化学工学論文集
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44 巻 , 1 号
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編集ノート
[特集]実践晶析技術の進展
  • 原稿種別: 巻頭言
    2018 年 44 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
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  • 渡邉 裕之, 平沢 泉
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル 認証あり

    共晶法は,潜熱蓄熱材の融点を調整してその適用温度範囲を広げる有効な手法の一つである.水和塩混合系における共晶組成の必然性を明らかにするため,硝酸ニッケル6水塩–塩化コバルト6水塩ならびに塩化ニッケル6水塩–硝酸コバルト6水塩の二成分混合系2種について擬二成分相図を作成した.加熱曲線から決定された各水和塩の融点は,それぞれ順に53.5, 53, 51.5そして53.5°Cであった.また両相図とも単純共晶型で,等モル混合で生成した共晶の融点は共に同じ30°Cであった.混合系の結晶組成は混合比率に対応して変化したが,混合前の当初6水塩には帰属されない新たな結晶相も晶析し,その比率は共晶組成において最大となった.生成した各共晶の粉末X線回折パターンは一致しており,両者は同一結晶組成にあることがわかった.解離イオンの等価的交換による共晶形成機構が提案された.また,すべての解離イオンに対して対イオンが相互に等価的数量関係を維持し得る混合比率が,共晶組成であることが示唆された.

  • 鈴木 基啓, 町田 博宣, 里見 颯斗, 平沢 泉
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
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    本研究では,エリスリトールの過冷却特性に対する塩添加の影響について検討を行うことにより,高い蓄熱密度を有し,かつ,室温環境下においても過冷却を保持し得る新規な糖アルコール系の潜熱蓄熱材を創出し,その過冷却保持のメカニズムを明らかにした.具体的には,エリスリトールの添加剤として,カチオン種,アニオン種とその価数の異なる塩について,各々の添加量をパラメータに,結晶化開始温度,過冷却保持時間の評価を行うとともに,エリスリトールと添加剤との相互作用に着目して,核磁気共鳴(NMR)装置を用いて過冷却保持のメカニズム検討を行った.その結果,エリスリトールの添加剤として,1価のアニオンを含む塩は,過冷却保持,2価のアニオンを含む塩は,過冷却抑制に有効であり,カチオン種の影響は,アニオン種と比較して小さいことが明らかとなった.また,室温環境下において,エリスリトールの過冷却を保持するための添加剤として,アニオンとして酢酸イオンを含む塩を抽出し,結晶化開始温度の低下,および過冷却保持の長時間化は,エリスリトールのヒドロキシ基と酢酸イオンの相互作用に起因すると推察した.

  • 前田 光治, 伊藤 和宏, 菓子野 康浩, 伊福 健太郎, 新船 幸二, 山本 拓司
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル 認証あり

    次世代バイオ燃料の資源として期待されている微細藻類(ツノケイソウ)の効率的な回収方法として,融液晶析を応用した凍結濃縮を検討した.ガラス製の冷却ジャケット付き晶析器を用いて壁面から中心部に向かって氷相を形成する操作を行った.操作条件として撹拌回転数,冷却温度,凍結率を変化させて,液中のツノケイソウ細胞の濃縮比および氷中のツノケイソウ細胞の希釈比を実測し,さらにツノケイソウ細胞の固液分配係数への影響を実験的に明らかにした.2種類の固液分配係数モデルによる実験データの相関性を比較した結果,分配が困難とされている高速凍結でもツノケイソウ細胞を濃縮できることを示唆した.

  • 船越 邦夫
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
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    グリシンなどの有機化合物結晶を遊星ボールミルを用いてmechano-chemical処理を行うと,固相多形転移が生じることが知られている.しかし固相多形転移に影響をおよぼす機械的エネルギーの種類は不明である.本研究では,各種機械的エネルギーのうち衝突エネルギー,摩擦エネルギー,圧縮エネルギーに着目し,それぞれの機械的エネルギーがγ-グリシン(Gly)結晶からα-Gly結晶への固相多形転移におよぼす影響を明らかにした.さらにγ-Gly結晶の固相多形転移機構について考察を行った.γ-Gly結晶に摩擦エネルギーや圧縮エネルギーを加えると,α-Gly結晶への固相多形転移が確認された.γ-Gly結晶からα-Gly結晶への固相多形転移の転移率の経時変化をAvramiの式を用いて解析したところ,固相多形転移が摩擦エネルギーを加えた場合は相境界支配で,圧縮エネルギーの場合は拡散支配であった.衝突エネルギーのみを加えた場合はγ-Gly結晶からα-Gly結晶への固相多形転移は確認できなかったが,摩擦エネルギーを加えた後に衝突エネルギーを加えると固相多形転移は進行した.遊星ボールミルによるγ-Gly結晶からα-Gly結晶への固相多形転移の転移率の経時変化より,固相多形転移機構は,初めにγ-Gly結晶中にα-Gly結晶の核化が起こり,その後α-Gly結晶の核が成長することにより進行すると考察した.

  • 中村 一穂, 高岸 太一
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
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    結晶のゼータ電位は,結晶表面にどのイオンが優先的に吸着しているか反映する値であり,晶析における結晶の成長過程を理解するうえで有用な情報をもたらす.しかし,測定者や測定方法により値が大きく異なるため,結果の理解が困難となっている.本研究では,水酸化カルシウム水溶液と炭酸ガスを用いた炭酸カルシウムの反応晶析において,反応中の炭酸カルシウム結晶のゼータ電位の変化を溶液のイオン組成の点から考察した.また,高分子電解質ポリアクリル酸(PAA: Polyacrylate acid)を母液に加えた場合の添加の影響についても検討した.PAA無添加の場合は,生成した炭酸カルシウムのゼータ電位は正の値を示し反応中大きな変化を示した.このプラスの電荷は結晶表面へのCa2+の吸着を反映したものと考えられえる.反応中のゼータ電位は,反応初期は約+70 mVの値を示し中和反応の進行にともない減少し,中和点付近で約+15 mVの極少を示した後,緩やかに上昇する変化を示した.この変化を反応中の母液のイオン組成の変化と比較した結果,ゼータ電位の変化は母液中のCa2+の濃度変化を反映して変化することが明らかになり,結晶表面の電位決定イオンはCa2+でありその吸着平衡の変化はゼータ電位の変化により把握できることが示された.同様のゼータ電位の測定をPAAの存在下の反応晶析で行った結果,結晶のゼータ電位はマイナスの値を示し,結晶表面へのPAAもしくはPAAとCa2+の錯体の吸着が示唆された.これらの結果より,ゼータ電位が,結晶表面のイオンの吸着状態の状態を反映し,その反応晶析中の変化のモニタリングに有効な指標であることが明らかになった.

  • 信吉 裕太, 山本 拓司, 前田 光治, 福室 直樹, 八重 真治
    原稿種別: ノート
    2018 年 44 巻 1 号 p. 35-38
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル 認証あり

    電解めっきと比較して無電解めっきは絶縁性の素地への成膜性に加えて,めっき皮膜の均一性や耐食性にも優れている.本研究では,めっき浴に加える圧力を0–400 MPaの範囲で変化させて無電解ニッケル–リンめっき(以下,無電解Ni–Pめっき)を実施し,めっき皮膜の成長速度や表面形状におよぼす高圧力の影響を検討した.その結果,高圧力条件下での無電解Ni–Pめっき操作の再現性を確認した.また,20 MPa以上に加圧することで,めっき膜の成長速度は常圧下での場合に比較して増加したが,それ以上に加圧すると圧力の増加にともなって減少した.

  • 小路 康弘, 吉尾 宜之, 田中 美里, 大田原 健太郎
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル 認証あり

    CFD混相流モデルの一種であるオイラーグラニュラーモデルを用いて粒子浮遊限界撹拌速度NJSを推算した.NJSの予測には,Zwieteringなどによる実験相関式が用いられるが,装置形状定数が必要となる.本研究では,装置形状定数が既報である撹拌槽において実験相関式およびCFDを用いてNJSを推算し,両者がおおよそ一致することを見出した.また,装置形状定数が報告されていない撹拌槽においてCFDを用いてNJSを推算し,実測値に対して精度良くNJSを推算できることを見出した.

  • 土岡 和彦, 槙 孝一郎, 中倉 修平
    原稿種別: ノート
    2018 年 44 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル 認証あり

    晶析撹拌槽から産出される粒子の粒径分布を計算するモデルを提案した.計算モデルでは,粒子の表面析出と粒子間の衝突・合体により粒子が成長する過程を考慮した.さらに,粒子間の相対速度に基づく運動エネルギーと,析出速度に基づく結合エネルギーから粒子の衝突・合体効率を定義した.このモデルにより,実際の晶析撹拌槽において,撹拌翼の形状,回転数,槽スケールを変化させた条件で産出された粒子の粒径分布の違いをよく再現することができた.

  • 内藤 良太, 吉尾 宜之, 大田原 健太郎
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 1 号 p. 50-53
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル 認証あり

    COSMO-RS(COnductor like Screening MOdel for Realistic Solvents)法を開発中アゾール化合物に利用し溶解度推算を行い,晶析溶媒のスクリーニングへの適用性を検討した.複数の晶析の候補溶媒について溶解度の推算値と実験値を比較したところ溶媒極性に対する溶解性の定性的傾向は一致していた.また,示差走査熱量測定(DSC)により取得した融解エンタルピーと融点を元に溶解度を推算した場合,誤差率は最少で25%程度であった.一方,溶解度の実験値から融解エンタルピーを推算し適用した場合では誤差率は最少で9%と非常に精度よく溶解度が推算された.以上のことから,COSMO-RS法を用いた溶解度推算は晶析溶媒の選定ひいては晶析プロセス開発に大きく貢献できると考えられる.

  • 由井 和子, 伊藤 恵, 小林 拓朗, 辻 智也, 倉持 秀敏
    原稿種別: 化工データ
    2018 年 44 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル 認証あり

    未利用な最低品質廃油脂類であるトラップグリースの油分を重油代替として利用するには,油分に含まれる高融点の飽和脂肪酸とトリグリセリドの濃度を低減し,室温における油分の固化を防止する必要がある.本研究では,晶析を用いた油脂類の濃度制御法に関する基礎データの取得のため,トラップグリースの高融点成分である飽和脂肪酸(ステアリン酸,パルミチン酸,ミリスチン酸)とそれらのトリグリセリドについて,A重油との混合系における液相線(固液共存線)を示差走査熱量計を用いて測定した.飽和脂肪酸の炭素鎖が同じ条件で比較すると,脂肪酸よりもトリグリセリド体の方が液相線の温度が高く,また,炭素鎖が長いほど液相線の温度が高いことがわかった.液相線を推算する方法として,A重油を擬似的に1成分として仮定し,今回の混合系を2成分系単純共晶系と見なして,Schröder–van Laars式に理想溶液およびDortmund-UNIFAC活量係数推算モデルを導入したモデルの適用を試み,その有用性について評価した.

移動現象,流体工学
  • 佐藤 稜, 林 公祐, 冨山 明男
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル 認証あり

    散気管内外流動および散気の均一性に散気孔の周方向角度および液相粘度がおよぼす影響を検討した.散気孔を一定間隔で5つ備えた散気管を用いて管内外流動を観察するとともに,各散気孔から流出する空気の流量(散気量)を測定した.散気孔周方向角度を0(鉛直上向き)–180°(鉛直下向き),総気相流量を1×10−4–7×10−4 m3/s,液相粘度を1–100 mPa·sの範囲で変化させた.その結果,以下の結論を得た.散気孔周方向角度の増加により,液相粘度によらず散気管内の液位は散気孔下端に制限される.そのため,いずれの液相粘度でも散気孔周方向角度を60°以上にすることで管内液位は液スラグ発生臨界液位以下となり,液スラグの発生を抑制できる.また,いずれの液相粘度でも,散気孔周方向角度を60–120°にすることで液スラグの発生が抑制されるため,散気を均一化できる.なお,150°以上では,散気量は均一であるが気泡が不規則に分裂する.また,いずれの液相粘度でも散気孔周方向角度が生成気泡径におよぼす影響は小さく,散気量が均一であれば生成気泡径も均一となる.

粉粒体工学
  • 小野 巧, 秋元 啓太, 大田 昌樹, 佐藤 善之, 猪股 宏
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル 認証あり

    筆者らは微粒子分散水溶液を用いたWater/CO2(W/C)エマルションの噴霧を用いた新規の粉体製造手法を開発してきた.本手法は,高Re数乱流場による不安定なエマルションおよびCO2の断熱膨張によるJoule–Thomson効果を利用することで,高い生産性を保ちつつ凝集を制御可能なプロセスであることが確認されている.しかしながら,噴霧前つまり高Re数乱流場におけるエマルションの分散状態は不明であり,噴霧前の液滴径がどの程度維持されるのかについての実験的評価は困難であった.本報では高Re数乱流場におけるW/Cエマルションの観察が可能なセルを作製し,ハイスピードカメラを用いることでこのエマルションの可視化を行った.実験結果より噴霧前のエマルションは合一することなく存在し,さらに最終的に生成される粉体径との関係を解析することで,エマルションに含まれる微粒子がそのまま粉体の一粒子として保存される可能性が示唆された.

熱工学
  • 中曽 浩一, 深井 潤, 中川 二彦, 伊藤 香澄, 安部 義男, 川上 理亮, 谷野 正幸, 板谷 義紀, 小林 信介, 丸毛 謙次, 青 ...
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 1 号 p. 71-77
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル 認証あり

    工業温排熱を利用して高温蒸気を生成する蒸気生成器の性能試験を行った.本研究では,既報のラボスケール生成器を拡大した円筒型のベンチスケール生成器,および,実用化を視野に入れたスケールアップ生成器を構築した.ベンチスケール生成器で,大気圧下における蒸気生成時の温度分布を計測した結果,供給水の液面位置を境界として,上側は蒸気吸着による高温状態,および下側は給水温度から飽和温度の状態を確認できた.寸法および充填構造の異なる生成器を用いた蒸気生成試験の結果を比較した結果,吸着材質量当たりの生成蒸気量は,再生時に供給する空気熱量とともに増加して,再生空気温度に応じた上限値に漸近することがわかった.また,再生空気温度が同じ場合でも,吸着材質量当たりの容器熱容量の小さい方が,吸着材質量当たりの生成蒸気量が大きくなった.

反応工学
材料工学,界面現象
  • 島村 育幸, 岩﨑 智宏, 岩田 政司, 綿野 哲
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 1 号 p. 85-90
    発行日: 2018/01/20
    公開日: 2018/01/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,メカノケミカル処理で調製した前駆体の加熱処理においてニッケル酸ランタンが生成する反応過程を解析した.ここでは,モデル前駆体として水酸化ランタン,水酸化ニッケルおよび塩化ナトリウムの単純混合物と,これをメカノケミカル処理して得られた混合物を用い,それぞれにおける反応過程を解析することで,メカノケミカル処理が前駆体の固相反応におよぼす影響を詳細に検討した.メカノケミカル処理を行った前駆体は,単純混合の前駆体と同様に,主に水酸化ランタン,水酸化ニッケルおよび塩化ナトリウムで構成されたが,比較的低い結晶性を示した.さらに,メカノケミカル処理を行うことで前駆体が微細混合されることも確認できた.また,加熱処理過程ではメカノケミカル処理によらず3段階の吸熱反応を経てニッケル酸ランタンが生成することがわかった.このとき,メカノケミカル処理して得られた前駆体では単純混合の場合と比較して,反応中間体においてオキシ炭酸ランタンの安定相(六方晶)の生成が抑制されたため,低温で結晶性の高いニッケル酸ランタンが速やかに生成することが示唆された.

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