化学工学論文集
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44 巻, 6 号
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編集ノート
移動現象,流体工学
  • 佐野 雄一, 坂本 淳志, 竹内 正行, 三角 隆太, 國井 佳奈子, 轟 慧, 仁志 和彦, 上ノ山 周
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 6 号 p. 335-340
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル 認証あり

    高い処理能力や相分離能力などの特徴を有する回転円筒型液液抽出装置に関して,装置の性能向上を目指すうえで重要となる装置内部での流動・分散特性について,装置の運転条件の違いがおよぼす影響やこれによる抽出性能の変化について知見を得ることを目的に,乱流数値モデルにもとづいた解析を実施するとともに,実験結果との比較を行った.ロータ回転数の増加や供給液流量の低下により,アニュラー部における液相の存在領域が上下に分断される傾向が示されるとともに,いずれの条件においてもアニュラー下部においてはロータ中心部に向かう流れの形成が確認された.分散相の液滴径は,ロータ回転数の増加および供給液流量の低下により減少する傾向が認められた.以上の結果は,実験により得られた傾向と一致した.さらに,水相/有機相間の物質移動を考慮した解析により,ロータ回転数の違いによる抽出性能の変化がおおむね再現できることを確認した.

  • 井上 義朗
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 6 号 p. 341-345
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル 認証あり

    非定常の混合流れ場を見ればわかるように,流体自身の動きと混合パターンの動きとは明らかに異なる.また流れ場が同じであれば,初期パターンをいろいろ変えても,最終的な混合パターンはみな同じ形に近づく傾向がある.これらのことから,流れ場には固有の混合パターンすなわち潜在的混合パターンというものが備わっていると考えられる.本論文では,混合パターンの動きを表現できるパターン変化速度を定義し,それを用いた潜在的混合パターンの顕在化方法や,パターン変化速度場が有する諸特性を明らかにする.それらを踏まえて,従来とは異なる視点からミキシング現象を捉える新しい考え方を提示する.

  • 加藤 好一, 根本 孝宏, 吾郷 健一, 荒井 拓也, 古川 陽輝, 加藤 禎人
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 6 号 p. 346-349
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル 認証あり

    高粘度流体の混合に適した製造の容易な撹拌翼LR500を開発し,その性能を評価した.LR500は,高粘度流体混合に標準的に使用されるヘリカルリボンと同等の無次元混合時間を示し,さらに,ヘリカルリボンよりあらゆる液深の変化に対応し,安定な混合性能を示した.また,ヘリカルリボンについては,シャフトにリボン部を固定する支持棒のある箇所に液深を設定した場合,ドーナツリング状混合不良部を形成し,短時間の混合完了は不可能であることを示した.

分離工学
熱工学
  • 冲永 佳史, 蜂須賀 功真, 村田 誠, 萩原 遼, 山口 雅己, 江口 邦久, 植田 利久
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 6 号 p. 355-362
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル 認証あり

    医療用温湿度交換器(HMEF)の温度と湿度の過渡応答過程について,実験,数値シミュレーションにより検討を加えた.HMEF容器に何も入れない場合,スポンジを入れた場合,スポンジの一部に塩化カルシウムを含浸させた場合について,呼気を想定した温度37°Cの飽和空気を供給し,引き続き逆向きに,吸気を想定した温度26°Cの乾燥空気を供給した場合の呼気側,吸気側の温度,湿度の時間変化を実験的に測定した.その結果,塩化カルシウムを用いると,その潮解現象により,水の凝縮を特に顕著に増加させることができることが明らかとなった.また,熱,物質輸送の1次元モデルを構築し,解析を行った.その結果は実験結果とも良く対応しており,HMEFの基本特性を1次元熱・物質輸送モデルで記述できることを示した.

  • 稲垣 照美, 飯島 友, 波入 拓, 李 艶栄
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 6 号 p. 363-371
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル 認証あり

    本研究は,工場や商業・民生施設などの様々な環境から排出される廃熱エネルギーを有効資源として再活用するための方法の一つとして潜熱蓄熱技術に着目したものである.著者らは小型分散化オフィスや家庭向けに使用済み熱エネルギーを有効に蓄熱しながら再利用する方法としての蓄熱技術「低位熱エネルギー向け多段型潜熱蓄熱式熱交換システム」を新たに考案し,エネルギーの有効利用や省エネルギー技術の観点から民生用多段型潜熱蓄熱式熱交換システムの設計指針の確立を目指した.ここでは,融点の異なる潜熱蓄熱物質であるラウリン酸とミリスチン酸をそれぞれ潜熱蓄熱式水平円筒熱交換器内に充填し,直列に接続した二段型潜熱蓄熱式熱交換システムを実際に構成して性能評価実験を行った.その結果,二段型潜熱蓄熱式熱交換器の融解・凝固プロセスにおける温度挙動,出入口温度差,温度効率などの特性が単段型潜熱蓄熱式熱交換器のそれと類似することを確認した.また,潜熱蓄熱式熱交換器の多段化により常温付近まで熱エネルギー回収が進展し,回収熱量の向上が期待できる.

材料工学,界面現象
  • 渡邉 裕之, 平沢 泉
    原稿種別: 報文
    2018 年 44 巻 6 号 p. 372-378
    発行日: 2018/11/20
    公開日: 2018/11/20
    ジャーナル 認証あり

    融点降下法による潜熱蓄熱材の適用温度範囲の拡大をねらい,特に医療用保温材などに利用されるリン酸水素二ナトリウム12水塩(融点Tm,0=308.5 K, 潜熱量ΔHf,0=227 kJ/kg, ともに実測値)の融液に溶解可能な添加物5種(リン酸三カリウム,リン酸水素二カリウム,リン酸二水素カリウム,リン酸二水素アンモニウムおよびリン酸二水素ナトリウム2水塩)を混合した系について,融点Tmおよび潜熱量ΔHfの変化を測定した.さらに前報(Watanabe and Hirasawa, 2017; Watanabe, 2017)で提案した,添加物濃度と融点降下度および潜熱量低下度との関係を記述する簡易的な実験式を用い,各添加物の融点降下能力および潜熱量低下能力を数値化した.これら能力の数値は添加物ごとに異なり,それぞれ固有値を示した.これに対し,融点降下度と潜熱量低下度との間には,添加物の種類に依存しない下式で表されるほぼ一定の数値関係が成立することがわかった.

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