化学工学論文集
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19 巻, 1 号
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  • 松本 正文, 橋本 敏清, 村田 勝英, 後藤 繁雄
    1993 年 19 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ベンゼンの気相熱分解により生成した炭素繊維は空気雰囲気の酸化反応において600℃以上になると重量減少が起きた.二酸化炭素との反応は1次反応で整理され, 活性化エネルギーは145kJ/molであった.酸化反応はまず, 繊維表面の乱層部において行われ, 反応が進行していくと, 繊維中心部のドメインが露出してくる.酸化処理によって繊維表面にエーテル基, カルボニル基およびラクトン型結合の含酸素官能基が導入された.
  • 西川 新三
    1993 年 19 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    垂直回転二重円筒装置によるシラップ (低重合率の粘性液体) の製造を検討した.
    重合率と重合時間の関係を表わす実験式をメチルメタクリレートについて求め, 重合速度式を導いた.重合速度と総括伝熱係数を組み合せて環状路の設計式を求め, 環状路内軸方向の温度分布を算出できるようにした.さらに操作条件を選定するための計算線図を作成した.これらを確かめるために実験装置を用いてテストした結果, シラップ重合率の計算値に対する実験値の平均誤差は0.28%で両者はよい一致を示した.
  • 水野 善久, 寺下 敬次郎, 宮南 啓
    1993 年 19 巻 1 号 p. 13-20
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    連続混練において一定品質の製品を連続的に生産するには, 主プロセスである混練機の動特性を考慮しなければならない.すなわち低周波域における入出力間での相関性を調べ, その結果に基づいて原料の供給速度などを制御する必要がある.本研究では, 原料供給速度および材料温度の変動を連続混練装置への入力, 流動性の指標である混練トルクを出力として解析した.その結果, 入出力の相関は低周波領域で顕著であった.また, 供給速度および混練温度の低周波数変動が高周波域に比較して大きな値を示すことがわかった.すなわち, 低周波の変動を抑えることにより安定な状態で混練を行うことが可能であることが確認された.これらの結果・考察より, 原料の供給器を制御すれば, 導電性樹脂の導電性を安定させて連続的に得られることを示した.また, 制御の効果は, 押し出し流れに近くなる低供給速度の領域において顕著であることを指摘した.
  • 水野 善久, 寺下 敬次郎, 宮南 啓
    1993 年 19 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    複合導電性樹脂中におけるフィラーの分散状態を定量的に評価するために, フラクタルの概念を採用した.分散状態のフラクタル次元を, 画像の分割数とフィラーを表す画素の面積分率の変動係数に基づき定義し, 複合導電性樹脂断面についてフラクタル次元を算出した.本研究で求められたフラクタル次元は分散状態の良否を数値的に表し得ることを確認した.また, 複合導電性樹脂の導電性は, 分散のフラクタル次元とフィラーの長さの積で表されることを明らかにした.さらに, 分散のフラクタル次元と混練トルクおよび樹脂粘度などより算出される無次元数を比較することにより, 混練プロセスの評価も試みた.
  • 立野 繁之, 柴田 望洋, 柘植 義文, 松山 久義
    1993 年 19 巻 1 号 p. 30-40
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    異常のために発生した状態変数の正常値からの偏差は異常が伝搬するにしたがって減衰することを用いて, 符号付有向グラフと5段階パターンを利用する異常診断法の精度を向上させた.また, この診断法の精度を最大候補集合を用いて評価する方法も提案し, 槽=配管系における異常診断に関して他の診断法の精度と比較した.
  • 村田 究, 山本 協子, 亀山 秀雄
    1993 年 19 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    市販純アルミニウム材 (JIS A 1050, 純度99.5%) を触媒基板材料に選び, 200℃におけるシクロヘキサン脱水素反応について高活性な板状触媒の調製条件を検討した.25℃のクロム酸中における12時間の陽極酸化によってアルミニウム表面に最大30μmのアルミナ担体層を形成し, 続いて80℃の塩化白金酸水溶液中における2時間の熱水処理によってアルミナ担体層中にアルミナあたり3wt%の白金を均一に担持することができた.触媒層が厚くなるに従い単位見かけ面積あたりの白金担持量は増加し, 見かけ表面積あたりの活性, 耐久性が向上した.特に30μmの触媒層を持つものではC6H12/N2=1/10,200℃常圧のガス流通下で3.5mol/ (h・m2), 130時間の定常活性が得られた.
  • 陳 勇, 松田 仁樹, 架谷 昌信, 近藤 聖, 成瀬 一郎
    1993 年 19 巻 1 号 p. 48-54
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    熱天秤を用いた非等温熱分析法によってそれぞれ炉温1673Kの微粉炭燃焼器ならびに1123Kの流動層燃焼器より排出された約10%の未燃分を含むfly ash Aならびにfly ashBの燃焼性を検討した.実験は, 加熱速度1~1000K/min, 燃焼温度1173Kまで, 粒径37μm以下の条件下で空気流通系で行った.その結果, 次のような知見が得られた.
    1) 燃焼過程を以下のように分離できた.加熱速度2K/min以下では, 燃焼反応律速となる.加熱速度700K/min以上では, 酸素の灰中における拡散が律速となる.
    2) fly ashAとfly ash Bの燃焼反応速度パラメータと酸素の灰中の有効拡散係数はfly ash Aについて,
    E=70.1 (kJ/mol), A=0.71 (1/s kPa), Dc=1.66×10-5 (cm2/s)
    fly ash Bについて,
    E=82.0 (kJ/mol), A=13.3 (1/skPa), Dc=1.94×10-5 (cm2/s) である.
    3) 1673Kの微粉炭ボイラより排出されたfly ash Aでは.未燃炭素の一部が黒鉛化しており, 燃焼性は同種炭チャーのものより劣る.
    4) 1123Kの流動層ボイラより排出されたfly ash Bでは, フライアッシュ中の未燃炭は気孔の生成によって比表面積が増大しており, そのため, フライアッシュの燃焼性は同種炭チャーのものよりも若干良くなる.
  • 遠藤 禎行, 向阪 保雄, 西江 恭延
    1993 年 19 巻 1 号 p. 55-61
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    等径2球間に形成される液架橋による付着力をLaplaceの式に基づいて理論解析した結果, 次のことが得られた.1) 液架橋付着力は架橋内の負圧による力と気液界面の表面張力による2球の引張り方向成分との合力であることを示すことができた.2) 等径2球間に形成される液架橋の付着力をLaplaceの式を解くことによって求められる架橋形状と理論的に関係づけることができた.実験では, 曲率半径の等しい2つのガラス球およびガラス製凸レンズ間に形成させた液架橋の引張り試験を行い, この結果が上の理論に従うことが確かめられた.最後に, 以上の結果と我々の既報の理論, つまり, 液架橋形状が雰囲気の湿度および架橋液中に含まれる溶解性不純物の濃度によって決まることと関連づけて, 等径2球間に形成される液架橋による付着力が雰囲気の湿度および架橋液中の溶解性不純物の含有量の関数として評価できることがわかった.
  • 神吉 達夫, 原田 亨, 浅野 強, 牧 洋光, 江川 亘, 坂本 隆一, 松本 隆夫, 樽谷 勇
    1993 年 19 巻 1 号 p. 62-68
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ねじ溝型分子ポンプのロータ矩形溝部およびスリーブ間隙における気体の流れに対する線形化Boltzmann方程式の数値解析結果を平滑化理論に適用して, 分子ポンプ内の圧力場を解析し, 到達圧力, 排気速度およびロータ回転数の関係を明らかにした.合わせて, ねじ溝分子ポンプを試作し, 補助圧力およびロータ回転数に対する到達圧力および排気速度を測定し, 計算結果と比較検討するとともにポンプの排気特性について考察した.また, 気体の種類による排気特性の差異についても明らかにした.
  • 碇 醇
    1993 年 19 巻 1 号 p. 69-75
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    エタノール水溶液の回分精留における微量不純物の挙動を調べるために, 蒸留計算で用いられる通常の仮定と微量成分の特性を考慮した数式モデルを作成した.このモデルには, 調整に用いられるいくつかのパラメータが入っている.
    缶, 一般段および留出液貯槽についての物質収支から, 一連の方程式を誘導した.パーソナルコンピュータで, これらを数値的に解き, エタノールおよび微量成分の蒸留曲線を求める.
    計算例の結果から, 提示した方法が, 蒸留酒の製造における回分精留の解析に有用であることが示された.
  • 深井 潤, 折田 久幸, 禰占 孝之, 猿渡 和孝, 宮武 修
    1993 年 19 巻 1 号 p. 76-82
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    等方性を有する成形炭素材料の焼成工程における有効熱伝導率の温度依存性を, 成形前における充填試料の有効熱伝導率から推算した.焼成工程において, 成形炭素材料はミクロポアを有する多孔質体とし, 充填試料は粒子充填層から焼結体を経て多孔質体に変化するとした.気相の熱伝導率を決定する際に必要となるガス状タールの熱伝導率は, それを構成するガス種の物性値から求めた.また, 試料の気孔率および熱分解による生成ガスの組成は実験より求めた.
    有効熱伝導率は線熱源法を用いて, 1K/minの一定昇温条件下で常温から約1000Kまで加熱しながら測定した.推算された2種類の未焼成炭素材料の有効熱伝導度は, 広い温度範囲において測定値と良好に一致した.
  • 渡辺 藤雄, 渡部 義人, 勝山 仁之, 小塚 淳, 架谷 昌信, 丸茂 千郷
    1993 年 19 巻 1 号 p. 83-90
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    水蒸気吸着を吸着ヒートポンプに適用することを目的として, 外部冷却・加熱方式の充填層型吸着ヒートポンプにおける水蒸気吸・脱着に伴う充填層内熱および物質移動について実験的および理論的検討を行った.吸着材には, 吸着平衡および吸着速度の測定結果に基づいて吸着ヒートポンプ用として機能しうると判断された構造状活性炭とシリカゲルが使用された.
    両吸着材の場合とも, 吸・脱着過程の吸着量および温度の経時変化ならびに吸・脱着所要時間の実験結果は密閉系単一成分非等温吸着とした計算結果と傾向的に一致し, それらの相違を吸着等温線の形状, 吸・脱着速度および吸着材充填密度の影響として統一的に説明することができた.しかし, 吸着および脱着の両過程において充填層半径方向に大きな温度分布が生じるので, この形式の吸着ヒートポンプでは充填層の伝熱促進を計る必要があると思われる.
  • 渡辺 智秀, 林 幹人, 松田 仁樹, 架谷 昌信
    1993 年 19 巻 1 号 p. 91-98
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    乾式脱硫用反応吸収剤および化学蓄熱材として期待されている石灰石焼成から得られるCaOの固気反応活性の向上を目的として, 本報では, 反応活性評価の指標として石灰石焼成の逆反応である再炭酸化反応および硫酸化反応を用いた熱重量分析, さらに細孔分布測定, SEM電子顕微鏡写真撮影により, 石灰石焼成温度の反応活性およびCaO粒子構造に与える影響について検討を行った.さらに, 焼成して得られたCaOに水和・脱水反応を用いた処理 (加水水和, 蒸気水和) を施すことによるCaOの反応活性, 粒子構造の変化についても検討を行った.
    その結果, 焼成温度がCaOの反応活性に与える影響は大きく, 焼成温度の高温化に伴うCaO結晶および粒子の成長, 細孔の閉塞により反応活性が低下するが, 水和・脱水処理を施すことにより細孔の形成, 結晶の微細化に伴う比表面積の増大, CaO結晶形状の変化により反応活性が高温焼成されたCaO程著しく向上することが認められ, 高活性CaOの生成の可能性が示唆された.
  • 高橋 博, 菊地 賢一, 菅原 拓男
    1993 年 19 巻 1 号 p. 99-105
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    市販陽イオン交換膜SELEMION CMVを用いてイットリウムおよびランタンの分配平衡およびドナン透析実験を行った.イットリウムおよびランタンは, 低濃度域において選択的に膜内に吸着され, そのイオン交換選択係数は通常の2価の金属イオンよりも大きく, 濃度依存性を示した.広い濃度範囲にわたる平衡実験の結果は, イットリウム, ランタンそれぞれ一つの式で良好に相関することができた.一方, 塩化イットリウム-塩酸および塩化ランタン-塩酸系について膜内拡散律速下でドナン透析を行ったところ, 溶液の濃度差基準の見かけの拡散係数は溶液濃度に大きく影響されることがわかった.また, 実験結果の一部を用いてNernst-Pianckの式によるモデル解析を行い, マルカート法により水素イオン, イットリウムイオン, ランタンイオンの膜内自己拡散係数を推算した結果, それぞれ1.1×10-10, 1.1×10-12, 4.4×10-13m2/Sを得た.これらの値を用いると, 他の実験結果をも良好に説明することができた.
  • 本多 芳彦, 青山 浩, 岡本 清孝, 黒澤 誠治, 高橋 洋志
    1993 年 19 巻 1 号 p. 106-113
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    乳糖分解乳製造用に開発された横型回転システムカラムリアクターにおける液混合に及ぼす粒子 (樹脂) 挙動の影響について調べ, 以下の結果を得た. (1) 液速度, 回転速度 (遠心力), カラム内空気の存在によって, 液体中の樹脂の挙動は次の三つの形態に分類される : 液体と粒子層の二相への分離, 粒子分散相を伴う粒子層の形成, 粒子堆積を伴わない十分に発達した分散状態. (2) 液混合は主に粒子液体間のスリップ速度, 粒子層内の流れ, 空気による撹拌によって引き起こされる. (3) 液体混合のペクレ数はカラム体積に対する粒子層の体積比率と密接な関係がある. (4) 粒子が堆積して粒子層の形成を始める時および液相と固相への分離が起こる時の臨界条件は粒子に作用する力のバランスから推定できる.
  • 大谷 吉生, 江見 準, 森實 哲也, 森 治朔
    1993 年 19 巻 1 号 p. 114-119
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    ウエハ表面に付着した微粒子の除去法として, 溶剤を用いずに気流により粒子を吹き飛ばす乾式法は, 操作が簡単でリンス・乾燥工程での表面再汚染の心配がないため極めて有効な方法と考えられる.本研究は, エアジェットによるウエハ表面乾式洗浄技術の開発を目指し, ウエハ表面に重力により沈着させた微粒子 (粒径0.25~3.3μm, 単分散PSL粒子) を矩形ノズルからのエアジェットにより飛散させる実験を行った.その結果.粒子の飛散はエアジェットを噴射した瞬間に起こり, その後エアジェットを噴射し続けてもほとんど飛散率は増加しないことがわかった.そこで, 飛散率を増加させるため, 気流をパルス的に繰り返し噴射して飛散実験を行ったところ, 通常の気流ではほとんど飛散しないような粒径0.25μmの微粒子でもほぼ完全に除去できることがわかった.さらに, パルス的に気流を噴射した場合には, 1パルスあたりの粒子飛散率は気流噴射回数によらずほぼー定に保たれ, 1パルスあたりの粒子飛散率さえわかれば, これより気流噴射回数による洗浄の程度が予測できることがわかった.
  • 武田 和宏, 柴田 望洋, 柘植 義文, 松山 久義
    1993 年 19 巻 1 号 p. 120-123
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    異常診断システムの精度すなわち出力される原因の候補の数を評価することは, 異常診断システムの設計のために必要であるばかりでなく, 対応措置の決定, 測定器の最適配置の決定のためにも不可欠である.
    しかし, 現状では, Iriらの符号付有向グラフを用いた異常診断法の精度, および, 誤差を含んだ情報を利用できるようにそれを改良した異常診断法の精度を評価する方法が与えられているにすぎない.
    一方, 診断対象システム内を異常が伝搬するのに必要な時間遅れ (以下では, “異常の伝搬遅れ” と呼ぶ) を利用する異常診断法が開発され, 異常診断実験によって得られた個々のデータについては, Iriらの異常診断法より精度が高いことが示されているが, 設計段階において精度を評価する方法は確立されていない.
    ここでは, 異常の伝搬遅れを利用する診断法の精度を評価する方法を提案し, 槽=配管系に適用してIriらの異常診断法の精度と比較する.
  • 高橋 憲司, 鍛冶 宗義, 森 茂, 谷本 明
    1993 年 19 巻 1 号 p. 123-127
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    HarbaumとHoughtonは気泡塔による炭酸ガスの吸収実験を行い, 振動を付加した場合に液相容量係数が40%も増加したと報告している.気泡塔内の液の混合特性は気泡の運動に大きく影響されることを考えると, HarbaumとHoughtonの流体に振動を与えた実験では, 容量係数の増大のみならず液混合特性も大きく変化していると予想されるがこの点に関する研究を見いだすことはできない.本研究では, 液の軸方向混合拡散に及ぼす振動の効果を, 標準気泡塔と多段気泡塔について検討した.
  • 高橋 憲司, 川端 茂, 森 茂, 谷本 明
    1993 年 19 巻 1 号 p. 127-130
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    北浦らは気流中で振動する球からの複合対流物質移動について次式を導いている.
    Shfv3=Shf3+Shv3 (1)
    ここで, Shfは気流のみ, Shvは振動のみにおける物質移動を表す.Jorneは自然対流と強制対流が共存する平板からの熱, 物質移動について, Eq. (1) のべき乗和の関係と同様の結果を導いている.また, 栗山らは, 気流中で振動しながら回転する球からの複合対流熱移動について実験を行い, 北浦らが得た式と同意の式により実験結果が相関されることを報告している.これらの結果からは, 自然対流, 強制対流, 振動による二次流, 回転流のいずれか複数が共存する複合対流下における熱, 物質移動速度は, Eq. (1) のべき乗和の関係で表され, しかも平板, 球の場合についても成立することが予想される.しかし, 北浦らおよびJorneの研究ではいずれも流れの重ね合わせが可能であるとして, 個々の流れの線形和を仮定した解析を行っている.はたして, それら流れの間に重ね合わせが常に適用できるのであろうか.本研究では, 高シュミット数における円管内定常流, 振動流および脈動流の物質移動を対象として上記問題を検討する.
  • 福井 啓介, 勝屋 訓, 神吉 達夫
    1993 年 19 巻 1 号 p. 131-134
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Processes of forming an organized turbulent thermal plume are investigated in unstable stratified and in combined stably and unstably stratified turbulent flows between parallel flat plates by conditional sampling measurement, in which temperature fluctuation near the wall is used as the detecting signal. The turbulent thermal plume is found to form in an unstable region of both combined and unstable stratified flows. The width of turbulent thermal plume increases downstream in developing unstablystratified turbulent flow. In combined stratified flow, however, development of the thermal plume is suppressed because the stably stratified flow existed over the unstable flow.
  • 小川 浩平, 李 俊錫
    1993 年 19 巻 1 号 p. 134-137
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    充填層における移動現象や反応を明確にするためには層内局所の流体挙動を明確にする必要がある.著者らは充填物として球を用いて充填球表面での速度勾配を測定することにより, 充填球表面での時間平均的流動や物質移動に関する基礎的知見を前報で明らかにした.本報では, 測定した充填球表面での局所速度勾配の時間変動に注目して, その強度やエネルギースペクトル密度関数などの統計量から推定される充填球間内の流体挙動の特性と充填構造との関係を実験的に明確にすることを目的とする.
  • 古内 正美, 長谷田 浩, 後藤 圭司
    1993 年 19 巻 1 号 p. 137-140
    発行日: 1993/01/10
    公開日: 2009/11/12
    ジャーナル フリー
    Rod-like nonmagnetic particles dispersed in a magnetic fluid were packed by draining the fluid, after causing them to parallel to the applied magnetic field. The influences of the initial particle volume fractionφ0 and the field intensity H on the finalpacking densityφ and the particle orientation were experimentally examined.
    The increase inφ0 and H caused the particles to align more nearly parallel tothe applied field, giving rise to increase inφ. From electrical conductivity measurement it was estimated that, at maximum, 30% of the particles aligned parallel to the applied magnetic field and 70% remained in random arrangements.
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