剪断場における液滴の分裂過程は不可逆・不連続であり, また, 分裂時の液滴の形状や滴内の流動は複雑すぎて解析できない.
本論文では第1の方法として, 液滴の表面エネルギー, 運動エネルギーおよびエネルギー消散の変化を考慮した力学的エネルギーの巨視的収支を変形過程に適用し, 分裂時には滴内の力学的エネルギーが保存されるものと仮定した.この解析より, 剪断速度をステップ状に変化させた時, 1個の液滴が2個に分裂する最小負荷時間θ
2は過剰剪断速度
ΔG (=
G-
GB) に逆比例することが見いだされた.
しかしながら, 第1の方法では, 剪断場を連続的に負荷し続けたとき液滴が自然に分裂する状態がある特異な状態としては示されない.したがって, 第2の方法としてカタストロフィー理論を分裂過程に適用する.
くさびのカタストロフィーにおいて, 2個の外部因子として過剰剪断速度
ΔGと負荷時間θ
ΔGをとり, 内部因子として液滴の状態をとれば, 変形・分裂過程はうまく説明できる.この理論から導かれた自然分裂時間とそのときの分裂個数の過剰剪断速度に対する依存性が実験データによって確かめられた.
抄録全体を表示