化学工学論文集
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8 巻, 3 号
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  • 幡野 博之, 石田 愈
    1982 年 8 巻 3 号 p. 219-224
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    吸光光度法と光の導体として光学繊維を組み合わせることによって, これまで測定が難しいとされている装置内での局所的な濃度の連続測定がきわめて容易に行えることを示した.例として水中の青インクの濃度, 空気中に含ませたNO2の濃度, 水中に懸濁させたカオリン微粉末の濃度の測定を取り上げて, その定量性を検討した.
    さらに, この方法の有効性を確めるために, 気固系流動層内の1点におけるトレーサ濃度の測定に本測定法を応用した.気泡相のみならず濃厚相にわたってもトレーサ濃度を定量でき, 応答性も良いことが確められた.
  • 井口 正
    1982 年 8 巻 3 号 p. 225-231
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    オリフィス板上に停滞する水層を吹き抜ける空気流によってキャリーオーバーされる水量を実験的に調べた.肉眼観察により, キャリーオーバーの原因を次のように分類できることがわかった.すなわち, (1) 気泡の気液界面での破裂で発生するキャリーオーバー, (2) 高速の空気流により気液界面で水がひきちぎられて起るキャリーオーバー, (3) 気液界面の上下振動によるキャリーオーバーである.また, キャリーオーバー水量には, 空気吹き込み口の形状の影響は小さく, 気泡界面の現象が支配的であることがわかった.
    キャリーオーバー水量を予測するために, 空気流により水がひきちぎられてキャリーオーバーが起る領域について簡単なモデルを考察し, 無次元整理式を得た.
  • 白戸 紋平, 村瀬 敏朗, 岩田 政司
    1982 年 8 巻 3 号 p. 232-239
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ビンガム流体のスクリュー押し出し機内における圧力分布の簡易解析法を提出した.ビンガム流体に対する従来の流動基礎式を平均微分粘度を定義することにより修正した.次に, 漏洩流が圧力流と牽引流のねじ山をよぎる成分によって生ずることを考慮し, らせん流路を平板モデルで近似して一定ピッチ・直線絞り勾配型および一定溝深さ・減少ピッチ型押し出し機における圧力分布の簡易推定式を導いた.さらに, 微分粘度に対する修正係数が森。乙竹の流動式から圧力流量を計算することによって図的に決定できることを示すとともに, ビンガム流体の最大原理に基づいて矩形流路における速度分布を計算することによって平板モデルに対する形状係数の計算式を与えた.また, 本報の方法を用いれば, スクリュー溝に沿った圧力分布およびスクリュー特性がニュートン流体やべき乗期流体のスクリュー押し出しと同様の方法で容易に推定できることを示した。
    本報の推定値は, ビンガム数NBが16.6までの範囲で, ビンガム流体のスクリュー押し出しの実験結果とよい一致を示した。
  • 黒田 修, 松崎 晴美, 高橋 燦吉
    1982 年 8 巻 3 号 p. 240-245
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    気泡の攪拌作用により物質移動速度を増進し, 同時に膜汚染を防止する気泡洗浄式電気透析槽の開発を目的に, 電気透析槽の透析室に相当する狭間隙矩形流路における気泡攪拌の物質移動促進効果を検討した.物質移動係数kLの測定は電極におけるK4Fe (CN) 6, K3Fe (CN) 6の酸化還元反応を利用して行った.
    気泡導入でkLは無気泡の5~10倍に増し, その効果は流路全域にかなり均一に波及することから気泡攪拌が優れた物質移動促進効果を有することが明らかとなった.また, kLと平均気泡上昇速度に相関性を認めた.従来形電気透析槽の網状スペーサー挿入方式との比較では, 低液流速, 低圧損で同等の効果が得られる.以上の結果から, 気泡洗浄式電気透析槽は構造が簡単となり, 一過処理が可能となる, ことが明らかとなった.さらに, 気泡攪拌, スペーサーの各方式につき物質移動のJ因子と流体摩擦係数の関係式を得た.
  • 加藤 覚, 稲積 彦二, 鈴木 孝典
    1982 年 8 巻 3 号 p. 246-253
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Stefan-Maxwellの方程式に基づいて3成分系気相における2成分の物質移動速度の表示法と推算法を誘導し, これを実験的に検討した.
    まず, 境膜モデルに基づいて各拡散成分によって異なる有効拡散距離を定義し, これを実験によって求めて, その妥当性を確かめた.ついで, 境膜モデルに基づく物質移動速度の推算法を誘導し, この方法の妥当性を実測値を用いて確かめた.
    また, 3成分系における物質移動速度に影響を及ぼす要因について検討し, 3成分系に特有な挙動が顕著に現れる条件範囲においては, 二つの拡散成分の問の拡散の効果が支配的であることを示した.
  • 高松 武一郎, 橋本 伊織, 河内 健次, 山下 健三
    1982 年 8 巻 3 号 p. 254-260
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    多成分蒸留塔の分離制御系を, 状態変数フィードバックにより実現すれば, フィードバックするべき変数の数は成分数に応じて多くなる.本報では, この点を改善するために, 擬2成分モデルを用いて, 多成分蒸留塔の分離制御系を設計する方法を提案する.まず, 限界2成分のみによる擬2成分モデルでは, 満足すべき分離制御系が設計できないことが明らかとなったので, 次に, 新しい擬2成分モデルが導かれた.この近似モデルは, 定常状態まわりでの組成変動の方向を規定することにより得られた.最後に, この擬2成分モデルを用いて設計された分離制御系が, 多成分モデルにより設計された制御系とほぼ同じ性能を示すことが確められた.
  • 村田 芳治, 山川 浩, 奥本 茂, 川上 泰伸, 今井 隆之
    1982 年 8 巻 3 号 p. 261-265
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    硫酸銅5水塩とカリ明ばん12水塩を用い, 攪拌槽で2次核を発生させ, その粒子密度と粒径分布の経時変化をコールターカウンターで追跡し, 次のような結果を得た.
    1) 過飽和溶液でも, 経過時間の初期の段階で粒子密度が減少することを認めた。この減少率は過飽和度に相関することを認めた.
    2) 両系とも累積曲線の形は経過時間とともに変化した.CuSO4・5H2Oの場合はその変化が平均値より小さい成長速度を持つ粒子の存在に起因し, KAl (SO4) 2・12H2Oの場合は早い成長速度を持つ粒子の存在に起因した.
    3) 2次核発生のための最小粒径の存在を確認した.
  • 井土 忠厚, 都築 位兆, 後藤 繁雄, 手島 英夫
    1982 年 8 巻 3 号 p. 266-272
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    アルミナ触媒およびアルミナに酸化モリブデンを担持した触媒を充填した固定層反応器に, 3種類のブテンの異性体を供給した.異性化反応は両触媒上で起こり, コークの生成に基づく反応速度の経時変化は2元席劣化で表すことができた.その劣化定数は触媒および原料ブデンの種類によらずほぼ一定であった.不均化反応はアルミナ上では起きないが, 酸化モリブデンを担持すると, プロピレンとペンテンをおもに生成する不均化反応が起きた.これは, 2-ブテンと1-ブテンの二重結合移行反応が酸化モリブデンによって促進されるためと考えられる.不均化速度の経時変化は, 異性化のときとは異なり, 単元席劣化で表すことができた.
  • 北村 光孝, 中井 資
    1982 年 8 巻 3 号 p. 273-278
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    テトラ (4-メチルピリジン) ニッケル (II) チオシアネートとp-キシレンとのクラスレート結晶組成は主として溶液組成と結晶の析出温度によって決まるが, これらの相関性について微分晶析法による検討を行った。この場合のアダクト晶析機構はp-キシレンとNi錯体との反応により生成する液状p-キシレンクラスレートと溶媒として使用した (メチルセロソルブ+4メチルピリジン) 混合物と錯体との反応によって生成する液状の溶媒分子クラスレートとの競合的析出によるものと考えられる.この晶析モデルによって, 結晶組成を溶液組成の関数として表す半実験式が導出された.本式中には, p-Xクラスレートの飽和溶解度に対応するパラメータが含まれており, 結晶組成はp-Xクラスレートの過飽和度の関数として表される.さらに, 本式を用いて算出した結晶組成が, 溶液温度が20, 30, および40℃の微分晶析によって得られた実測値とほぼ一致することが確かめられた.
  • -圧力の影響-
    村田 勝英, 佐藤 健二, 手島 英夫
    1982 年 8 巻 3 号 p. 279-284
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ポリマーの熱分解に及ぼす分解圧力の影響を調べるため, 高密度ポリエチレンの熱分解を, 440℃, 1-8atmの加圧下で, 連続式攪拌槽型反応器を用いて行い, 以下のような結果を得た.
    1) 分解圧力が高くなると, 分解速度は顕著に減少し, 8atmでは, 1atmの分解速度の約1/2になる.
    2) 分解圧力が高くなると, 分解ガス, 分解油, かん液の分子量はそれぞれ減少する.
    3) 分解圧力が高くなると, 反応器内での泡立ちが抑えられ, より安定な運転が行える。
  • 古閑 二郎, 遠藤 茂寿, 杉本 益規, 山口 賢治
    1982 年 8 巻 3 号 p. 285-290
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    螺旋形スクレーパを有する傾斜回転円板を非球形粒子を含む混合物からの球形粒子の分離に用い, 分離された粒子に形状解析を適用した.本研究で採用した形状指数は相当径, 代表径の比である.また, 輪郭のフーリエ記述子も用いた.形状情報を考慮したニュートン分離効率を提案し, 考察した.その結果, 分離効率は形状指数の値によって変化することがわかった.
  • 大佐々 邦久, 三分一 政男, 中倉 英雄, 渋谷 尚
    1982 年 8 巻 3 号 p. 291-297
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    傾斜長方形断面管における初期沈降速度υi0と垂直軸からの傾斜角θ, 管幅bおよび初期スラリー高さh0との関係を, 石灰石-水, カオリン-水など4種のスラリーを用いて実験的に調べた.その結果, υi0と垂直管における沈降速度υ0との比, すなわち沈降促進率は, sinθおよびh0に比例し, bに逆比例することがわかった。沈降促進率を与える式は, 下向き面の単位水平投影面積当りの清澄液平均流出流量Lを定義することによって, 上澄液収支から求められた.この式から計算されたLの値は, ±30%の誤差内でυ0のみで表された.また, この計算値と微小着色ポリスチレン粒子をトレーサーとして用いて測定した下向き面下の清澄液流量より得た実測値とは, 大略一致した.
  • -凝集剤の平均分子量および懸濁粒子径の影響-
    迫原 修治, 海野 肇, 明畠 高司
    1982 年 8 巻 3 号 p. 298-303
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    非イオン性ポリアクリルアミド凝集剤によるカオリン懸濁液の除濁効果に及ぼす凝集剤の平均分子量および懸濁粒子径の影響を, 懸濁粒子表面へ付着する凝集剤量に基づいて実験的に検討した.
    凝集剤の平均分子量に応じて凝集剤添加量に対する凝集剤付着量の比は異なり, この比は平均分子量が小さいほど小さい.そして, 重量平均分子量が300万をこえると, 比表面積の等しい粒子からなる懸濁液の除濁効果は凝集剤の平均分子量にはよらず凝集剤付着量によって決まる.
    懸濁粒子径が凝集剤分子の大きさに比べて十分大きくなると, 添加した凝集剤量のうち懸濁粒子に付着する割合は, 懸濁粒子径が凝集剤分子の大きさと同程度の場合に比べて小さくなる.凝集剤付着量を除濁効果が最大となる時についてみると, この量は懸濁液中の全粒子表面積が等しければ粒子径によらず等しい.
    これらの結果は, 粒子懸濁液の有機高分子凝集剤による除濁効果は凝集剤分子が懸濁粒子表面をどの程度被覆するかによって決まることを示している.
  • 宮原 敏郎, 谷本 恵, 高橋 照男, 鈴木 寛一, 山崎 量平, 神保 元二, 久保田 克之, 林 新也, 安江 淳, 吉田 英人, 頼実 ...
    1982 年 8 巻 3 号 p. 304-326
    発行日: 1982/05/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
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