化学工学論文集
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28 巻, 2 号
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移動現象,流体力学,混合
  • 栗山 雅文, 門叶 秀樹, 原田 英二
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2002 年 28 巻 2 号 p. 188-195
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    通気および無通気状態における高粘度液通気攪拌槽の攪拌所要動力を測定した.無通気時の攪拌所要動力の実測値は,従来用いられている無次元数(動力数と攪拌レイノルズ数)によって良好に表し得た.
    通気状態下における攪拌所要動力の相関も,動力と攪拌翼背後に形成されるキャビティの形状との関係に関する考察に基づいて行った.
    さらに,構内が完全混合状態であるという仮定の下で,見掛けの物質移動容量係数を測定した.攪拌所要動力がある程度大きい領域では,物質移動容量係数と攪拌動力の関係が両対数紙上で各々の操作条件毎に直線関係を示すことが分かった.そこで,この領域については簡単な物質移動容量係数の実験式を提案した.一方,攪拌動力がさほど大きくない領域では,物質移動容量係数が上述の実験式と気泡塔に関して提出した既往の相関式(Tokanai et al., 2001)の双方を用いる手法で良好に表示し得ることを示した.
  • 野中 利之, 安蔵 慶介, 鈴木 睦
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2002 年 28 巻 2 号 p. 211-217
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    無重力環境下の円管内環状液膜は,ある長さを超えると安定な形状を保持できず,複数の液体プラグに分裂する.本報では,北海道工業技術研究所(現在は産業技術総合研究所北海道センター),(株)日本無重量総合研究所,(株)地下無重力実験センターの落下塔を使用し,微小重力環境下における円管内液膜の界面変形・プラグ形成挙動を観察した.
    落下塔実験では,水平管内の気液挙動を観察する実験,垂直管内を流下する液膜の液供給を微小重力環境への遷移と同時に停止させた後の気液挙動を観察する実験をそれぞれ実施した.また,液膜界面の変形挙動に関して,落下塔実験および無重力環境下の数値シミュレーション結果が既往の線形安定性理論に基づく解析によって説明されることを示した.
  • 山田 善之, 中村 雄一, 後藤 邦彰, 西村 龍夫
    原稿種別: ノート
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2002 年 28 巻 2 号 p. 227-229
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    粒子充填層の向流燃焼において,燃焼面進行速度に対する粒子径の影響に着目して実験的検討を行った.粒子径2.8~6.7mmの球状活性炭ペレットを用い,空気流速(空塔速度)0.012~0.165m/sの範囲で燃焼実験を行った.その結果,空気流速が小さい領域では,燃焼面進行速度は粒子径の影響は受けず空気流速の増加に伴い大きい値をとる事,空気流速がある値を超えると燃焼面進行速度はほぼ一定値となり,その値は粒子径が小さいほど大きい値となる事を明らかとした.
触媒,反応,反応器設計
  • 高津 淑人, 小野崎 正樹, 大井 章市
    原稿種別: 総合技術論文
    専門分野: 触媒,反応,反応器設計
    2002 年 28 巻 2 号 p. 125-136
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    NEDOL法石炭液化プロセスの大型装置設計に必要なデータを取得するため,石炭処理量150t/目規模パイロットプラントが茨城県鹿嶋市に建設され,延べ269日にわたる操業試験が行われた.NEDOL法では石炭液化反応によって生成した中・重質油留分を水素化した後に水素供与性溶剤として石炭スラリー製造のために循環使用する.溶剤の化学構造を解析した結果から,芳香族性炭素分率を0.45程度に維持すれば,溶剤は十分に水素供与の効果を発揮することが判った.溶剤水素化反応については,触媒(硫化Ni-Mo/γ-Al2O3)の活性と寿命を明らかにし,反応塔(固定床)の設計手法を確立した.また,液化反応塔(気泡塔)内の気液平衡状態や流動状態の解析に必要な高温高圧条件下の溶剤物性の推算式を得た.さらに,石炭液化反応による生成物収率を推定するシミュレータ(CARD)が検証され,このシミュレータを用い,流動特性や熱的特性を考慮した液化反応塔の設計手法を確立した.これらの結果に基づいて大型装置設計を検討した結果,液化反応塔を安定に運転しつつ高い液化油収率を得るには,溶剤中の重質油留分に着目して反応条件を設定することの重要性が明らかとなった.
  • 野田 多美夫, 迫田 章義, 鈴木 基之
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 触媒,反応,反応器設計
    2002 年 28 巻 2 号 p. 150-154
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    セピオライトに硫酸アルミニウム・ヒドラジン複塩を添着した吸着剤がアセトアルデヒドの吸着性能に優れることを見出し,既に発表した.しかし,ヒドラジンは発癌性の疑いがある物質に指定されており,微量でも使用環境に漏れ出すことは使用上の大きな制約となる.そこで,セピオライトに硫酸アルミニウム・ヒドラジン複塩を添着した吸着剤の熱分解特性を詳細に研究し,ヒドラジンとしての放出が無いことを検証した.加熱によって吸着剤から発生するガスの組成はアセトアルデヒド吸着の有無で異なるものの,添着したヒドラジンは窒素やアンモニア等に分解して離脱する.また,加熱によって吸着剤から発生する水の量から推定して,本吸着剤に吸着したアセトアルデヒドはアセトアルダジンを形成したものと推定された.
材料工学,デバイス
  • 福井 国博, 衣川 元貴, 西本 孝司, 吉田 英人
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 材料工学,デバイス
    2002 年 28 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    原料フライアッシュの成分組成が水熱法によって生成されるゼオライトの結晶形態に与える影響について検討した.その結果,シリカ含有率が低く溶出速度の遅いフライアッシュを原料に用いると,フィリップサイトとヒドロキシソーダライトが生成することがわかった.また,反応液中のシリケートイオン濃度をアルミン酸イオン濃度よりも常に高い状態に保ちながら水熱処理を行うことで,選択的にフィリップサイトを合成できることが明らかとなった.
    さらに,フライアッシュから反応液中にシリケートイオン,アルミン酸イオンが溶出し,中間生成物を経てフィリップサイトの結晶が生成するという反応機構モデルを提案した.本モデルにより反応液中のイオン挙動並びにフィリップサイト生成量の経時変化をある程度定量的に説明でき,中間生成物の生成速度,結晶化反応の反応速度,臨界濃度は,原料とするフライアッシュの性状によらず一定であることが示唆された.
  • 河原 英昭, 後藤 時夫, 岡本 好弘, 鹿毛 浩之, 小倉 裕直, 松野 儀三
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 材料工学,デバイス
    2002 年 28 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    エポキシ樹脂/アクリル複合化ラテックスをミニエマルジョン重合法により作成した.ホモジナイザーの運転時間,アニオン性,ノニオン性乳化剤の量,コスタビライザーの量がモノマーミニエマルジョンの液滴径に及ぼす影響を評価した.ホモジナイザーの運転時間が長いほど,またアニオン性・ノニオン性の乳化剤量が多いほどモノマーミニエマルジョンの液滴径は小さくなった.ホモジナイザーの運転時間が十分に長い場合,液滴径と乳化剤量の間に相関関係があった.コスタビライザーの量が多いほどミニエマルジョンは安定化した.
    モノマーミニエマルジョンの液滴径が得られるラテックスの粒子径,耐溶剤性や溶剤への溶解性に及ぼす影響を検討した.モノマーミニエマルジョンの液滴径が大きい場合,得られるラテックスの粒子径は液滴径よりも小さくなった.一方,液滴径が小さい場合,ラテックスの粒子径は液滴径とほぼ同じになった,以上2点のラテックスの耐溶剤性や溶剤への溶解性の経時変化を測定した.この結果から前者は後者よりもエポキシ基の安定性が悪いことが分かった.このようにミニエマルジョンの生成条件は得られるラテックスの性状に大きな影響を及ぼすことが分かった.
  • 荒牧 賢治, 金子 雅哉, 君島 康太郎, 國枝 博信
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 材料工学,デバイス
    2002 年 28 巻 2 号 p. 181-187
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    ポリオキシエチレン型非イオン界面活性剤系のマイクロエマルションを用いて微多孔性ポリエチレンフィルム中に浸透した流動パラフィンの洗浄を行った.マイクロエマルション中の油/水比率がある程度高いときには洗浄率は約90~95%であるが,水の割合が増すと長時間の洗浄でも低い洗浄率に留まった.また,用いる界面活性剤の鎖長が短い方が短時間で最高洗浄率に達した.しかし,C16EO7系では約95%,C10EO4系では約90%と長鎖の界面活性剤を用いた方が最高洗浄率の値は高くなった.長鎖と短鎖の界面活性剤を混合させた系における洗浄性能は単一界面活性剤系より低下した.流動パラフィン,ポリエチレン,洗浄液の各相間の界面張力のバランスの考察よりマイクロエマルション中の油/水比率が大きいほど洗浄率が高いのは流動パラフィン-マイクロエマルションおよびポリエチレン-マイクロエマルション界面における界面張力が低いためである考えられる.また,界面活性剤分子鎖長が短い方が洗浄時間が短いのはマイクロエマルション中の構造周期が小さいからであると考えられる.
  • 下坂 厚子, 上田 安志, 白川 善幸, 日高 重助
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 材料工学,デバイス
    2002 年 28 巻 2 号 p. 202-210
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    組成が異なる球形二粒子焼結挙動におよぼす操作条件の影響を検討するために,初期焼結過程のシミュレーション法を提案した.本研究においては,全率固溶体型であるCuとNiの系に注目した.まず二粒子焼結実験を行い,得られた焼結体をSEM,EDXで観察した.CuとNiの系においては,常に曲率を持つネックを形成しながら焼結が進み,ネックはCu成分が支配的であることが確認された.
    提案したシミュレーション法は同一成分に対するモデルを改良し,表面拡散,体積拡散,粒界拡散,蒸発凝縮と新たに粒成長を加えた複数の物質移動を同時に考慮できるものである.二粒子焼結挙動のシミュレーション結果は実験値と良い一致を示した.また,粒成長が初期過程においても無視できないこと,そして緻密化と粒成長は操作条件に対して鋭敏に変化することが示された.シミュレーション結果の微視的な解析によって,組成が異なる二粒子の焼結機構の考察,さらには有効な焼結操作条件の検討が可能である.
分離工学
  • 谷田 克義, 高田 一貴, 小森 悟
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 分離工学
    2002 年 28 巻 2 号 p. 143-149
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    振動膜装置のスケールアップファクターの明確化とスケールアップ方法の確立を日的として,モデル用小型装置と実装置を使用してラテックス溶液の透過流束を測定した.その結果,振幅が同じでも小型装置での透過流束は実装置での透過流束よりも大きくなった.これは,小型装置が実装置よりも高い振動周波数で振動しており,膜表面近傍の流体に与えられるせん断速度が大きいためであり,また小型装置の膜は1枚のみであるのに対して,実装置の膜は小型装置の膜よりも半径の大きい膜が多段に積層されているため,実装置では膜モジュール内に濃度勾配がつき透過流束が小さくなるためであると考えられた.そこで,これらの違いの要因を考慮して小型装置での透過流束から実装置での透過流束を推算したところ,誤差5%以内で実測値と一致した.また,振動膜装置のスケールアップファクターとして膜面近傍の流体に与えられるせん断速度を使用可能であることがわかった.
  • 今駒 博信, 前田 貴之, 久保田 克之, 吉田 正道
    原稿種別: ノート
    専門分野: 分離工学
    2002 年 28 巻 2 号 p. 218-220
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    ポリビニルアルコール(PVA)水溶液で湿ったガラス微粒子層の対流および伝導-対流乾燥を行い,乾き材料内の含PVA率分布と乾燥速度を測定した.対流乾燥ではPVAが材料表面付近でのみ偏在したのに対して,伝導-対流乾燥ではそれ以外に底面付近でも偏在した.表面付近での偏在は対流乾燥で大きかった.乾燥速度は表面付近での偏在の小さな伝導-対流乾燥で大きくなった.
  • 今駒 博信, 中武 直樹, 久保田 克之, 吉田 正道
    原稿種別: ノート
    専門分野: 分離工学
    2002 年 28 巻 2 号 p. 221-223
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    ポリビニルアルコ-ル(PVA)水溶液または水で湿ったガラス微粒子層を浸透性多孔層上に積層した脱水系,および脱水系の層境界面で物質移動を遮断した非脱水系の両面対流乾燥実験を行い,乾燥速度と乾き材料内の含PVA率分布を測定した.水溶液で湿った場合には脱水系の乾燥速度が非脱水系と比べて大きくなり,水で湿った場合とは逆の結果が得られた.乾燥表面付近での含PVA率が脱水系において小さかったことが乾燥速度増加の原因だろう.
粉粒体工学,流動層
  • 福井 国博, 吉田 英人, 徳永 裕介
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2002 年 28 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    沈降天秤法による粒度分布測定に及ぼす沈降槽内における粒子・流体挙動の影響について,実験及び数値計算から検討を行った.
    検出皿の側壁を高くすると,沈降曲線の勾配は理論値よりも大きくなり,全沈降質量は理論値に近づき,質量変動も減少する.これは,側壁が高くなると検出皿外周部の下降流の速度が増加し,粒子の半径方向の移動が抑制されることに起因していることが可視化及び数値解析から明らかとなった.
    また,検出皿の外径を小さくすると,検出皿外周部の下降流の速度は低下し,沈降曲線の勾配と全沈降質量のいずれも理論値に漸近する.よって,これまでよりも側壁が高く,外径の小さな検出皿を採用することで,より精度の高い粒度分布測定を行うことができることが明らかとなった.さらに,本数値解析法によって沈降天秤式粒度分布測定装置の最適な装置形状を探索しうることが示唆された.
  • 田之上 健一郎, 山本 雅人, 江間 秋彦, 増田 弘昭
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2002 年 28 巻 2 号 p. 196-201
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    粒子貯留部における湿度を変更可能な実験装置を作成し,接触帯電を利用した粒子の帯電量の測定および局所荷電されたターゲットへの静電沈着実験を行った.その結果,パイプ内における平均流速や粒子貯留部の湿度により平均帯電量をある程度制御できることがわかった.沈着初期において,慣性により粒子が沈着しない部分が発生し,その効果は,印加電圧が低いほど顕著に現れることがわかった.帯電粒子は,ターゲットの後縁付近および側縁付近から沈着し始め,時間の経過とともに,ターゲットの中央付近にも沈着し始める.この結果によって,沈着した帯電粒子群による電界強度の減少が示唆された.ターゲット面への粒子の平均沈着厚さは,時間の経過とともに増加し,やがて一定値に近づくことがわかった.また,その一定値に近づくまでの時間(沈着時定数)は印加電圧に依存しないことがわかった.ターゲット面への粒子沈着厚さ分布の指標としては,粒子沈着厚さの変動係数を用いた.その値は,時間の経過とともに減少し一定値に近づき,また,印加電圧が高いほど小さくなるものの,ある時間を越えるとほとんど変わらなくなることがわかった.さらに,粒子を沈着させるために最適な湿度条件が存在することがわかった.
  • 情野 香, 福井 武久, 内藤 牧男, 木村 明, 神谷 秀博
    原稿種別: ノート
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2002 年 28 巻 2 号 p. 224-226
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    灰のハンドリングにおいて問題となる力学的特性改善を目的として,その表面改質を行った.実験は,フライアッシュ粒子(JIS10)表面にカーボンブラック微粒子を,機械的手法により付着させることにより行った.その結果,室温においては,微粒子の微量添加によりフライアッシュの流動性向上が得られた.さらに微粒子の添加により,粉体層の引っ張り破断強さが減少する共に,破断に要する変位量も変化することが分かった.
安全,環境,エネルギー
  • 岡本 裕行, 佐藤 清仁, 八木 紀依, 井上 雅夫, 山崎 秀一, 石田 清治, 芝田 隼次
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2002 年 28 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    ビール粕を原料として成形炭を製造するプロセスの開発と得られたビール粕成形炭の物性評価を行った.高含水率のビール粕(脱水後67wt%)を熱風で乾燥させ,加熱しながら高圧で圧縮して成形品を作成し,これを低酸素雰囲気下で炭化することにより,一定の大きさの炭化物を得た.成形時にバインダーは不要であった.成形品の炭化時に発生する乾留ガスの燃焼排気を一部還流させて炭化を行う方法(熱風循環式炭化法)を採用し,高い収率で品質にムラのない成形炭が得られた.ビール粕成形炭は約27浩MJ/Kgの高い発熱量を有していた.この発熱量は備長炭と同等であり,オガ炭より約13%程度低かった.ビール粕成形炭の窒素含有率,リン含有率は,備長炭やオガ炭に比べて非常に高く,窒素は9~20倍,リンは40倍以上の含有率であった.ビール粕成形炭はリン,カルシウム,マグネシウムなど豊富なミネラルを含み,天然ミネラル素材としての活用も期待できる.
  • 劉 貴慶, 袴田 和英, 板谷 義紀, 羽多野 重信, 山崎 量平, 森 滋勝
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2002 年 28 巻 2 号 p. 168-174
    発行日: 2002/03/20
    公開日: 2009/05/30
    ジャーナル 認証あり
    RDFの燃焼過程は熱および物質移動を伴う熱分解,ガス化,チャー燃焼反応などからなる複雑な過程である.このような過程を定量的に解析し,RDFの燃焼特性をより理論的に説明するために,本研究では,円筒状のRDF粒子内における伝熱および酸素の拡散を考慮した非定常モデルを展開するとともに,一般廃棄物のRDF,木屑のRDFおよびポリプロピレンのペレットを対象として,RDFの低速昇温(10K/min)と1,073Kの炉内にRDFを投入した場合の燃焼過程における重量減少と粒子内温度分布の時間変化について,本モデルによる計算結果と実測データとを比較検討することにより,モデルの適合性を検証した.さらに,一般廃棄物のRDFに対して,熱分解過程およびチャー燃焼過程の反応率と温度分布の時間変化について本モデルを使用して,昇温速度がRDFの燃焼特性に与える影響を明らかにした.
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