化学工学論文集
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4 巻, 6 号
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  • 大村 朔平
    1978 年4 巻6 号 p. 551-556
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    リサイクルを有する蒸留塔群よりなる系は数多くのプロセスで見ることができ, その計算法も多く発表されている.多塔系の計算法は逐次代入法, その促進法および同時解法に大別できるが, 本法は逐次代入促進法に属する計算法である.従来の逐次代入の促進法, たとえばθ-法では, 塔間の物質収支誤差の修正に各塔の気液平衡関係を考慮しない物質収支式を用いているのに対し, 本法ではその気液平衡関係を考慮した物質収支式を用い収束の促進を計った.気液平衡関係を考慮した物質収支式は, 塔内の各段の物質収支を表すtridiagonal matrixから線形式として導いた.本法を数多くの多塔系に適用したところ安定した解が迅速に得られた.
  • 欅田 栄一, 道場 正則, 磯崎 昭夫, 村井 俊彰
    1978 年4 巻6 号 p. 557-561
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    化学反応操作における熱効率をたかめるため, 吸熱反応であるアルコールの脱水素と発熱反応である酸化を同一反応器内で行い, 両反応の生成物として同一のケトンあるいはアルデヒドを得ることを試みた.酸化銅-酸化亜鉛触媒による2-プロパノール脱水素反応の速度は酸化反応の生成物の影響をも含めてLangmuir-Hinshelwood型の速度式で表され, 酸化反応と脱水素反応は同時に起こり, 2-プロパノールの反応速度は両反応の速度の和として表されることが明らかとなった.さらに本研究における反応系について熱的安定性の解析を行ったところ, 実験を行った温度範囲においては安定な定常状態を保ちうることが明らかとなった.
  • 古沢 健彦, 国井 大蔵, 小熊 昭夫, 山田 信行
    1978 年4 巻6 号 p. 562-566
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    NOのチャーおよび活性炭による還元反応速度を等温流通式管型反応器を用いて, 広い温度範囲 (500~845℃) で測定した.その結果, 反応速度式は全温度範囲にわたってNOに関して1次で表されること, および約680℃以上では活性化エネルギーが増大することがわかった.
    次に, チャーについて各温度で反応生成ガスの測定を行い, 低温度領域ではN2, CO2が生成し, 活性化エネルギーの変化する温度付近からCOの生成が始まり, 温度が高くなるにつれてCOの生成量が増加することがわかった。
  • 佐藤 享司, 西川 泰則, 森 茂, 城本 義光
    1978 年4 巻6 号 p. 567-573
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    直径40cmのCaO単一球をHe, N2, Arのような不活性ガスを混入したCO2により730℃で炭酸化反応を行い, 反応過程における試料球内の気体の圧力と温度分布および重量の変化を連続的に測定した.CO2, 100%による炭酸化反応て試料球内の圧力は周囲圧力よりも535mmHg低くなった.CO2に混入する不活性ガスの種類によって多孔質固体内の圧力減少ΔPと温度上昇ΔTと総括反応速度mAは著しい影響を受けた.
    これらの現象は一方拡散系の非等温, 非等圧固・気反応モテルにより解析された.その結果不活性ガスの種類によるΔPとΔTmAに及ぼす著しい影響はダイナミックな有効拡散係数の性質に基づくものであることを見いだした.
  • 藤津 正則, 竹内 亨, 架谷 昌信, 杉山 幸男
    1978 年4 巻6 号 p. 574-581
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    実用炉への適用性か高いと考えられる耐火断熱材の軸対称2次元熱応力に関し, 大変形の場合への適用を考慮して, 有限要素法により理論解析を行った計算結果を, 中空円筒形試料による実験結果と比較検討の結果, 次のような知見を得た.
    (1) 温度分布ならびに反力については, 計算値と実験値とがほぼ良好な一致を示した.
    (2) 亀裂発生時の応力分布 (計算値) は, 試料外表面においては引張り応力が試料の曲げ強度にほぼ等しく, 試料内表面寄りのゾーンでは, 圧縮応力が試料の圧縮強度を上回っているか, 亀裂の発生位置ならびに形状などに関する肉眼観察から, 亀裂発生は主に引張り応力によるものと考えられた.
  • 城塚 正, 須藤 雅夫
    1978 年4 巻6 号 p. 582-587
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    スチレン光増感乳化重合反応を, 光増感剤として硝酸ウラニル, 乳化剤として, 非イオン界面活性剤を用いて楕円型光反応装置で行った.ミセルから重合体粒子への変換効率は0.05~0.22であり, 従来の実験値よりはるかに大きかった.重合体粒子の発生機構に関する理論的解析を行い, 無次元数を用いた簡単な基礎式を得た.この無次元式は, 完全消費領域, 遷移領域ならびにSmith-Ewart領域の三つの範囲に区分することができる。得られた実験結果は遷移領域の計算値とよく一致した.
  • 攪拌槽への適用
    上和野 満雄, 斎藤 良一, 大島 伸夫
    1978 年4 巻6 号 p. 588-594
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    本研究は, 電子計算機の読み取り装置, 画像解析などの撮像素子として用いられている自己走査型1次元フォトダイオードアレイ (イメージセンサ) を攪拌槽内の液流の速度, 乱れの測定法に適用することを試みたものである.
    測定は, まず, 攪拌槽内の1点に焦点を合わせた光透過方式で行われた.この場合, 測定空間内 (焦点) に流入するトレーサ (球状の微細粒子) の影像のみを捉えるため, 互いに直角に横切るように設置されたイメージセンサおよびフォトトランジスタの両光学系で, 同時に検出された信号を選択し処理する回路を作成した.
    イメージセンサで検出された出力信号は, 波形記憶装置に収められ, 続いてA-D変換された後, ミニコンピュータにて演算処理された.この演算では, 粒子の径, 移動速度および2次元的な移動方向が同時に求められた.この結果より, 液流の速度および乱れが算出された.
    本法を用いると, 攪拌槽内の液流速および乱れの測定が精度よく行えることがわかった.
  • 笹倉 寿介, 加藤 悦昌, 山室 渉一, 大井 信一
    1978 年4 巻6 号 p. 595-601
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    乱流域を対象に電極法によるインパルス応答を行って, パドル型翼攪拌槽内の混合過程の検討を試みた.
    応答波形における循環の周期ならびに峰あるいは谷部の形成時間を測定して, 翼条件と循環時問との相関性ならびに測定位置による応答の遅れについて明らかにした.
    また, 循環流パターンについての実験的な知見から, 完全混合槽列から成る循環経路による混合モデルを作製し, 実測応答特性との対応を行った.この結果, 二つの混合パラメータについての考察が得られ, これらのパラメータを用いるとモデルと実測応答との対応は比較的良好に得られた.また, 混合および循環速度の相互関係は攪拌所要動力数を用いて相関できた.
  • 船津 和守, 有野 秀則, 郷田 義治, 篠原 久
    1978 年4 巻6 号 p. 602-607
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    ポリエチレン溶融体の第2種法線応力差が, 光線軸が流動方向と一致する流動複屈折法によって測定された.この方法によると, 第2種法線応力差が直接求められ, (P11-P22) と (P11-P33) の差から求める必要はなかった.流れが十分発達した領域内のみにおける位相差は, 測定された位相差より, 入口リザーバー部と出口リザーバー部の位相差を差し引くことにより得られた.第2種法線応力差とせん断応力との関係は温度が高くなるにしたがい高くなるようであった.第2種法線応力差と第1種法線応力差の比は, -0.1から-0.2であった。
  • 新居田 亨, 吉田 哲夫, 千田 昌宏, 島田 和憲
    1978 年4 巻6 号 p. 608-614
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2010/02/12
    ジャーナル フリー
    断面形状が環状セクタ (内筒半径R1, 外筒半径R2, 開ぎ角2α) である異形管内の層流速度分布Vzを解析的に求め次式を得た.
    Vz=-R22/μ・dP/dZ・2/Inη ∞∑m=1 1-(-1)mη2/km(km2+4) sin (kmInr) ・ (1-coshkmθ/coshkmα)
    ここでr=R/R2, η=R1/21, km=mπ/1nη, μは粘度である。また上式より導かれる断面平均速度Vzを用い, 圧力降下を円管の場合と同じ形式,
    -dP/dZ=32μVz/Deq2
    で表すとき, 相当直径Deqは次式で与えられる.
    Deq=R2 [-128/1-(η2)Inη ∞∑m=1 (1-(-1)mη2/km2+4)2 (1-tanhkmα/kmα)]1/2
    Deqの解析解の妥当性は圧力降下の実験結果との比較により確認された.
  • 渋谷 博光, 浦口 勇三, 宮内 照勝
    1978 年4 巻6 号 p. 615-621
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    固定層における液の軸方向分散に与える充填粒子の粒子径分布の効果を, パルス応答測定, 2次元充填層内流動の可視化観察および圧損測定によって調べた.
    狭い粒子径分布 (粒子径変動係数ηlが8%以下) を有する粒子の固定層については, 軸方向分散のデータは軸方向分散のペクレ数 Pezh対分子拡散のペクレ数 PeMhのプロットで整理され, 粒子径依存性を示した.
    Pezhの値は, 可視化実験で観察された whiskerに基づく agglomerationモデルにより, 計算できる.そのモデルパラメータは線図によって与えられた.
    広い粒子径分布 (ηl>10%) を有する粒子の固定層については, Pezhvs. PeMhのプロットの勾配はηlに少し依存し, 総じて, 粒子径分布の狭い粒子の固定層におけるプロットの勾配より小さい.このような挙動は層内流動に対する観察結果および圧損測定の結果とも符号した.
  • 室山 勝彦, 橋本 健治, 川端 鋭憲, 塩田 道治
    1978 年4 巻6 号 p. 622-628
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    3相流動層における液相の軸方向混合が直径6および10cmの塔において測定された.大きさの異なる6種のガラス球 (直径, 0.215~6.9mm), アルミナ球 (2.0mm) およびラシヒリング (5.2mm) が流動化粒子として用いられた.液およびガス速度はそれぞれ0.60~16.8cm/secおよび0~30cm/secの範囲で変化させた.
    3相流動層における流動様式は次の三つの流域に分類された : 合一気泡流 (uL0<8cm/sec, ug0<10cm/sec), 分散気泡流 (uL0>8cm/sec, uL0<10m/sec) およびスラグ流 (uh0>10cm/sec).
    合一気泡流は小さい粒子 (dp≦1mm) の層において現れた.修正ペクレ数 PeL (=uLDt/Ez) は次式によって相関きれた :
    PeL=1.07 (uL0) 0.738 (ug0) -0.167 (Dt)-0.583 (合一気泡流)
    分散気泡流は大きい粒子 (dp>2mm) の層において, 低いガス速度で現れた.PeLは粒子径と塔径の比の関数として相関された :
    PeL=26 (dp/Dt) 1/2 (分散気泡流, 0.02<dp/Dt<0.12)
    スラグ流においては, PeLの挙動は合一気泡流における挙動にほぼ類似した.
  • カタストロフィー理論の応用
    伊藤 龍象
    1978 年4 巻6 号 p. 629-633
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    剪断場における液滴の分裂過程は不可逆・不連続であり, また, 分裂時の液滴の形状や滴内の流動は複雑すぎて解析できない.
    本論文では第1の方法として, 液滴の表面エネルギー, 運動エネルギーおよびエネルギー消散の変化を考慮した力学的エネルギーの巨視的収支を変形過程に適用し, 分裂時には滴内の力学的エネルギーが保存されるものと仮定した.この解析より, 剪断速度をステップ状に変化させた時, 1個の液滴が2個に分裂する最小負荷時間θ2は過剰剪断速度ΔG (=G-GB) に逆比例することが見いだされた.
    しかしながら, 第1の方法では, 剪断場を連続的に負荷し続けたとき液滴が自然に分裂する状態がある特異な状態としては示されない.したがって, 第2の方法としてカタストロフィー理論を分裂過程に適用する.
    くさびのカタストロフィーにおいて, 2個の外部因子として過剰剪断速度ΔGと負荷時間θΔGをとり, 内部因子として液滴の状態をとれば, 変形・分裂過程はうまく説明できる.この理論から導かれた自然分裂時間とそのときの分裂個数の過剰剪断速度に対する依存性が実験データによって確かめられた.
  • 均一分散定粒径可燃性粒子群の場合
    野村 伸一郎, 田中 達夫
    1978 年4 巻6 号 p. 634-638
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    粉塵爆発の研究は, 古くからそのほとんどが実験的に行われ, 理論的には比較的少ない.三井・田中は簡単な粉塵モデルを設定し着火温度および爆発下限濃度について解析を行ったが, その導出過程において特に放射熱の表現に若干の疑問があり, 本報では三井・田中の提案した理論の再検討を行った.その結果, 定性的にではあるが過去の実験値との良好な一致を得た.また着火温度に関し, 最低着火温度を与える粒径の存在を予測し, 黒沢の炭塵のデータとの比較検討を行った。
  • 上原 保彦, 浅井 信義, 田中 宏明, 神保 元二
    1978 年4 巻6 号 p. 639-645
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    黒鉛の超微粉砕操作において, 粉砕方法および気体雰囲気によって粉砕速度, 粉砕生成物の形態変化および構造変化が著しく異なることを見いだした.振動ボールミル粉砕において, 酸素中では劈開的に破壊されて薄片状の形態になり, ヘリウム中では非劈開的に破壊されて立体的な形態になり, ヘリウム中の粉砕速度dSw/dEは酸素中の約8倍に増大した.これらの結果は気体雰囲気による黒鉛の摩擦係数の差で説明することができた.粉砕に伴う構造変化は粉砕エネルギーEときわめてよく対応した.ジェットミル粉砕では窒素, 空気とも屈曲粒子や表面微小クラックが生成し, 菱面体晶黒鉛量が異常に増大した.黒鉛結晶の転位理論から粉砕機構を考察すると, 黒鉛粒子はジェット気流により層面に垂直な応力を受けて破壊した.メノウ乳鉢空気中粉砕では層面に平行な剪断力により劈開的に破壊した.
  • 桜井 正明, 浅井 勉, 辻本 清彦, 原納 淑郎
    1978 年4 巻6 号 p. 646-652
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    ミクロセルロース分散体の硫酸アルミニウムを凝集剤とした場合に生成するフロック粒子の沈降速度を実測し, ストークスの式を用いてフロック密度を求めた.その結果, (1) 丹保らの提案するフロック密度関数, ρe=ad-Kρが成立すること, (2) 攪拌速度が速くなるにつれてフロック密度も大きくなること, (3) 攪拌速度に関連してフロック密度に履歴現象がみられること, (4) 本系での実測Kρ値は, すべて1近傍であること, がわかった.また, Kρの値が, 1より大きい (小さい) とき, 凝集の進行にともなって, 総投影断面積が増加する (減少する) ことより, 凝集過程における光透過度の変化を追跡して, Kρの値を推定しうることを示した.
  • 上和野 満雄, 長谷川 誠, 大矢 公夫, 緒方 純俊, 将口 和夫, 波多江 俊, 篠原 久
    1978 年4 巻6 号 p. 653-658
    発行日: 1978/11/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
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