化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
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49 巻, 3 号
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編集ノート
物性,物理化学
移動現象,流体工学
  • 髙倉 逸仁, 岩田 真依, 西田 亮太, 小出 千尋, 古川 陽輝, 加藤 禎人, 加藤 好一, 根本 孝宏, 吾郷 健一, 高 承台
    原稿種別: 報文
    2023 年 49 巻 3 号 p. 56-61
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2023/05/20
    ジャーナル 認証あり

    低粘度流体の混合の効率化を目的に開発されたHR320とHR320Sの性能を撹拌所要動力,混合時間を測定することによって評価した.HR320およびHR320Sの撹拌所要動力は,ピッチドパドル翼の相関式の乱流項のパラメータを修正することで相関できた.そして,脱色法による混合時間の測定により,乱流条件下ではHR320とHR320Sは,プロペラ翼,ピッチドパドル翼,HR100と比較して良好な混合性能が得られた.

分離工学
  • 松村 大植, 中野 万敬
    原稿種別: 報文
    2023 年 49 巻 3 号 p. 62-67
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2023/05/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究では,ホウ素をターゲットとした高容量の吸着材として,ポリエチレンイミン,水酸基を4つ有するラクトン,架橋剤から側鎖にポリオールを有するヒドロゲルを合成した.グルコノラクトンから合成したヒドロゲルは,100 mg/Lのホウ素溶液に投入すると3 h程度で吸着平衡に達し,pH 4–8において13 mg/g-drygel以上の吸着量を示した.この吸着量は,既存のキレート樹脂の約1.5倍であった.吸着等温線から本ヒドロゲルはLangmuir型の吸着様式を示し,飽和吸着量は17.2 mg/g-drygelであることがわかった.さらに,架橋度が高いヒドロゲルは,再生することで吸着量の低下を起こすことなく再利用可能なことが明らかになった.

反応工学
  • 清水 忠明, 小林 智憲, 加藤 平蔵, 李 留云, 八太 昭道, 小島 紀徳
    原稿種別: 報文
    2023 年 49 巻 3 号 p. 68-78
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2023/05/20
    ジャーナル 認証あり

    らせん軸周りの回転で粒子を輸送するコイル状らせん型装置について,既往の研究で用いた小型(JIS規格20Aサイズ)装置と比べて,体積で10.6倍の大きさであるJIS規格50Aサイズのステンレス製180°ロングエルボを組み合わせた5旋回コイル状らせんを製作し,粒子輸送速度と壁面–粒子間の伝熱速度を測定した.粒子には,既往の研究で用いた球形粒子に加え,新たに天然鉱物を破砕した非球形粒子を用いた.らせん内の粒子層の体積と,らせん内壁面のうち粒子と接触する面積を,粒子の安息角を用いたモデルで推定した.装置内粒子層体積は,モデルの予測とほぼ一致した.壁面と粒子の間の伝熱係数は,既往の小型装置で求めた伝熱係数の相関式とおおむね一致した.粒子群交換モデルによる伝熱係数の推算値と実測値間に差異があり,この原因として壁面付近の粒子密度が低い層の伝熱抵抗が影響していると示唆された.

材料工学,界面現象
  • 渡邉 裕之, 平沢 泉
    原稿種別: 報文
    2023 年 49 巻 3 号 p. 79-87
    発行日: 2023/05/20
    公開日: 2023/05/20
    ジャーナル 認証あり

    リン酸水素二ナトリウム12水塩は室内の空調や床暖房への適用が期待される潜熱蓄熱材である.しかし,蓄熱状態にあるその融液は融点以下の温度に冷却されても容易に核化しないので,蓄えた潜熱を融点で放熱する潜熱蓄熱操作に支障が生じる.この過冷却の問題を解決するため,一般に発核剤の添加がおこなわれるが,これまでの多くの開発研究にもかかわらず,その核化促進能力は不十分なものであった.本研究では,発核剤として機能するための必要な物性条件の抽出を目的とし,添加試薬をナトリウム塩に固定して,それらの核化促進能力の強さを熱サイクル実験によって調査した.促進能力の強さを過冷却比として定量化し,陰イオンの酸解離定数との関係を調べた結果,12水塩を構成するリン酸一水素イオンの酸解離定数より大きい解離定数を有する陰イオンでは,その数値が大きいものほど促進能力が強いことがわかった.また促進効果の発現メカニズムとして,添加した陰イオンの塩基的作用により12水塩融液中のイオン環境が不安定化し,核化のエネルギー障壁が減少したことが考察された.

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