化学工学論文集
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27 巻, 1 号
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熱力学,物性,分子シミュレーション
  • 宮田 竜彦, 車田 研一, 谷垣 昌敬
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 熱力学,物性,分子シミュレーション
    2001 年 27 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    ゲルの架橋網目構造を最も単純に模式化した立方格子状障害構造中での球状粒子の自己拡散をブラウン動力学法によりシミュレーションし,立方格子状網目障害構造一粒子間にはたらく立体障害相互作用およびクーロン引力相互作用が自己拡散係数に対して及ぼす影響を考察した.立体障害相互作用が粒子の自己拡散係数に及ぼす影響は,格子間隔と粒子径が非常に近い値をとる場合にのみ顕著である.また,クーロン引力相互作用が粒子の自己拡散係数に及ぼす影響は,粒子径に対して格子間隔がはるかに大きい場合および格子間隔と粒子径が非常に近い値をとる場合の両極限において顕著である.前者では立方格子状網日障害構造上の各荷電点周りでの粒子の滞留が自己拡散係数低下の支配的要因である.これに対し後者では,互いに隣接する立方格子の境界に存在するクーロンポテンシャルエネルギー障壁による立方格子内での粒子の滞留時間増加が支配的になる.
移動現象,流体力学,混合
  • ――水平な主管から連続した3本の下向き分岐管へ分岐する場合
    永島 徹
    原稿種別: ノート
    専門分野: 移動現象,流体力学,混合
    2001 年 27 巻 1 号 p. 127-129
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    この実験の目的は水平ヘッダに取り付けた多分岐管での気・液二相流の相分離特性について検討することである.例えば,このような気・液二相流の分岐流は車載式空調機の蒸発器で見られるものである.この実験では50mm間隔で取り付けた3本の連続した分岐管を水平な主管(14mm)に鉛直下向きに取り付けた.実験は主管における流動様式を主にスラグ流とし,分岐管における気液二相の流量と静圧分布を測定した.この時3本の分岐管間で空気及び水の不等配分が生じた.
触媒,反応,反応器設計
  • 平野 正樹, 今井 哲也, 安武 聡信, 黒田 健之助
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 触媒,反応,反応器設計
    2001 年 27 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    接触水素化反応を利用して炭酸ガスをメタノールに変換する実用触媒を開発する日的で,CuO-ZnO-Al2O3系3成分触媒とこれに耐久性向上のための助触媒を添加したCuO-ZnO-Al2O3-Ga2O3-MgO系5成分触媒について耐久性試験を行い,5成分触媒の方が活性および耐久性に優れており,GaとMgの添加が耐久性の向上に有効であることを明らかにした.未反応ガスを反応器にリサイクルする運転で,5成分触媒は圧力9MPa,温度503K,リサイクル比4の条件で,約2,000時間,供給した炭酸ガスの95%以上をメタノールに転換できることを明らかにした.また,現有プロセスに5成分触媒を使用した場合の消費動力を最小にする合成圧力を計算し,触媒を16,000時間で交換する場合は圧力7MPa,リサイクル比5.5の条件で,32,000時間で交換する場合は圧力10MPa,リサイクル比5の条件で運転することが動力的に有利であるという結果を得た.
  • 香川 勝, 河村 仁, 木村 秀治, 西ロ 宏泰, 石原 達己, 滝田 祐作
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 触媒,反応,反応器設計
    2001 年 27 巻 1 号 p. 69-75
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    種々の貴金属を担持したCo3(PO4)2についてCH4を用いたNOの選択還元反応を検討し,Ptを担持したCo3(PO4)2はCH4によるNO選択還元に高い活性を示すことを見出した.N0転化率はPt担持量とともに増加し,1wt%Pt担持で最大となった.同一条件ではN0の還元活性は常にNO2還元活性より高くなった.これは反応がNO2やNO3を中間体とするのではなく,NO直接分解から開始することを示唆している.酸素分圧の低下とともにNO転化率は向上し,酸素の非共存下では50%程度の高いNO転化率が最高SVまで維持されることがわかった.昇温脱離法による吸着種の反応性,およびNO,O2,CH4分圧依存性を検討したところ,Pt担持はNOの解離吸着を促進し,O2の吸着を弱めることがわかった.Pt/Co3(PO4)2上ではNOが解離的に吸着し,直接分解でN2を生成し,触媒上に残った酸素をメタンによって除去する機構でNoの還元反応が進行していると推定された.本研究によりPt/Co3(PO4)2はCH4によるNO還元に高い活性を有する触媒であることがわかった.
  • 白井 裕三, 小林 誠, 布川 信, 日恵井 佳子
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 触媒,反応,反応器設計
    2001 年 27 巻 1 号 p. 85-92
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    高温で石炭ガス中の硫黄化合物(H2S,COS)を除去する脱硫物質として調製したFe2O3-SiO2粒子の空気吹き石炭ガス化ガス中でのH2Sによる硫化特性について調べた.
    硫化鉄への転化速度は,鉄の酸化形態がFe3O4からFe,SiO,に変化する823Kで,最も低下した.この転化速度は,Fe3O4,Fe,SiO,ともにH2S濃度に対して一次であるが,Fe2SiO4が生成する823K以上では,H2S濃度が低くなると硫化が進行しなくなった.この濃度は,823Kにおいて2,460ppmであり,推定される化学平衡濃度(175ppm)より高いことが明らかになった.
    硫化の進行は673K~773Kおよび923K~973Kにおいては,細孔内拡散律速下で進行し,近似的に未反応核モデルを用いた転化速度式で示すことができた.また,673K以下,823Kおよび873Kでは,グレイン粒子の反応性の影響を受けた.
  • 井土 忠厚, 森 幹夫, 晋 工, 後藤 繁雄
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 触媒,反応,反応器設計
    2001 年 27 巻 1 号 p. 121-126
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    Boudouard反応,すなわち,活性炭と二酸化炭素からの一酸化炭素生成反応を撹拌ミル反応器中773Kで行った.活性炭の平均粒径は,粉砕により44 µmから1.2µmに変化した.活性炭を反応器中で粉砕することにより反応は起こり,反応速度はボ-ルの回転数の増加とともに増大した.反応速度はまた鉄粉末を触媒として加えると増加し,鉄粉末の触媒活性はボールの種類(鉄とジルコニア)および鉄粉末の粒径によって変化した.ボールの撹拌を止めた後も触媒活性はあるが,反応速度は時間とともに減少し,その減少速度は鉄粉末の粒径およびボールの種類に依存した.酸化ニッケル粉末は鉄ボールと混合した場合には触媒活性を示し,ジルコニアボ-ルの場合には示さなかった.活性炭と鉄触媒の相互作用を調べるために,走査電子顕微鏡(SEM)およびエネルギー分散X線分析装置(EDX)で表面状態を観察した.
材料工学,デバイス
  • Edi Hilmawan, 森 茂, 汲田 幹夫, 高子 康
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 材料工学,デバイス
    2001 年 27 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    磁性材料のひとつである鉄微粒子は,針状ゲーサイト粒子(α-FeOOH)を出発原料として脱水および還元処理によりヘマタイト,マグネタイトを経由して工業的に製造される.本研究では,鉄微粒子の保磁力の向上を図るために,様々な処理条件のもとで鉄微粒子を製造し,各処理生成物の粒子形状特性および鉄微粒子の保磁力と処理条件の関係について検討を行った.その結果,鉄微粒子の保磁力はマグネタイト還元処理温度に依存し,温度450℃の場合,その一次粒子は針状性を保持し,最大126kA/mの保磁力が得られた.また,ヘマタイト還元処理において,水蒸気あるいは窒素ガスの同伴による水素ガスモル分率の低減および処理温度の低下によりヘマタイトから鉄への直接還元を抑制することができ,とりわけ水蒸気同伴操作を施した場合には,より微小な結晶子が緻密に充填した鉄微粒子が得られ,保磁力の向上に繋がることが明らかとなった.
分離工学
  • 吉田 和広, 平野 義男, 藤井 宏記, 都留 稔了, 浅枝 正司
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 分離工学
    2001 年 27 巻 1 号 p. 106-112
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    ゾルゲル法によるシリカ膜は高温下で高い水素選択透過性を示す.しかし,LNG改質ガス等の大量の水蒸気を含有する条件下での耐性向上が課題となっている.本研究は,シリカージルコニア膜の水素分離性能に,ジルコニア添加率が与える影響を明らかにすることを日的とした.
    その結果,ジルコニアを10mol%添加した膜では,H2/N2分離係数100以上,水素透過係数1×10-5m3(STP)m上2s-lkPa-程度の膜が可能であった.しかし,ジルコニア添加率をより高めると水素分離性能が著しく低下した.これは水素,ヘリウムの透過の活性化エネルギーが増加することから,ジルコニア添加率を高めると水素分離薄膜層が緻密化するためと考えられる.
  • 稲垣 道弘, 酒井 清, 並木 則和, 江見 準, 大谷 吉生
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 分離工学
    2001 年 27 巻 1 号 p. 113-120
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    異形断面繊維からなるフィルタは,一般にたばこフィルタに用いられているが,集塵性能への断面形状の影響は十分に明らかになっていない.そこで,本研究では拡散捕集効率および圧力損失への繊維断面形状の影響を調べるため,繊維が流れに対して垂直に配列された場合について,理論,実験の両面から検討を行った.その結果,繊維断面形状および繊維配向により,単一繊維拡散捕集効率はほとんど変化しないが,繊維の無次元抗力は大きく変化することがわかった.さらに,無次元抗力の変化は,流れ方向の繊維投影幅により繊維間相互作用が変化するために生じることが明らかになった・以上の結果から,異形断面繊維を用いることにより,フィルタの粒子捕集性能を変化させずに,圧力損失を調整できることが示された.
  • 塩盛 弘一郎, 本部 貴洋, 河野 恵宣, 久保井 亮一, 駒沢 勲
    原稿種別: ノート
    専門分野: 分離工学
    2001 年 27 巻 1 号 p. 130-133
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウムとジ(2-エチルヘキシル)アミンもしくはジ-n-オクチルアミンを混合した逆ミセル系を用いてリゾチームの正・逆抽出を行なった.リゾチームの抽出は,等電点(pH 11.1)より低く水の抽出が起るpH領域で可能であった.混合逆ミセル系で抽出されたリゾチームは,中性から酸性の水の抽出が起らないpH領域において高活性で効率よく逆抽出することができた.
粉粒体工学,流動層
  • 谷ロ 泉, Lim Chek Kuang
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2001 年 27 巻 1 号 p. 93-99
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    スピネル型リチウムマンガン複合酸化物微粒子(LiMn2O4)が,硝酸リチウムと酢酸マンガンの水溶液から超音波噴霧熱分解法により合成された.粒子形態,組成および結晶サイズに対する原料溶液の初期濃度やガス流量などの合成因子の影響について検討された.また,独立に温度制御できる6段の加熱ゾーンからなる管状電気炉を用いて,合成された粒子の形態に対するエアロゾルフロー反応器内の軸方向温度分布の影響についても検討された.スピネル型LiMn204微粒子は均一の温度分布(1,073K)を設定した場合,および増加型の温度分布(473K-73K一673K-873K-1,O73K-1,073K)を設定した何れの場合についても合成された.均一温度分布(1,O73K)の条件で合成された粒子は中空状で数十ナノメータ-サイズの結晶で構成されていた.一方,増加型の温度分布(473K-73K-673K-873K-1,073K-1,073K)の条件では,中空状ではなく収縮した粒子が合成された.
  • 堀田 禎, 内藤 牧男, Janos Szépvölgyi, 遠藤 茂寿, 野城 清
    原稿種別: 速報
    専門分野: 粉粒体工学,流動層
    2001 年 27 巻 1 号 p. 141-143
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    高速楕円ロータ一型混合機による核粒子表面への微粒子複合化に着日し,ロ-タ-形状が複合化に及ぼす影響を検討した.その結果,複合化過程はロ-ター形状によって大きく影響されることが分かつた.この原因を,粒子要素法(PEM)による核粒子の運動シミュレーションにより解析し,ロ-タ-と核粒子間の平均接触力の違いによって,結果を定性的に説明できた.
生化学,食品,医療
  • 迫ロ 明浩, 半田 幸子, 中塩 文行, 岡崎 信也, 後藤 雅宏
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生化学,食品,医療
    2001 年 27 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    界面活性剤を用いた複合化によるスブチリシンの有機媒体中における酵素機能発現を試みた.その結果,トルエン中でまったく活性を示さなかったスブチリシンが,複合化によって大きな酵素活性を示すことが明らかとなった.調製時のpHならびに界面活性剤濃度が,有機溶媒中における酵素複合体の活性発現に大きな影響をおよぼした・さらに,酵素複合体が有機溶媒中に可溶化するため反応は均一系で進行し,速度論的解析が可能となることが示された.
  • 孫 偉, 塩盛 弘一郎, 米倉 誠, 三谷 博明, 河野 恵宣, 幡手 泰雄
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 生化学,食品,医療
    2001 年 27 巻 1 号 p. 76-84
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    リノ-ル酸の熱酸化挙動およびそれにおよぼす抗酸化剤の影響を気泡塔型流通反応器を用いて速度論的に検討した.リノール酸の酸化は,酸化速度の非常に遅い誘導期と酸化反応が急速に進行する加速期の2段階で進行した.酸化反応速度を自動酸化反応機構に基づいて解析し,リノール酸の酸化反応速度式はリノール酸濃度,生成過酸化物濃度,酸素分圧および反応温度の関数として表せることを示した.窒素ガス存在下において生成した過酸化物は分解され,その速度は過酸化物濃度の一次反応として表された.抗酸化剤としてα-トコフェロールを添加した場合のリノール酸の酸化挙動は,速度の非常に遅い誘導期,酸化反応が見かけ上停止する停止期および酸化反応が急速に進行する加速期の3段階で進行した.特に誘導期の酸化速度は,α-トコフェロールを0.01wt%添加したときに最も遅くなり,抗酸化効果が最大となる添加量が存在することが分かった.それ以上添加すると酸化速度は増加した・また,α-トコフェロールの添加量の増加に伴い停止期の過酸化物濃度は高くなり,その期間は長くなった.加速期の速度はα-トコフェロール添加量に関係なく無添加の場合と同じ大きさであった.α-トコフェロールと同時にアスコルビン酸ステアリン酸エステルを添加することにより,α-トコフェロールの酸化促進作用が抑制され効果的に酸化を抑制できた.
  • 芝 良昭, 向山 俊之, 王 春仁, 大山 寿恵, 張 清, 絵野沢 伸, 松村 外志張, 児玉 亮
    原稿種別: ノート
    専門分野: 生化学,食品,医療
    2001 年 27 巻 1 号 p. 134-136
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    ポリアミノ酸-ウレタン共重合体(PAU)をコートしたPTFE不織布でラット肝細胞の初代培養を行い,肝特異機能の発現・維持について検討した.培養ディッシュでは,PAUをコートした不織布においてコラーゲンをコートしたポリスチレンで培養した肝細胞よりも高いアンモニア代謝活性が得られた.PAUをコートした不織布を組み込んだ回流式培養装置でも,長期的に肝特異機能を維持したまま培養できる可能性が示唆された.
安全,環境,エネルギー
  • 松村 光夫, 小島 紀徳
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    トリクロロエチレン(TCE)で汚染された土壌の処理が注目されている.本研究では電気浸透法をTC二Eの分解・除去へ適用した.まず電解質溶液中のTCEの挙動を観測した.通電時の素焼き円筒を介しての水の浸透速度は電圧が高いほど,電解質(硝酸カリウム)濃度が高いほど大きかった.無通電時のTCEの分子拡散速度は純水より電解質を用いたほうが大きかったが,それでも拡散による透過量は非常に小さかった.TCE水溶液を陽極に入れ,TCEの分解除去を試みたところ,大部分のTCEは陽極にそのまま残り,ほぼ完全に分解する結果が得られた.
    以上の結果を基に,汚染土壌の浄化を試みた.円筒外(陰極)にTCE汚染土壌を充填した場合,初期にはTCEの移動分解が認められたものの,電流密度の減少とともに,水溶液中TCE濃度が両室とも増大した.同様な条件でも,電解質を適時添加することにより電流は大きくなり,両極での分解を促進することが可能となった.10V,10時間の電気浸透により,土壌に添加したTCEの99.9%以上が分解することが明らかとなった.
  • 垣内 博行, 矢部 昌義, 山崎 正典, 千原 彰一, 窪川 清一
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    333Kの温水で蓄熱でき,かつ蓄熱槽から直接320K以上の温水を取り出すことができるカプセル型蓄熱システムの実用化を日的とし,潜熱蓄熱材の開発および蓄熱システムの特性評価を行った.酢酸ナトリウム三水和物に硝酸ナトリウムを配合することで融点323K,融解潜熱量205kJ/kgの蓄熱材が得られた.本書熱材は333Kで蓄熱可能であり,結晶化温度は321Kであった.また,凝固融解を1,100回繰り返しても融解潜熱量および融点が変化しないことがわかった.
    本書熱材をもちいたカプセル型蓄熱システムは,深夜電力が使用できる10時間に熱源機の出力温度333Kで蓄熱できることがわかった.2.1m3蓄熱槽設備における,蓄熱量は305MJであり,理論値322MJとほぼ等しい熱量を蓄熱できた.本書熱システムは暖房空調に必要とされる320K以上の温水を供給することができ,かつ蓄熱量と等しい305MJを取り出すことが可能であることがわかった.
  • 野田 英彦, 深井 潤, 宮武 修, 黒川 恵兒, 秋吉 久士, 川ロ 一
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    畜産廃棄物を燃料に用いた発電システムを構築するために,畜産廃棄物の燃焼実験を行った.使用した畜産廃棄物はブロイラー糞,採卵鶏糞および豚糞である.畜産廃棄物は含水量の変動が大きいが(10-80wt%),乾燥基準の発熱量は畜糞によってほぼ一定であることがわかった.
    畜産廃棄物を既存の流動床内燃焼させ,内部温度を測定した.水分の多い豚糞(80%)については,ブロイラー糞および採卵鶏糞と混合させることによって水分を調整した.流動床内の熱収支式から,流動床内での燃焼率(=流動床内の発熱量/供給燃料の発熱量)を推定した.その結果に基づいて,流動床中燃焼率を与える経験式を導出した.また,その経験式と熱収支式から求めた流動床内温度は実験結果とほぼ一致した.
  • 庄司 恭敏, 中村 正紀, 尾崎 弘憲
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    噴流床反応炉内を想定した廃棄物の熱分解とチャ-ガス化過程について,昇温速度2K/minとした熱重量法により,反応挙動観察と反応速度解析を行った.高分子材料PE,PP,PS,PETは600~750Kの範囲で急速に熱分解し,PVCや合成ゴムは500~800Kで2ないし3段階の重量減少がみられる.木質やセルロースは550~800Kで,一般廃棄物や分別廃プラスチックは50O~800Kの比較的広い温度域で分解する.ガス化チャーの場合には,CO2,H2Oとの反応が1,000~1,500Kの高温域で進行し,反応速度はチャーの組成の影響を受けることが認められた.また,高分子材料等の単一組成成分については,TG線図が修正体積反応モデル式で近似できることを示すとともに,反応速度係数を求め,活性化エネルギーと前指数因子を算出した.一般廃棄物や分別廃プラスチックのTG線図は,単-組成に対して求めた近似式を合成することにより,ほぼ予測できることを示した.
  • ベンチスケール試験と反応過程のモデル化
    庄司 恭敏, 新道 憲二郎, 神吉 達夫
    原稿種別: 技術論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 1 号 p. 34-41
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    都市ごみ分別廃プラスチックを原料として2ton/day規模の噴流床部分燃焼ガス化試験を行い,ガスタービン等に使用可能な燃料ガス(7.3MJINm3LHV)が回収されることを実証した.また,廃プラスチックから回収されるガスの性状と原料投入負荷,酸素比など操作条件との関係を明らかにした.さらに石炭のガス化モデルに基づいて,廃プラスチックのガス化過程を,単一円筒型反応炉でガス流が-次元均一流れであると仮定して定式化し,揮発成分をエチレンに代表することで炉内関連ガス濃度を推算するシミュレーション手法を確立した.このうち廃プラスチックの熱分解速度定数ならびにチャ一のガス化速度定数については別途筆者らの熱化学反応基礎試験で得られたデータを用い,また揮発成分とスチームならびに二酸化炭素との反応に係る速度定数は試験結果とフィッティングすることにより回収ガス組成をほぼ推定できることを示した.
  • 加藤 茂, 濱野 裕之, 上官 成之, 小島 紀徳, 山田 興一
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    新規無機保水材の資材としてボーキサイトの活用を日的とし,その保水能の増大について検討した.
    (1)焼成後の吸収水は全て植物利用可能な水となり,焼成処理がボ-キサイトの吸水材として有効であることと,新規土壌改良材としての可能性が明らかになった.
    (2)ボーキサイトの保水能を強化する上で,未焼成より流動層急速昇温焼成が有効であることが明らかになった.未焼成ボーキサイトの水分量は乾燥度合いによるが約35-38%であり,この内約20%が表面吸着水で植物利用可能な水,その他はボーキサイト粒子内に保持されている構造水であった.
    (3)700°Cの流動層急速昇温焼成ボーキサイトが最大の保水量を示し,最適処理温度であることが明らかになった・また,700.Cの流動層急速昇温焼成ボーキサイトは比表面積,全細孔容積ともに最大値を示し,吸水量増大に関係していることが示唆された.
  • 劉 貴慶, 板谷 義紀, 山崎 量平, 山ロ 正隆, 近藤 元博, 森 滋勝
    原稿種別: 研究論文
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 1 号 p. 100-105
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    RDFを対象とした燃焼による高効率発電プロセスを開発するための基礎データとして,RDF燃焼時における炉内脱塩酸特性を把握するために,電気炉を用いて,一般廃棄物RDFおよびその組成に類似したモデルRDFの単一粒子の燃焼実験を行った.モデルRDFの実験結果により,RDFに添加されたカルシウム(Ca)によるRDF粒子の熱分解・燃焼段階での脱塩酸効果が顕著である.特に流動層に近い急速昇温モ-ドと低酸素雰囲気では,Ca/(S+0.5Cl)モル比が0~13まで増加するに伴い,Caによる塩素の捕捉割合は0%~70%まで上昇した.さらに,昇温速度や雰囲気の酸素濃度と水蒸気濃度の差異に基づくRDF粒子内の温度分布が脱塩酸反応に与える影響を検討し,ストーカー炉と比較して,流動層燃焼炉内の脱塩酸反応がより大きく進行することを明らかにした.
  • 手塚 正博, 白土 博康, 松田 従三, 小幡 英二, 太田 光治, 松田 宏
    原稿種別: ノート
    専門分野: 安全,環境,エネルギー
    2001 年 27 巻 1 号 p. 137-140
    発行日: 2001/01/20
    公開日: 2008/12/30
    ジャーナル 認証あり
    寒冷地における寒冷外気による氷の生成において新しい方法を提案し,さらに試作装置による試験を行った.提案の方法は,液体冷媒を用い寒冷外気への放熱と氷の生成の過程を分離し高熱効率化を日指した.試作装置による試験の結果,氷片生成機の吸熱能力試験(液体冷媒氷生成機入りロ温度-4.4~-4.5.C,液体冷媒流量1.0~5.6t・min-1)においては,2~19kg・h-1の氷の生成量が,実証試験(寒冷外気温度-5~-10.C(液体冷媒氷生成機入りロ温度-3~-80C),液体冷媒流量1.3~5.21・min-1)においては,3.5~6.8kg.h-1の氷の生成量が得られた.
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