなった.
  • ゼラチンコロイド溶液の場合について
    油川 博, 小林 一正, 岩田 実
    1989 年 15 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    たんぱく質のようなコロイド溶液を限外濾過法で分離濃縮する場合, 濾過膜面上に濃縮したコロイド粒子はゲル状となり, きわめて大きな濾過抵抗を示す.
    十字流式電気限外濾過はこの欠点を取り除くために開発されたものである.この濾過方法は, 電気泳動および膜面近傍に生ずる剪断応力によって, 濾過膜面上に生成するゲル層の厚さを減少させるので, 濾過流束を増大させるのにきわめて有効である.さらに, ゲル層および濾過膜の見かけ濾過抵抗は電気浸透により減少する.
    本研究は, 前報で示した円筒型十字流式電気限外濾過器の理論的設計式および濾液流束の実験式に基づき, 本実験により検証した設計式を用いて, ゼラチン溶液についての設計方法を具体的に示したものである.
  • 渡辺 藤雄, 杉浦 敏史, 架谷 昌信, 丸茂 千郷
    1989 年 15 巻 1 号 p. 38-43
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2010/02/12
    ジャーナル フリー
    PVF成形体より種々の条件下で製造した構造状活性炭 (SAC) の減圧下, 303~343Kにおける水蒸気吸着平衡の測定を行い, 既往の結果との比較ならびに本吸着系のヒートポンプへの適用性の検討を行った.
    1) 本SACは充分な水蒸気吸着容量を有する.
    2) 吸着平衡関係は2種に大別でき, PVF成形体を炭化・低賦活したSAC (Group-I) では低相対圧 (φ) 域での立ち上りとφの上昇に伴うゆるやかな吸着量の増大, 高賦活SAC (Group-II) ではφ≅0.5での急峻な立ち上りを示す.
    3) Group-Iの中でも低賦活SACは吸・脱着の可逆性に優れ, これをヒートポンプへ適用した場合, 汲み上げ温度差を大きくとれることがわかり, 本SACが吸着ヒートポンプの蓄熱材として使用しうることを明らかにした.
  • 今駒 博信, 尚 〓善, 岡崎 守男
    1989 年 15 巻 1 号 p. 44-51
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    繊維質断熱材のもつ有効熱伝導度を推定するための伝熱モデル構築が本論文の目的である.伝熱機構として伝導およびふく射を考慮した場合の有効熱伝導度を与える伝熱モデルを単位セルモデルに基づいて構築し提案した.ついでアルミナ-シリカ系セラミック繊維のマット状断熱材を例にとり, 常温, 空気雰囲気下において定常法伝熱実験を数々の充てん密度 (50<ρ<183kg/m3) および圧力 (1~105Pa) に対して行い有効熱伝導度を求めた. 伝熱モデルを用いて実験値を相関した結果, 充てん密度および圧力には依存しない定数のみを任意パラメーターとして用いて良好な一致が得られた.
  • 尚 〓善, 今駒 博信, 岡崎 守男, 国友 猛
    1989 年 15 巻 1 号 p. 52-59
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    本研究は繊維質断熱材中のふく射伝熱量の推定法に関するものである.3種類のアルミナ-シリカ系繊維質断熱材の293K, 723Kにおける1.5~27μmの波長範囲に対する反射率および透過率をそれぞれ分光実験より求め, 4流束モデルを用いて単色減衰係数および散乱アルベドを算出した.ふく射に対する拡散近似が成立する場合に対してこれらの値を用いて350K~800Kのふく射伝熱の減衰係数を推定した.これとは別に, 373K~773Kの範囲の定常法伝熱実験結果より得た有効熱伝導度と既に著者らが報告している伝導伝熱モデルを用いてふく射の減衰係数を求め, 両者を比較したところ一致は良好であった.
  • 荒井 豊, 笹岡 亘, 八嶋 三郎
    1989 年 15 巻 1 号 p. 60-67
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
    ユリカプロセスから得られる石油ピッチは等方性ピッチ中にメソフェース球体が分散している.メソフェース球体を濾過によって取り除いたこの等方性ピッチから汎用炭素繊維のプリカーサが得られる.
    この高粘度溶融ピッチの定圧濾過過程を円筒形濾材を有する実験装置を用いて実験的検討を行った.
    実験結果から, この溶融ピッチの定圧濾過過程が, 濾過の初期と後期の2つの過程で構成され, 濾過の初期では濾過過程はRuthのケーク濾過則に従い, 濾過の後期ではHermans-Bredée-Graceの標準閉塞濾過則に従うことを明らかにした.
    さらに, 溶融ピッチの濾過にみられる後期過程が等方性ピッチ中に含まれる微量の未溶融物による閉塞現象であると考察された.
  • 易融合金による解析
    朝比奈 正, 小坂 岑雄
    1989 年 15 巻 1 号 p. 68-74
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    暖冷房や給湯あるいは木材などの乾燥を目的とする低温度域で, 太陽熱や各種排熱等の熱エネルギーの有効利用を計る際には, そのキーポイントの一つである蓄熱器における動特性を知ることがきわめて重要である.本報においては, 溶融凝固の潜熱を利用することにより, 高蓄熱密度と比較的狭い温度域での使用を可能とし, また小型金属カプセル化しその充填層とすることにより速度論的な欠点を補い, さらに空気熱媒とすることによりシステムを簡素化した蓄熱器を検討している.
    この種の蓄熱器を簡単なモデルに基づいて解析し, Sn-Pb-Bi系易融合金を蓄熱材とし, アルミニウムカプセル約4400個を充填層とした, 蓄熱量約20MJの蓄熱器における測定結果と対比したところ, 好結果が得られ, 高性能蓄熱器として広い適用範囲を持つことが明らかとなった.
  • ある1次従属なパラメータ変動を受ける線型不等式システムの場合
    清水 良明
    1989 年 15 巻 1 号 p. 75-82
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    本論文では, 線形不等式で表されるシステムモデルにおけるフレキシビリティ解析法とフレキシビリティを考慮した設計法を示した.この際, 係数行列の変動は相互に独立ではなく, 列方向に1次従属な関係にあるとして検討を加えた.さらに, このような場合の特例としてモデル中に等号制約を陽に含む場合の留意点も明らかにした.これらの考察において, 基準値のまわりで変更可能なソフト変数を決定変数から識別し, その調整を条件とすることにより現実的に有用な結果を導くことができることを示した.変動が独立と仮定した前報の結果と合わせることにより, 変動の種類や線形モデルの与えられ方の違いによらず, 一般的で簡便な取り扱いが同じ枠内で可能となる.また問題構造の特徴に着目して求解アルゴリズムを工夫すれば提案する方法により, 不確定パラメータ数が多い場合や大規模なシステムに対しても適用可能とすることができる.
  • 本野 浩一郎, 野村 伸一郎, 田中 達夫
    1989 年 15 巻 1 号 p. 83-90
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    粉粒体移動層内に形成される死領域にはその縮流に応じて側部に形成される場合と中央に形成される場合とがある.本報では2次元重力場で形成される死領域輪郭に対して理論的および実験的に検討した.理論的には塑性力学でのすべり線が死領域と流動域との境界を与えるとする考えを基に, 二つの死預域の場合についてそれぞれ縮流の方向より主働あるいは受働の応力状態を仮定し, 死領域境界の軌跡を解析した.また実験的には測定が困難な移動層粉体層の内部摩擦係数と壁摩擦係数について検討を行い, 理論との比較を可能にした.理論と実験結果とはおおむね良好な一致を見せており二つの場合における死領域輪郭を一つの理論で予測できることが示された.
  • 定方 正毅, 馬場 日男, 佐藤 正之, 佐賀井 武
    1989 年 15 巻 1 号 p. 91-97
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    モノシランと炭化水素ガスを原料ガスとして用いた熱CVD法によるSiC超微粒子の合成実験を行った.炭化水素ガスとしてメタンを用いた場合とアセチレンを用いた場合を比較したところ前者は平均径40nmの中空状SiC粒子が生成したのに対し, 後者は平均径17nmの稠密なSiC粒子が生成した.また, 反応温度に関しては, 前者は高純度SiCを得るのに1400℃以上を必要としたが, 後者は1200℃であった.さらに, アセチレンとモノシランとの混合方式を拡散型と予混合型で比較したところ化学量論比で同一反応温度条件下では, 拡散型の方が, SiCへの転化率が上昇することがわかった.
  • 天田 次雄, 小森 悟, 村上 泰弘
    1989 年 15 巻 1 号 p. 98-104
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    固気系重合反応装置の1つである高速で反転する2軸撹拌翼と槽上部に広い流動空間を有する横型撹拌槽の中で撹拌所要動力を測定した.実験は, 撹拌槽の大きさ, クリアランス (翼先端と槽底との間隔), 回転数などを変えて行った.粉体粒子にはかさ密度, 摩擦係数などが異なる5種類の粒子を用いた.
    撹拌翼は粒子層中を周期的に出入りするため撹拌トルクも周期的に変動し, トルクは撹拌翼が粒子層を掻き取り始めた直後に増加し最大値を示すことがわかった.また, 撹拌トルクは粒子の壁面摩擦係数, 及び内部摩擦係数の影響を受けないことが明らかとなり, 撹拌翼の粒子層掻き取り体積を考慮して平均所要動力を無次元化した動力数は, フルード数, 無次元仕込高さの2つの無次元パラメーターで良好に相関されることがわかった.さらに, 最大トルクは平均トルクの約2~5倍であり, 動力数と同じパラメーターで相関されることがわかった.
  • 成瀬 一郎, 松田 仁樹, 架谷 昌信
    1989 年 15 巻 1 号 p. 105-112
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    高効率燃焼と同時に環境対策をも具備する石炭燃焼装置を開発するために, 高速流動層と移動層とを装置内で組み合わせたCFM層型固気接触装置を提案し, 本装置における石炭粒子の燃焼特性を実験的に検討した.本装置の構造は2重管型であり, 燃焼方式は, 内管部において高速流動層あるいは気流層を形成しつつ石炭の部分燃焼を行い, 環状部出口付近の移動層部においてチャー燃焼を行う方法を採用している.
    本報では, Loy Yang炭およびコークスを試料として用い, 特にそれらの過濃ならびに希薄燃焼限界に着目した検討を行った.その結果, 1次空気比が0.3から2.4を越える領域まで連続的に安定燃焼が可能であり, 本装置が広い空気比で操作可能であることが明らかになった.さらにこれらの結果から, 本装置の着火機構は内管部での粒子循環効果のみならず環状部から内管部への熱循環効果も寄与することが明らかになった.
  • 液膜溶液の分散による透過速度の向上
    竹永 勇治, 山下 喜代和
    1989 年 15 巻 1 号 p. 113-118
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    液体膜接触法の透過速度を向上させる目的で, 液膜溶液分散式の接触型液体膜装置を考案した.この装置は液膜溶液の一部を液滴として2水相に分散させ, 接触界面積を増大させる方式である.液体膜の系は担体にAliquat 336を用いるL-イソロイシンの輸送系とし, この装置を用いてL-イソロイシンの透過実験を行った.
    その結果, 液膜溶液分散式は液体膜接触法の一般型に比べ, 透過速度を大巾に向上させることができた.透過速度は撹拌速度と液滴の大きさに依存することがわかった.また液膜溶液分散式は簡便に使用できる, 有効な液体膜装置であることがわかった.
  • 木村 典夫, 金森 雅史, 森 英利, 白戸 紋平
    1989 年 15 巻 1 号 p. 119-125
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    粉じん負荷を伴う繊維充てん層および粒子充てん層フィルター内における捕集粉じん負荷分布を, 前報のさえぎりモデルに基づいてシミュレーション計算した.このモデルでは, 粉じん負荷による単一繊維および単一球あたりの捕集効率の増加分は, 堆積粒子によるさえぎり効果が捕集効率上昇の支配的機構であると仮定して表されている.
    シミュレーション結果は実験結果と傾向的に良い一致を示すことが確かめられた。しかし堆積粒子の再飛散によるものとみられる影響により, 両者の間には若干の差異がみられ, この差異は流入粉じん負荷量と〓過速度に依存することが実験的に明らかとなった.
  • 船越 正機, 井上 博愛
    1989 年 15 巻 1 号 p. 126-133
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    担持金属の担体効果は, 多くの場合決まった反応条件での比活性で検討される.しかしより本質的な議論には速度パラメータ;反応速度定数, 吸着平衡定数, 活性化エネルギー, 吸着熱など, による検討が必要とされる.本研究では担体効果のうち最近注目を集めている, 担体と金属との強い相互作用 (SMSI) が水素添加反応に与える影響を5種類の担体に担持したニッケル触媒を用いて反応速度論の上から詳しく検討した.反応物はプロピオンアルデヒドを, 担体はアルミナ, シリカ, チタニア, 酸化ニオブ, 酸化タンタルを使用した.その結果, 用いた全ての触媒の実測値は次の反応速度式および速度パラメータによってうまく整理できること,
    -rPS=k0SKH2KPCH2CP/ {(1+√KH2CH2) 2 (1+√KPCP)}
    k0S= (6.63×10-16) exp (-16.1/RT)
    KH2= (1.54) exp (8.82/RT)
    KP= (1.04×104) exp (4.41/RT)
    活性化エネルギー, 吸着熱も同じであることを明らかにできた.
  • 宮川 洋光, 本田 克美, 宗像 健
    1989 年 15 巻 1 号 p. 134-138
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    精留効果の組成による変化の原因を究明する目的で, NOGの著しい変化を報告しているLiangらの実験とできるだけ同一の条件のもとに実験を行った.その結果NOGは組成とともに大きく変化することが認められた.
    また, 表面張力特性による検討を行うため, この系の沸点液の表面張力を測定したところ, ある組成で極大値をもち, この組成を境としてネガティブ系からポジティブ系に変化することがわかった.また, Moensの提案したstabilising-indexを用いればNOGとの関係がかなりよくまとめられることがわかった.
  • 小森 勝夫, 井口 朗, 泉 亮太郎, 稲垣 照美
    1989 年 15 巻 1 号 p. 139-144
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    対流熱伝達の促進を図ることを目的として, 水平平板上に形成された層流境界層内にスリットから吹き出し流を付加し, 熱伝達率および壁面摩擦係数に及ぼす吹出しの効果を実験的に検討した.実験はレイノルズ数Re=ul/ν=3.0×104~6.4×105, 吹出し比F0υ0u=0.005~0.1の範囲で測定した.この結果, 熱伝達率および摩擦係数はスリット後の全領域にわたって吹出し効果によって上昇し, 乱流への遷移を早める.また, 吹出し比の変化によって, これらの特性値も変化するため, 特性の制御が可能となり, 一定の熱伝達促進しかもたらさないタービュレンス・プロモータにくらべて有利である.ポンプ動力一定の条件下で伝熱面性能を評価するとき, スタントン数の最大増加比St/St0F=0.1で1.39倍, F=0.05で1.29倍である.
  • 半連続型炉過発酵と透過性能
    松本 豊, 戸塚 好之, 坂田 正, 東 登喜久, 高橋 渉
    1989 年 15 巻 1 号 p. 145-151
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    新しい廃水処理装置として, セラミック精密濾過膜とメタン発酵槽を組み合わせた, 半連続型濾過発酵に関する試験を行い, 最適な膜孔直径, 膜の洗浄性, 発酵槽への最大有機物負荷量と膜による濾過安定性について実験的に検討した.
    その結果, 孔直径0.04μmの膜を用いると, 連続長時間濾過においても安定した透過流束が得られた.また, この膜は次亜塩素酸ソーダによる逆洗で完全に初期の性能にまで回復した.これらの傾向は, 発酵液の微細粒子径との関連性で説明することができた.
    発酵槽にかかる最大許容有機物負荷は約3kg・m-3・d-1であった.この負荷でのTOC除去率は約90%であり, 除去TOCあたりの余剰汚泥発生率は30%程度であった.それより高い負荷では, TOC除去率及びガス発生量が低下し, 透過液中にはしだいにプロピオン酸が蓄積してきた.
    また, 負荷条件を変えても膜の透過性能にはほとんど影響しないことも明らかとなった.
  • 宮武 修, 岩下 寛之
    1989 年 15 巻 1 号 p. 152-158
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    一様壁面熱流束をもつ正方形配列円柱群の間隙内の軸方向流れに対して, 層流熱伝達特性を究明するために数値解析を行った.速度分布にSparrowらの解析解を導入し, エネルギー方程式を反復を伴う前進・陰解法による有限差分法を用いて解き, 温度分布の軸方向の変化を求め, 局所グレツ数が106までの範囲, 円柱間隔と円柱直径の比が1.01~4.0の範囲に対して, 局所ヌセルト数を図示し, その結果から, 局所ヌセルト数を表わす近似式を導出した.さらに, 本報の正方形配列の場合と前報の三角形配列の場合を比較した結果, 同じ円柱容積率において, 熱伝達係数は三角形配列の方が大きいことがわかった.
  • 藤縄 勝彦, 秋山 誠, 秋葉 巌, 安達 秀典, 庄野 厚, 今石 宣之, 宝沢 光紀
    1989 年 15 巻 1 号 p. 159-165
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    支持液膜法における抽出剤の溶出損失に起因する透過流束の低下を防止するため, テフロン製多孔質膜にポリプロピレン製不織布を裏打ちしたラミネート膜を支持体とし, この不織布層の毛管力を利用して抽出剤の補給を行う方法を開発した.本方法の適用範囲を検討するため, LIX64N, メチルイソブチルケトン (MIBK) など, 5種類の水相に対する溶解度の異なる抽出剤を用いた系について長時間連続実験を行った.その結果, 水に対する溶解度がきわめて大きいMIBKを用いた系においても本方法を適用することで長寿命支持液膜を形成することができた.
  • 迫口 明浩, 岩井 芳夫, 竹中 淳, 荒井 康彦
    1989 年 15 巻 1 号 p. 166-169
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    最近の総説にも見られるように, 石炭液化油成分のスペシャリティ・ケミカルズとしての活用が期待されている.石炭液化油には多種の成分が含まれているが, 目的成分の単離・精製プロセスの設計には, 基礎データとして蒸気圧が不可欠になる.しかしながら, 有用な石炭液化油成分の蒸気圧データは不足している場合が少なくない.そこで本研究では, 石炭液化油成分のような高沸点化合物の蒸気圧データを得る目的で, 流通法による測定装置を試作した.前報ではナフタレンの蒸気圧を測定し, 得られたデータと既往の測定値とを比較することにより, 本測定装置の健全性を確認した.ここではテトラリン, 1-ナフトールおよびビフェニルを取り上げ, 報告例の見られない温度域を中心に, それらの蒸気圧を液相および固相域にわたり測定した.なお液相および固相域では, 前報と同様に異なった平衡セルを用いた.
  • 吉田 雅俊, 松本 繁
    1989 年 15 巻 1 号 p. 169-172
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    著者らは, 先に, 放物形分布定数系の簡単な制御系設計の方法として有限積分変換を応用する方法を提案し, 単純な熱伝導プロセスや超臨界ガス抽出塔の温度分布制御に適用して, その有用性を確かめた.これらは, いずれも操作端が制御対象に分布されたいわゆる分布入力を対象としたものであった.ところで, 実際には, 操作端が制御対象の境界に存在するような場合も考えられる.本報では, このような境界入力の場合の制御系設計法を述べ, 簡単な熱伝導プロセスの実験を通して制御系の性能評価を試みた.
  • 高尾 征冶
    1989 年 15 巻 1 号 p. 172-174
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    A comment on the two modified numerical methods proposed by Yamada et al. is described. They proposed these methods under an understanding that Takata's central finite-difference method could not give a stable solution at higher Peclet numbers. But this understanding is questionable from the viewpoint of the author's published results, because they fixed a space increment for numerical calculation at 0.05 only and took no account of the significant effect of the space increment on the accuracy of numerical values. It is actually shown that Takata's method can give much more stable solutions than Yamada's two modified methods when the space increment is set at 0.01, even at a high Peclet number as high as 100.
  • 今枝 正夫, 青井 隆幸, 橋本 強二
    1989 年 15 巻 1 号 p. 174-177
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    むだ時間あるいは時定数の大きなプロセスを制御するために, 種々の補償法が考えられている.たとえば, むだ時間補償のためのスミスの方法は理論的に興味深い方法で, 古くからその実用が試みられている.この方法はむだ時間だけ先を予測し遅れを相殺しようとするもので.欠点として制御プロセスの正確なモデルを必要とする.そこで, 制御系の過去の状態をもとにした予測制御に着目した.予測制御に関しては, 高松らによるモデル予測制御の研究があるが, ここではむだ時間あるいは時定数の大きなプロセスに有効と思われるAylorにより提案されたディジタルPID予測制御を取り上げる.そして容易に制御系の設計ができるようにするため, 本研究では, 制御量を予測し.また予測強度パラメータの導入についても考察した.これによると, 制御系のロバスト性も高く, 設計も簡単である.また, 温水器の温度制御に適用したところ従来のPI (D) 制御に比して優れた結果が得られた.
  • 今枝 正夫, 橋本 強二
    1989 年 15 巻 1 号 p. 177-181
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    むだ時間を有するプロセスをフィードバック制御する場合, むだ時間が大きいと安定性が損なわれる.スミスにより提案されたむだ時間補償法は, むだ時間を見掛け上閉ループから追いだし, 通常の制御を可能とするもので, 簡単に制御系が構成できることから古くよりその応用が検討されてきた.操作部におけるむだ時間を考慮した分離制御への試み, 実用プラントでの応用が報告され, また理論的なむだ時間補償における問題点が論じられている.ところで, このスミスによる補償法の欠点は制御対象のむだ時間の正確な同定を前提としている.非線形な物理現象を多く含む複雑な化学プロセスからむだ時間を正確に推測することは困難である.本研究では, 従来の制御系の設計法でよく行われている制御対象を一次おくれとむだ時間でモデル化し, ディジタルPID制御にスミス補償法を適用した場合, 非常に良好な制御が得られたので, その簡単な設計法を報告する.
  • 保利 一, 田中 勇武, 秋山 高, 荒井 康彦
    1989 年 15 巻 1 号 p. 181-184
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    有機溶剤は, 塗料, インク, 洗浄剤, 接着剤, 磁気テープなどの製造工程に広く使用されている.これらの製造あるいは使用時の作業環境においては, 溶剤の一部は揮発し, 蒸気となって空気中に存在する.したがって, 有機溶剤を取り扱う作業現場では, 有機溶剤中毒予防規則に従い, 作業者の健康管理のため, 環境中の蒸気濃度の測定が行われており, また, 作業者個人の曝露量を把握するための測定も行われている.いずれの場合も, 測定には活性炭を充填したガラス管 (活性炭管) と携帯用の吸引ポンプを用いて, 蒸気を破過しない範囲で吸着捕集し, 吸着した溶剤を脱着して定量する方法が多く用いられている.溶剤の脱着には, 二硫化炭素などの溶媒を用いて抽出する溶媒脱着法が汎用されている.この方法は脱着率, 再現性ともに優れているが, 使用される溶媒はいずれも蒸気圧が高いので空気中に揮散しやすく, また毒性も強い.特に, 二硫化炭素は有機溶剤中毒予防規則において第1種有機溶剤に指定されており, 神経系を冒すことが知られているため, 取り扱いには注意を要する.また, 分析にはガスクロマトグラフ法が用いられるが, 溶媒脱着の場合, 目的成分と脱着に用いた溶媒のピークが重ならないように考慮する必要がある.
    溶媒脱着法に替わる定量法としては, 加熱脱着法が考えられる.加熱脱着法は, 溶剤が熱分解を起こさない程度の比較的低温で脱着を行う必要があるため, 低温でも脱着性がよいポーラスポリマービーズを用いて空気中の蒸気を測定する場合の脱着に利用されている. ただし, ポリマービーズは吸着容量が小さく, 高濃度の蒸気が存在する場所での使用は不適当となるため, 作業環境中の蒸気濃度の測定に使用されることは少ない.一方, 作業環境で通常使用されている活性炭管の場合, 一般に溶剤に対する活性炭の吸着親和力が大きく, 低温では脱着率が低くなることもあるので, 加熱脱着法による定量はほとんど行われていない.
    著者らは, 活性炭に吸着した有機溶剤の加熱脱着率が低い場合には, 脱着率をあらかじめ推算し, この値と脱着量の測定値とから吸着量を求める方法について検討してきた.純成分の場合の脱着率の推算法については, すでに前報で述べた.しかし, 一般の作業現場では, 目的や用途に応じて揮発性, 極性などが異なる数種の溶剤を混合して用いる場合が多い.本報では, 2成分系混合溶剤を取り上げ, 活性炭からの加熱脱着特性を実験的に調べるとともに, 数値計算により脱着曲線および脱着率を予測する方法を示し, 吸着量定量の可能性について検討した.
  • 大佐々 邦久, 三分 一政男, 中倉 英雄
    1989 年 15 巻 1 号 p. 185-188
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    The liquid-side mass transfer performance in an annular bubble column with a rotating cylinder was studied experimentally for various operating conditions and rotor diameters. The limitation for the mass transfer varied from an aerationcontrolling one at relatively high gas rates to an agitation-controlling one at relatively high rotor speeds, in a manner similar to the case of an aerated mixing vessel. The volumetric mass transfer coefficients increased with increasing rotation speed and diameter of the rotor in the agitation-controlling region and were larger than those for a bubble column and lower than those for an aerated mixing vessel at the same power consumption.
  • 大森 隆夫, 河村 光隆, 萩原 弘之, 村上 徹
    1989 年 15 巻 1 号 p. 188-191
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    メタノールを原料として炭化水素を合成する反応は, モービル社がMTGプロセスを開発して以来, 内外で広く研究されている.本研究は, 軽質オレフィン合成反応に関するもので.オレフィンの中でも特に, エチレンおよびプロピレンの選択率の向上を目的として, 耐熱性・安定性の高いZSM-5型のカルシウム混合カルシウム含有ゼオライト触媒を開発し, 720~880Kという高温での反応を, ベンチスケールの反応装置で行った.
    この装置で得られる実験結果を系統的に整理・解釈したり, 実験を効率良く行うために, また, より大きなスケールの反応器設計や最適運転条件の探索を行うためには, 反応シミュレータの使用が必要となる.そこで, できるだけ簡単な反応モデルによりシミュレータを作り, シミュレーションを行って実測反応データとの比較, 検討を行ったので, その結果について報告する.
  • 若尾 法昭, 宮本 佳昭, 船造 俊孝
    1989 年 15 巻 1 号 p. 191-193
    発行日: 1989/01/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    変成岩に属する岩石に緑泥石と称するものがある.中国では緑泥石の1種で麦飯石と俗称されるものの石塊層の濾過水を鉱水として飲用に供することがある.岩石を構成する酸化物や珪石の水への溶解, および石灰石の1種である方解石やアラレ石の水への溶解については研究が行われているが, 緑泥石の溶解についての研究は従来全くない.本実験では長野県産の緑泥石粉末からのイオン溶出を測定した.
feedback
Top