日本文学
Online ISSN : 2424-1202
Print ISSN : 0386-9903
60 巻, 12 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • —演劇的趣向から小説的機能へ—
    中尾 和昇
    2011 年 60 巻 12 号 p. 1-12
    発行日: 2011/12/10
    公開日: 2017/05/24
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    曲亭馬琴の〈巷談もの〉は、浄瑠璃利用という点から、両者の〝距離〟に焦点を当てられることが多く、抒情性を裏付ける個別の趣向が顧みられることは少なかった。ところが、演劇に代表される「身替り」は、〈巷談もの〉において、主人公たちの危機的状況を打開し、物語を団円へと導く重要な役割を果たしている。とりわけ『常夏草紙』では、演劇的趣向としての身替りから脱却し、小説的機能をもった身替りへと変貌を遂げた。

  • —「半閒窓談」から『俠客伝』へ—
    三宅 宏幸
    2011 年 60 巻 12 号 p. 13-23
    発行日: 2011/12/10
    公開日: 2017/05/24
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    馬琴は天保二年に、『水滸後伝』の批評「水滸後伝国字評半閒窓談」を執筆した。だが従来、その批評が与えた後続作品への影響は検証されない。

    本稿では、「半閒窓談」と執筆時期が近い『開巻驚奇俠客伝』をとりあげ、豪袁の形象や行動と『水滸後伝』との関連を指摘し、単純に『水滸後伝』を典拠としたのではなく、馬琴が批評をふまえて応用したことを述べる。

    加えて、未完の『俠客伝』の構想を、一部推定する。

  • 日置 貴之
    2011 年 60 巻 12 号 p. 24-33
    発行日: 2011/12/10
    公開日: 2017/05/24
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    明治期に出版された役者評判記として知られているのは東京の観劇団体六二連の編による『俳優評判記』である。一方で、同時代の上方においても役者評判記の刊行が見られることについての言及は、荻田清氏による先行研究を唯一の例外としてほとんどなされていない。本論文では、二系統が存在する明治期上方板役者評判記のそれぞれについて考察を行い、両者が同一のきっかけで刊行を開始したものの、その性質は対照的であること、一系統には東京の六二連『俳優評判記』との影響関係が見出せることなどを指摘した。

国語教育部会夏期研究集会 基調報告
子午線(夏期研究集会 印象記)
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