有機高分子凝集剤による除濁効果を簡単な架橋モデルによってシミュレーションした.このモデルでは, 凝集剤分子および懸濁粒子は共に吸着活性点を二つだけもつものとし, これによって凝集剤分子と懸濁粒子とが互いに付着し合う.すなわち, 懸濁粒子は凝集剤分子の架橋によって結合し, フロックが形成されるとしている.
シミュレーションの結果から, 除濁効果は凝集剤と懸濁粒子との接触操作に密接に関係することを見いだした.すなわち, 懸濁粒子と凝集剤とを瞬時に均一に接触させる場合には, 除濁効果は凝集剤添加量の増加と共に単調に増加して最大値に達したのち減少する.これに対して, 凝集剤を徐々に作用させる場合には, 除濁効果は凝集剤添加量の増加と共に最大値に達し, この最大値がそのまま維持される.
これら二つの接触方法に対する除濁効果を, カオリン-非イオン性ポリアクリルアミド系を用いて実験的に検討した結果, 実験結果はシミュレーションによる予測と良好な一致を示した.
この結果から, 除濁操作においては, 凝集剤を懸濁粒子と段階的に接触させる操作が, 一度に接触させる操作に比べてより効果的であると結論できる.
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