化学工学論文集
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14 巻, 3 号
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  • 橋本 修, 森 滋勝, 平岡 節郎, 山田 幾穂, 小島 孝, 辻 欣哉
    1988 年14 巻3 号 p. 267-271
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    乱流流動層のフリーボードにおける垂直管の壁面伝熱係数を, 常圧常温の大型コールドモデルと高圧 (4~9.5MPa), 高温 (約230℃) のベンチスケール試験装置を用いて測定した.本実験で使用した粒子は, 平均径48μm, 粒子密度2,800kg/m3で, GeldartマップのAグループに分類される.
    実験結果に基づいて, 次の相関式を得た.
    Nu=0.0326・Re1.9P (Cp/Cf) 1.9p/ρf) 0.8 (De/dp) -0.6
    本式は, u0/ur>1.2の条件下において, 常温常圧のデータのみならず, 高温高圧下のデータも良好に相関することを確認した.
  • 鷹觜 利公, 三浦 隆利, 丹野 庄二, 青木 秀之, 天笠 敏明, 大谷 茂盛
    1988 年14 巻3 号 p. 272-280
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    液体燃料の噴霧燃焼に関するシミュレーション法の開発を目的とし, 内径 1200mm, 実効長 4000mm の実機大の燃焼炉における燃焼特性の解析を行った。燃焼炉内の気流の解析のために k-ε 二方程式モデルによる乱流シミュレーションを燃焼解析に応用した.噴霧流の挙動を解析する目的で燃料滴の軌跡を求め, 気化した燃料ガスと酸素との化学反応速度に対しては渦消散モデルを用いた.C重油のように燃料成分中に窒素分を含む燃料の燃焼に対して, fuel NOx および thermal NOx の両者を考慮した.壁面と燃焼ガスおよび燃焼ガス間の輻射による熱移動量を求めるためには flux 法を用いた.
    C 重油燃焼におけるガスの温度および組成に対する解析では, 実験による測定値とよい一致が得られた.
  • 伊藤 龍象, 穴吹 和敏, 近藤 修
    1988 年14 巻3 号 p. 281-287
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    垂直平行平板型装置を用いて等電点電気泳動 (I.E.F.) により蛋白質を連続的に分離する場合の定常状態での濃度分布と蛋白質の分離挙動をシミュレートした.
    定常状態での濃度分布は等電点近傍でGauss分布すると近似でき, 等電点の隣接する蛋白質の濃度分布の重なりを考慮した分離限界を図示し, これは両蛋白質のplの差と含有量の比に依存することを明らかにした.
    連続式電気泳動装置は分離域と濃縮域に分かれ, セル内の流動と蛋白質の挙動を解析することにより, 分離に必要な長さを最小にする混合試料の最適注入位置と最小分離時間を求める方法を提案し, これらの最適条件と操作条件 (pH勾配, 印加電圧, 強制流など) との関係を導いた.
  • 白石 文秀, 川上 幸衛, 小嶋 剛, 湯浅 秋雄, 楠浩 一郎
    1988 年14 巻3 号 p. 288-294
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    セラミックモノリスに固定化したβ-アミラーゼと枝切り酵素 (プルラナーゼまたはイソアミラーゼ) による可溶性澱粉の加水分解反応を, pH 4.8.40℃において回分式反応器および流通式反応器を用いて行った.回分式反応は3個の固定化酵素モノリスをセットしたバスケット撹拌翼を使い, 外部拡散効果の無視できる条件下で反応液を撹拌することによって行った.まずマルトース収率の向上をはかるためセラミックモノリスへの効率のよい酵素固定化法を検討した.次にマルトース濃度の経時変化データに対して先の論文で検討した遊離の2酵素反応に対する反応速度式と細孔内拡散現象を組み合わせたモデル式を適用し, その適合性を調べた.流通式反応は固定化酵素モノリス10個を積み重ねた反応器を用いて行い, 5~100kg・m-3の濃度の澱粉を基質とする連続的なマルトース生産を検討した.その結果本固定化酵素モノリス反応器では効率よくマルトース生産が行われることが明らかになった.
  • 伊藤 龍象, 井上 義朗, 永冨 公治, 速水 征史
    1988 年14 巻3 号 p. 295-303
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    光エネルギーを利用してヨウ化水素を自由エネルギーの高いヨウ素と水素に分解するために, p+n接合シリコンを光アノードとする湿式太陽電池を用いた.この光電解系は, アモルファス太陽電池などの乾式太陽電池と通常の電気化学反応を利用した化学電池の両方の性質をもっている.そのため電流一電圧特性に影響を及ぼす因子の数は多く複雑である.これらの諸因子は次の五つに分類できる.1) 半導体に固有の因子, 2) 電気化学反応および電解質に依存する因子, 3) 入射光に関する因子, 4) 光電解セルの形や寸法に依存する因子, 5) 操作条件に関係する因子.これらの諸因子を測定・整理することによって, 半導体電極を用いた光電解セルを設計するのに必要な基礎式を得た.
  • 竹下 武成, 原田 正臣, 吉見 英樹, 山崎 量平, 神保 元二
    1988 年14 巻3 号 p. 304-308
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    低部にオリフィスを取り付けたスタンドパイプに空気を吹き込み, オリフィスから粉粒体を排出させる場合の流出特性を明らかにするため, 二種類のガラスビーズを用いてオリフィスにおける空気圧降下と粉粒体排出量を測定した.
    この結果, 本実験の条件に対しても圧降下と粒子流量の関係はCrewdsonらの式によって表されることがわかった.さらに, この圧降下と粒子と空気の相対速度の関係はde Jongの式を修正したもので表され, 実験値と一致することがわかった.そして, この二つの式から粒子流量と空気量との関係が得られ, 操作条件の空気量から粉粒体排出量が予想できる.
  • 橋本 修, 春田 武男, 望月 健二, 松谷 渉, 森 滋勝, 平岡 節郎, 山田 幾穂, 小島 孝, 辻 欣哉
    1988 年14 巻3 号 p. 309-315
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    本研究では, スラッギングと乱流流動化との間に, スラッグ間に乱流流動化状態が観察されるスラッギングと乱流流動化の混在域が存在することをまず確認し, 層内の静圧分布と圧力変動のFFT解析に基づいて, 高流速循環流動層における, スラッギング, 混在域, 乱流流動化, および高速流動化を含む希薄層の各流動化領域を区分する新しい判定基準を示す.
    さらに, 層内の圧力変動を測定することのみによりこれらの流動化領域を判定する簡易法を提案する.
    常圧だけでなく高圧下における各流動化領域間の臨界 Rep 数は, Ar 数の関数としてかなりよく相関できることを示す.
  • 上和野 満雄, 齊藤 文良, 上ノ山 周
    1988 年14 巻3 号 p. 316-322
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    撹拌槽内における擬塑性液の流速分布を実測し, これより求められる擬塑性液の翼先端におけるみかけ粘度と従来の手法によるみかけ粘度とを比較, 検討した.撹拌液にはヒドロキシエチルセルロース1.2wt.%水溶液を用い, 撹拌装置は6枚平羽根タービン翼付き撹拌槽を用いた.撹拌槽の大きさは槽径Dが0.1~0.4mまで幾何学的相似条件を満足させて4段階に変化させた.液流速は光透過ならびに光反射方式イメージセンサ流速測定法により測定した.まず, 3次元成分で表される流速値から, フローパターンとみかけ粘度分布を示した.ついで, みかけ粘度の分布から求められる翼先端のみかけ粘度を代表みかけ粘度とし, この値とMetzner の Power lawモデルおよび三石らのモデルにより求められる翼近傍のみかけ粘度とを比較した結果, 両者は大きく異なることがわかった.したがって, このみかけ粘度を用いて求められる動力線図は本実験のものと従来の方法により求められるものとは, かなり異なることが明らかとなった.これより, 撹拌槽内の流動状況に関する詳細な情報に立脚しない従来のモデルでは, 動力線図に不十分な点があるものと考えられる.
  • 久保田 昌良, 松崎 晴美, 高橋 燦吉
    1988 年14 巻3 号 p. 323-329
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    魚油精製の中間生成物であるフーツ, ダーク油, エステル油から魚油中に存在する生化学物質 (コレステリン, 胆汁酸など) を超臨界二酸化炭素により抽出・分離する検討を行った.この結果, エステル油からは脂肪酸エステル, メタノール, コレステリンにそれぞれ分画して分離・濃縮でき, 胆汁酸がアルコールを改質剤として高濃縮できることを明らかにした.また, フーツをケン化処理したケン化フーツに対するコレステリンの超臨界二酸化炭素抽出メカニズムを解明し, これを基に, ベンゼンによる溶剤抽出と超臨界二酸化炭素抽出により, 98%純度のコレステリンの分離と, ほほ100%純度のベンゼンが回収できた.また, このための最適な操作条件を得た.
  • 黒川 秀昭, 小関 康雄, 山田 章, 江原 勝也, 高橋 燦吉
    1988 年14 巻3 号 p. 330-336
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    3.4wt%NaCl水溶液を供試液とし, Polytetrafluoroethylene (PTFE) 多孔質膜を用いて, 膜蒸留法における水蒸気の透過特性および透過機構を検討した.その結果, 水蒸気の透過速度は原水と冷却面上の飽和水蒸気圧差ΔPに比例し, さらに, 膜の厚さδ, 空隙率ε, 膜と冷却面間の間隙Zにも影響されることがわかった.特にZに関しては, その大きさにより透過機構が変化し水蒸気の移動は, Zが5mm以下では拡散に, 5mm以上では自然対流に支配されることがわかった。これから, Zが5mm以下での拡散領域における透過速度Qは, 上記因子のほか, 全圧π, 拡散係数D, ガス定数R, 温度T, 空気分圧Paと水の分子量mを用いて次式で整理された.
    Q=π・D/RTPa・m (1/δ/ε3.6+Z) ΔP
    また, Zが5mm以上の自然対流領域においても本実験条件の範囲で, 従来得られている垂直平板間の自然対流の無次元式で整理することができた.
  • 渡嘉敷 通之, 濱本 公彦, 高沢 美治, 市川 弥太郎
    1988 年14 巻3 号 p. 337-341
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    培養ゾーンの外周に沈降ゾーンを有する動物細胞培養用重力沈降型灌流培養槽を開発した.
    正味培養容積120 cm3および1,200 cm3の培養槽を用いて3種類のマウス・ヒトハイブリドーマの高密度培養を行い, 次の結果を得た.
    (1) 回分培養の約10倍の細胞密度で高密度培養が可能であった.
    (2) 培養液置換率が3.8 (cm3/day) /cm3以上では培養液置換率を上げても細胞密度は上らなかった.
    (3) 高密度状態でモノクローナル抗体の50日間連続生産が可能であった.
  • 大垣 一成, 西川 亮, 古市 正, 片山 俊
    1988 年14 巻3 号 p. 342-346
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    本研究では, 超臨界流体抽出のエントレーナ効果に注目し, 先に報告したα-トコフェロール-CO2系に対してH2Oあるいはエタノールを添加することにより, 各3成分系の高圧相平衡関係がどのように変化するかを実験的に検討した.
    その結果, 高圧下でCO2, α-トコフェロール両成分に対して完全溶解するエタノールをエントレーナとした場合, エタノールの添加量に対応して2相分離領域がせまくなり, CO2高濃度相におけるエタノール濃度とα-トコフェロール濃度との間に比例関係が成立する領域があることが確認された.
  • 東稔 節治, 中村 秀美
    1988 年14 巻3 号 p. 347-353
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    アニオン交換膜と, アミノアシラーゼを固定化したポリ塩化ビニル膜を組み合わせた複合膜を用い, 加圧下にて, 水溶液からのアミノ酸光学分割を行った.
    アニオン交換膜による数種のアミノ酸, およびアセチルアミノ酸の分離特性は, 溶質の種類によって違いが見られ, 溶液のpH, 温度, 溶質の濃度に依存した.また, 輸送方程式に基づき反射係数と溶質透過係数を求めた.
    酵素固定化複合膜を用いた光学分割は, 酵素膜における反応速度とアニオン交換膜によるL-アミノ酸の排除率の両方の因子によって支配される.酵素の活性が高くなり, また, アニオン交換膜によるL-アミノ酸の排除率が低くなるほど, 光学分割の成績は高くなることがわかった.
  • 小島 博光, 小川 雅之, 細野 浩一, 森 隆夫
    1988 年14 巻3 号 p. 354-360
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    三相 (気・液・固) 系撹拌槽における粒子浮遊限界回転数を低通気量域で実験的に検討した.平底円筒状で4枚バッフル付の槽および種々の径のRushton型の6枚羽根タービンを使用した.槽底でのみかけの電気伝導度を測定することによって粒子浮遊限界回転数を求めた.通気のない場合, すなわち固・液系の場合の限界回転数は, インペラー設置高さの補正をしたZwieteringの方法によってよく相関できた.気・液・固系撹拌の所要動力は気・液系に対する永田らの式と一致した.気・液・固系の限界回転数と液・固系の限界回転数の比 (nc/nco) は永田のパラメータとよく相関された.その結果, 従来よりも広い範囲のインペラー径および設置高さに対して適用しうる三相系撹拌槽の粒子浮遊限界回転数に対する実験式が得られた.
  • 東稔 節治, 山本 浩司, 中村 忠久
    1988 年14 巻3 号 p. 361-367
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    酵素膜と酸素電極を組み合わせたグルコースセンサーを試作開発し, 溶存酸素およびグルコース濃度のステップ入力に対するセンサーの応答曲線を求めた。応答曲線は溶液温度, pH, 膜厚に依存した.
    酵素膜での反応に, Michaelis-Menten型の反応機構を適用して, 酵素反応速度定数を回分反応により求めた.
    膜内の酵素反応, 拡散現象を考えた反応/拡散モデルに従い, 膜内の応答をモデル化した.これを得られた応答曲線に適用して, 膜内拡散係数を算出し, これを膜の細孔構造のパラメータとしての含水率の関数として整理した.計算と実測の応答曲線の一致が良好であることから, 提出した反応/拡散モデルで応答曲線を解析できることがわかった.
  • 酒井 昇, 千田 佶, 只木 〓力
    1988 年14 巻3 号 p. 368-373
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    炭素析出反応を併発する温度 (873~1073K) において, 一酸化炭素による酸化ニッケルペレットの還元を行った。固体試料の重量変化および流出ガス中のCO2分率を測定し, 量論関係からNiOの還元率および炭素析出量の経時変化を求めた.
    温度が高いほど還元速度は大きく, 炭素析出速度は小さいこと, また還元によって金属Niが生成した後に, 炭素析出反応は開始し, 還元の進行とともに炭素析出速度は大きくなることが明らかとなった.
    この反応系に対して, 未反応核モデルにしたがって還元が進行し, 炭素析出が金属ニッケル層中で起こるとした反応モデルを作成した.このモデルによる数値計算結果は実測値とよく一致した.
  • 泉 正明, 大内 雅樹, 高橋 諭, 山川 紀夫, J. W. Westwater
    1988 年14 巻3 号 p. 374-380
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    耐水研磨紙により斜めおよび垂直方向に粗さを付けた数種の伝熱面を用い, 広範囲の過冷度に対し凝縮時の熱流束を実測し, 前報の水平粗さの結果と比較した.
    観察によれば, 研磨方向を徐々に水平から垂直方向に変化させると, 偏平で, 不規則な滴形状は次第に半球状の滴に変化し, また不規則であった滴の挙動も研磨痕に沿ったスムーズな流れに変化して行く.
    実験結果によれば, 凝縮滴の清掃周期は熱流束の増加に伴い, べき関数的に減少する.一方, 研磨角度の増加は滴の挙動に対する坑力を減少させ, 熱流束の増加と清掃周期の減少をもたらす.
    また, 傾斜粗さを持つ面上での凝縮曲線は, 水平粗さの場合と同様, 履歴現象を示すが, 滴状凝縮から遷移凝縮 (滴状-膜状の混合凝縮) へ移行する過程で示す最大熱流束の値は, 垂直粗さを持つ面上の場合に最大となる.
  • 泉 正明, 大内 雅樹, 山川 紀夫, 武山 斌郎, J. W. Westwater
    1988 年14 巻3 号 p. 381-386
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    粗面上における滴状凝縮過程の熱流束を定量化する目的で, その推算法を検討した.
    一般に, 滴状凝縮時の熱流束は滴の清掃周期と離脱滴半径の関数として表される.しかし, 滴状凝縮過程では滴同志が激しく合体し, しかも粗面上ではその滴が不規則な形状を示すため, 離脱滴半径を決定することは極めて困難である。そこで, 凝縮過程にある粗面および平滑面上の離脱滴半径の比は, それぞれの面上に置かれた一個の滴が凝縮を伴わず離脱する際の静的離脱滴半径の比 (Rr/Rs) に等しいと仮定し, 粗面上における滴状凝縮時の熱流束を求める推算式を導出した.
    推算結果は実験結果とよく一致するが, このことは粗さによる保持力および流動抵抗の増加が熱流束を減少させるとした前報の結果を裏付けるものと考えられる.
  • 山下 善之, 庄司 修芳, 鈴木 睦
    1988 年14 巻3 号 p. 387-394
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    化学プラントの異常診断に対する新しい試みとして, 定性推論に基づいた方法の枠組みを示した.すなわち, 各プロセスの挙動を定性微分方程式によって記述することにより, 表面的な知識ではなく深い知識に基づいた推論を行わせ, プラントの異常原因の同定を行わせることを目的とした.その際, 各プロセスごとの時間スケールを導入することによって探索空間の組合せ的爆発の問題を回避した.また, この方法の有効性を検討するために実際に異常診断を行うプログラムを作成し, 二つの実例のシミュレーションに対して異常原因の同定を行わせた.その結果, この方法は十分な正確さと柔軟性とを兼ね備えており, 化学プラントの異常診断に対して有効に機能し得ることが示された.
  • 荒谷 敏朗, 藤井 達也, 森川 利哉, 宮南 啓
    1988 年14 巻3 号 p. 395-400
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    槽径0.3mの回分式凝集撹拌槽における緩速撹拌途中の槽内のフロックを写真撮影して, 画像解析によりフロックの形状について検討した.模擬濁質としてカオリン末を50g/m3加え, 凝集剤としてポリ塩化アルミニウムを用いて凝集沈降処理を実施した. CampのG値にして1.93~14.3s-1の除濁効果が良好となる緩速撹拌強度の領域では, 緩速撹拌時間を4~40min, 薬注量をアルミニウムに換算して5~20g/m3の間で変化させても, フロック投影面積が0.01~2mm2の広い範囲にわたってフロック形状のフラクタル性が認められた.また, フロック形状の複雑さがフラクタル次元を用いて定量的に表現できることがわかった.緩速撹拌強度の増加もしくは濁質に対する薬注量の増加に伴ってフロック形状の不整性が増大することがわかった.
  • 藤吉 一誠
    1988 年14 巻3 号 p. 401-407
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    多孔質バイコールガラス上における数種のカチオン類の吸着特性を調査するため, それらの吸着量, 放出プロトンおよび母液のpHを測定した.ナトリウムイオンの吸着における見かけの交換平衡定数を算出した結果, 多孔質ガラス上には弱い酸点が一様な割合で分布していることがわかった.
    重金属アンミン錯イオンの場合, 吸着量が錯体の濃度のpH依存性に著しく影響された.それらの吸着機構はアンモニア配位子と表面シラノール基との逐次的な配位子置換であり, キレート効果により吸着が安定であった.テトラアンミン白金 (11) 錯イオンは単一な配位子置換により吸着した。その見かけの交換平衡定数の計算から白金イオンが安定に吸着することがわかった.
  • 正本 博士, 中原 俊輔
    1988 年14 巻3 号 p. 408-412
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    水-炭化水素-酢酸の五つの系すなわち炭化水素としてはベンゼン, トルエン, シクロヘキサン, n-ペンタンおよびn-ヘキサンについて, 溶質 (酢酸) 濃度を種々変えて25℃における界面張力を測定した.また, その結果をCottonの提出した式により相関したところ, 全ての系についてよい直線関係を得た.さらに, その式と一つの溶質濃度での界面張力のデータを用いて, 他の任意の溶質濃度での界面張力を推測する方法を例示した.
  • 林 良茂, 中野 康英, 平井 英二, 陰山 典彦
    1988 年14 巻3 号 p. 413-417
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    A crossflow cascade packed column having characteristics of both counterflow and crossflow operations was designed, and the degree of axial dispersion in the liquid phase, the flow pattern of the liquid, the pressure drop of gas in the column, and the absorption efficiencies for the CO2-Air-H2O system were investigated experimentally. The following facts became clear : (1) The Peclet number of the liquid phase in the crossflow cascade column is almost the same as that in the counterflow column. (2) When the concentration of carbon dioxide in the feed gas stream is 2%, the overall volumetric mass transfer coefficients in both 8- and 6- stage cascade columns used in the experiments are the same as those in the counterflow column. (3) The crossflow cascade operation can be performed normally even at gas velocities above the flooding point in the counter flow column. (4) The pressure drop of gas is considerably less than that in the counterflow column under the same operating conditions, In particular, the crossflow cascade column exhibits excellent perfomance at increasing liquid and/or gas velocities.
  • 安藤 公二, 正岡 諭, 秋吉 亮, 小幡 英二
    1988 年14 巻3 号 p. 417-420
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    Chromium ion was extracted from acidic solution by a surfactant membrane composed of carrier of trioctylamine (R3N), oily solvents of n-heptane and Span 80, surfactant. Effects of each concentration, C [kmol/m3], on the initial extraction rate, J°cr [kmol/ (m2s)], were expressed as follows :
    J°cr=2.8 (CH) 1.0 (Ccr) 1.1 (CR3N) 1.0
    The powers of each concentration agreed well with the powers estimated from the rate-determining step in the reaction sequence. The known rate, (J°cr) f measured for the liquid-liquid flat interface in a stirred vessel was not consistent with the above rate. Therefore, (J°cr) f was inapplicable to this liquid membrane separation.
  • 東稔 節治, 中村 秀美
    1988 年14 巻3 号 p. 421-423
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    The reverse osmosis separation of nine kinds of amino acids was carried out by a batch-cell apparatus using an anion-exchange membrane with quaternary ammonium salt as a functional group. The applied pressure was varied in the range of 0.4 to 2.0 MPa. All measurements were made under conditions of 310K, 2.0 mol/m3 and pH 7.0.
    The solute permeability coefficients were correlated with physicochemical factors such as polar and steric parameters of the solutes. These coefficients increased with decreasing polar parameter and with increasing steric parameter. The solute permeability for a solute of greater polarity, however, could not be well correlated because of interaction between the solute and the charged group in the membrane.
  • 竹下 武成, 渡辺 始, 山崎 量平, 神保 元二
    1988 年14 巻3 号 p. 424-427
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    The discharge rate of granular materials from a hopper equipped with a vertical outlet pipe at the bottom was found to be more than that from an ordinary hopper. The measurement of air pressure distribution across the hopper outlet showed that this is due to a pressure gradient developed in the air that promotes the discharge of granular materials.
    Moreover, it was experimentally clarified that the flow rate of granular materials can be more efficiently controlled by introducing air flow into the attached vertical pipe. The best position for blowing in the air was experimentally found to be close to the pipe inlet. A correlation between discharge rate of granular materials and aeration flow rate is presented.
  • 諸岡 成治, 草壁 克己, 池水 喜義, 加藤 康夫
    1988 年14 巻3 号 p. 427-430
    発行日: 1988/05/10
    公開日: 2009/10/21
    ジャーナル フリー
    Poly (oxyethylene) dissolved in water was degraded by ozone accompanied by ultraviolet radiation of 253.7 nm. The reactor was a flat rectangular channel sandwiched with transparent quartz plates. A polymer solution was mixed with an ozone solution at the reactor inlet.
    The degradation rate of the polymer was proportional to the UV irradiation. A random degradation mechanism was realized when the polymerization degree was larger than 300. The activation energy was 30 kJ. mol-1, which was about half that for the case without UV radiation. The degradation rate was increased by 7-10 time at an irradiation of 5.5 W·m-2.
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