化学工学論文集
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25 巻, 6 号
選択された号の論文の37件中1~37を表示しています
  • 高見 昭憲, 小林 俊也, 栗田 英徹, 幸田 清一郎
    1999 年 25 巻 6 号 p. 827-831
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ゼラチン中に粒径10nmの金微粒子を分散し, 532nmのパルスレーザー光を5分間照射したところ粒径が3nm以下に減少し, 金微粒子がゼラチン中に均一に分散した.粒径変化にはしきい値が存在し, 90mJcm-2以上のレーザーフルーエンスで変化が観測された.また, 照射パルス数が多いほど金微粒子はゼラチン中に均一に分散した.粒子が分裂する結果, 単位体積当たりの粒子の個数密度を10倍以上に増加させることができた.固体中でもレーザー光の照射エネルギー密度,照射パルス数, および媒体を変化させて粒径, 粒径分布, 分散状態を変化できる可能性を示した.
  • 孫 冰, 佐藤 正之
    1999 年 25 巻 6 号 p. 832-836
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    針対平板電極形状を用いた, 高電圧水中パルス放電により生成するOH, H, Oラジカルや, H2O2等の安定成分の生成挙動についての実験的検討を行った.急峻な立ち上がりのパルス電圧が印加された後, ある時間経過の後にラジカル発光が生ずることがわかった.その遅延時間は, パルス電圧の立ち上がりの速さに大きく依存した.また, ラジカル生成にたいして, パルスの半値幅, ピーク電圧, ガスの吹き込み等が影響することを明らかにした.さらに, 安定成分としての過酸化水素の生成に対する検討も行った.
  • 有賀 久道, 西海 英雄, 佐藤 耕一
    1999 年 25 巻 6 号 p. 837-841
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    水酸化ナトリウムを溶解した2-プロパノール溶液にCFC-115をバブリングさせ, これに32W低圧水銀灯を照射し光分解する実験を行った.その結果CFC-115の初期分解速度は, CFC-115の分圧の増加とともに増加し, 水酸化ナトリウムの初期濃度には依存せず, 光吸収速度の1/2乗に比例する連鎖反応であることが明らかとなった.また, これらの実験結果を説明するラジカル初期反応機構を提案した.
  • 菅原 拓男, 川嶋 利明, 桜田 淳二, 菅原 勝康
    1999 年 25 巻 6 号 p. 842-848
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    回分系循環型光反応システムを用い, 過酸化水素を添加した希薄なギ酸水溶液に254nm光を照射した場合のギ酸ならびに過酸化水素の分解過程を詳細に追跡した.過酸化水素初濃度の大小に関わらず, 酸素溶存下でギ酸が存在している間は過酸化水素減少の割合が小さい.ギ酸分解速度は照射光強度に比例し, また過酸化水素濃度の0.5次に比例する.ギ酸濃度自体の影響は小さい.
    これら観測結果を, 素反応群を考慮に入れた光反応モデルを用いてシミュレートした.まず, 過酸化水素自己分解実験結果から過酸化水素の光分解開始反応速度定数を決定した.次に, ギ酸光分解の評価にあたって, 高活性なヒドロキシルラジカルがギ酸から水素原子を引き抜くと同時に, 生成したギ酸由来のラジカルに溶存酸素が付加する過程を通して過酸化水素が再生されるとするモデルを採用した.本モデルによりギ酸分解特性及び過酸化水素の特異な濃度変化を比較的良くシミュレートできる.
  • 大渕 英子, 橋村 正之, 中野 勝之
    1999 年 25 巻 6 号 p. 849-853
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    アモルファスチタニア微粒子を過酸化水素水に溶解させることにより, チタニアコーティング溶液を調製した.この溶液をガラス基板上にディップコートし, 透明なチタニア薄膜を得た.コーティング溶液の粘度が1mPa・sのとき, 膜厚に分布のない均質なチタニア薄膜が得られた.この薄膜の屈折率を推算するとd=2.3となり, 純粋なアナタース粉末 (d=2.5) よりわずかに低い値となった.また, ディップコーティングにより作製した薄膜の膜厚は, 基板の引き上げ速度の2/3乗に比例して増加した.本法により作製したチタニア薄膜は, 膜厚の増加に伴いUV-vis透過スペクトルの吸収端の位置が長波長側にシフトする.質量法で求めた膜厚と吸収端の波長には相関関係が得られ, これより, 簡易的に膜厚を推算することができた.
  • 横田 俊幸, HERI PURWOTO, 高畑 保之, 勝山 哲雄
    1999 年 25 巻 6 号 p. 854-860
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    気・固・液分散相を含む二重円筒型光反応器内の光強度分布を測定した.測定には新しく製作した無指向性の光プローブを用いた.均一相系の光反応器に対し, 拡散性線光源モデルに基づく光強度分布式が提案されている.この式に二つのモデルパラメータ, 重み係数と有効減衰係数, を付け加えて修正し, 不均一相系における光強度分布を近似することを試みた.実測値と推算値との比較から, 二つのモデルパラメータとガスホールドアップ, 固体粒子濃度との間の関数関係を定めた.この推算式を用いて光吸収速度を計算すると, あるガスホールドアップにおいて最大の光吸収速度を示す最適の粒子濃度が存在することがわかった。
  • 大友 順一郎, 江袋 徳朗, 大島 義人, 幸田 清一郎
    1999 年 25 巻 6 号 p. 861-867
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    エタン/O2/CO2混合流体のKrFエキシマーレーザー光による光誘起酸化反応の実験を行った.初期反応生成物はアセトアルデヒドとエタノールである.反応過程は1光子過程であることが明らかになった.光吸収によりO2 (A'3Δu) が生成し, エタンとO2 (A') の反応が, エタンの酸化反応に対して主要な過程である.また, O2 (A') の各素反応過程に及ぼす溶媒の影響を考察した.O2の光吸収過程およびO2 (A') と溶媒分子との分子衝突による失活過程に溶媒の影響が大きいことが示された.
  • 足立 元明, 金 燦洙, 金 泰吾, 奥山 喜久夫
    1999 年 25 巻 6 号 p. 868-872
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    SO2/H2O/Air混合ガスのα線照射による粒子発生におよぼすNO2ガスの影響とその粒子生成機構を調べた.NO2を添加したとき, 粒子濃度は増加し, 新たに生成した粒子の85%以上は電荷を持っていた.この結果は, OHラジカルとNO2の反応によるHNO3の生成とそれに伴う粒子発生の抑制が起こっていないことを示した.HNO3が生成しているかどうかを調べるために, NO2/H2O/Air混合ガスにNH3を添加した実験を行った.NH3が無添加のとき粒子は全く発生せず, 添加により粒子が生成したが, これら粒子は全て電荷を持っていた.この結果より, NH3/NO2/H2O/Air混合ガスではHNO3とNH3が反応して生じるNH4NO3による均一核生成ではなく, イオン誘発核生成により粒子が発生することがわかった.以上の結果から, NO2/SO2/H2O/Air混合ガスのα線照射による粒子発生では, HNO3の生成は起こらず, 代わりにイオン-分子反応とそれに伴うイオン誘発核生成の関与が示唆された.
  • 田島 右副, 新井 久由, 武内 一夫
    1999 年 25 巻 6 号 p. 873-877
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    酸素存在下で増感剤を光励起した際に発生する一重項酸素によって架橋 (樹脂硬化) が誘発される新しい感光性樹脂 (Photo-Oxidation induced Polycondensation resin : POP樹脂) の開発を行った.この樹脂は, 感度向上のための脱気や酸素遮断膜などを必要とせず, 極めて汎用性の高い感光性材料であり, 併用する増感剤によってその特性を変えることができる.本研究では, フラーレンC60など様々な増感剤の一重項酸素発生能とPOP樹脂の感度に与える影響について比較検討し, 酸化劣化の観点からPOP樹脂に対する各増感剤の適性を考察した.
  • 足立 元明, 藤本 敏行, 中曽 浩一, 金 泰吾, 奥山 喜久夫
    1999 年 25 巻 6 号 p. 878-883
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    沿面コロナ放電装置を用いた直結型と分離型の2つの異なるイオン化CVD装置を製作した.直結型イオン化CVD装置でTEOS/O3-APCVD膜をsi基板上に形成したところ, 膜が沈着する箇所としない箇所がmm間隔で交互にでき, その結果沈着部分は等高線のような模様を描いた.これはイオンが基板に沈着したことによるチャージアップが原因と考えられる.分離型イオン化CVD装置では, ほぼ厚さの均一な膜が基板の全面を覆った.この装置では, イオン化により1hあたりの成膜量が1.3~1.5倍増加した.また, 膜の表面形状は沿面放電を行わなかったときには, 等方成長を示し流動性が見られないのに対し, イオン化をした場合には反応管内の全ての位置において高い流動性が確認された.また, イオン化しないときにガス中に発生するナノメーターサイズの粒子は, イオン化によりその発生が抑制された.
  • 船山 齊, 黒沢 満, 山越 裕司, 菅原 勝康, 菅原 拓男
    1999 年 25 巻 6 号 p. 884-886
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    二酸化チタン薄膜光触媒を底面に固定し, 太陽光照射場にも応用できる平板型の回分式循環光反応器を用いてアセトニトリルと水の混合溶液に溶解したPCBの光分解反応を行い, 各種塩素化体PCBの濃度変化および供給ガスの影響について検討した.
    六~八塩素化体PCB濃度は, 光照射時間とともに単調に減少したが, 四および五塩素化体PCB濃度は, 反応初期に増大しその後減少するなど微妙に変化した.このことから, 本研究に用いた反応系では, 高塩素化体PCBから低塩素化体への移行が逐次的に起きていることが示唆された.また, ガスクロマトグラフ質量分析法により, 種々のPCB異性体分解/生成反応が起こっていることがわかった.なお, 反応系に酸素ガスを供給することによって12時間の光照射で四~八塩素化体PCBの脱塩素化率が約35%に達した.
  • 高田 一貴, 伊藤 久善, 菊池 雅彦, 岡本 幸道
    1999 年 25 巻 6 号 p. 887-892
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    軸がないダブルヘリカルリボン翼は撹拌槽中心部の滞留域をなくす上で重要であるばかりでなく, 実用上は従来の軸ありダブルヘリカルリボン翼に時として形成されるポリマー塊の成長を防止する.産業界では, このような従来からの軸ありダブルヘリカルリボン翼の欠点を克服する真に撹拌効率の高い撹拌翼が切望されている.
    本研究ではダブルヘリカルリボン翼を構成するリボン翼幅, 翼ピッチおよびフレームの寸法とその取付位置の流動混合に及ぼす影響を, 主として流動数値解析により明らかにした.また軸ありダブルヘリカルリボン翼と軸無しダブルヘリカルリボン翼の流動混合特性の違いを同様の手法で明らかにした.
    数値解析の結果, 軸なしダブルヘリカルリボン翼のフローパターンはリボン寸法とフレーム寸法に大きく依存し, 混合時間を最短にするこれら寸法が存在することがわかった。特にフレームは単なる機械強度上の挿入物と考えられがちであるが, その寸法と配置を工夫すればフローパターンを変え, 混合時間を大いに短縮する効果をもたらす.従来型ダブルヘリカルリボン翼と軸なしダブルヘリカルリボン翼のフローパターンは著しく異なり, 軸なしダブルヘリカルリボン翼が混合時間を従来型ダブルヘリカルリボン翼の約半分に短縮することが示された.
  • 李 文発, 津田 健, 北條 英光
    1999 年 25 巻 6 号 p. 893-897
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    13年間使用した硬質ポリ塩化ビニル製硝酸吸収塔 (直径2.6および2.0m, 高さ15m, 厚さ20mm) の腐食状況について検討した.試験片は塔壁マンホール部から, 外層, 中間層および内層について試料を採取し, それらについてクリープ破断強さ, 引張り, 曲げ, 衝撃強さなどの機械的強度を測定し, さらに赤外スペクトル (IR) 分析を行った.IR分析により大気側 (外層) では-OHと>C=O基の生成が, また, 接液側 (内層) では>C=O基とニトロ基の生成が認められた.ステアリン酸バリウムのIR吸収に注目した結果, 外層の大気劣化層, 内層の腐食層の厚さは, それぞれ250および500μmであることが明らかになった.これらの結果より, 硝酸の製造装置用材料として, 従来のステンレス鋼に代わり, 硬質ポリ塩化ビニルが有効であることがわかった.
  • 萩田 忠弘, 小野 輝生, 吉澤 秀和, 上村 芳三, 幡手 泰雄
    1999 年 25 巻 6 号 p. 898-903
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ファインスリットパターンを持つ42アロイのスプレー式エッチング特性をフォトレジスト開口幅, エッチング液温度 (~90℃) 及びスプレー圧力 (~6atm) の点から調べた.フォトレジスト開口幅が狭くなるにつれて, エッチング速度とエッチングファクターは共に減少した.エッチング液温度はエッチング速度に対して効果が高く, 活性化エネルギーは42アロイの圧延方向に対して平行なスリットパターン, もしくは垂直なスリットパターンでそれぞれ28.4kJ/molと31.2kJ/molであった.高いスプレー圧力は, テストピース表面に与えるエッチング液滴の打力効果によって, エッチング速度及びエッチングファクターを共に向上させた.高温であっても, エッチング液の濃度を高めると共に, スプレー圧力を増加させることにより, 高精度で且つ効率の良いエッチングを実現することが出来た.
  • 佐々木 尚史, 山本 重彦, 橋本 伊織
    1999 年 25 巻 6 号 p. 904-913
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    抄紙機における坪量プロファイル制御について, 従来の線形モデルに基づく最適制御では長期連続運転のできなかったある抄紙機において, 熟練オペレータの手動操作方法をファジィ理論のメンバーシップ関数を使ってアルゴリズム化したエキスパートファジィ制御の開発し, 従来制御では改善できなかったプロファイルののこぎり波を改善できるようになった.また, このメンバーシップ関数のチューニング方法を一般化し, どんなタイプの抄紙機にもこのエキスパートファジィ制御を容易に適用できるようになった.
  • 近藤 元博, 浜井 満彦, 山口 正隆, 森 滋勝
    1999 年 25 巻 6 号 p. 914-920
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2010/02/19
    ジャーナル フリー
    RDF (廃棄物固形燃料) をエネルギー資源として利用し, 流動層燃焼による高効率廃棄物発電を目的に, 最大蒸気発生量70.6t/hの内部循環型流動層ボイラを使用して, RDFと石炭の混合燃焼試験を行い, 排ガス特性および, エネルギー回収特性を評価しRDFによる高効率廃棄物発電の実用化の目処がたった.RDF混焼時のNOx生成メカニズムは, フリーボード燃焼の影響, RDFの含有成分の影響および燃焼時に発生するCOや塩化水素などとの相互作用等などから, 石炭専焼時におけるNOxの生成メカニズムとは異なるNOxの生成過程を経由している可能性があると思われる。またRDFの混焼時に発生するダイオキシン類の濃度と塩化水素濃度には極めて強い関係があること, さらにRDFに添加するカルシウム化合物は排ガス中の塩化水素濃度の低減及びダイオキシン類濃度の低減に寄与する可能性が高いことがわかった。
  • 近藤 元博, 浜井 満彦, 山口 正隆, 森 滋勝
    1999 年 25 巻 6 号 p. 921-928
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    廃棄物燃料の利用拡大を図るため, 70t/hの蒸気発生能力を保有する内部循環型流動層炉の産業用ボイラを用いて, 燃焼時に発生するダイオキシン類の発生挙動を測定するとともに, 塩化水素, 一酸化炭素及び銅化合物がダイオキシン類の排出特性に与える影響について検討した.試験は, 石炭単独の流動層燃焼による燃焼特性を重視しながら廃棄物燃料と石炭の混合燃焼を行い, 廃棄物燃料の組成の違いによりダイオキシン類の発生パターンに相違があること, 再合成によるダイオキシン類の発生量の増加に因果関係があることを確認した.またダイオキシン類の排出濃度は排ガス中の塩化水素と一酸化炭素に強い相関関係があり, さらに燃焼飛灰中の塩化銅と再合成率に相関があることを確認した.
  • 立元 雄治, 坂東 芳行, 安田 啓司, 中村 正秋, 畔上 統雄
    1999 年 25 巻 6 号 p. 929-934
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    熱変性によって形成される硬化層が乾燥特性に与える影響を実験的および理論的に検討した.熱硬化性物質 (Thermally Hardening Material, THM) 層と熱安定性粒子 (Thermally Stable Particle, TSP) 層の多層試料の熱風乾燥を行い, 硬化層の形成を熱および物質の移動抵抗の変化と考える計算結果と比較した.
    THM層とTSP層の界面での蒸発が支配的となり, 乾燥速度が微減し, 試料温度が微増する期間が見られる.また, THM層の厚みを変えた場合には厚みが大きいほど, 界面での蒸発が乾燥特性を支配する期間の乾燥速度が低くなる.さらに, 乾燥用ガス温度が比較的低い場合には界面での蒸発の影響が小さい.乾燥時間を短くするには, 表面付近にTHM層が存在しないようにすることが重要である.
  • 今井 知之, 松井 敏樹, 中井 資
    1999 年 25 巻 6 号 p. 935-939
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ポリエチレン (PE), ゲータイトを種々の割合で混合したPE試料, およびヘマタイトを30wt%混合したPE試料の燃焼を, 固定床半回分式燃焼装置を使用して行った.その結果, PEおよびヘマタイト添加PEでは燃焼中にベンゼンが生成するが, ゲータイト添加PEでは生成しないことが確かめられた.さらに, 見かけの燃焼活性化エネルギーの測定を行い, 酸化鉄添加におけるPEの酸化機構についても検討した.
  • 守谷 武彦, 榎本 兵治
    1999 年 25 巻 6 号 p. 940-946
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    超臨界状態における水分子のポリエチレン分解反応への関与を明らかとすることを目的として, トレーサーとして2H216Oならびに1H218Oを利用したポリエチレン分解実験を行った.超臨界水中の水素は分解油中へ, 酸素は分解後のガスおよび水相生成物中に取込まれていること, そして超臨界水中の水素の分解油への供与量は水充填率が高くなるにつれて増加することが明らかとなった.
    また, ポリエチレン分解油への超臨界水からの水素供与機構としてポリエチレンの分解で生成したPropyleneなどの低級1-Alkeneが水和により2-Propanolなどの2級アルコールへと変換され, その2級アルコールが酸化されて2-Propanoneなどのケトンとなるときに放出する水素が分解生成物に供与される機構が存在することを明らかにした.
  • 佐々木 尚史, 松田 光弘, 山本 重彦, 橋本 伊織
    1999 年 25 巻 6 号 p. 947-954
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    抄紙機の紙の抄造において一番重要な品質である坪量 (1m2あたりの紙の重さ, 単位g/m2) を, 幅方向に均一化する坪量プロファイ制御において, 筆者らの考案した仮想スライスボルト対応最適化制御を, プロセス最適化の観点から理論的に考察し, それが現場の品質要求を十分満たす制御方式であることを示す.
  • 趙 黛青, 山下 博史, 山本 剛, 古畑 朋彦, 新井 紀男
    1999 年 25 巻 6 号 p. 955-960
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    NOxの生成がPrompt機構に支配される燃焼場において, 水蒸気添加によるNOxの低減機構に関しては, 火炎温度の低下という物理的な効果のほかに, 水蒸気に起因する種々の中間活性種 (OH, H, CHなど) の濃度の変化が引き起こす化学反応論的な効果があることが予想される.本研究では, 対向流拡散火炎について詳細素反応機構を用いた数値計算を行い, 初期温度を変化させて最高火炎温度が同一になるように設定することにより, NOx低減に対する水蒸気添加の化学反応論的効果を比較検討した.その結果, 最高火炎温度が同一という条件下でも, 水蒸気添加によりNOのEmission Indexは低下し, NO生成に関連するCH, HCN, Nなどの濃度および生成速度も低下することが明らかとなり, NOx低減に与える水蒸気添加の化学反応論的な効果が解明された.
  • 渡辺 藤雄, 植木 智也, 加藤 大策, 松田 仁樹, 架谷 昌信, 塩見 仁郎, 丸茂 千郷
    1999 年 25 巻 6 号 p. 961-965
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    NOx濃度1ppm以下の大気排出を目標とする低濃度NOxの吸着濃縮とこの濃縮NOxの脱硝プロセスを組み合わせたNOxミニマムエミッションシステムを提案し, その中心技術となる濃度0.5~20ppmのNO吸着濃縮の実験的検討を行った.各種の吸着材による常温吸着・353K脱着の破過実験結果は, フェノール樹脂を原料とする活性炭に優れた吸着性能が備わっておりこの利用によってNOのほぼ無排出が可能になること, その吸着量の最大は初濃度15ppm, O2同伴条件下で2.5×10-3m3・kg-1に達すること, 吸着後の353Kでの脱着により初濃度の最大5倍のNOが得られること, を示し, この吸着濃縮に温度スイング吸着法が適用可能であることがわかった.CO2の存在は吸着性能に影響を及ぼさないが, 水蒸気の存在はNO吸着の大きな阻害因子となることがわかり, 実操作でのこの前除去が必要となることが指摘される.
  • 稲波 久雄, 齊藤 光子, 望月 雅文, 明畠 高司
    1999 年 25 巻 6 号 p. 966-972
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    より効率的なガス化を行うため, 円錐型ガス分散器を備えた多孔質アルミナ流動層を用いてポリエチレン粒子 (HDPE) の部分燃焼ガス化を行い, 熱分解成績, 操作条件について検討した.ガス化過程を明らかにするため流動化状態の観察を行い, またアルミナ粒子に保持される炭素質物質の性状を調べるため連続ガス化操作中に反応管内部よりアルミナ粒子を採取し, SEM観察, 質量分析等を行った.
    空気比0.2~0.3, 層高/塔径1.0~1.5の条件下で, 円錐型ガス分散器使用時の生成ガスは前報の多孔板型よりもC3-5の成分が大幅に増加し, 低位発熱量は2~3MJ/Nm3高かった.炭素質物質の粒子内保持量は層内の各粒子によって異なり, 多孔板型の20~30%と少なかった.その付着物質は分子量300~1,000と幅があり, 多孔板型使用時と比べて重質な成分であった.
  • 山本 洋介, 篠原 邦夫
    1999 年 25 巻 6 号 p. 973-978
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本研究では, Stöber法による単分散シリカ粒子の合成について, 管型反応器を用いて連続合成を行なった.その際, 滞留時間分布を狭くするため, 窒素ガスにより反応流体を微小区画に分割し, 流動させた.その結果, 粒子径分布幅の狭い粒子の連続合成を行なうことが可能になった.また, 粒子の成長過程においてTEOSモノマーを多段階で添加することにより, 粒子の成長速度を高めることができた.
  • 稲室 隆二, 吉野 正人, 荻野 文丸
    1999 年 25 巻 6 号 p. 979-986
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    3次元15速度モデルを用いた格子ボルツマン法によって多数の球状物体からなる多孔質内流れの数値解析を行い, 比較的高いレイノルズ数領域における局所の非定常流れの特性について調べた.空塔速度および球状物体の相当直径によって定義されたレイノルズ数が約80より高い領域では, 球状物体の後方に様々な大きさの非定常な渦が形成され, 流れ場は時間的に変動する結果が得られた.多孔質内の異なる場所における局所流速の時間変動特性, パワースペクトルによる周波数特性, および乱流強度のレイノルズ数依存性を調べることにより, 多孔質内の流れが層流から乱流へ遷移する様子について考察した.その結果, 多孔質内における局所流速が時間的に変動し始めるレイノルズ数ならびに流れが層流から乱流へ遷移し始めるレイノルズ数は, 場所に依存することがわかった.
  • 福井 国博, 吉田 英人, 坂口 浩範, 有田 光洋
    1999 年 25 巻 6 号 p. 987-992
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    原料フライアッシュの粒子径の違いがゼオライトの生成速度及び結晶形態に与える影響について検討し, フライアッシュからのゼオライト生成機構を提案し, これを定式化した.
    その結果, 粒径を小さくすることで, ゼオライト合成に必要な反応時間を短縮できることが分かった.粒径の小さなフライアッシュからはフィリップサイトとヒドロキシソーダライトが得られたのに対し, 粒径が大きい場合にはフィリップサイトのみが生成され, 質量中位径が2.1μmのフライアッシュから最もアンモニウムイオン吸着能が高いゼオライトを合成できた.また, 本報で提案したモデルによって, 反応液中のイオン挙動ならびにゼオライト生成量変化を表現できた.さらに, 粒径が大きいフライアッシュには可溶性シリカが可溶性アルミナの2倍程度含有されているのに対し, 粒径が小さい場合はほぼ等量含まれていることが分かった.
  • 佐藤 剛史, 黒澤 周太郎, 阿尻 雅文, 新井 邦夫
    1999 年 25 巻 6 号 p. 993-997
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    超臨界水中における重質油, プラスチックスの水素化改質反応の基礎研究として, 超臨界水中での水性ガスシフト反応 (CO+H2O→CO2+H2) の速度を, 反応温度380~440℃, 反応圧力10~30MPaで測定し, そのCO濃度依存性および水密度依存性について検討した.
    その結果, 反応速度のCO濃度依存性は広い水密度域においてほぼ1次であることがわかった.また, 反応速度の水密度依存性は, 400℃ではほぼ0次であったのに対し, 380℃では水密度の増大にともない減少した後に増大した.また, 380~440℃, 10~30MPaで得られた実測値を相関する反応速度定数の実験式を提出した.
  • 加納 学, 長尾 浩二, 大野 弘, 長谷部 伸治, 橋本 伊織
    1999 年 25 巻 6 号 p. 998-1003
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    化学プロセスの運転監視方法として, 主成分分析を用いる方法が注目されている.この方法では, 主成分を用いて正常運転時にデータが分布する領域を求め, 運転データがその領域から逸脱するかどうかに着目して異常検出を行う.このため, 変数間の関係 (運転状態) が変化しても, 運転データが求めた領域内に存在するかぎり, その変化を検出することができない.
    本研究では, 変数間の関係の変化を検出するために, 主成分分析を逐次適用することにより, 主成分の変化を監視する方法を提案する.また, 主成分の変化を定量的に評価するために, 基準とする主成分と現時刻における主成分の内積に基づく指標を提案する.本報では, この方法を移動主成分分析による運転監視と呼ぶ.シミュレーションデータを用いて, 従来法との比較を行った結果, 多くの場合に, 移動主成分分析による運転監視が優れた異常検出性能を示すことを確認した.
  • 加納 学, 大野 弘, 長谷部 伸治, 橋本 伊織
    1999 年 25 巻 6 号 p. 1004-1009
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    古典的なSPC (Statistical Process Control) チャートに代わる運転監視方法として, 主成分分析を用いる方法が注目されている.この方法の長所は, 変数間の関係を反映した管理限界を設定できる点にある.しかし, 変数間の関係 (運転状態) が変化しても, 運転データが管理限界内に存在するかぎり, その変化を検出することができない.
    本研究では, 運転状態がデータの分布に反映されることに着目し, データの分布の変化を監視する方法を提案する.分布の変化を定量的に評価するために, 基準とする正常運転時のデータと現時刻のデータとの非類似度を表す定量的な指標を提案する.シミュレーションデータを用いて, 主成分分析を用いた従来法との比較を行った結果, 多くの場合に, データの非類似度に基づく運転監視が優れた異常検出性能を示すことを確認した.
  • 本間 正洋, 中野 義夫
    1999 年 25 巻 6 号 p. 1010-1014
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    化学メッキ法により電場駆動型ゲル/白金複合素子を作製し, メッキ条件と素子の屈曲速度の関係を明らかにした.メッキ方法は次の通りである.白金錯体を含浸したNafion膜をNaBH4水溶液に入れ, Nafion膜表面に白金層を析出させた.pH=9,293K, 0.02mol/lNaBH4水溶液の条件の下で, 白金層の抵抗が低く金属光沢を持つ白金層が得られた.引き続いて, 2通りの方法で白金層をさらに成長させ, 両者を比較した. (1) 白金錯体とヒドラジンの混合水溶液中で白金層を成長させる方法, (2) ヒドラジンを含浸した素子を白金錯体溶液中で白金層を成長させる方法である. (2) の方法で処理を行った場合には, (1) の方法と比べて白金層の抵抗が低く均一な白金層を成長させることができた.屈曲速度は白金層の抵抗が低いほど大きくなった.特に, ヒドラジンを含浸した素子を白金錯体溶液中で白金層を成長させる方法 (2) が, 屈曲速度向上のための低抵抗素子の作製に有効であることを明らかにした.
  • 城田 大吾, 上和野 満雄, 上ノ山 周, 仁志 和彦, 清水 一弘
    1999 年 25 巻 6 号 p. 1015-1023
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    液々撹拌槽中での液滴径制御や物質移動現象のより詳細な解明には槽内各所での液滴径分布についての知見を把握することが重要である.このための測定法, 特に実際の諸工業で実施されている高液滴濃度での測定法で, 高精度かつ高速な方法はほとんど無いのが実情である.本報では著者らが独自に開発したリアルタイム高速画像処理システムを改良, 最適化して従来の液滴径測定法の問題を解決する新たな測定法を提案するものである.液滴の分裂合ーのない吸引サンプリング条件を見出した上で, 各種液々系で液滴径分布の測定を行った.結果として, 物性の異なる種々の液々系での液滴径分布を精度よく測定できた.約500個の液滴計測の所要時間は0.7s以内と極めて迅速であり, その測定誤差は6%以下と精度の高いものであった.回転数, 測定位置と液滴濃度に対して分布が変化する状況が測定できた.滴中滴発生の判定が行えることも示した.
  • 清田 佳美, 中野 義夫
    1999 年 25 巻 6 号 p. 1024-1026
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    感温性高分子ゲルの親疎水的物性変化に基づく疎水性有機分子の吸着機構の検討を行った.種々の昇温 (降温) 速度で疎水性有機分子を含む溶液の温度をスイングし, 溶液の昇温 (降温) 過程におけるゲルの疎水性有機分子吸着量を経時的に測定した.吸着の律速段階を考慮した吸着速度モデルに基づく吸着速度の理論値と実測値の比較により, 吸着における律速段階の判定を行った.本吸着現象は, 疎水性有機分子の境膜物質移動過程が律速し, ゲル表面において起きていることが明らかとなった.
  • 白幡 邦彦, 村形 (會田) 忠弘, 佐藤 志美雄
    1999 年 25 巻 6 号 p. 1027-1029
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    アルキル鎖長の異なる第1アルコールをアニオン界面活性剤であるSDSを用いてエマルション化し, 酸化還元対I+/I-をメディエーターに用いた間接電解によりエステル化反応を行なった.どのアルコールについてもエステル収率は, 界面活性剤濃度に対し極大値を示し, 界面活性剤添加によるエステル収率の増加は, アルキル鎖長の長い疎水性アルコールにおいて顕著であった.
  • 大屋舗 卓也, 野田 直希, 高見 均, 板谷 義紀, 松田 仁樹, 架谷 昌信
    1999 年 25 巻 6 号 p. 1030-1032
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    同軸三重円管型廃液-メタン混焼バーナーを上向きライザー内に設置した場合のNOx排出特性に及ぼすFCC粒子投入の影響について実験的に検討した.NOx生成領域は粒子存在の有無にほとんど依存しなかった.また, 投入粒子量の増加に伴い, 模擬廃液中のNからNOxへの転換率は低下した.実験値をFenimoreの半理論式と比較した結果, 粒子存在下においてもfuel-NOx生成に関して同式の適用が可能であることが示された.
  • 花熊 克友, 山本 順三
    1999 年 25 巻 6 号 p. 1033-1036
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    本論文ではポンプ異常検出に対する信号解析法の性能を検討した.使用した8種類の信号解析法は, パワースペクトル, スペクトル強度, 位相スペクトル, ケプストラム, 自己相関, ヒストグラム, アトラクタ, ウェーブレットである.信号解析の結果, 本ポンプの異常検出に対してパワースペクトル, スペクトル強度, 自己相関, アトラクタ, ウェーブレットが有効であることがわかった.
  • 辻 俊郎, 千葉 朋子, 柴田 俊春, 上牧 修, 伊藤 博徳
    1999 年 25 巻 6 号 p. 1037-1039
    発行日: 1999/11/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    2次元噴流層が固定層, 噴流層, バブリング流動層, スラッギング層となる時の層高と気体流速の条件を実験から求め, 流動状態図を作成した.それを離散要素法による粒子流体の汎用シミュレーションコードであるP-TAKを用いてシュミレーションから作成した図と比較した結果, 両者は非常に良い一致を示した.よって離散要素法は最小噴流化速度や噴流可能最大層高などの流動条件を予測できる可能性が非常に大きいことを認めた.
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